犬吠埼樹は悪魔である   作:もちまん

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第四話 朝日に染める

LOCATION:讃州中学校、勇者部部室

 

 

南三局。親は東郷。ドラ{⑦}

 

 

友奈「{①}」

 

東郷「ポン!」{①①横①}

 

夏凜「{⑨}」

 

東郷「チー!」{横⑨⑦⑧}

 

友奈「{白}」

 

東郷「それも鳴きます!ポン!」{白白横白}

 

 

東郷、瞬く間に3鳴き。

東郷の手…鳴きと捨て牌からして狙いは筒子のホンイツ狙いとバレバレ…

この3鳴きによって、みな筒子を警戒。

しかし、それこそが東郷の狙い。

 

実はこのときの東郷の手…バラバラ…!

{③9中中} ポン{①①横①}{白白横白} チー{横⑨⑦⑧}

 

まだテンパイには至っておらず、手には{③}、{9}、{中}が2枚あるばかり。

東郷はロンあがりなど最初から期待してはいない。

みながベタオリしてくれればそれでいいという考え。

麻雀とは、極めればいかに誰よりも早くあがるかを競うゲームである。

つまり自分以外全員が降りてしまえば、そこは自分の独壇場。

あとはゆっくりツモあがりすればいいのである。

序盤の鳴きにより、東郷はこの場を完全に支配した…かに思えた。

 

 

樹「{中}」

 

東郷「(この状況で{中}切り…?すでに場に1枚切れているとはいえ…ロン牌の可能性もある私のホンイツを恐れずに来た…!あんな危険牌を切るということは、樹ちゃんもテンパイの可能性が濃厚…威勢がいいわね。いいわ、受けてあげる…その強引な{中}切り…!)」

 

樹「…みもりんさん?通りますか?」

 

東郷「ええ…でも、鳴かせてもらうわ。ポン!」{中横中中}

 

 

東郷、裸単騎。

{中}鳴きで、東郷は筒子のホンイツ白中ドラ1のテンパイ。{③}単騎待ち。

この手、あがれば親満12000点、ロンでもツモでも、樹を追い越し文句なく逆転。

{③} ポン{①①横①}{白白横白}{中横中中} チー{横⑨⑦⑧}

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

風「これで東郷は裸単騎…よほど配牌に恵まれていたようね」

 

園子「狙いはホンイツでしょうね~」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

次巡、東郷のツモ。

 

 

東郷「(…ん?これは4枚目の…{①}?面白いわ…!)」

 

 

4枚目の{①}をツモる。ここでまたしても、東郷動く。

 

 

東郷「カン!」{①①①横①} 新ドラ{①}

 

友奈「(ドラ4…!?)」

 

夏凜「(くっ…!)」

 

 

東郷、ツモした{①}をカン。新ドラ表示牌は{⑨}。

これにより、カンした{①}含む4枚すべてがドラに。合計ドラ5。

つまり東郷の手、ホンイツ白中ドラ5の倍満24000点の怪物手に変化…!

 

 

樹「やるっスねぇ…みもりんさん」

 

東郷「ふふふ…来た来た!来たわよ、樹ちゃん…!行くわよ、嶺上ツモ…!」

 

樹「………」

 

東郷「(…これは…!)」

 

 

東郷は手中の{③}を切り、テンパイ。

{■} ポン{白白横白}{中横中中} カン{①①①横①} チー{横⑨⑦⑧} 

 

東郷があがれば樹を追い越し逆転…そんな状況…だが、樹は動じない。

東郷がここに来て筒子を切ったこと…そしてあの隠しきれていない笑顔から、樹は東郷の手がおそらく倍満から三倍満へ昇ったと推測。

 

{白・中}が鳴かれている今、4枚目と現物以外は何を切ってもロンされる危険性があり、事実上、待ちは変幻自在である。字牌や筒子単騎と見せかけて他の牌で待っている可能性もあり得るが、東郷はここに来てそんな曲げた打ち方をするようなプレイヤーではない。

