「…とうとう、2人だけになってしまったなぁ…」
「………」
眼に映るこの景色は、今まで幾度となく見てきた。
しかし、その景色の彼方にいる『それ』は、今まで見たこともない『もの』だった。
『進化体』よりさらに強力な個体…『完全体』…というものらしい。
やつらも、進化しているのか。まるでちっぽけな我々人間をあざ笑うかのように。
あれは倒さなくてはならない。国のためにも、仲間のためにも―――
………倒せるのか…?私たちだけで…?
ある予感が、頭の中をかすった。
「っ!おああああああっーーー!!!!!!」
「!?」
「(押し殺せ押し殺せ押し殺せ!)」
無意識の咆哮だった。
その咆哮はまるで、敵の強大さに包み込まれるのを拒絶しているかのような…
「はぁ…はぁ…!くそっ…!」
それは、乃木若葉初めての経験であった―――
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風「今月の話も、なんかすんごいことになっているわね!」
東郷「謎が謎を呼ぶ展開ですが…ついに出るんでしょうか?」
夏凜「ちょ、ネタバレは止めなさいよ!私まだ読んでいないのに…」
樹「来月号まで待ちきれないっス!」
友奈「雷撃G’zマガヅンは、毎月20日発売です!」
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LOCATION:讃州中学校、勇者部部室
樹「みもりんさんの真似しているのかと思いましたよ…」
若葉「何の話だ?」
夏凜「…すやすや…zzz」
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LOCATION:夏凜の夢の中
友奈「だっ、誰かー!助けてー!黒い帽子にマントの変質者がー!」
国防仮面(神樹様の恵みモード)「へっへっへっ…へい!へい!そこの娘ちゃん、可愛い顔をしているわね♪あたいと一緒に楽しいことやらない?」
友奈「変態だーっ!」
夏凜「待て待て待てえーっ!」
国防仮面「何奴っ!?」
夏凜「若い娘に対して何たる無礼!目に入ったからには、見逃すわけにはいかないってえーもんよ!」
国防仮面「やいやいやいやい!てめぇーには関係ねぇこった!口出しするんじゃあないわ!」
夏凜「とやかく言ってねぇで手を離しな!さ、娘さん。こっちにおいで」
友奈「は、はいっ!」
国防仮面「おっと!」
友奈「きゃっ☆」
夏凜「なっ…!かっ…可愛い…!」
国防仮面「へへへ…この娘は渡さない…!さぁ友奈ちゃん。家に帰って、一緒に国防仮面のDVDを見ましょう。初回限定版のフィギュアに、お蔵入りNG集もあるのよ」
友奈「ひぇー…なんか言っているよ~…」
国防仮面「あなたにも神樹様の恵みを受けさせてあげるわ…ふふふふ…」
夏凜「野郎…いい加減に…」
国防仮面「野郎じゃないわ。それとも何かい?あたいとやろうってのか!?」
友奈「気を付けて!一体どんなプレイを強要されるか…」
夏凜「…あんたには…この桜吹雪が目に入らないようね…」
国防仮面「そっ…!その刺青シールは…!『遊び人の夏凜』…!?」
夏凜「まだやるかい」
国防仮面「お、覚えていなさいーっ!」
………………
夏凜「怪我はないかい、娘さん」
友奈「あ、ありがとうございます!お侍様…ぜひ、あなた様のお名前を…!」
夏凜「わざわざ名乗るほどの者ではないわ。では、達者で………うっ」
友奈「お侍様!?」
夏凜「ふっ…さっき登場するときに、足を挫いてしまったらしい…」
友奈「…そうだ!私の家においでください。簡単な手当てならできますので」
夏凜「恩に着るぜよ」
………………
友奈「…はい、終わりました」
夏凜「かたじけない」
友奈「お侍様、もう日が暮れます。よろしければ今晩は、私の家に泊まっていきませんか?」
夏凜「えっ…(ドキッ)」
友奈「近頃は、うどんの株価変動の影響もあってか…近辺、あのような輩がたむろするようになったのです。ですが、お侍様が泊まってくだされば安心です。実家はこのとおりカフェーを経営しておりますので、うどんはもちろん…にぼしに、ぼた餅もあります。御代はいりませんので、今晩の宿が決まっていないのであれば、ぜひお泊りになってください」
夏凜「いや、拙者は…」
友奈「にぼしもありますので」
夏凜「…拙者でよければ、世話になる」
その夜………
友奈「もぞもぞ…お侍様…」
夏凜「ん、どうした?こんな夜分に…まさか賊か!?」
友奈「いえ…賊ではございません」
夏凜「それではなぜ、拙者の布団の中に入る…?」
友奈「…気付いてくださらないのですね…」
夏凜「え?」
友奈「お侍様…私は、私はあなた様のことが…!」
夏凜「や…やめるんだ娘さん!カフェーの娘が、侍となど…!」
