幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活   作:軍曹(K-6)

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Final stage 上条当麻と忍野扇と

「つまり・・・扇ちゃんは俺にかかった負荷を取り除くためにこの世界にインストールされたって事か」

「なぜ唐突にPCで例えたのかが分からないけど・・・。まあそういう事だよ」

「上条先輩を批判してたつもりはないんですけどねぇ」

「徹底的に二人で議論してたけど・・・。あれは自問自答って事になるのか」

「どっちが正しいかを決めるために話し合う。主観的にも客観的にも自分を見ることができるなんて、当麻くんは恵まれてるね」

「・・・そう、だな」

「いやーお恥ずかしいですね」

「・・・・・・ん? ちょっと待て。ちょっと待って」

「ん? どうしたんだい当麻くん。何かとんでもないことに気付いたような顔をして」

 

そうだ。これはとても恐ろしいことなんだが、とても正しいことだ。いや、決して下の相性が良いとかそんなしょうもない理由ではない。

なじみが説明してくれた扇ちゃんの事の中で言っていた一言。彼の抑止力となる。つまり、俺を抑える力があるということ。そしてそして、俺の予想から扇ちゃんは

 

「俺とほぼ同じ位の身体性能を備えてるんじゃね?」

「当たり前じゃないか。しかも枷が着いてない状態の当麻くんと同じ。とは言っても男性と女性で骨格構造や内蔵機が微妙に違うから数段パワーは落ちてるだろうけど」

「マジかッ! 扇ちゃん!」

「上条先輩の次のセリフは『バトルしようぜ!』ですね」

「バトルしようぜ! ―――ハッ!」

「・・・・・・まったくあるじ様は・・・。さて、あるじ様が暴れるのなら儂は影の中に収まっておくとしようかの」

 

忍が上条の影の中に潜っていったと同時、上条と扇は少し離れて向かい合う。

 

「扇ちゃん。愛気は?」

「上条先輩と同じくらい。もしくはそれ以下ですが」

「そこは」

「速度でカバーします」

「はっ。いいね!」

 

二人同時に跳びだし、お互いの技術と技術がぶつかり合う。

 

「うっわーもの凄い小爆発の連続」

(さて、普通の「取り合い」じゃ)

(ラチがあきませんね・・・)

 

そう思ったと同時、二人の姿はそこから消える。

 

「あれ。どこへ消えた? ・・・外?」

 

 

―――人里。

 

その一角で突然不自然な風が起こった。里に住む人々は何事かと慌て始める。が、その原因はすぐに解明された。

その風は里で一番大きな通りで二つに分かれ、二人の人間を形成した。

近くの店でみたらし団子を食べていた橙が驚く。

 

「え? え? 扇お姉ちゃんが当麻さんと同じ技を・・・!? 紫様に報告しないと!」

 

「さーて扇ちゃん。今の感想は?」

「技術不足が大分痛いです。貴方の足元にも及びませんから」

「それでも速度強化だけで形だけの雷歩に持ってこれるのだけは褒めてやるぜ」

「ありがとうございます」

「じゃあもう一段階上に行ってみようか」

「え゛」

「『雷迅』」

「・・連続、普通のパンチ」

 

扇のその技を見抜いた上条はある程度雷迅で受け流し攻撃を入れ始めたが、その速度、攻撃力については扇の方が上だ。例え機体が違っても乗っているエンジンが同じ、しかも上条はリミッター付きなのだから出力の差は歴然だ。

 

「だらぁ!」

 

上条は叫ぶと同時雷迅の中に連続普通のパンチを織り交ぜ始めた。

 

「くっ。やりますねぇっ上条先輩っ」

「当たり前だっ! 誰がこの技の考案者だと思ってるっ!」

 

だが。

 

(速度と威力は・・・)

(・・・相変わらず扇ちゃんに軍配が上がるな)

(でも、私が押されてるのは?)

(それでも、俺が押せてるのは)

((技術の差!))

 

小爆発の連続だったのだがだんだん音と衝撃が大きくなってくる。

一度大きな音が響いたと思ったら二人の影が左右の屋根の上に消えた。

 

「あの二人はどこへ行ったんだい? あぁ、いたね」

 

二人は通りを破産で屋根の上で向かい合う。その振動か空気がビリビリ鳴り、瓦が数枚割れる。

 

「うわ・・・この辺りが全部ビリビリ言ってるし・・・」

「屋根の瓦が舞ってるぞ・・・」

 

二人が同時に飛び出し、空中での取り合いが始まる。

取り合いの衝撃を継続させるため、二人同時に蠅王紋章(ゼブルエンブレム)を出現させ足場にする。

足場がより強固になった為、さらに強い取り合いが始まった。

 

「扇ちゃん。気付かねぇか?」

「ん? 空中でスカート、ですか? 別に気になりませんよ。タイツですから、しかも透けませんし」

「そうじゃねーよ」

 

気付かないならそれでもいいや。と上条は言って軽く上に跳ぶ。

 

「ここが空中って事忘れんなよ」

「まさか!」

 

上条が跳んだことで、扇の視界に入ってきたのは素足になった彼の足だった。

 

「喰らえ」

(マズっ)

 

両手足フルで使った『雷迅』が扇に襲いかかった。

 

「きゃっ!」

 

雷迅の重力操作にも似たその技を食らった扇は、強く上に跳ね上げられ、上条が出した蠅王紋章に叩き付けられさらに近くの空き家の壁へ突っ込んだ。

 

「・・・よっと。油断すんなよ扇ちゃん」

「えぇ、失敗でした。一度破ったもので足もあるのを忘れていましたよ」

「そういうのを愚か者って言うんだろ」

「お互い様ですよ先輩」

「違いない。・・・スペルカード。妖刀「心渡」」

「・・・スペルカード。銃器「対化物戦闘用拳銃(ジャッカル)」」

 

扇が撃った弾丸も、上条が振るった心渡によって真っ二つになった。

 

「あれ」

「自分の武器がどんなものかぐらい把握してるに決まってるだろ」

「・・・じゃあ私は。スペルカード。全開「フルバースト(ver扇)」」

「ん?」

 

上条の目の前には、神々の義眼を開き長く伸びた犬歯が目立ち、蠅王紋が全身に浮き出た、ようするに全力全開の上条当麻の姿の忍野扇バージョンがあった。

 

「へぇ・・・マジ?」

「マジです」

 

スペルカード宣言もないまま上条も全開モードへシフトチェンジする。

そして、次の瞬間。世界を一分もかからず生身一つで破壊可能な人外同士がぶつかった。

一撃で空気が潰され、幻想郷中に響くような轟音が鳴る。

それを連撃で放つものだから周りの皆からしてみればたまったものではない。だが、それがただの強い攻撃同士のぶつかり合いならまだよかっただろう。神々の義眼による読み合いから始まり、幻想郷中の妖怪能力のぶつかり合い。吸血鬼の超速再生を生かした遠慮のない肉削ぎ攻撃に加え、神の宿った肉体同士の純粋なぶつかり合い。幻想郷が余波で滅びるのも時間の問題だった。

 




化け物同士の闘争。

これでも上条さんには枷が付いてます。
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