仮面ライダードライブ&ウィザード Hope is Your Engine   作:瑛松

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言ってませんでしたが、ウィザードは小説版の出来事はまだ起きてない設定です。そうした理由は、後々分かります。







第3話 ファントムとは一体なにか

『面影堂』

 

晴人が居候している骨董品店であり、共にファントムと戦った晴人の仲間達が集う場所、言い方を変えれば『拠点』である。

 

 

晴人と凛子は店の前にバイクと車を停める。

 

 

「お二人さ〜ん、着いたよ〜」

 

 

窓をノックしながら晴人は到着を知らせるが、降りる気配がない。しょうがないので、車のドアを開けた。

 

 

「どうかし「しつこいですよ、泊さん!言ってないったら言ってないんです!」……………」

 

 

どうやら2人はまだ、言い合いに夢中なようだ。

 

 

「お前も強情だなぁ。俺は確かに聞いたんだよ!」

 

「証拠があるんですか!?証拠が!」

 

名前で呼んだか否かでここまで白熱するのだろうか。

 

 

 

「晴人く〜ん」

 

「どうしたの?凛子ちゃん」

 

 

すると運転席から、ウンザリしているような顔をした凛子が降りてきた。

 

 

「ここに着くまでずっとああなのよ、あの2人。もう、正直うるさくて………」

 

「はははっ………ファントムに襲われてこんなに元気なんて、すげぇな」

 

 

晴人が半分感心、半分呆れて言うと進之介がこちらに気付き、

 

 

「なぁ、操真さん!アンタも聞いたよな!?コイツが『進之介さん』って言うの」

 

「聞いてませんよね!?操真さん!」

 

霧子も凄い見幕で迫ってくる。

 

 

「いや、あの………取り敢えず中、入んない?」

 

「へ?」

「え?」

 

 

さすが夫婦と言うべきか、2人は同時に気の抜けた返事をした。そして車が停まっており、目的地に着いた事に気付いた。

 

 

「あぁ、すいません!」

 

「ご、ごめんなさい!こんな事で待たせちゃって………」

 

「いいんですよ。夫婦なんですから、喧嘩の一つや二つありますよ」

 

「そうそう、喧嘩するほど仲が良いって言うしね」

 

 

そう言って晴人は面影堂のドアを開け、ドアのベルがカランカランと鳴るのを聞きながら、店内に入る。

 

 

「おぉ、お帰り晴人。凛子ちゃんも、いらっしゃい」

 

「ただいま、おっちゃん」

 

「ご無沙汰してます」

 

 

座っていた椅子から立ち上がり、晴人を出迎えた初老の男性は『輪島繁』 ここ面影堂の店主であり、晴人にとっては父親の様な存在である。彼の言葉で、晴人は何度も背中を押されてきた。

 

 

「おかえりなさい!晴人さん!」

 

「よぉ、瞬平。どうだ?指輪作りの方は」

 

 

奥から出てきたのは『奈良瞬平』 以前晴人がファントムから助けた青年であり、以来自称『魔法使いの助手』として晴人と行動を共にしていた仲間である。

 

 

「いやぁ〜、これがなかなか…………あれ以来全然作れないんですよ」

 

 

指輪とは、晴人が魔法を使う際に使う魔法の指輪『ウィザードリング』のことだ。瞬平はある人の弟子となり、指輪を作ることで、晴人の力になろうとしていた。

 

では誰の弟子になったかと言うと、

 

 

 

「何だ〜?それじゃまるで俺の教え方が悪いみたいじゃないか」

 

「ちょっ!イヤイヤイヤ!そんなことないですよぉ〜。輪島さんのおかげで、『あの指輪』も出来たんですから〜」

 

 

今、瞬平に椅子に座らされて肩を揉まれてる輪島である。晴人が持っている指輪のほぼ全ては、輪島によって作られたのだ。

 

 

ちなみに『あの指輪』というのは、以前瞬平が初めて作った『チチンプイプイウィザードリング』である。ふざけた名前と思うかもしれないが、これによって晴人は強大な敵を倒すことが出来た。だがそれ以来、瞬平の指輪作りは行き詰まっているようだ。

 

 

「ハイハイ!話はそのくらいにして、お二人とも入って下さい」

 

 

凛子が手をパンパンと叩き進之介と霧子を店内に入れた。

 

 

「そちらの2人は?お客さん……じゃなさそうだな」

 

「あっ!まさか…………」

 

 

瞬平は大袈裟なリアクションで夫婦を指さす。

 

 

「あぁ、ファントムに襲われてた」

 

「それじゃ、『ゲート』ってことか?」

 