友奈「私の気持ちは、もう止められないのです!」
夏凜「娘さん…!」
友奈「今だけは…『友奈』って呼んで」
夏凜「あっ…」
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LOCATION:讃州中学校、勇者部部室
夏凜「………ううっ」
東郷「あ、夏凛ちゃん。起きたんですね」
夏凜「…ふぅ。あれ?今…どういう状況…?」
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樹「つまりは、ルール変更です。どちらかの点棒が0になるまで打つのではなく…回数を設定…ゲーム終了時に100点でも点棒が多い方が勝ち…そうしてもらいたい」
若葉「…な、なぜだ?」
樹「ふふ…」
ざわ…ざわ…
夏凜「…ど、どうして樹はあんにゃことを…(寝ぼけている)」
東郷「なるほど…いいかも知れないわね」
夏凜「にゃ?」
東郷「そのっちの点棒はすでに80000点…これを0にすることはほとんど不可能…できたとしても時間がかかりすぎるわ…帰りが遅くなれば学校の先生にも迷惑だし…至難の業…それならあえて、短期戦でイチかバチかの勝負に出るのも悪くないわ…」
夏凜「なるほど…」
若葉「…だが、いいのか?いくら時間がないとはいえ…お前の点棒はたった500点。それにこの膨大な点差だ…頼んだ私が言うのもなんだが、残り4ゲームではあまりにも少ない…さすがにそれでは園子に逃げ切られてしまうぞ…」
樹「いえ…麻雀にセーフティーゾーンなんてありませんよ。それにこの局、そのっちさんは自分の流れを崩してでも勝ちを取りにいきました。しかし、それが結果的に裏目…私は直撃を受けながらも生き残った…これはもう、天が私に味方している証拠。おそらく次の局から、流れは変わる…そう思いませんか?」
若葉「…そうか。樹…お前がそう言うのなら、なぜだか安心できる。それと園子もだいぶ疲れているだろうから、もう私の力を使うことはないだろう。頼んだぞ………あうっ」
樹「頼まれたっス…!」
若葉「………」
園子「………くかーっ」
風「あ、もう1回起こすのねこれ」
友奈「園ちゃん、起きて!」
園子「…あれ~?私、寝てました~?」
樹「先輩!おはようございまス!グレープフルーツジュース飲むっスか?」
園子「…あ!これ、果汁100%じゃないじゃん~飲むけどね~」
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風「樹…水を差すようだけど…無理はしないでよね。アタシは、樹が無事ならそれで…」
友奈「でも、500点じゃリーチすら…」
夏凜「友奈!あんた…」
樹「いいんスよ…もし、私よりそのっちさんが先にあがることがあれば…そのときは『天』が私たちを見放したってことっス。お互い覚悟しようぜ、にぼしさん」
夏凜「そっ、そう言われても…樹…!」
樹「…ですが、それもすべて配牌次第…もし私にまだ…運が残っているのなら…ありえるっス…逆転の手が入る可能性…!そのときは逆に、私に分があると考えるっス…天の意志が、私に勝てと言っている…!キリッ!」
風「(あー、あんなこと言っちゃって~やっぱ樹は可愛いわねー)」
東郷「録音しておきましたよ」
風「…さすが東郷ね。スキがないわ…あとでデータを…って!なんでニヤケてんの!?」
東郷「ところてんで樹ちゃん、次からの具体的な戦略なんだけど…絶一門はどうするの?」
樹「あれはもうやめるっス。なんだか待ちを工夫するあまり、窮屈に感じてしまって…」
夏凜「そうね。特に今は少しでも点棒を仕入れなきゃいけない状況だし…」
友奈「樹ちゃんは、樹ちゃんらしい麻雀をすればいいんだよ!」
樹「みなさん…ありがとうございます。絶対、勝ってみせます」
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この時点で、園子80000点。樹500点。
その点差、79500点。もはや絶望的と言っていい大差である。
風「…よっし、席を変えましょう」
樹「え?どうして…」
風「気分転換よ、気分転換。それに決着の方法がデスマッチからトップ取りに変わったんだし、東一局から始めるなら席を変えて、仕切り直した方がいいわ」
園子「それもそうですね~」
友奈「はいはーい!じゃあ席順決めるよ~風先輩から、どうぞ!」
風「おっ、悪いわねー。じゃあアタシはー…この牌に決めた!」
……………
友奈「結局、私と風先輩の位置が入れ替わっただけでしたね!」
風「んっんー!友奈!そういうこと言わない!虚しくなるから!」
席順も一新し、次より決戦…!
それでいいのか勇者部員…!
第十一話、完