つまり、この場合東郷の待ちはドラの{⑦}単騎か、小三元&チャンタが追加される{發}単騎か。

どちらにしろ三倍満…この二択に絞られる。

 

 

樹「(…が、残念。みもりんさん…{發}は1枚私が握っている…場を見る限り残りの{⑦}2枚、{發}2枚はツモ山か…友奈さんかにぼしさんが持っている(東郷が{⑦か發}どちらかをすでに持っていると仮定した場合)…私はもちろん、他の2人も完全にホンイツを警戒している。だから、この状況で現物以外の筒子・字牌が出るわけないっス。つまり、みもりんさんがあがれる可能性はツモしかないってことっスよ…)」

 

 

樹の読みはズバリ的中。

東郷、{發}単騎待ち…!先ほどの嶺上牌は{發}。つまり東郷の手、さらに進化。

小三元ホンイツ白中チャンタドラ5…三倍満36000点である。

{發} ポン{白白横白}{中横中中} カン{①①①横①} チー{横⑨⑦⑧} ドラ{①⑦}

 

 

東郷「(取り憑いたようね…!私に…神が…!神は満貫、倍満手では飽き足らず…三倍満…!これはもう、神が私を部長にしたいという意志…!あがれる!この手…!)」

 

友奈「リーチ!」

 

東郷「(えっ!?リーチ?)」

 

 

友奈、突然のリーチ。

東郷は自分の手の進行に精一杯で、他の者は完全にノーマークだった…

そこで起きた友奈のリーチ…

しかも友奈の捨て牌には、萬子が1枚もない…!

 

 

東郷「(…そういえば友奈ちゃんは最初から筒子、索子、字牌をよく切っていた…まるで萬子以外を無視しているかのような打ち回し…まさか!)」

 

 

そう、このときの友奈…

{一一二二三三四四四五六七八}

 

萬子のチンイツ…!待ちはなんと{三-五-六-八-九}の五面待ち。

この時点で子の倍満16000点確定…!ツモるか、裏ドラが1つでも乗れば子の三倍満24000点である。

オーラス直前…最下位の自分が逆転しようとすれば満貫手しかない。

そこで友奈は配牌時からチンイツ一直線…全ツッパに打って出た。

 

他家のリーチも捨て牌も関係ない。自分のあがり以外は眼中にない打ち回し…!

結果的にこれが功を奏し、友奈は面前でこの倍満手をものにする…!

友奈は秘かに…狙っていた…!逆転へのチンイツ…!

 

 

東郷「(面前の染め手ということは…多面待ちは確実…!くっ…ここは、はやくあがらないと…)」

 

樹「友奈さんのそれ、ポン!」{横⑥⑥⑥}

 

東郷「はっ…?」

 

 

樹、動く…!

 

 

夏凜「{②}」

 

樹「ポン」{②②横②}

 

東郷「(なっ…!ここで2鳴き…?ってことは樹ちゃん、まだ張っていなかったってこと?)」

 

 

樹、2鳴き…!

樹の手、東郷から見ればこの形…!

{■■■■■■■} ポン{横⑥⑥⑥②②横②}

 

そう、この鳴きはまさに帰路…

樹の手は、ある条件が加わると猛烈な勢いで動き出すように構築されていた…!

これで樹もテンパイ…!長く顔を伏せてきた樹が、ついに東郷に追いつく…!

東郷は圧倒的優位な状況ゆえに、軽んじていた…麻雀におけるその動き、可能性を…!

 

 

東郷「(ぐぐぐっ…!もう勝負は終盤…2鳴きもされたら、間違いなくテンパイ…!役はおそらく筒子のホンイツか対々和…私と同じくテンパイに至った…!テンパイになれば、もう役が安い高いは関係なくなる…!先にあがった方が、勝つ!それが麻雀…ここで私が追い詰められるなんて…!いや、大丈夫…今ここで私がツモれば…問題ない…!)」

 

 

勝利の女神に握手を求めるかのように、ツモ山へ手を伸ばす。

ツモった牌…それは…

 

 

東郷「({⑦}…!?)」

 

 

 

第四話、完

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