「いや、それはまだ分かんないから、話を聞こうと思うんだけど……旦那さんの方がちょっと怪我してんだ」

 

「おぉ、そりゃ大変だ!ささっ、どうぞ座って座って」

 

「あっ、すいません」

 

 

進之介を椅子に座らせ、輪島は救急箱を取ってきた。

 

 

「手当てなら私が」

 

傷の手当ては霧子が行った。

 

 

 

「イテテッ!」

 

「我慢して下さい、これぐらい」

 

「お前なぁ……一応お前を守ってこうなったんだぞ」

 

「そ、それは………すいません………」

 

「あ〜、もういいって」

 

 

 

 

 

 

 

(やっぱ仲いいじゃん)

 

晴人は2人のやり取りを見てそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

手当が終わり、ひとまず落ち着くと、

 

 

「そろそろ、説明してもいいかな?」

 

晴人が口を開いた。

 

 

「あっ、お願いします。あの怪物…ファントムでしたっけ?アレは何なんです?なんで俺たちを……それに、操真さんが変身したのは…………」

 

「まぁまぁ、落ち着いて。まず、世の中には、『ゲート』っていう生まれつき魔力の高い人間がいるんだ。その魔力から生まれたのが、『ファントム』。ファントムは仲間を増やすためにゲートを絶望させようとする」

 

「「絶望?」」

 

 

「例えば、大切にしてる物を壊したりとか、大切な人を傷つけたりして………そうしてゲートが絶望すると、姿も記憶も希望も……命も全て奪ってファントムが生まれる」

 

 

「全てを………」

 

 

霧子がファントムの恐ろしさを思い知らされる中、

 

 

「繋がった………つまり、霧子がそのゲートってことか………」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

 

進之介はそんなことを言ったので、晴人も凛子も瞬平も輪島も驚きの声を上げる。

 

 

「いや、あのハルピュイアってファントム、霧子に『絶望しろ』とか、『新しいファントムを生み出せ』とか言ってましたし………操真さん、ゲートが死んだ場合、ファントムは生まれるんですか?」

 

 

「いや、ゲートが死んだら、もうファントムは生まれないけど」

 

 

「ハルピュイアの手下の鬼みたいな奴らは、俺を遠慮なく攻撃して、殺そうとしたのに、霧子は捕まえて拘束しただけ………ってことはゲートは霧子の方ってことじゃないんですか?」

 

 

至極もっともだった。それ故に、晴人は不思議だった。

 

 

「えっ?いや、多分合ってると思うけど………信じるの?ゲートとか、絶望したらファントムになるとか…………自分で言っといて何だけどさ」

 

晴人は、進之介が妙にこうした事態に慣れている様に感じ、聞いた。

 

 

「まぁ、目の前でファントムを見て、実際に襲われた訳ですし、信じるしか………」

 

 

進之介は当然のように答えた。

 

 

 

と、そこで

 

 

「あぁー!!」

 

 

凛子が突然叫ぶので、皆が一瞬怯んでしまった。

 

 

「ちょっ、どうしたの凛子ちゃん?」

 

 

「こ、この人………あの『仮面ライダー』よ!」

 

「へ?」

 

 

「だから!久留間市で1年間戦ってきた、『仮面ライダードライブ』なのよ!ほらっ!」

 

 

そう言って凛子はスマートフォンでネットニュースを見せた。確かにそこには、『都市伝説の仮面ライダーの正体は、警察官!?』という見出しと、泊進之介の顔写真があった。

 

 

晴人、瞬平、輪島はスマートフォンの画面と今この場にいる進之介を交互に見比べ、

 

 

 

「「「えぇーーーーー!!」」」

 

 

ガラスが割れるのではないかと思うほどの声を発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とあるカフェテラス。そこでハルピュイアは紅茶を飲んでいた。人間の姿をしているため、道行く人は、まさかこの女性が人を絶望させる化け物だとは思わない。

 

 

 

 

その後ろ、ハルピュイアの背後の席に、白いコートを着た男が座った。体格は良く、身長も190cmはあるだろう。

 

 

 

コートだけではなく、ズボンも、目元を隠すほど深く被っている帽子も、全身白で統一されている男は、近寄りがたい、威圧的な空気を発していた。

 

 

 

 

 

「ゲートを絶望させろって言ったはずなんだがな。こんな所で茶を楽しめなんて言った覚えはねぇぜ」

 

 

 

 

突然男は誰かに話しかけた。

 

 

 

 

「申し訳ありません。邪魔が入りまして」

 

 

 

すると、背中を向けたまま、ハルピュイアが答えた。口調から察するに、男はハルピュイアよりも上の立場なのだろう。

 

