少女との大切な時間を過ごす
マドカとの対決を終えた少年
少年はこの戦いの後、マドカを埋葬した。
織斑家の墓に
今まで家族として過ごせなかった、
だからせめて自分達の家族として供養しようと思っての事だ。
葬儀は織斑家、専用機持ちのメンバーや数人のクラスメートによって行われた。
その中に見覚えのある金髪の女性がいたが、
皆あえて黙っていた。
その後、暫くは何もない日が続いた。
だが皆、その日々を噛み締めながら過ごしていた。
何か事件があり、危険な目に会うよりも
こうして友人達と過ごす時間が大切だと感じたからだ。
このまま変わらない日が続けばいい
これは誰もが一度は思うだろう
楽しい日々…大切な人との過ごす時間
このまま終わることが無かったらどんなに良いだろう……
しかし何れは終わる
そしてそこから成長していく。
きっと今より良い日が来ると信じて前に進んでいく
それは、この2人にとっても……
大空を飛んでいく白い影。
それは今、雲よりも高く上昇している。
既に周りは何の雑音も無い。
ただスラスターの音や風の音がするばかりだ
そして遂に雲を突き抜けた。
そこに広がっていたのは………
「…凄いな……」
雲の上、障壁も何もない何処までも続く青空
「一夏」
少年、一夏の下から声が聞こえ、
そこから箒が姿を現す。
「凄い……」
箒もまた、先程の一夏同様この景色に目を奪われている
暫しこの景色を無言で眺める二人の幼馴染み
「箒」
「?、なに?」
自身を呼ぶ声に箒は聞き返す
「色んな事があったな」「…ああ、そうだな」
「箒と初めて出会ったのもある意味事件だったしな……」「…あの時は一夏に助けられたな……」
「箒と別れて……そして何年かぶりに再会した」
「今でも思い出すよ……一夏とまた会えて嬉しかった」
「相変わらず無茶して
何回心臓止まるかと思ったよ……」
「う…それはその……ごめん。
……って一夏も大概だろ?」 「あ、確かに……」
「でも全部、良い思い出だな……」
「うん……私にとっても
記憶に残る大切な時間だった」
「俺さ……」「うん…?」
「もう1つ目指したいことがあるんだ」
「…それは?」 箒が一夏に聞くと、彼は答える。
「明るい明日を目指すことさ」 「!」
「今日がどんなに苦しくたって、諦めず、 苦難を乗り越えれば明日はきっと今より良い日になる。 それを信じて毎日を頑張って生きること…… 青臭いかもしれないけど……… 俺は本気だ」
「………分かった」 「箒……」
「お前の願い……全部私が…いや、私達が叶えてやる」 「……そっか」 「ああ」
一夏はそれを聞き、嬉しそうな顔をした。
「箒達ならやれるよ」
「ふふ。当然だろう?」
2人は互いに笑いあった。
暫く笑い続けた後、
一夏は笑うのを止めて箒の目をじっと見る。
「箒」 「?なんだ?」
「ありがとう… 俺の傍にいてくれて」
「え……」
「俺を勇気付けてくれて…俺を奮い立たせてくれて
俺を支えてくれて
箒の存在は…俺にとって凄く大きかった」
一夏は今一度箒を見る
彼女の曇り無い、綺麗な瞳を真っ直ぐに見て
「ずっと…君の事が好きだった……
やっと気付いたんだ……この気持ちが……
箒の事を誰よりも想ってるって……
本当…馬鹿みたいだけど……やっと分かったんだ」
一夏がそう言い終わると箒は顔を埋めた
「?箒…?どうし……」
一夏がどうしたのかと聞こうとした時だ
「…一夏…!!!」 箒は一夏に抱きついた
「私も……一夏の事が好きだ…!
初めて会ったあの日から… ずっと……ずっと、
好きだった………!」
「箒…」 「一夏…」
見つめ会う2人。 ゆっくりと顔が近づき
「「…………」」 2人の影は重なった。
やがて2人は名残惜しそうに離れた
「……やっぱ俺って唐変木だったんだな……」
「……今更?」
「ああ、理解したよ……」
「…気付いてくれるまでこんなに掛かるなんて……」
「…ごめん……あっそうだ」「ん?」
「あー…あのさ。
アイツらも……そうなの?」
「……はぁ…やっぱりお前は唐変木だな」
「う……」 「でも……」
「私の事を想ってくれて嬉しいよ」
「箒……」
「……箒……」「…何だ……?」
「愛してる」「!!!」
「俺は……ずっと君を応援してるよ。
だから……安心してくれ」 「一夏……」
そう言い終わった後一夏はニカッと笑い、
箒を見ながら言った。
「大好きだ!!!」
その言葉を言った瞬間一夏は箒の方に倒れ込んだ。
「一夏?」
箒は一夏の身体を支え、彼の名前を呼んだ。
「………」
一夏はその呼び掛けに応える事は無かった。
「…………一夏ぁ………」
箒は想い人の名を呼び続けた。
自分の腕の中で永い眠りについた愛する人の名を……
こうして織斑一夏の
波乱に満ちた生涯は幕を閉じた
残る時間……0 運命の日……………………
次回で最終回です。
後書きの様な感じで書きます