防衛大学校の劣等生   作:諸々

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00-47 司波家(2)

エリカが強引に取りまとめたせいで女子会が深雪の家で開かれる事になった。

メンバーはエリカ、深雪、雫、美月だ、水波は壁際で待機している。

飲み物、お菓子をあてにガールズトークで盛り上がる。

暫くするとエリカが手を挙げて言った。

「深雪、ちょっとトイレ。」

「トイレは一階よ、水波ちゃん案内をよろしくね。」ニコリともせずに言った。

エリカはこっそり舌打ちをし、水波とともに部屋を出て言った。

「さあ、不審者は出て言ったわ。美月、魔工科での達也様の様子を教えてくれない?」

深雪と美月で話が盛り上がる。

ここで雫が手を挙げた。

「深雪、わたしも。」

「一階に居る水波ちゃんに聞いてね。」

雫にかまわず深雪は美月とおしゃべりを続けている。

雫は部屋を出た、だけど一階には行かず二階の別の部屋に向かう。

雫の狙いは今いないはずの達也の部屋だ。

ほのかの為何でも良いから情報が欲しかったのだ。

深雪はエリカの動きは気にしていた、だけど雫はそうではなかった、結果フリーにしてしまう事に。

深雪の部屋に入るまで雫はこっそりとこの家の間取りを観察していた。

一般の家よりは広いとはいえ、雫に家ほどではない。

達也のであろう部屋はすぐに見つかった。

鍵は基本掛かっていないはず。

HALの掃除、漏電火災などの対応の為に、室内に人がいない場合は各部屋はかけない場合がほとんどだ。

そっと雫は部屋へ入る。だがその部屋はがらんどうだった。

荷物が少し前まであった形跡は有るが今はない。

唖然としていると、水波と深雪が駆け込んできた。

水波は警備システム、深雪は直感で達也の部屋が開いたことを知ったためだった。

当然ながら、エリカと美月もついてくる。

「深雪、どういう事?」と雫。

「単なる空き部屋よ。」と深雪。

「ウソ、じゃあ何で深雪は駆け込んできたの?」

「…それは…」

「つい最近までここは使われてたみたいね。深雪、達也君の部屋はどこ。

一階にはそんな場所は見当たらなかったわよ。」とエリカ。

「…………」

「達也さんはどうしたの。」水波を見て雫が鋭く問う。

「…今はこの家にはいらっしゃいません。」と水波。

「水波ちゃん!」

「深雪様、いると言ったら部屋を見せろと言ってきますよ。」

水波は雫を見据えて言った。

「達也様は現在この家にはいらっしゃいません。

ですが理由は家の都合なので公表は控えさせていただきます。」

プライバシーの問題にされてはこれ以上追及は出来ない。

気まずい雰囲気のままこの日は分かれることに。

 

念の為ここで確認。

前回の臨時師族会議の結果は非公表扱いになっている。

達也と深雪の婚約は解消されてはいないので、表立って公表する物が無いからだ。

他の十師族の内、関係者(一条、七草など)は公表するとライバルが増えるだけだから積極的に公開はしない。

その他は四葉との対立を恐れ、またきわめて個人的な内容なので公表してはいない。

結果、非公式に非公開な状態になっているのだ。

 

エリカは女の感とでも言うべきものでチャンスだと感じた。

達也と深雪の間に何かがあった、それを生かせば達也をローゼンに引き込めるかもしれない。

ただ情報が不足している、もうすぐ帰ってくる達也にカマをかけるべきだと思った。

 

雫は家に帰って一人考えていた。

深雪の様子は変だった、だが理由が分からない。

雫は深雪の思いを知っている、だから別れて暮らすはずがない。

もしかしたら結婚準備なのかもしれない。

不安が膨らむ、もしそうなったらほのかはどうなる?

 


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