幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活 作:軍曹(K-6)
簡潔に言おう。幻想郷から希望が消えた。だからといって他の感情が消えたわけじゃないが、絶望したわけでもない。ただ希望がないだけだ。
そのため人里の連中は刹那的に生きることを決めたようだった。
それを見た宗教家達は信仰を集めるチャンスだ。と、飛び出した。
第一次幻想郷宗教大戦の開幕である(適当)。
まあ、そんなこんなで霊夢が人里の連中の信仰を集めようと弾幕ごっこで稼いでいる最中、そんなことに微塵も興味がない俺は博麗神社で貴音とお茶を飲んでいた。
「・・・風情がありますねぇ」
「そうか?」
いつもの過ごし方だからなんらそんなことは思わない。想像してみてほしい。例えば部屋でパソコンをいじることが風情ある行動だとして、それを毎日行っている人間からしてみたらそれは風情あると言えるのだろうか。言えない気がする。
俺は何となくいやな予感がして貴音に散歩をしてくると告げ、博麗神社の敷地を出る。
人里に向かって暫く歩いて居ると、扇ちゃんと出会った。
「やぁ、上条先輩。元気そうで何よりです」
「そっちこそ。人里の空気に当てられてなくてよかったと言えるだろ?」
「えぇ。私は上条先輩と同じで外から来た人間ですから。あの空気に呑まれる可能性は低いです」
「そうか。それはよかった」
「浮気ですかー?」
「違うよ」
ただ、知り合いとして心配だっただけだ。特に深い意味はない。それよりも問題なのは何故こんな事が起きたか、だろう。俺個人の意見として、人里には近寄れない。霊夢達が弾幕ごっこをしているという理由もあるが、何よりも世紀末のような状態なあの街に近づいたらヤバいことになるだろう。生憎北斗神拳の継承者ではない俺では生き残れる自信はない。
「何か面白いこと考えてますね。上条先輩」
「地の文を読んだりしてないよね? 扇ちゃん」
「安心してください上条先輩。私にそんな特異能力はありません。ただ先輩が面白い顔をしていたので疑問に思っただけですよ」
「え? 俺は顔に出やすいタイプなのか?」
「いえいえそういうわけでもありません。自分の脳内ギャグに笑ったんでしょう? 口元がにやけてましたから」
「うわ・・・マジか」
気を付けておこう。なんて言って直せるものでもないだろうけど。人の癖って言うのはなかなか直せるものじゃないからな。
癖というのはそいつの生活習慣の一つだ。毎日何気なくついやってしまうもの。直そうとしたら四六時中意識していなければならない。何を? 直したい癖をしないかどうかだ。それを継続してしないよう心がけなければ直ることはない。面倒だから俺はやりたくないが。
「そう言えば上条先輩」
「? どうしたんだ扇ちゃん」
「私さきほどこんなものを拾いまして」
「こんなもの?」
「えぇ」
「・・・・・・面?」
扇ちゃんが差し出したのは二つのお面。片方は見たことがない物で、もう片方がどこかで見たような憶えがある物だった。というか。
「石仮面じゃないかっ!」
「おっ。かぶっちゃいますか?」
「いやいや。そもそも俺吸血鬼だし。これ以上なる必要ないから」
「でも、一度はやっておきたいですよね」
「・・・・・・だな」
俺は扇ちゃんから受け取った石仮面を持ってみる。扇ちゃんの言う通り、とてつもなくあれをやりたくなってしまう。とりあえず、やってみようか。
「
「お、上手いですよ」
「あ―――っ!」
「「え?」」
二人して振り返ると、そこにはお面の付喪神。秦こころがいた。
え? 何故分かるかって? こちとら常時神々の義眼開眼中ですよ? 見えないわけがないでしょう。
ふむ。そこそこ胸はあるようだ。
「そ、それは私の希望の面!」
「・・・これか?」
「それは石仮面です。こちらのことでしょう」
「返してもいいですが、
「・・・弾幕ごっこか。いいだろう!」
そして、二人の弾幕ごっこが始まった。一体どっちが勝つのだろうか・・・?
▽
勝負開始と同時、扇は後ろへ軽く跳ぶ。それを追って前へと飛び出したこころの体を閃光が襲った。
「!?」
(・・・今のは?)
「スペルカード。閃光「スタングレネード」」
(・・・・・・現代兵器じゃねーかッ! いや、まぁ。どこぞの時間逆行魔法少女も近代兵器が武器だったし良いか)
と、上条は考えたようだった。彼女が使っていたスペルカードの解析をその時は怠って。
「くっ。目が・・・」
「じゃあ続いていきますよ。スペルカード。実弾「
(・・・ほう。カスールか。・・・・・・ん? カスール?)
二、三度放たれる聖ジョージ大聖堂の銀十字を溶かして作られた銃弾を、上条は目で追う。
(間違いない。アーカードが使って、俺が今持ってるカスールの銃弾と全く同じ・・・。盗まれた?)
いや、そんな馬鹿な。と上条は結論づけた。
そこから暫く、扇は上条の目の前で様々なスペルカードを使ったが、その全てが上条当麻が一度使ったことがあるような物だった。と言っても八割方が霊夢達幻想組が使っていた物で、なおかつ名称も違うため、上条は気のせいだろうと考えを振り払う。
▽
その後、扇ちゃんは勝ったにも関わらずこころちゃんに希望の面を返していた。
今回の人里での異変。彼女が希望の面を失ったことに関係するようで、後から聞いた話によると、それを初めに拾ったのはこいしちゃんらしい。何でも自分の部屋に保管していたのだが、いつの間にかなくなっていたと、扇ちゃん。君は一体、どこからそのお面を持ってきたんだい?
そんないろいろの疑問を解決したくなった俺は扇ちゃんを探して人里中を三日ほどかけて探し回った。そして、得られた情報はなかった。
まるで、誰も、忍野扇がどこに行ったのか知らなかったのだ。
思わず肩を落とすが、もうどうしようもないことだ。そんな時、貴音からいい情報が手に入った。
「ご主人にあの真っ黒少女から伝言です」
「なんて?」
「『あの壱年参組で待っています』だそうですけど」
「ありがとな!」
さあ、答え合わせに向かおうか!