仮面ライダードライブ&ウィザード Hope is Your Engine 作:瑛松
さぁ、ショータイムだ!
ある日の昼頃、噴水のある広場を1組の男女が歩いていた。
男の名は泊進ノ介。普段は警視庁捜査一課で犯罪者を追い続けている刑事である。そして、かつて機械生命体・ロイミュードとそれを開発した蛮野天十郎の野望を特殊状況下事件捜査課、通称特状課の仲間達とともに打ち砕いた、元・仮面ライダードライブである。
女性の方は泊(旧姓・詩島)霧子。以前は特状課で進ノ介のバディとして彼の戦いをサポートしていた。現在も進ノ介と同じく捜査一課で、進ノ介のバディとして、また普段は、妻として、公私ともに進ノ介を支えている。
晴れ晴れとした青空の下を2人はのんびりと歩いている。
「いい天気だねぇ〜」
「そうですね………」
昼間から刑事が何をまったりしているんだと思うだろうが、
「………って、久しぶりの非番だからって気を抜きすぎないでくださいよ!非番は今日1日だけで、明日からも捜査なんですから」
そう、今日は2人とも非番なのだ。此処のところ捜査続きで非番であることをすっかり忘れていた2人は、もちろん予定なんて物は無く。とりあえず散歩でもしようと、何をするわけでもなく、歩きまわっているのだ。
「お前さぁ、今日は非番なんだぞ⁉︎ひ!ば!ん!今日だけは仕事のことなんか忘れてのんびりと過ごそうよ?」
「そうですけど、ハメを外しすぎて怪我でもされたら迷惑なんです!バディなんですから!」
すると進ノ介は呆れたように、
「お前さぁ、何でそういう時に『あなたの妻として、怪我するんじゃないかって心配なんです』みたいなこと言えないの?可愛くねぇな〜」
と言った。
「あの〜」
すると後ろから誰かを呼ぶ声がした。2人の内のどちらかを呼んだのだろうが、どちらもその声は聞こえていない。
霧子は進ノ介の正面に立って言う。
「何ですか、可愛くないって⁉︎泊さんが異性に求めるのはかわいさだけですか⁉︎あ〜そうですか!」
進ノ介も言い返す。
「何でそうなるんだよ!それに、『泊さん』って呼び方はもうやめろって言っただろ!」
「あの〜」
後ろからまた誰かが呼んでいるが言い合いに夢中になっている2人には聞こえていない。
「そんないきなり名前で呼べなんて言われても無理です!ずっとそう呼んでたんですから!」
「式を挙げた日からずっと言ってるだろ!」
「あの〜!」
「何だ!」
「何ですか!」
進ノ介は振り返って、霧子は進ノ介の後ろを見て同時に言った。
先程から呼びかけていたのは小柄な女性だった。顔立ちも良く、『芸能人です』と言われても納得してしまうような、いわゆるかなりの美人だった。ようやく気付いてもらった彼女は、なぜか怒ったような返事をする2人に驚いてしまった。
「えっ?いや、その…………………………」
「何ですか!何かあるならはっきり言ってください。」
完全に萎縮してしまった女性の態度に、霧子は少しイラついた。
「霧子よせって。で、何かご用ですか?」
霧子を抑えつつ進ノ介は用件を聞いた。
「あの………仮面ライダーの泊進ノ介さん、ですよね……?」
「はい、そうですけど。まぁ今は元仮面ライダーなんですけどね」
すると女性はさっきまでの不安そうな顔から一転、驚きと喜びの混じった顔になった。
「やっぱり!私、大ファンなんです!もしかしたらと思って、声をかけて良かったです!あっ!握手!握手して下さい!」
「ああ、どうも………」
急なテンションの変わり様に驚きつつ、進ノ介は女性と握手をした。数秒程して満足したのか、女性は握手を解いて、
「ありがとうございます!そうだ!サインしてもらってもよろしいですか?それと写真も!」
「いや、俺サインとか持って無くて、それに写真もちょっと…………」
世間に仮面ライダーとバレてから、サインを求められることがあるが、刑事がそんな物を持っているはずがなく、作りもしなかった。そしてもし一般の、しかも美人な女性との写真がネット上にばら撒かれたりしたら、世間や警察内部で何て言われるか分からない。考えただけでも恐ろしいので、写真も断った。
「そうですか…………。ではもう一つだけお願いが!」
まだあるのかと、霧子は思った。少し離れたところで終わるのを待っているのだが、自分の夫が女性の、しかも美人のファンにちやほやされているのを見て、少し嫉妬していた。
なんてことのない平和な光景。だが我々は知っている。
「今日ここで死んで頂きたいんです」
「「………はい?」」
こんな笑顔で『死ね』と言われたことが今までにあっただろうか?いや、笑顔で同じ様な意味の言葉を言われたことは何回かあるが、目の前の女性のように一転の曇りもない素敵な笑顔で言われたのは初めてだ。
進ノ介も、霧子も自分の耳を疑った。
「えっと、今なんて?」
「ですから、あなたには今ここで死んで頂いて、奥様の霧子さんに絶望してもらいたいんです」
笑顔を絶やさず丁寧に説明している彼女の顔には妙な模様が浮かんでいた。
次の瞬間、彼女の姿は異形へと変わった。
身体は青く染まり、羽毛が生えていた。頭には鳥のくちばしが付いていて、腕には翼が一体化している。
まさに半人半鳥という感じだった。
「私、ハルピュイアと申します。本日はよろしくお願いいたします」
丁寧にお辞儀をする怪物・ハルピュイアから、進ノ介は鋭い殺気を感じた。
◇
青年は信号の上に座っていた。
冗談でも比喩でも何でもなく、青年は確かに道路の上にある信号機の上に座ってドーナツを食べていた。味はプレーンシュガー。やけに美味しそうにそれを食べる青年の元に一羽の鳥が飛んできた。
銀と赤で構成された奇妙な鳥は青年に何かを訴えるかのように鳴き、翼を羽ばたかせた。
「おっ!見つけたか、ガルーダ」
ガルーダと呼ばれた鳥は頷いた。それを見た青年は、持っていた紙袋にドーナツを入れて横に置いた。そして右手の中指に、オレンジ色の宝石がはめ込まれ、龍のような模様があしらわれた指輪をつけた。
「じゃあ、行きます「おい!」ん?」
青年は下にいた茶色のコートを着た中年の男に呼ばれた。
「お前、そんな所で何やってんだ!っていうかどうやってそこに登った!」
「やっべ」
面倒になりそうなことを感じた青年は指輪を腰のバックルにかざし、辺りにその声を響かせた。
青年が右手を自分の右側に出すと、赤い円形の、文字や模様が描かれた『何か』が出現した。
その『何か』とは『魔法陣』
魔法陣に右手を突っ込んで、青年は一台のバイクを取り出し、そのまま車道に放り投げた。綺麗に着地したバイクに青年は飛び乗り、
「ゴメンね。急いでるんだ」
と言い残して走り去った。
男・追田現八郎は目を見開き、開いた口が塞がらなかった。
ウィザード第1話の、晴人が信号の上からバイクを放り投げるシーンが好きなんです。
TVでは女ファントムが少なかったので、今回のファントムは女性にしてみました。(モチーフは、マジレンジャーのピーウィー)
次回は戦闘ですが、しっかり書けるか不安です。
誰か!オレに文才を!