江戸のお姫様はふつくしい!? 作:匿名
そして今回は松治くんが所属している部活の事も最後辺りにチラっと書きました。是非最後まで読んで頂ければ嬉しいです。
それでは、どうぞ。
「…やっちまった。」
俺は突然開かれた居間の扉にビックリしている築山さんと、その築山さんに面食らっている姉、雪平涼華を交互に見ながら呟いた。夜のうちに築山さんを問い詰めて状況を整理し、姉には明日の朝にでも説明しようと思っていたのだが、こうなってしまっては意味がない。俺はこの事態を説明しようと口を開こうしたのだが、今まで棒立ちしていた姉が先に言葉を発し、それに遮られた。
「え、何松ちゃんこの子。和服着てるし。コンビニ帰りにでも会ったの?」
「そ、そうなんだよ……」
「違いますよ!私はあなた方のご先祖…って事なのかな?まぁ、そんな感じの存在です!」
「っておい!?」
「先祖…って?まぁ何かよく分かんないけど、ひょっとして松ちゃんの彼女?」
「え、あ、はい!まぁ付き合ってる間柄でもあります!」
「へぇ~松ちゃんいつからこんな綺麗な女の子と付き合ってたの?私にも言えよぉ~」
「いやどっちも違ぇよ姉ちゃん!彼女説の方は特にな!」
「え!?違うの主君!?酷い!」
「違うに決まってますよ!だいたい出会って数時間で親しい間柄とかどういう物の考え方なんですか!」
「うえ~ん、フラれたよぉ~…」
「あーあ松ちゃん彼女泣かしたー」
「だからぁ…話を…」
俺は先程も築山さんを殴ったフライパンを手に取り。
「聞けぇぇーーー!!」
未だに会話を続ける二人の頭にそれを振り下ろした。
◆◆◆
「…落ち着いたか?」
「はい…」
「うう、痛いよー…」
アホな会話をしていた二人を制し、ソファに正座させる。やっぱり穏便に事を収めるには対話が一番だ。
「とりあえず、姉ちゃん。俺の話を聞いてくれ。この人…築山さんは彼女でも何でもなく俺達のご先祖様みたいなんだ。それも江戸時代からやって来た。俺も初めは信じられなかったけど、一両小判を持ってたあたり本当にその可能性が高い。」
「いや先祖って時点で何でもある気がするんだけど…まぁ超ウブの松ちゃんに彼女が居るなんて始めから思ってないけどねぇ~」
「…それは俺をバカにしてんのかな?まぁとりあえずそういう事だから…」
「はーい、分かったよ。」
「んで築山さん、俺の事を勝手に彼氏とするのは控えてくれませんかねぇ?ちょっと迷惑を被る時が多いので…」
「えー何で?別にいいじゃん…」
「…何か言いましたか?」
「ハイ、ナンデモゴザイマセン…」
俺が笑顔でフライパンを持ち威圧してやると、築山さんは引き下がる。聞き分けの良い人は好きだ。勿論、LOVEじゃなくてlikeの意味で。
「というか姉ちゃん、遅くなったけど野菜炒め作る?」
「ん~…もうすぐで仕事終わりそうだし、今日はもういいや。貴方たちも早く寝なよ。おやすみ~…」
「おう、おやすみ…」
「もうお休みですか姉上?疲れてるようでしたら寝つけるように弾き語りしますよ?」
「姉上って…いや、また今度でいいよ。築山ちゃん、だっけ?まぁ、慣れないと思うけどしっかり休みなよ?」
「お気使い感謝致します!では、おやすみです。」
…何と言うか、姉の適応早すぎるだろ。まぁ、小さい頃から姉はあまり動じない性格だったし、自由そうな仕事柄こういうのは慣れっこなのだろう。俺もご先祖様ならば来る者は拒まず、去る者は追わずだ。
「じゃあする事も無くなったし、俺も寝るかな…おやすみ~」
「え!?主君も寝ちゃうの?」
「いや、もう遅いですし…」
俺は時計を指差す。時刻は0時を回っていた。
「え…丑の刻まで怪談しようよ~…」
「誰がするか!もう部屋行きますけど、寝るときはソファで寝て下さいよ。」
両手をダランと垂らし幽霊の真似をして近寄ってくる築山さんを押し退け、俺は電気を消し居間を出る。