 

「邪魔?」

 

 

「『指輪の魔法使い』…………『ウィザード』です」

 

 

 

ハルピュイアの言葉を聞いた瞬間、男はハルピュイアの方を少し向いたが、

 

 

「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりでしょうか?」

 

「…………………コーヒーを頼む」

 

 

店員が話しかけてきたので、ひとまず注文をした。

 

 

しばらくすると、店員がコーヒーを持ってきた。

 

 

「そうか、やはり出てきたか…………」

 

男はコーヒーを一口飲み、話を続けた。

 

 

「だが、テメェのやる事は変わらないんじゃあないのか?」

 

「もちろんです。ですが、一応報告した方が良いかと思いまして」

 

「ふんっ、………………にしても」

 

 

そう言って上を見上げた男の頭上には、電線に止まり、こちらを見下ろす鳥がいた。

 

 

それも数羽ではない。100羽を軽く超えるのではと思える程の、種類も様々な鳥達は、ただ黙ってこちらを見ていた。

 

 

「チンケな能力だな」

 

 

そんな異常な光景には動じずにそう言うと、男は再びコーヒーを飲む。

 

 

「いえ、彼らも案外、使えるのですよ?」

 

 

そう言うとハルピュイアは立ち上がり、手をパンパン、と叩いた。

 

すると、頭上の鳥達が一斉に飛び出した。それを見届け、その場を後にしようとするが、

 

 

 

「言っとくが」

 

 

 

男の言葉に足を止める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『成功』以外の報告はいらねぇからな」

 

 

 

「………分かっています。必ずや」

 

 

振り返らずに答えると、ハルピュイアはそのまま歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…やれやれだ。魔法使いがいるとなると、期待できそうにないな」

 

男は1人そう呟いた。

 

 

 

 

 

 

『姉ちゃん!ホントに大丈夫なの!?』

 

「大丈夫よ、操真さんもいるし、進……泊さんもいるし」

 

 

今、霧子が電話している相手は『詩島剛』 霧子の弟である。現在はとある理由で旅をしているのだが、丁度今日、日本に帰って来ている。

 

彼に電話したのは警告するためだ。ハルピュイアが進之介を狙ったとなれば、弟である剛を狙う可能性も高い。そのため注意するようにと、こうして電話しているのだが

 

 

『ならいいんだけどさ………………てか姉ちゃん、まだ進兄さんのこと苗字で呼んでんの?』

 

「なっ!何よあなたまで。今それは関係ないでしょう!?」

 

『いやいや、けっこう重要だって。結婚したんだからさぁ、名前で呼んであげたら?進兄さんも喜ぶでしょ』

 

「………そんなことで泊さんが喜ぶとは思えないんだけど」

 

 

話が脱線してしまっている。周りの人間には何を話しているか分からないが、それだけは分かった。

 

 

『そんなことないでしょ〜。じゃあ何で進兄さんは、姉ちゃんが名前で呼んだかどうかでムキになるんだと思う?』

 

「そ、それは確かに…………って、何で剛がそれを知ってるのよ!』

 

 

霧子には、剛の前でそういう類の言い合いを見せた記憶がない。

 

 

『いやさ、たまに進兄さんから相談されるんだよ。いつになったら名前で呼ばれるのかなって』

 

「じょ、冗談は止めなさい!とにかく!くれぐれも気を付けなさいよ。じゃ」

 

『あ、ちょっと待っ』

 

霧子は無理やり話を終わらせ、電話を切った。伝えたいことは伝えたので、問題はないが。

 

 

「どうしたんですか?何か怒ってません?」

 

 

どう見ても怒っている霧子を見て瞬平は心配そうに尋ねるが、

 

 

「何でもありません」

 

「えっ?あっ、そうですか……………」

 

 

何事も無かったかのような、済ました顔で否定されたので、彼は引き下がるしか無かった。

 

 

「あっ!そう言えばまだ途中だった」

 

 

晴人は突然そう言うと、右手の指輪を変え、バックルにかざした。

 

 

【コネクト・プリーズ】

 

現れた魔法陣に右手を突っ込み、魔法陣から手を抜くと、その手には紙袋が握られていた。先ほど、晴人が信号機の上に置いて来た紙袋だ。

 

 

「…………ホントに魔法使いなんですね」

 

 

進之介は、晴人が平然とやった魔法を見て、呟いた。

 

 

「でもでも!進之介さんも、仮面ライダーなんですよね!」

 

「いや、でも今は、変身出来ませんし…………」

 

「えぇ!?何でですか?」

 

 

