LOCATION:讃州中学校、勇者部部室
南四局。オーラス。親は友奈。ドラ{9}
友奈「………」
友奈は配牌時から、とある役満を想定した打ちに入る。
樹「{南}」
夏凜「カン!」{横南南南南} 新ドラ{6}
樹「(早速の翻牌カン…速攻か?)」
夏凜「(…樹との点差は25800点…樹に倍満を直撃させなければトップを取れない計算…正直、私の逆転は絶望的…なら、もういいわ!もう好きに打っちゃおう!)」
夏凜は樹から跳満直撃に成功してもギリギリ逆転できない点差。
カンをして少しでもドラを増やす作戦。役はドラをのせた混一狙い。
友奈「{中}」
樹「ポン!」{横中中中}
東郷「(うっ…夏凜ちゃんも樹ちゃんも翻牌鳴き…まずい…)」
樹「(よし…)」
樹は序盤から早あがりの特急券、{白・發・中}の三元牌のうちのひとつ、{中}をものにする。
1000点でもあがればトップになる樹にとって手の高い安いは関係ない。
樹に対し、東郷は厳しい。満貫手を作り上げなければ逆転不可能なのだ。
樹からの直撃であれば、満貫である必要もないが、いざとなれば守りに入ればいい樹から直撃を取ることは至難。
狙いは満貫手…東郷は、静かにその機を待つ。
10巡目
東郷「カン!」{■88■} 新ドラ{白}
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風「(夏凜に続いて東郷もカン…典型的な対子場…巡子が重なりにくい状況…)」
園子「(このオーラス、わっしーも勝負に出たね)」
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東郷「そして、リーチよ!」
樹「(…カンしてからのリーチ…このオーラス…みもりんさんの満貫は確定的…しかも数巡前に、にぼしさんもカンをしているから、ドラの枚数次第では逆転か…降りることもできるけど…手牌に安牌は少ない…どうしよう…)」
友奈「…リーチ!」
樹「(友奈さんもテンパイ…しかもドラ切りリーチ…みもりんさんと同じく満貫以上の可能性が高い…でも鳴ける牌だし…とりあえず一発は消しておこうかな)」
友奈「{9}」
樹「チー!」{横978}
樹、この鳴きで東郷と友奈のリーチ一発を消す。
樹の手は一歩前進し、{四}切りでテンパイ。
{四六七八④④⑥⑧} ポン{横中中中} チー{横978}
しかもこの{四}、東郷と夏凜には現物の牌。振り込む可能性はない。まさに一石二鳥。
樹「(友奈さんに対して現物はない…振り込む可能性もあるけど…通れ…!)」
友奈「…!」
樹「{四}」
夏凜「(私のツモ…)」
友奈「待って」
夏凜「え?」
友奈「…うん。その牌だ。ロン…!」
{③③③⑦⑦⑦三三三五五五五} ロン{四}
樹「(しまった…!しかしこの手…)」
友奈「リーチタンヤオ三暗刻」
夏凜「…ち、ちょっとこれ、直前の{9}を切らずに{五}を切っていたら…役満の四暗刻確定テンパイじゃない!」
友奈「うん。でもドラ単騎だと誰も切らないじゃない?だから{四}に受けたんだ」
樹「…ですが友奈さん、それじゃあ親満12000点止まり…逆転しないっスよ」
夏凜「そうね。{9}は生牌なんだからツモあがりに賭けてもよかったと思うけど」
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風「(友奈はなんでこんなことを…?通常…ドラが溢れにくいとはいえ、四暗刻を蹴るかしら…単純に連荘狙い…?とりあえず、このあがりで友奈は18600点…対する樹は12000点を失い29800点…友奈は次局、跳満以上をツモれば樹も東郷も抜いてトップ…逆転…)」
園子「(…でも、どうかな。これで点数的にわっしーがイッつんを抜いてトップ。次の局、今度はわっしーが1000点でもあがればトップが確定…どうなるかな~)」
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東郷「やるわね友奈ちゃん。でもこれで、点数的に私がトップ…次局は勝たせてもらうわ」
友奈「どうかな?まだ…わからないよ」
東郷「…え?」
友奈「裏ドラだよ」
東郷「裏ドラ?」
友奈「うん。リーチしたしね」
友奈は、カンにより増えた3つある内の裏ドラ…その1つをめくる。
友奈「{二}…まずドラ3。跳満18000点」
東郷「(うっ…!)」
友奈「2つめ…あっ、これも{二}だね…対子でドラ6。倍満24000点」
東郷「(そんな…こんなことって…もし最後の裏が暗刻で乗れば…)」
夏凜「(13翻折れて、親数え役満48000点…!逆転トップ…)」
樹「(ま、まさか…)」
友奈「{⑥}…合計ドラ9…決まったね」
風「り、リーチタンヤオ三暗刻ドラ9…逆転!」
ざわ…
樹「(そ、そんな…!)」
友奈、リーチタンヤオ三暗刻ドラ9の数え役満48000点を和了。
{③③③⑦⑦⑦三三三五五五五} ロン{四} 裏ドラ{三三⑦}
最終的な順位はこう。
一位友奈53600点、二位東郷36600点、三位夏凜16000点、四位樹-6200点
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風「さすがね友奈!たった一度のあがりで部長の座をもぎ取るなんて!」
