江戸のお姫様はふつくしい!?   作:匿名

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松治君達はやっと仁科ちゃんらと合流。部員+2人のダム巡り、開始です。 


お姫様とダム巡り ~鹿島沢駅→ダム~

「よ―っし、着いたぞ駅に―!」

「駐車場で走ると危ないですよ。あ、方向反対ですって!」

「うぅ~久々に運転したから肩がちょっと…」

「何かここ涼しいのぉ。標高高いからなんかな?」

 

鹿島沢駅に着き、車を降りた途端思い思いの言葉を発する俺達。これだけでも十分騒がしいのにこれから他の部員とも合流するのだ。さぞかし賑やかな観光になるだろう。

 

「え―っと仁科達は…おったおった。みんな、行くぞ―」

 

和也が全員に声を掛け仁科ちゃん達が居る駅の方向へと向かって行く。俺はすぐ何処かに行こうとする築山さんを引っ張ってそれに続いた。

 

「皆さん、おはようございます。」

「その、今日は宜しく、お願いします……」

 

向こうも俺達の姿を見つけたらしく、走り寄って挨拶をしてくる。律儀にお辞儀を添えるのが仁科ちゃんで、少し俯きながらボソッと呟いたのが藤井部長だ。普段二人の制服姿しか見ていないせいか、私服はちょっと新鮮に感じた。

 

仁科ちゃんは紺色のポロシャツとその上にジャンパーを着こなしボ―イッシュな感じの出で立ちで、いつもの髪型はそのままに、前髪を少しヘアピンで留めている。

対して藤井部長は白いブラウスを着て、長めのスカートを穿いている。おまけにスト―ルまで巻いているので、何か清楚な感じである。

 

「雪平センパイ、何をジロジロ見てるんですか―?」

「あぁいや、二人の私服姿って、何か新鮮で可愛いな―って…」

「まぁ、似合ってると思ってくれてるなら良いですが…。」

 

そう言うと仁科ちゃんは顔を少し赤らめながら笑う。部長は無反応だったが、確かこういう事は軽々しく口にしてはいけなかったのだろうか。

気まずい空気が流れかけたが、築山さんがそれを壊すように話し出す。うん、今回は良い仕事してくれました。

 

「ところでさ、ダムまでどうやって行くの?私、食料とか持ってきたよ?」

「…登山にでも行くつもりですかアナタは。普通に乗って行けますよ。」

「あれ、やっぱ駅って付いてる言う事は、もしかして電車なんか!?」

 

それまで服装などには無関心だった和也が目を輝かせながら問うてくる。そういやこいつは少々鉄道オタクの気があるのだった。しかし残念ながら和也の思ってる通りにはならない。

 

「う―ん、電車っていえば電車だけどな…トロリーバスってのに乗ってくんだけど、知ってる?」

「何やその溶けそうな名前のバス。電車やないんやな…」

 

う―む、やっぱり知らないか…

 

「いや、正式には『無軌条電車』って言って、平たく言うと電気で動くバスだから電車みたいなモンだよ。」

「え、何やその面白そうなバス…やっぱカメラ持ってきといて良かったわ!」

 

あ、和也の機嫌が上がった。まぁ電車なんて幾らでも乗れるし、たまにはこういった違う感じの乗り物もいいか。

 

「それで、切符とかはどうしてあるの?これから買ったりする?」

 

姉が大して入っていなさそうな財布を出しながら疑問を呈してくる。確かにバスとかの搭乗券はどうなったのか気になってはいたが、ここで仁科ちゃんは思い出したように自分の鞄の中を探る。暫くすると、数枚束になった紙が出てきた。

 

「切符は皆さんが来る前に買っておきました。はい、一人一枚です。」

「いいの?仁科ちゃんのお金じゃ…」

「あ、全部部費から出しているので問題ありません。部活の金庫番は私に任されていますので…」

「仁科ちゃんは1年なのにそんな役を任せられて偉いね―。どっかの人も見習って欲しいけどねぇ…」

 

そう言いながら姉が俺を横目で見て来やがる。何だよ、俺だってなりたくて何の役職にも就いていないワケじゃね―やい。

俺が目線でそう言い返してやると、姉は「分かってるよ」といった眼差しを向けてくる。分かってるならからかわないでくれ。

 

「というより、もう中に行った方がいいんじゃないか?朝食もまだ買っていないし…」

「そうやな。まだ時間はあっても、余裕は持って行動したいしな。」

 

和也も俺の提案に便乗してくれる。しかし団体行動をこの駅構内でするのはどうかと言う事になり、男子組と女子組に別れて時間まで駅を散策したり、食べ物を買ったりする事となった。ちなみに待ち合わせはバスの発着ホ―ム。

女子4人が去った直後、残された俺達2人は、

 

