これを書いた時はもう5年程前なのですが、
当時から今日まで、自画自賛出来る内容です
…と思いっきりハードル上げちゃいましたが、
あくまで私個人の感想ですので悪しからず……
マドカと戦った、その日の夜
一夏はある人物に電話をかけていた
その人物は束から自分の事を聞かされていると知っていたが、何となく今まで連絡を取っていなかったのだ。
何度目かのコールで彼は出た。
「おう、もしもし」 「……弾」
弾は何時もと変わらない口調で電話に出た。
「…束さんから聞いたろ?俺の事……」
「…ああ」
「……黙っててごめん」
「…全くだぜ。水くさいなぁ、ほんと」
「グッ…」 弾にそう言われ一夏は何も反論出来ない
「…弾、俺は…」
「お前はお前だろ?」「!弾…」
「俺は『織斑一夏』とダチ…マブダチになったんだ。
お前がどう思おうが、それは変わんねぇよ」
「弾……すまない」
「おいおい、こういう時は違う台詞言うもんだろ?」
「…そうだな。 ありがと弾」 「おうよ」
弾は蘭とも話してやれと言ったので、
一夏もそれを承諾し待っていると蘭が電話に出た。
「一夏さん…」
「…蘭……今まで黙っててごめんな…」
「そんな!……一夏さんのせいじゃないですよ…」
「…ありがとう、蘭」
蘭は暫く黙っていたが、口をゆっくりと開いた。
「一夏さん」「うん?何だ?」
「私、一夏さんが好きです。」
「……蘭?それは……」
「ずっと好きでした。一夏さん」
「何で……俺を…?」
「一緒に遊んでくれたり、私に勉強を教えてくれたり……
一夏さんはとても優しかった… その優しさが嬉しくて…いつの間にか好きになってたんです」
「…そうだったのか……」
一夏は少し間をあけ、その告白の返事をした
「ごめん、蘭」「……」
「俺……俺には大切な人がいる。
守りたいって想う人がいる。
俺は残された時間を彼女と一緒にいたい。
…好き……って言うことなのかは分かんないけど……」
「…一夏さん、それが好きって事なんですよ」
「……」
「守りたい…一緒にいたい…それは、その人の事を他の誰よりも想ってるって事なんです」
「……そっか……そうなんだ……… ありがとう蘭。
後…… 凄い嬉しかった。俺を想ってくれて……」
「……複雑ですけど頑張って下さいね?
応援しますから!!」
ああ、と返事をした後蘭は弾にかわった。
その時に、すすり泣く声が聞こえた。
「…お前、家の妹よくも振ったな?」
「…ごめん……」
「まあ、いい。この続きはまた会った時に話そうぜ?」 「弾……ああ分かった。」
「約束だぜ!!!」「おう…分かってるぜ!!!」
そして弾は電話を切った。
「…ありがとう…」
一夏はもう一度感謝の言葉を呟いたのだった。
弾との電話を終えた一夏は、今度は数馬に かけた。
「一夏か?」
「ああ、数馬…話があってな…」
「あの事?」「そうだ。」
「……怖かったんだ……言うのが……」 「……」
「言ったら……傷つけるんじゃないかって……」
「……はあ、アホだなお前」「え?」
「お前らしくないぜ。
いつものお前だったらこう言うよ──
『親友なんだから心配すんな』ってな」 「!!」
「友達なんだ……相談してくれよ」
「数馬……俺……」
「……今週の土曜日、レゾナンスの近くで路上ライブやるんだ。」「?」
「見に来いよ、一夏」「数馬……」
「待ってるからな?」
「…ああ、絶対行くよ」
「言ったな?約束だぜ?」 「ああ」
「約束だ」
親友達との電話を終えた一夏は、部屋を出た。
皆に会いに行く為に
最初に向かったのは箒の部屋。
ドアをノックしたら同居の人が出たので 箒がいるか聞いたら、今出掛けているとの事だった。
一番最初に会おうと思ったがいないのならしょうがない。 また後で来よう…そう思い次の部屋へ
鈴の部屋へ着く。
ドアをノックしたら鈴が出てきた。
「一夏?どうしたの?」
「ああ、ちょっと今時間いいか?」 「うん、いいけど」
「さっき弾と数馬に電話した」
「へぇ…元気だった?」