「…………俺が、俺達が戦った、ロイミュードって言う敵は、俺達の装備じゃないと倒せなかったんです。全て倒した今、その装備は人間の手には余るということで、封印されたんですよ」

 

 

「へぇ〜何かスゲェ話だなっ………て…………」

 

 

紙袋に手を入れた晴人は違和感を感じ、袋を見た。すると、

 

 

「あぁーーーーーーーーーーーーーー!」

 

「ちょっ、どうしたのよ晴人くん」

 

 

「オレの………オレのプレーンシュガーが……」

 

 

晴人が凛子に見せた、『はんぐり〜』と言う店の名前が書かれた紙袋は、下の部分にも穴が開いており、紙の筒と化していた。そして中身は、

 

 

「無い…………何で…………」

 

 

完全に無くなっていた。破片一つ残っていない。

 

 

「そりゃぁ、街中に置いてたらなぁ、誰かが食べても不思議じゃないだろう」

 

「いや、でもこの袋の破れ方は、動物とかじゃないですか?」

 

 

進之介の言う通り、人が破った様には見えない、滅茶苦茶な穴だった。

 

 

「じゃあ鳥かなぁ。信号の上に置いてたし」

 

「っ!晴人くん、また信号の上に座ってたの!?止めてって言ったじゃない。私が木崎さんに怒られるんだから〜!」

 

「あっ、ゴメンゴメン」

 

 

そんな奇妙な会話が繰り広げられる面影堂に、プラモンスター達が帰ってきた。ガルーダがドアを開け、4体とも中に入る。

 

「おっ、帰って来た。見つかっ………」

 

 

その後に続いて、大量の鳥が入って来た。

 

 

「えぇ!」

 

「ちょっ!何よコレ!?」

 

「ガルーダが……うわっ、友達でも連れてきたんじゃ……イテテ、ないんですか?」

 

「いや、いくら何でもこの数はおかしいだろ!」

 

 

晴人の言う通り、鳥の数は視界が効かない程だった。

 

しばらくすると、鳥は全て店から出て行った。床には羽根が大量に落ちていた。

 

 

「何だったんだ?…………一体」

 

 

輪島の問いに答えられる者はいない。突然の出来事に、皆混乱していた。

 

 

「霧子、大丈夫か?………………霧子?」

 

進之介は霧子の無事を確認するが、隣に座っていたはずの霧子がいない。

 

 

「霧子!?どこ行ったんだ?」

 

「奥に逃げたんじゃ…………」

 

凛子の言葉を聞き、瞬平が店の奥に確認しに行く。

 

「どこにもいません!」

 

 

「………………まさか!」

 

 

突然晴人は面影堂を駆け出て、素早くバイクにまたがる。

 

 

「晴人さん!どこ行くんですか?」

 

「さっきの鳥を追う!」

 

 

それだけ言うと、晴人はマシンウィンガーを発進させる。

 

 

「私たちも行きましょう!」

 

「ハッ、ハイ!」

 

「俺も行きます!」

 

 

凛子、瞬平、進之介も後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………来ましたね」

 

 

街中の広場で、人間の姿をしたハルピュイアは空を見上げる。そこには鳥の塊があった。互いの翼が当たることもかまわず、そのままハルピュイアの元に降下する。

 

 

「ご苦労様です」

 

 

地面スレスレまで降下した後、鳥は散り散りになった。

 

 

「きゃっ!」

 

 

そしてそこには、霧子が倒れた。何と鳥たちは、霧子を抱えて飛んで来たのだ。

 

 

「手荒な事をして申し訳ありません。ですが、こうでもしないと連れ出せませんので」

 

 

お辞儀をして詫びるハルピュイアを、霧子は警戒していた。丁寧な印象でも、怪物なのだ。

 

 

「そんな怖い顔をなさらないで下さい。せっかくの美人なのですから」

 

「ファントムに褒められても嬉しくありません」

 

 

霧子は様子を伺っていた。自分に攻撃しないことは分かっている。隙を見て逃げなければ、と考えていた。

 

 

ブォォォォン!

