「現状は変わらず、細胞は減り続けています。」
「そうですか……」
俺は再び、病院に来ていた。
細胞の破壊は今も続いているらしい。
「今は何の症状は見られませんが、破壊が続いていくと身体に影響が出ることになるでしょう………」
やはり、運命は変えられないのか………
あの……と先生が俺に問いかける。
「本当にご家族に説明しなくてもよろしいのですか?」
「…………
…俺達は」
「俺達姉弟は、親に捨てられたんです。」
俺の言葉に先生と、看護師の女性は息を詰まらせる。
「俺が小さい頃でした。
なのであまり親の顔を覚えてません。
どんな人だったのか……何故俺達を捨てたのか……
ただ覚えている事があります。
姉の泣き顔です。
姉は……千冬姉さんは皆の前では気丈に振る舞っていた、
俺の前でも……でも俺は見ていた。
夜になると千冬姉さんはいつも泣いていた。
それ以外では、俺はあの人の泣いてるのなんて見たことが無いんです。
出来れば、見たくない。
でも、この事を知れば………
あの人はまた悲しむ。きっと………
姉は世界最強と呼ばれ、世界の尊敬の的です。
でも俺は知っている。あの人は、誰よりも……
優しくて、傷つきやすい人なんです。」
だから言えない……と言った一夏。
その一夏に2人は、何も言うことが出来なかった。
~亡国アジト
「何故だ!?何故私は行けない!?」
マドカは、スコールに食って掛かった。
スコールから任務を言われたのはついさっき前。
スコールが無人機を連れてIS学園に『1人』で襲撃。
マドカとオータムは別任務に付くそうだ。
「仕方がないのよ……上の指示なんだから。」
そう彼女をなだめるスコール。
マドカは、そう言われると何も言えない。
スコールは、マドカの肩に手をおく。
「貴方の気持ちは分かるわ。
でも組織というのは上に従わなくてはならないの」
分かるでしょう?と問うスコール。
「………分かったよ、スコール………」
引き下がったマドカ。すると今度はオータムがスコールに言葉をかける。
「スコール……」「なあに?」
「………気をつけて行けよ……?」
「………えぇ、分かってるわよ………」
「………なので、ISというのは事実上宇宙服として使える訳で………」
山田先生が教鞭をとり、後ろには千冬姉が見ている。
何時もの風景。日常。
出来ればずっとこのまま続けばいい。
この幸せな日々を。
しかし、俺の願いは……
━━━ズドーン!!!!!━━━━
「「「「!!!!!????」」」」
一発の爆発音によって壊された。
この時、俺の日常は
消え去った。
「生徒は、地下シェルターに!!!避難急げ!!!」
千冬の指示が飛ぶ。
生徒達は、それに従う。
「怖いよ……」「大丈夫だよ~……きっと大丈夫……」
本音は、そうクラスメートを慰める。
自分も手が震えるほど怖い筈なのに……
「専用機持ちたちは、私の後に続け!!
状況の判断だ!!!」
「「「了解!!!」」」
これは、訓練では無い。
本当の戦争だ。
俺達は、千冬姉の指示で監視室へ。
そこから状況を見る。
そこにいたのは……
「彼奴か………」
亡国のスコールだ。
外に出るとスコールがISを纏い、立っていた。
「来たわね………」
彼女の周りには、無人機が待機している。
ブンッ!
といきなりゴーデン・ドーンの尾をふるい、
「クワッ…ッ!!」
一夏の身体を拘束。そのまま自分の方へ
「一夏!!!くっ!!」
箒が助けようとするが、無人機達が箒を遮るように前に出る。
「くっ………一夏ぁぁぁぁ!」
「グッ………」
「貴方の仲間は、彼等が足止めしている。
援軍は、望めないわよ」
スコールは、一夏にそう言った。
「今日は……1人なのか?」
「えぇ、そうよ。彼女に会いたかった?」
「………」一夏は、スコールを睨む。
「怖い顔しないでよ」
彼女で無いのは申し訳無いけど……そうスコールは一度言葉を切ると
「貴方を抹殺するわ」
そう言った瞬間、尾から光が発生。
それは、エネルギーの破壊光線だ。
「………!!!」
それを見た一夏は、咄嗟に雪羅のシールドを展開
破壊光線を防御し、尾から脱出した。
「やるわね………」
スコールはそう呟き、火炎弾を飛ばす。
「チッ!!」
一夏はそれをかわし瞬時加速でスコールに接近、
雪片で斬りかかる。
スコールはその一閃をプロミネンス・コートで防御、
炎のムチで攻撃するが………
「せぇあ!!!!」
一夏は、それを雪羅のエネルギー爪で弾き返す。
「ぐっ…(強くなっている)」
スコールは驚いていた。
この間はマドカに圧倒されていた人物が、
今は自分と対等に渡り合っているのだ。
(でも……)
ガンッ!!