友奈「もう普通に打っていたら逆転は難しいですからね。ここまで来たら役満狙いの全ツッパしかないかなーって思ったんですよ。幸いにも対子場でしたし」
風「なるほどね~その読みと執念の勝利ってわけね」
樹「………」
夏凜「樹…そんなに落ち込まなくても…」
樹「…いや、あれは私が悪いんスよ。テンパイの誘惑に惑わされずに、もっと…警戒するべきでした。そうすれば、あそこで振り込むことはなかったっスから…」
夏凜「…そうだとしても、樹の判断…私は正しかったと思うわ」
樹「にぼしさん…」
夏凜「{四}は私と東郷の現物だった。それにもし、あの場で樹が振り込まなかったとしても…2人がリーチしている状態なんだからこの局、どちらかはあがっていたはずよ。あの局樹はトップで、しかも{中}という役が確定していたんだから、あの場は多少危険でも手を進めていくべき。樹の鳴きと{四}打は、結果的には裏目に出たのかもしれない。でも…それは違う。それは、勝つための一打…!私には、そう見えた」
樹「…にぼしさん…」
夏凜「何?」
樹「にぼしさん、優しいんスね…惚れちゃいますよ?」
夏凜「あそ」
樹「あれ?」
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風「んじゃ、これからは友奈が部長ってことで、よろしく~」
友奈「え~、でも私、やっぱり自信ないなー…」
風「なーに言ってんのよ!勝ったくせに!」
友奈「あ、あのときは勝つことで精一杯で…」
風「なによもう、友奈らしくないわね。では副部長の東郷さん、励ましてあげなさい!」
東郷「え?」
友奈「え?」
風「あれ、言ってなかったっけ。今回の勝負、二位だった人は副部長になるのよ」
友奈「き、聞いてませんよ?」
東郷「同じく…」
風「春からは新部員も増えると思うし、これからは部長1人だけじゃ大変だと思うのよね。実際夏凜の時点でアタシ、結構忙しかったし。だからサポート兼お付け目役として、来年度から副部長も配置することにしたのよ」
樹「お姉ちゃんはいつも突然だね…」
風「…東郷。急なお願いかもしれないけど、任せてもいい?」
東郷「も、もちろんです!任せてください!」
友奈「よろしくね、東郷さん!」
東郷「よろしくお願いします、友奈ちゃん!」
風「部員全体で協力しての勇者部よ。だから、東郷だけじゃなく樹や夏凜も、ちゃんとサポートしてあげてね。もちろん、私もできる限り力になるわ。それと悩んだら相談!これも忘れないこと!」
東郷「は、はい…!」
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樹「いやー負けちゃったっスよ」
園子「イッつん~」
樹「お疲れさまっス、そのっちさん」
園子「さっきは惜しかったね~でもすごかったよ~イッつんの闘牌」
樹「いやぁ、どうもっス。でも、自分はまだまだっスよ!もっと強くならないと…」
園子「お~その心意気やよし~ところで、イッつんがよかったら…どうかな?この後、私ともうひと勝負…」
樹「マジっスか!?そのっちさんも麻雀打てるんスか?」
園子「うん。大赦の人とはよく打っていたよ~イッつんは負けちゃったけど、私はイッつんの麻雀からなんかこう…すごい才能を感じたんだ~それで、久々に打ってみたくなって~」
樹「いいっスねぇ!やりましょうよ」
風「よっしゃー!アタシもやるわよ。あと1人は誰が出る?」
夏凜「…ああ、私はパスよ。なんか、すっごく疲れたし。後ろで見とくわ」
東郷「部長…いえ、風先輩。すみませんが私もそうさせてもらいます」
園子「じゃあ、ゆーゆ、やろうよ~」
友奈「いいよ!」
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???「そのこ…そのこ…」
園子「…わかちゃん…」
若葉「『わかちゃん』はやめろ…恥ずかしい…」
園子「若葉先輩…」
若葉「久しぶりだな、園子が麻雀を打つのは…」
園子「…そうだね」
若葉「さっそく潰すのか?あの樹って子…」
園子「先輩…潰すだなんて…」
若葉「違うのか?」
園子「…ん~…今はそれほど危険な存在ではないかな。でもそれは、それほど容量が計れないってことだよ~」
若葉「…ふむ」
園子「イッつんには、才がある。つまり将来…間違いなく私の敵になる存在…でも、今なら勝てるよ。格の違いを…教えてあげなきゃ。もう戦えなくなるくらいに…」
一度バランスを崩せば、それは才気優れる者ほど脆い…!
若葉「それでは、金髪率が減ってしまうじゃないか…」
園子「はい?」
若葉「…なんにせよ、園子の麻雀…また見られるのか。期待しているぞ」
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園子「ん~…ただ打つのもつまんないから、ここはサシ勝負にしない?」
樹「サシ?」
風「一対一での勝負ってことよ」
樹「私とそのっちさんで?(察し)」
園子「うん。あと~ちょっとしたギャンブル要素もほしいかな~って…」
樹「ギャンブル?」
園子「これとかどう~?」
樹「そ、それは…!」
第六話、完