「あぁ、あいつらはいつも平常運転だからな」
「アハハ!確かに!!」
「…例の件」「ん…」
「水くさいって…それと…それでも親友だって…」
「……」
「すまなかった……」「何が?」
「黙ってたことと…怒鳴った事」
「…馬鹿ね」「へ?」
「弾達の言葉借りるなら…親友なんだから
そんな水くさい事言うな。」 「!」
「気にしてないし、そもそもあれは一夏の気持ちを理解しようとしてなかったアタシ達のせい。
…でもね、相談して欲しかったのは本心。
どうなっても……一夏は一夏なんだから」
「鈴…ありがとう」
鈴は一度深呼吸した後、一夏に問いかけた。
「一夏、アンタ私の事どう思ってる?」
「…親友かな?やっぱり」
弾や数馬、そして鈴と過ごした4年間は
今でも鮮明に記憶に残っている
それは他でもなく彼等と一緒だったから
弾がいて、数馬がいて…鈴がいて
親友達がいたからと、一夏は断言出来ている
一夏の言葉を聞き鈴は、そっか……と目を閉じ呟く
「ん、ありがとね」
「いや、じゃあ……ほんとにありがとう」
今度はセシリアの部屋だ
「あら?一夏さん。どうかいたしまして?」
「いや…今大丈夫か?」
ええ…と応えるセシリア
「あの時心配してくれたのに、
怒鳴った事まだ謝ってなかったから」
「いえ…あれはわたくし達が貴方の気持ちを理解しようとしなかったからですわ、一夏さんは悪くありません。
それは……他の方も一緒ですわ。」
「そうだろうか?」
「ええ。
皆さんの事、一夏さんはよく分かってるでしょう?」
「…ああ、そうだな……」
なら……とセシリアは続ける
「わたくし達をもっと信用して下さいませ」
「……そうだな。ありがとう。 本当にありがとうな」
するとセシリアは、
意を決したように一夏を見て口を開いた
「一夏さん、貴方はわたくしの事どう思ってますか?」
「…親友かな。今まで一緒にいて、助けられたし」
最初の出会いは最悪と言える
だが、互いに認めあってから、セシリアには何度も助けられた
セシリアの援護射撃がある時の安心感は、
彼女を信頼している証だ
「そうですか…」と言った後笑顔で
「ありがとうございます」とセシリアは言った
「こっちも本当にありがとう、感謝してるよ」
シャルロットとラウラの部屋に行く道中、
自販機の前でラウラと会った
「ラウラ」 「うむ、嫁か」
「ラウラ、あのな……」
「…あの事なら気にするな」「え?」
「気にしてないし、勿論シャルロットも同じだ。
それにあれは私達が悪かったのだから。」
「でも俺にも非がある。 皆を信用して無かった俺に……
もっと…頼れば……」
「……お前は優しいな」「ラウラ?」
「そうやって後悔出来る……
それは優しい証拠じゃないか?」
「そっか……ありがとう…ラウラ」
「…うむ!」
ラウラは言葉を区切り、問いかけた。
「一夏よ、お前は私の事どう思ってる?」
「…親友だな。こうやってお互い分かり会えてるし」
セシリアと同じく…いや、それ以上に最悪の出会いをしたラウラ
一夏は自分の不甲斐ない、後悔の過去
ラウラは尊敬する人の名誉を台無しにした一夏を、憎んで、傷を深めあって……
だがそうする事で気付けた
一夏は後悔したままでは駄目だと言うこと
自分の汚点を…汚点だけの結果にしないこと
後悔は無くせない、ならば乗り越える
自分の弱さから逃げずに、強くなる
ラウラはそんな強くあろうとする一夏の心に触れて、
惹かれていったのだ
反発し合っていた者通しが分かり合い、
何時しか親友と呼べる間柄となった
一夏にとっては、ラウラとはそう言う存在なのだ
「うむ…そうか…ありがとう一夏」
「此方こそ、ほんとにありがとう」
シャルロットの部屋に着く一夏。
ラウラはもう少し外にいるらしい。
「シャル、いるか?」
「一夏?ちょっと待ってね」
「悪い、こんな時間に」 「ううん、いいよ。それで何?」
「すまない!シャル!!」
そう言って腰を90度に曲げる一夏
「え!?ちょ、ちょっと一夏!!?
