幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活 作:軍曹(K-6)
4京3985兆4956億4724万5908年という時間をどのように過ごしたか。は上条当麻自身にしか分からないだが、1つだけ分かることがあるとすれば。その時間は上条の能力水準を高く上昇させたと言うことだけだろう。
「ガハッ!」
「グッ・・・」
「どうした? まだ半分も出してないぜ?」
それと同時に、悪魔のような残虐性を持って帰ってきたようだったが。
残虐性。そう言えるのは既に戦えるほどの余力を残していない萃香と魔理沙を一方的に嬲っているからである。
「・・・ねぇ」
「・・・何ですか」
「さっきから萃香達を吹き飛ばしてるあの技は何? まるで―――」
「まるで重力を操っているようだ。ですか?」
「・・・うん」
「そりゃそうですよ。ご主人が使っているのは“愛気”の武道。その使い手が呼ばれていた異名が
「ぐらびてぃ・・・まじしゃん・・・・・・」
「しかも・・・4京を越える時間を過ごしたご主人がどこまで武道を極めたか。それが問題です。もう霊夢も気付いているんじゃないですか?」
「え? ・・・えぇと。当麻が
「その通りです」
「「なにっ!?」」
霊夢の解答に大きく反応したのは魔理沙達だった。対して上条はニヤニヤと笑っている。
「・・・ど、どういう事だ霊夢」
「まさか私達を相手に当麻が全く力を使っていなかったって言うのか!?」
「・・・戦いに夢中で萃香も気付いてなかったのね。離れたところから傍観してたらよく分かる。当麻は
「へ?」
「・・・つまりですね。簡単に言えば魔理沙達は自爆してるんですよ」
「・・・・・・おいおいバラすなよ。ネタバレほど面白くないものは無いぜ? 俺は二人が気付くまでいたぶ・・・訓練してやろうと思ってたのによぉ」
「今いたぶるって言ったよね!?」
「言ったか?」
上条はとぼけているのかニヤニヤと笑う顔を止めようとはしない。
「ホラホラ。どうした? もう終いか?」
「・・・魔理沙は休んでな。私がやってみる」
「・・・・・・でも、一度負けてるだろ?」
「そういう問題じゃない。今の当麻は私達に対して手加減してるから。あの武道を何とか出来れば良いと思う」
「・・・・・・そうか」
「導師様よ。精一杯楽しませてもらうぜ?」
「本気の鬼との闘争を教えてやるよ」
飛びかかっていった萃香は何度か攻撃をワザと外し、攻撃のタイミングをずらしていく。
「ヘェ・・・。面白」
(全部にピッタリと合わせてくる・・・。本当にこの武術は危険すぎる)
「おーい。いつ本命が来るんだ?」
受け流すまではしないものの、萃香の攻撃に合わせるように両手が動かす上条。そんな彼の技能を彼女は冷静に分析する。
が。
キリが無いと踏んだ萃香はそこそこの一撃を持って拳を振るう。
「!」
「―」
戦闘を楽しむような狂気の笑みを浮かべた上条は、その一撃を放った萃香を人形のように高く上に放り投げた。
だが、それで萃香は分かった。
(当麻のやつ。
「・・・・・・居合い払い」
「「え?」」
貴音が呟いた一言に霊夢と魔理沙が聞き返す。
「居合い払いって・・・?」
「何なんだ?」
「一発の払いからドミノ倒しのように次々と各部を崩していき・・・瞬時に倒すご主人の必殺技です」
「・・・ということは?」
「ご主人が自分から動いたって事です」
「なら!」
「・・・そうですね。ご主人がどれだけ強いか分からないから明言はできませんが、萃香さんの敗北が決まったって事です」
「「・・・え?」」
「・・・ほらほら。手加減してやるぜ」
そう言った上条は自ら萃香に突っ込んでいった。
「「「え?!」」」
一息で距離を詰められた萃香は、上条の蹴撃で縦回転しながら飛んでいく。
「むげーんだーいなゆーめのあとのー♪」
「表蓮華ッ!」
上条と貴音がそれぞれそう言って、上条はあまつさえ嗤いだした。
「ははっ。まさか脚で飛ばせるとは全く、これっぽっちも考えてなかったなー」
「・・・・・・恐ろしいよ全く。何なんだ、鬼である私を軽々と吹き飛ばしてくれるそのワザは」
「愛気。“奈惰嶺”だ」
「愛気・・・奈惰嶺・・・。覚えておく」
「ああ。良ーく覚えとけよ?」
上条は笑みを崩さずに語りかける。強者の余裕というものだろうか。
誰もが彼には敵わないと思っていた。
強い力を持つ者には、逆に弱過ぎる面があることを忘れて。