階段を上って自室に入り、早めに寝る準備を整え、布団に入った。目を瞑り、今日1日であった事を考える。
…今日は何か物凄い事が短時間であったな。いきなりご先祖様が襲来して、それが徳川家康の妻で、自分ん家も徳川の末裔で…。
しかも、その人が俺に好意を抱いているという…
「…改めて考えると、何か恥ずかしいな…」
あの時は冷静に受け流していたが、あんな美少女に好かていれるとは結構凄いことなのではないだろうか。まぁ、恋愛なぞした事ないから分からんが。
まぁいろいろ考えていても意識を呑み込んで行く眠気には勝てず、俺は次第に意識を手放していった…
◆◆◆
ピピピピッ ピピピピッ
「ん…」
部屋に鳴り響いた目覚まし時計のベルの音で目を覚ます。音を止めて時刻を確認すると、針は午前8を指していた。どこぞのラノベみたく居候が布団に入り込んで来ていないかを確認し、部屋の扉を開ける。
「何で休み中なのに目覚まし掛けたんだ?」
そんな事を思いながら階段を下り、居間へと入る。床を踏みしめた途端、それまで座布団に座っていた人影が騒ぎ出した。
「主君~お早う~!私、昨日はよく寝れたよ―!」
「…はいはい、おはようございます。朝から元気ですね。」
「あ、お茶点てたんだけど飲む?」
「ん、頂きます…」
差し出された茶碗を受け取り、中身を一気に煽る。
そして吹き出した。
「苦っ!?コレ抹茶じゃないですか!」
「あれ、抹茶苦手だった?」
「いや、苦手ではないですけど…寝起きにはキツいですね…」
「あっはは、朝から仲良いねぇ、お二人さん?」
そんなやり取りを聞き、さっきまでソファで寝転んでいた姉が声を掛けてくる。
「からかわないでよ姉ちゃん。今日はゆっくりしたいから、あんまちょっかい出さないでよ?」
「え、松ちゃん今日グ―タラしてる暇無いと思うけど?」
「…ダラけてる暇が無いのは姉ちゃんの方でしょうが。それで、何で今日ゆっくり出来ないのさ。」
「だって今日、部活でしょ?」
「………あ。」
◆◆◆
「ったく、休み中なのに何で部活あるんだよ…」
「まぁ、顧問が決めた事やけんな…今更何を言ってもしょうがないやん。」
今、俺は友達である生駒和也と共に夏休み中に行われる部活へと参加する為、もう気温が上がってきた通学路を歩いていた。俺は部活の事をすっかり忘れており、それが一層不満を増幅させた。
「それでもさ、副部長の権限で何とかならなかったのかよ?」
「副部長って言われてもなぁ…俺2年やし、部長会での決定権は殆ど無いも同然やけんな?」
「だよなぁ…かと言ってあの部長に任せっきりにするともっとマズい事になりそうだもんな…」
「ま、腹括って頑張って活動せなな。お、着いたで。」
話しているうちに学校に着いたようだ。俺達二人は一応事務室に顔を出し部室に向かう。夏なので物凄く熱い訳だが、幸い部室はこの学校の中でも一、二を争う日当たりが悪い場所にあるので幾らか涼しい。冬は冷凍庫並みに寒いが。
校舎内に入り部室を目指す。中には殆ど人がおらず、居るとすれば職員や文化祭の準備の為に来ている生徒会の人々だ。俺達はそんな物にも目をくれず、立ち並ぶ特別教室を横切り一階の一番突き当たりに位置する部室、技術室の前までやって来た。
扉の横には既に鞄が2つ置いてあり、どうやら俺達が最後に着いたようだ。引き戸を開き、中に入る。
「あ、雪平センパイ、生駒センパイ、おはようございます。」
「……………………おはよう。」
中にいたのは予想通り、1年生の後輩、
いかがでしたか?
部活のメンバー、何か個性的な雰囲気でしたね…次回は部活回です。新キャラ2人を少し掘り下げて行きます。
あと、松治くんのように実際にフライパンで人を殴る事は危ないので絶対にしないで下さいね。(笑)
感想をお待ちしております。