幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活 作:軍曹(K-6)
先日霊夢達が宝船と言って意気揚々と追いかけていった船はどうやら星蓮船と言うらしい。正直船の名前などどうでもいい。そしてそれが飛んでいた原因は地霊殿での一件が大きいようだ。
大暴れしたからなぁ。俺。少し反省しないといけないかもしれない。
・・・何だろう扇ちゃんと会ってから俺丸くなった? なじみが居なくなってあの魔の修行で完璧に作り上げたはずの人格が完全に削り落ちている気がする。と言ってもこういう思考中や扇ちゃんと話している時限定だけど。
それよりも、今回の空飛ぶ船の原因は、その昔魔界に封印された元人間の魔法使い、聖白蓮が原因らしい。しかも彼女の信条は妖怪を助けることらしい。いや、まあ共感するさ。俺も誰彼構わずぶっ倒す霊夢の主義には関与しないことで対処してるし、俺自身は異変の首謀者やそれを守ろうとする相手じゃなかったら基本手加減するし、蹂躙なんかもちろんしない。
さて、話は変わって今は春なんだが霊夢の話によると神霊が現われたり消えたりしているらしい。と言うわけで、季節の変わり目で風邪をひいた貴音は放っておいて、霊夢や魔理沙は白玉楼へ、俺は慧音先生に何か知らないか聞きに行くことにした。
え? なんで慧音先生かって? ほら、先生って何か色々と知ってそうじゃないですか。
と、言うわけで寺子屋にやってきたんだが、どうもおかしい。
何がおかしいか言い表せないほどおかしい。
まあ言い表すけどさ。寺子屋の教室は全生徒一室のはずだ。だったら、俺の目の前でぶら下がる壱年参組のプレートは何だろうか。というか、周りはただの障子だけで、プレートがかかっているのはここの教室だけなのだが。
「・・・とりあえず、入ってみるか」
意を決して俺はその障子を開いた。するとその中には信じられない光景が広がっていた。何と言って良いか・・・。いや、この場合は一つしか形容のしようがないだろう。教室だ、そうとしか言い表せないリノリウムの床に腰ほどの高さまでの鉄と木でできた机。前と後ろにそれぞれある大小の黒板。そして一つの机に座る制服の少女・・・・・・。
「扇ちゃん?」
「あ、上条先輩。助かりましたー。そのドア中からじゃ開かなかったんですよー」
「え。そうなのか?」
そう聞いて俺は焦った。もう既に締めてしまっているのだ。もう閉じてしまっていて開かない。なんて同人誌みたいな展開、俺はまったく望んでいない。いや、本当にだからな。
「安心してくださいよ上条先輩。このドアは建て付けとかの問題ではなさそうなので、あなたの右手で一発です」
「そう、なのか?」
一度もそう言った類いの物を打ち消した感覚がなかったが・・・。とりあえず扇ちゃんがドアに歩いていっているから開けてくれるだろう。
と。
思っていた時期が俺にもありました。
「はっはー。先輩は本当に不幸者ですねぇ」
「君に初めて“
俺達の目の前で起きていたのは、ドア先の空間の欠如だ。言っている意味がよく分からないのならこう言ってやろう。俺達が居るこの教室は、世界から切り離されてしまった。教室の外は漆黒の闇で、一寸の光も見えないような空間だ。おそらく、客観的にこの教室を見ることができたら、暗闇の中にポツンと浮いていることだろう。
「帰り道の空間まで消してしまうなんて先輩は本当に愚か者です」
「なんでだろう。褒められているように感じるのは頭がおかしくなっているからなのかな?」
「ええ。突然帰れないという状況に放り込まれたんです。不安になっても仕方がないでしょう」
「いや、マジで帰れるのか? 俺達」
「もし帰れなかったらここで子孫を一人でも残しておきましょう。ね、上条先輩」
「縁起でもないこと言うな! 大体、帰れないって決まったわけじゃないだろ?」
「ええ。まったくその通りです。一度消した異能の力の再現ができる先輩なら何とか出来るでしょう」
「それもそうだな。やってみる価値はありそうだ」
扇ちゃんのその言葉に乗せられて俺は今まで消した能力の中からここと寺子屋のあの障子を繋いでいたその力を探し出す。そして、無事それを見つけ出し俺たちは出ることができたのだった。
「いやー大変な目に遭いましたね」
「一体扇ちゃんはどのくらいあそこに居たんだ?」
「一時間ほどですね。結構暇でしたよ」
「そうか。さて、当初の目的を何とかしないとな・・・・・・」
「その事で先輩にヒントです。命蓮寺の方が怪しいですよ」
「? ・・・一応お礼、言っとくぜ。ありがとな」
「いえいえ。私は風の噂で耳に挟んだだけですから」
「? そうか」
この後、俺は命蓮寺で霊夢達と合流して異変を解決したのだが、どうも扇ちゃんの言葉が引っかかってしまっている。
なぜ今回の異変のヒントが風の噂で流れてくるのだろうか。
まあ深く考えたら負けな気がした俺は考えるのを止めたのだが。
それよりもなによりもだ。
そしてこの神霊異変の元凶(本人は無自覚)である豊聡耳神子に言われた一言がこれまた気になっている。
『上条当麻。これは忠告です。近い内、貴方は決断しなければならない時が来るでしょう』
一体何を決断しろというのだろうか。俺にはまったく分からなかった。