「グッ!?」
「私も負ける訳にはいかないのよ!!!」
スコールは、『4本』のプロミネンスを操り
一夏を襲う。
縦横無尽に動くムチに一夏は、追い詰められてゆく。
「そこっ!!」 「グッ…しまった…ッ!!!」
そして遂に、一夏はムチに捕まった。
抜け出そうにも両手脚を拘束された一夏は
1㎜も動けない。
「止めよ………」
その一夏にスコールは、最大力の火炎弾を
叩き込んだ。
「ガッ!?ガァァァァァァ!!!」
燃える暑さと、飛びそうになる意識。
スコールは、その状態の一夏を力一杯
地面に叩きつけた。
「「「!!!!!????」」」
その光景に専用機持ちは全員声を失い
「いっ、一夏ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
箒は叫んだ。
グッ………強い、強すぎる
俺の意識は、どんどん遠ざかっていく。
強い…
だけど!!!
「!!!!!」
スコールは、自分の勝ちを確信した。
あれだけの攻撃を叩き込んだのだ。
生きてる訳が………
ズドン!!!
「!!?」
突然の轟音。
そして何かが上へ上がってきた。
「まだ、生きていたの?」「………………」
スコールは、一夏がまだ生きていた事に驚く。
しかし一夏は、一言も喋らない。
(動くのが精一杯の様ね………)
そう判断したスコールは、再び攻撃しようとするが………
「………………!」ギロリッ…
「!?」
一夏が顔を上げた途端、辺りが寒くなる。
(なっ、何?この殺気は!?)
一夏の目は鋭くなり、決意を秘めたようになっている。
そう、皆を守るならば相手を『殺す』覚悟。
「俺は………」「!?」
今まで黙っていた一夏が声を発する。
「俺は…負けない…
もし、お前が俺の大切な物を壊すなら………
俺は……壊すヤツを………」
「壊す前に!!殺す!!!」
一夏は、そう言ってスコールに突っ込む。
『雪片のままで』。
(占めた!あれなら防げる!!)
スコールは、プロミネンス・コートを張る。
しかし………
ザンッ!!
「なっ!?」
シールドが雪片を捕らえる事は無かった。
一夏はシールドに当たる前に『零落白夜』を発生させたのだ。
(何!?彼にはそんな技術無かった筈!!)
一夏のそれは、千冬の戦い方だ。
千冬は、必殺の零落白夜を相手に当たる直前に発生させ一撃で仕留める戦い方で最強となった。
しかしそれは、生半端な技術では出来ない。
判断力、技術力、精神力が極限まで高くないと出来ないものだ。
「チッ!」
スコールは、舌打ちしてムチでとらえようとするが、一夏はものすごいスピードでかわし続ける。
そうして再び零落白夜を当てる。
「!?」スコールは何とかそれをかわすが
既にゴーデン・ドーンは所処火花を散らしており、尾が切り裂かれている。
「!!!」
一度一夏を突き放すべく火炎弾を発射、一夏はそれをかわす。
その一夏を追い、火炎弾を連射するスコール。
(さすがに、かわしきれないはず!!)
そして火炎弾が一夏に直撃する直前。
スッ!!「なっ!?」
一夏は、瞬間加速でかわす。しかも只の瞬間加速では無い。
それにスコールは、驚愕した。
(馬鹿な!?確かにあの機体なら可能かもしれない………しかし、彼はISに触れて半年も経っていない筈!!
あんな高技術出来る訳がない!!!)
驚くスコールを余所に一夏は零落白夜を発生させた。
しかしそれだけでなく、雪羅の零落白夜のエネルギーを
雪片に注ぎ込む。
2つのエネルギーで零落白夜は、いつもの
何倍もの大きさに膨れ上がった。
「!!!??」
再び驚愕したスコール。それを見た一夏は……
「俺は……」「!?」
「俺は『まだ』死ぬわけにはいかない
まだやられる訳にはいかないんだ!!!」
そう叫んだ一夏はスコールに突撃する。
「グッ……!!嘗めるなァァッッ!!!」
スコールは、特大の火炎弾を一夏に叩き込む。
「ぐッ…っ……!!!」 「くぅ…ッッ!!!」
ぶつかり合う斬撃と炎。
空間は震え、衝撃が飛ぶ。
「「「「「「「…………………………」」」」」」」
専用機持ちメンバーは、それを只見ていた。
無人機達は、もう全部破壊した。
しかし援護が出来ない。
自分達がいっても足手まといになると思ったからだ。
そしてその均衡状態も、終わりを告げる。
勝ったのは………
ザンッ!!!
「カッ…ハ………」
一夏だった。
零落白夜は、炎の大砲を切り裂きスコールにも斬撃を当てた。
スコールは、右肩から斜めに切り裂かれたのだ。
しかし、彼女の身体は本来ある筈のものがなく、
無い筈のものが存在した。それは……
ピリリ……
彼女の身体から、火花が散る。
しかしそれは、ゴーデン・ドーンのものだけではない。
彼女の身体自身からも出ていた。
「それは………」一夏は、スコールに問う。
それにスコールは………
「………そう、私の身体は最早死んでいるのも同然………」
スコールはそう答えた。
「どうして、そこまで………」
「私は、何としても………
この世界を壊さなければいけないからよ!!!」
そして彼女は語る。
自分が戦う理由を。
自分が憎む『世界』を
次回、何かが起こる…!