 

 

そこにやかましい音を響かせて、マシンウィンガーに乗った晴人が到着した。

 

 

「やっぱりアンタの仕業か…………ハルピュイアのお姉さん?」

 

「やはり来ましたね。指輪の魔法使い」

 

 

すると、凛子の車も到着した。

 

 

「あっ!晴人さん、霧子さんもいますよ!」

 

「霧子!大丈夫か!?」

 

霧子の元に進之介は走るが、

 

 

「わざわざ連れて来て下さるとは、先程はどうも。泊進之介さん」

 

 

ハルピュイアが進之介の前に立ちはだかる。

 

 

「ハルピュイア………」

 

「おっと、アンタの相手はオレだぜ?」

 

 

【ドライバーオン・プリーズ】

 

だが2人の間に晴人が割り込み、ウィザードライバーを出現させる。

 

 

「貴方に用は無いんですが……………」

 

「そっちに無くてもこっちにはあるんだよね」

 

 

晴人はフレイムウィザードリングを左手にはめ、ベルトのレバーを操作する。

 

【シャバドゥビタッチヘンシーン!】

 

「変身!」

 

 

【フレイム!プリーズ】

【ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!】

 

「さぁ、ショータイムだ」

 

 

火の粉を散らしながら変身したウィザードを見据え、ハルピュイアも姿を鳥の怪物へと変える。

 

 

「邪魔をしないで下さい」

 

「悪いけど、趣味なんだよね」

 

ウィザードは右手の指輪を交換し、ベルトにかざす。

 

 

【コネクト・プリーズ】

 

右側に現れた魔法陣に手を入れ、すでにソードモードとなっているウィザーソードガンを取り出し、構える。

 

 

「………仕方ありませんね」

 

 

つぎの瞬間、ハルピュイアの両腕の翼が一瞬光ったかと思うと、そこから翼は消え、青い細身の腕となった。

 

では翼はどうなったかと言うと、

 

 

「…………………何か、似合わないね」

 

 

翼は2本の剣になっていた。所々の羽根が突き出ており、ノコギリの様に見える。これで相手を切り倒すのを想像すると、確かに女性のハルピュイアには似合わないかもしれない。

 

 

「今後の為にも、貴方はここで始末しましょう」

 

 

そう言ってハルピュイアは接近してきた。そして2本の得物を振り下ろすが、ウィザードは剣で受け止める。

 

 

ガキィィィン!

 

 

(重っ!)

 

思ったよりも重い攻撃に、ウィザードの腕は少し痺れた。

 

 

だが痺れに耐え、ハルピュイアの双剣を押し返し、ガラ空きになった胴体に蹴りを入れる。

 

 

「タァ!」

 

「くっ!」

 

 

後ろによろけるハルピュイアに、ウィザードは剣で追撃する。

 

突き、袈裟斬り、逆袈裟斬りと、あの手この手で攻撃するが、ハルピュイアはそれを全て防ぐと、ウィザードを挟み込む様に横から剣を振り、反撃する。

 

 

「ふっ!」

 

 

ウィザードはこれをジャンプする事で回避する。空中で体を捻り、ハルピュイアの方を向き、その背後に着地すると、背中に斬撃を繰り出す。

 

 

「やっぱ似合わないって、ソレ」

 

 

左手の指輪を交換しながら、ウィザードは軽い調子で言う。

 

 

「よく言われます。ですが、私の趣味なので」

 

ハルピュイアは向き直るとそう返す。

 

 

「あっ、そう………」

 

人間の姿の時の印象とのギャップに引きつつ、ウィザードはレバーを操作し、指輪をかざす。トパーズような黄色で、四角い形をした指輪だ。

 

 

【ランド!プリーズ】

【ドッドッドッドドドン!ドンッドドドン!】

 

足元に出現した魔法陣が上昇すると、ウィザードは『フレイムスタイル』から『ランドスタイル』へと姿を変えた。ウィザードの胸と仮面が黄色に変わり、仮面の形も、指輪と同じく四角くなっていた。

 

 

「姿を変えても無駄ですよ」

 

「意外とそーでもないかもよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男は歩いていた。首には今時珍しい、二眼レフのトイカメラをかけ、手には写真の束を持っている。

 

 

「………駄目だな」

 

 

その写真は全て奇妙な物だった。ピンボケだったり、被写体が大きく歪んでいたり、中にはどうやったらこんな写真が出来上がるのだろう、といった写真もあった。

 

 

「この世界も、俺を拒絶する…………」

 

 

 

 

ブォォォォォン!

 

不思議な言葉を言う彼の横を、一台の車が通り過ぎた。見たことが無い、珍しい形をした、赤い車。

 

 

「あれは………」

 

その車を見て、男は少し驚いたようだった。

 

 

「そうか…………大体分かった」

 

そう呟くと男はカメラを構え、もう小さくなった車の後ろ姿を撮った。

 

 

パチッという音がした。

 

 

 




そーいえばゴーストのVシネが決まりましたね。
主役はやっぱりスペクター!スペクターの音声はカッコイイですよね
(ハートみたいな感じで、ジャベルとかあるかな〜って思ってたんですけどねw)

次回はいよいよ、Start Your Engine!
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