どうしたの!!!?」
「黙ってたこと、それとお前達に怒鳴った事、
すまなかった……」
「一夏……いいよ。だってあれは僕たちが悪かったんだから」
「……俺もっと皆を信頼するから……
俺の事も信用してくれるか?」
「勿論だよ」
そしてシャルロットからも、
あの質問を受ける。
「一夏、僕の事どう思ってる?」
「…親友だ。シャルは俺に自分の事を話して、
俺を信用してくれたから」
一癖…いや、何個もの癖を持ってシャルロットと
一夏は出会った
シャルロットの告白を聞いて一夏は、
彼女を救う道を彼女自身に提案した
結果的に自分を偽り、騙して利用しようとした彼女を、
責めるでもなく、突き放すでもなく
そうしたのは無論一夏の優しさ(お人好しとも言えなくもない)による物があるだろうが……多分それだけじゃないだろう
シャルロットは一夏に全てを話した
罰せられる、それを覚悟して
それは、シャルロット自身がずっと悩んでいたからだ
一夏を騙すこと…利用すること
それに悩み、苦しみ……だからこそ
無意識かもしれない…が、シャルロットは一夏に助けて貰いたかったのでは無いか?
一夏なら…自分を助けてくれると、心の奥底にある感情が一夏を信用していたのでは無いだろうか……
それを感じたからこそ、
一夏はシャルロットを救いたいと思った
自分を信用してくれて…信頼してくれる親友を
「……ふふ、ありがとう一夏」
「いや……此方も本当ありがとう、シャル」
ここは簪の部屋。
ノックをすると直ぐに簪が出てきた。
「一夏、どうしたの?」
「いや…まずはこの間はごめん。
皆を騙して…信用してなくて」
「一夏……一夏は悪くないよ」
「でもこれだけは言いたくて……
それとありがとう。信じてくれて。」
「当然。一夏は私の事信じてくれたでしょ?
助けてくれたし……だから当然だよ。」
「簪……ありがとう」
そして簪もあの質問を
「……ねぇ、一夏は…私の事、どう思ってる?」
「戦友だ。
お互い専用機持ちとして、
一緒に成長していった感じがあるし…代表候補の簪にこんな事おこがましいかもしれないけどな」
そう…と目を閉じ、簪は笑顔を浮かべる。
「ありがとう一夏」
「此方こそ本当にありがとう、簪」
次は楯無の部屋
「楯無さん?いますか?」
「一夏君?どーぞ」
「すいません、こんな夜遅く。」
「別に構わないわよ。
それでお姉さんに何のようかしら?」
「まずは謝ろうかと。先日の事を……」
「……あれは一夏君は悪くないわよ」
「皆にも言われました……
でもこれは言っとかないとって……」
「ふふ、じゃあ言うわ。一夏君?」
「は、はい」
「もっと私達を頼りなさい。
それに私は先輩なんですから。
後輩は先輩に頼る物よ」
「はい……」
「……それと……ごめんね」
「え?」
「そんな私が、後輩の貴方の気持ちを分かろうとせず、自分の感情で貴方を追い詰めた… ほんとにごめん……」
「楯無さん……」
「……結局皆悪かったのかもね」
「そうですね……」
そして2人して笑い暫くして楯無は聞いてくる。
「ね、一夏君?貴方は私の事、
更識刀奈としてどう思ってる?」
「…大半は先輩ですね。」 「…後は?」
「もう半分は、自惚れかもしれないですが
いつか越えたいと思う、
そんなライバルだと思ってます」
その返答に少し顔を埋めて、直ぐに笑顔になる。
「嬉しいこと言ってくれるじゃない。
私もおちおちしてらんないわね」
「はい、俺も頑張りますからね… 楯無さん」
「うん?」
「ありがとうございます。本当に……」
次に向かったのは山田先生の部屋だ。
コンコン……と軽くノックすると中からハーイと言う山田先生の声がした。
