インフィニット・ストラトス ~ダークサマー~ 小話集 作:kageto
こんなダークサマーだったら続かなかった。
連続投稿最後になります。
はじめにここに来られた方は、目次を確認していくつか前の話からお読みください。
ダークサマー アナザーバージョン
「......くん。......ちかくんっ! ......織斑一夏くんっ!!」
自身の殻に閉じこもっていたところに声をかけられる。なにやら呼ばれたらしい。スッと視線を上げて目に入ったのは困った表情をしている若い女教師。HRの最初に副担任の肩書と共に自己紹介をされた。山田真耶先生だ。山田先生は嫌いではない。むしろ好感が持てる。自分と同じような空気を纏ってるから。
「あっ、あの、お、大声出しちゃってごめんなさい。お、怒ってる? 怒ってるかな? ゴメンね、ゴメンね! でもね、あのね、自己紹介、『あ』から始まって今『お』の織斑君なんだよね。だからね、ご、ゴメンね? 自己紹介してくれるかな? だ、ダメかな?」
「す、すいません。ごめんなさい。緊張で周りの声をあまり聞いてませんでした。あぁ!せっかく皆さんが自己紹介して頂いていたというのに聞いていませんでした。申し訳ありません。ごめんなさい」
立ち上がり、机の横に立ち回れ右。振り返って頭を下げる。とりあえず目線は誰ともあわさない。目を見て話すだなんて怖くてできない。
「だ、だいじょうぶ。大丈夫だから。これから先の人たちの自己紹介はちゃんと聞いててね。これまでの人たちにはあとで直接聞きに行けば大丈夫だから。ね?」
後ろから山田先生の言葉が聞こえたので、山田先生に向き直ってまた頭を下げる。
「ほ、ほらもう謝らなくても大丈夫だから、自己紹介おねがいしますね。だいじょうぶですから」
再度山田先生に頭を下げてから、もう一度クラスメイトの方に体を向きなおす。
「お、織斑一夏です。なんでかわかりませんが、皆さんと同じクラスで授業を受けさせていただく事となりました。邪魔にならないように気を付けます。すいません。男が一人混ざることで色々と不都合をお掛けしてしまいますことをはじめに謝罪させていただきます。ごめんなさい。ごめんなさい。男のくせにIS動かして図々しくも学園にまでやってきてしまって本当にごめんなさい」
「まったく、いつも言ってるだろう。そんなに卑屈にならなくてもいいんだ。男ならしゃんとしろ。しゃんと」
振り返ると姉がいた。何の仕事をしているのか聞かされてはいなかったが、IS学園で教師をしていたらしい。考えればわからなくもない。世界最強の称号を持つ日本人だ。日本に設立されたIS学園においてこれ以上教師にふさわしい人材はいないだろう。
「ごめんなさい。卑屈になってるつもりはなかったんです。卑屈だと思わせてしまってごめんなさい。いつも言われてるんですがどうしても治りそうにないんです男なのにしゃんとしてなくてごめんなさい。弟がこんなんだと、姉さんも悪く言われてしまいますよね。駄目な弟でごめんなさい」
クラスメートに振り返り、改めて頭を下げる。
「姉はみなさんご存知の通り素晴らしい人です。自分がこんななのは姉とは一切関係ありませんので、誤解しないでください。姉はこんな自分をどうにかしようと尽力してくれる、素晴らしい家族なんです。あぁっ!自分なんかがこんな意見を主張してしまってすいません。私の意見を押し付けようとかじゃなく、姉が素晴らしい人だって知ってもらいたかったんです。あ、自分に言われるまでもなくみなさんご存知でしたよね。生意気言ってすいません」
何度も何度もクラスメイトに頭を下げてから、先生二人に向き直る。
「自分が意見するのもおこがましいのですが、男の自分がこんな前の席に座ってると、後ろの皆さんの視界の邪魔になってしまうと思われます。こんな無駄にでかくなってしまった自分が申し訳なくて心苦しい限りなのですが、せめて邪魔にならないように後ろの席に移らせていただく事で邪魔にならないようにしたいと思うのですが、最後列の方と席を替わっていただいても良いでしょうか?」
「あ、あぁ」
「ありがとうございます。皆様の邪魔にならないように一番後ろで小さくなっています。申し訳ありません後ろの方。入学初日に席の交換を願い出るという自分のわがままなのですが、聞き入れて頂けませんでしょうか」
一番窓側最後列の方に頭を下げて、お願いする。相手の顔なんて怖くて見れない。
「え、えぇ」
「ありがとうございます。みなさんこれから邪魔にならないように静かにしていますので、どうかよろしくお願いします」
あぁ、人が怖い。
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