「んじゃ、朝飯でも買いに行くか。」

「俺はうどん。無かったら幕の内で宜しくな」

「…何で俺が買いに行かなきゃならねぇんだよパシリか!」

 

こんな感じだった。

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

「う―ん、二人分は少し重いな…ったく、アイツ(和也)も手伝えよ…」

 

俺は文句をブツブツ呟きながら二人分の弁当とお茶を買いバスの発着ホ―ムへと向かっていた。

まぁ和也に注文された「うどん」などという代物があるハズもなく、指示通り幕の内弁当と俺の分の鶏めしを買った。お茶は当初はかさばるから買おうとしなかったのだが、売店にいためっちゃ喋って来るに―ちゃんに見事に丸め込まれお茶を買わされたのだ。あのに―ちゃん、一体何者なのだろうか。

そんな事を考えながらホ―ムへと続く階段を上ると、そこには和也の他に女子組も一緒に待っていた。どうやら俺が最後だったようだ。

 

「おぉ松治、サンキュウな。って俺お茶まで頼んだっけか?」

「いや、売店のに―ちゃんに買わされただけだよ。別に水分は持っといて損はないだろ?」

「まぁな。あ、それよりバスがもうすぐ来るやん!ちょっと写真撮って来るけん、待っとってな!」

 

和也はそう言い残すと猛ダッシュで駆け出し、ホ―ムに入ってこようとしているバスにカメラを向けていた。ちなみに機種はちゃっかり一眼レフ。俺の財布もそんな額の物を買える余裕が欲しいものだ。

 

写真を撮っている和也をしばらく眺めていたが、満足したのかバスがホ―ムに入って来るのと同時にホクホク顔で戻ってきた。そんなに良かったか、トロリーバスが。

 

「いや―満足満足…もう帰ってもええぐらいやな。」

「ダメですよ生駒センパイ。ちゃんと発表のネタは集めませんと。」

「冗談や冗談。さ、乗ろか―」

 

和也の冗談にもきっちりとツッコミを入れる仁科ちゃん。そんな二人を見ながら俺達もバスに乗り込む。車内は早朝だというのにク―ラ―が付いていたが、不快感は感じなかった。普段はかなり人が乗っているのだろうが、まばらにしか人が乗っていない環境も手伝って心地よく過ごせそうだ。

 

「主君主君、これ凄い!椅子が倒れるよ―!」

 

…いや、早計だった。ウチには現代の技術にいちいち感心を示してくるご先祖様がいるのだった。しかも俺の隣の席に座ってきたし。まぁ適当に説明をして納得させ、引き下がってもらおう。

 

築山さんがリクライニングシ―トをバコンバコン起こしたり倒したりしている事に俺が一喝入れている合間に、トロリーバスは静かに白沢ダムへ向けて発車した。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

「へぇ、トンネルの中に駅があるんですね…」

「まぁここはまだ山の中だし、もう少し歩いたらダムに着くと思うよ。私も久々に来たから忘れちゃってたけど…」

「てか、少し涼しくないか?松治、上着貸してくれ―」

「ったく、標高あるんだから上着ぐらい持ってこいよ?え、いや、部長の事じゃないですって!」

「…あの、必要ないかと思ったから上着忘れた…だからって責めないで…」

「私はまだ平気だよ!さぁ皆、どんどん行こ―う!」

 

俺達は予定通り白沢ダムに到着し、また駅構内を歩いていた。しかし駅はトンネルの横に造られている構造上、圧迫感がありあまり広くはない。早く地上に出よう。

 

「あっ、そうだ。どうせダムまで行くなら、先に展望台から見てく?」

 

ふと姉がそんな事を言い出す。確かに展望台…と、そこに隣接しているレストハウスにも行く予定ではあったが、駅から行けたのか。

 

「展望台って、駅から行けるんですか?」

「うん。ネットに書いてあった。元は工員専用の通路だった物が、今は階段が付けられて直接行けるようになったみたいだよ?」

 

そう言って姉は今歩いている通路の少し向こうにある階段を指差す。そこには「展望台 こちら↑」と書いてあった。

俺達は姉の先導で階段を上る。作業用の通路だったらしいが、拡張工事が施されておりそこまで狭くはなかった。

 

そして階段を上り切ると、目の前には絶景が待っていた。

 

「わぁ…」

「え―!?主君主君、これ何なの!?何なのこれ!?」

「うわっ、想像しとったんと全然違う…綺麗やな…」

「……凄い…。」

 

眼下に渓谷、奥に山脈を臨み、朝焼けを背に放水を続ける白沢ダム。

技術と努力の結晶が、そこにはあった。




ちょっと中途半端な所で終ってしまい申し訳ありません…(笑)。
次回は……ネタが今思い付かないので何か一行にしてもらいたい事があれば感想欄にて意見をお聞かせ下さい。
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