「織斑です今いいですか?」
「織斑君?どうぞ~」
「すいません、仕事中でした?」
「いえ、今終わった所ですよ」
「そうですか……」
「はい。それでどうしました?」
「まずはこの間の事、ほんとすみません」
頭を下げて謝る一夏に山田先生は思わずオロオロ
「そ、そんな…いいんですよ。
私も悪かったんですから……」
「俺…怖くて……皆が悲しむのが……でもそれは俺が皆を信用して無かったって事だって、気付いたんです。
馬鹿ですよね俺……」
「…………織斑くん、それは違うと思います」
「え?」
「織斑くんは皆を信用してなかったって言ってるけど、
私はそうは思いません。 貴方は……皆を信用しているから言えなかったのでは無いですか?」 「!!」
「皆が自分の事を知ったら悲しむ……それが分かってたのは、貴方が皆の事を知ってるからだと思いますよ」
そうか……と一夏は思った。俺は……
「俺は……本当に馬鹿ですね」
「ふふ…そうかもしれませんね」
「織斑くん」「はい?」
「貴方は立派な人です。
だから……自分にもっと自信を持って下さいね?」
「先生……
山田先生」「はい」
「本当に…ありがとうございます」
今度は姉の千冬の部屋に一夏は来た
「織斑先生、いますか?」
「ああ、入っていいぞ」
「失礼します、織斑先生」
「今は学業をしていない。先生はいらんぞ」
「分かった。千冬姉…その……」
「…一夏、お前の言いたいことは分かる」
「え?」
「お前の事のことだろう?」
「ああ……」
「…私も……お前に黙ってた……大切な事を」
「でも…それは俺を思っての事だろう?」
「だが!私は…そんな大事な事を話さなかった……
私は姉失格かもしれん……」
「……それは違うぞ千冬姉」
「一夏?」
「山田先生が言ってた。
俺が皆に言わなかったのは皆を信用してたからだって。
千冬姉も俺を思ってたから言わなかった……
千冬姉は弟の俺を大切に想ってたんだって思う」
自惚れかな…?と一夏は苦笑いして言った。
「一夏……」と千冬はいきなり一夏を抱き締めた。
「ち、千冬姉?」
「ありがとう…一夏……」「?」
「そう言ってくれて……本当にありがとう」
「千冬姉……俺もありがとう。 想ってくれて……本当にありがとう」 そうして2人で暫く抱き合っていた。
2人の時間はゆっくりと過ぎて行ったのだった。
千冬と分かれて再び箒の部屋に向かう一夏。
と、その道中
「いっくん。」「ん?」
暗闇から人が出てきた。その人物は……
「束さん?」束だった。
「いっくん、マドマドと戦うんでしょ?」
「……はい」
「……この事態は何としても食い止めたかった……
でもやっぱり運命には抗えなかった」
「束さん……」
「いっくん……マドマドを
マドカちゃんを止めて……」「……」
「マドカちゃんを止められるのは……
いっくんだけだから」
「…はい、わかってます。
俺は必ずマドカを止める……分かって貰うんだ
この戦いの無意味さを…」
「いっくん……ありがとう」
「……俺も……今まで守ってくれて……想ってくれて本当にありがとう……束姉さん」
「……箒ちゃん」「え?」
「彼処にいるから。頑張ってね」
そう言い、束は闇に消えていってしまった。
「箒が……?あっ……」 そして見つけた。
中庭のベンチに彼女は座っていた。
「彼処にいたのか……」
そして一夏は箒に近づいていく。
そしてこの後一夏は箒の気持ちを知ることになる。
箒の本心を…… そして彼自信も……気持ちを抑えられなくなることを一夏はまだ………想像していなかった。
気付けば長くなってました……