バカとオタクと召喚獣 作:俺俺
「これより、Aクラス対Fクラスの試験召喚戦争を開始します」
学年主任の高橋洋子の宣言により、Aクラス対Fクラスの7対7の変則試召戦争が幕を開けた。こちらのパーティメンバーは代表の雄二や俺を含め、明久・ムッツリーニ・秀吉・響・姫路・の7人に、Fクラスの命運が託される。
「・・・雄二、約束覚えてる?」
「忘れてねぇよ。今からどんな命令をしてやろうかと楽しみにしてる」
そう言って雄二に話しかけて来たのは、Aクラスの代表の霧島翔子。
長くて綺麗な黒髪と、均整のとれたプロポーション、人形の様に整った顔立ちの美少女だ。入学当初から数多の男の告白を断って来たことから同性愛者ではないかと言われている。聞くところによると、雄二と霧島は、俺と響と同じく幼馴染らしい。しかしそんな事よりも、気になる事を入って来た。
「約束って何のこと?」
響が首を傾げて俺に問いかける。いや、俺に聞かれても・・・。
「そうだ大変なんだよ2人とも!!このままじゃ姫路さんが百合の園に!!」
「すまん明久。分かるように言ってくれ」
「つまりじゃな、この変則試召戦争を行う条件としてAクラスが出してきた条件が、科目の選択はAクラスとFクラスとで3:4である事と、負けたクラス代表は勝ったクラス代表の言う事を何でも一つ聞くというものなのじゃ」
ふむふむ。つまりFクラスが負ければ雄二が霧島の要望を一つ答えなくてはならないということ・・・・・・って、まさか!!?
「雄二テメェ!!姫路の了解は取ったのか!?」
「え?私がどうかしたんですか?」
この危機感を感じさせない姫路の態度。雄二の奴、無断か!?
「夏樹、問題無いよ。寧ろアリ」
「く!残念だが、響の言うことに間違いが見当たらない!!」
姫路もまた霧島と並ぶほどの美少女だ。そんな美少女同士の濡れ場だなんて、男としてもオタクとしても拒む理由はどこにもない!!
「両者、準備は整いましたか?」
「・・・はい」
「あぁ、問題無い」
「待つんだ雄二!まだ姫路は心の準備が出来ていないぞ!!」
「そうだよ雄二!もう少し待ってあげてよ!!」
「あの、吉井君に斎藤君?どうして私の心の準備が必要なんですか?」
「それでは両者、前へ!」
結局姫路は何も知らないまま、試召戦争が開始された。
「それじゃ、まずは私が行くわ」
出て来たのは、秀吉の双子の姉であり2学年でも5本の指に入るほどの成績優秀者、木下優子だ。いきなり四天王(?)レベルか・・・!
「では儂が行こうかの」
Fクラスの陣営からは木下優子の妹である木下秀吉だ。
「科目はどうしますか?」
「古典でお願いします」
まずはAクラスの科目選択。木下姉は古典で勝負を仕掛けて来た。
「ところで秀吉、Cクラスの小山さんって知ってる?」
「はて、誰の事じゃ?」
Cクラスの小山?いや、本当に誰の事だ?
事情を求め明久を見てみると、なぜかとんでもない苦虫を噛み潰したような、とにかく何か「やっちまった」みたいな顔をしていた。
「何かあったの?明久」
「・・・うん。実はね、雄二の作戦で秀吉がお姉さんの木下さんに変装して、Cクラス代表の小山さんをブタ呼ばわりしてたんだ」
「お前等に一体何があったんだ?」
俺達が休んでいた間の出来事が気になるところだ。
「ふーん。まぁいいわ。その代わり、ちょっとこっちに来てくれない?」
「儂は構わんが」
そう言って、2人は教室から出て行った。
『それで、何の用じゃ?姉上よ』
『ねぇ秀吉。あんた、小山さんに何て言ったの?何で私がCクラスの皆をブタ呼ばわりした事になってんのよ?』
『はっはっはっ。それはじゃな、儂なりに普段の姉上の性格や言動を考慮した上で・・・・あ、姉上違・・・・腕はそっちには曲がらな・・・・!!』
しばらくすると、木下姉が全身に返り血を浴びた姿で戻って来た。
「ごめんなさい。秀吉は早退したみたいなの。誰か代わりの人出てくれる?」
「い、いや、こっちの負けでいい」
あっさりと1回戦を棄権する雄二。その判断は決して間違いではない。
『Aクラス 木下優子 VS Fクラス 木下秀吉
完全勝利 死す 』
この表示も決して間違いではないな。
「それでは、2回戦を開始します。両クラス代表、前へ」
「私が行きます」
Aクラスからはボブカットの眼鏡っ娘が出て来た。
「そんじゃ、俺が行こうかね」
「頑張れ、夏樹」
響の声援を受けて、俺は前に出る。これはカッコ悪いとこは見せられねぇな。
「科目はどうしますか?」
「現代文で頼む」
俺が唯一Aクラスの生徒を打倒しうる武器、現代文を選択する。
「行きますよ!試獣召喚(サモン)!!」
召喚フィールドに相手の召喚獣が現れる。
相手はネイティブアメリカンの衣装に鎖鎌と言う装備だ。
「なかなかの装備じゃねぇか!試獣召喚(サモン)!!」
続いて俺の召喚獣が現れる。
猛禽類の様な鋭い眼差し。
威風堂々とした構え。
この世の全てを打ち砕くかのような重量感のある武器。
「取るに足らない雑魚じゃないかぁぁぁーーーー!!」
「返せ明久ぁ!!俺のカッコいい描写を返せ!!」
「喧しい夏樹!!そんな雑魚装備の召喚獣出しやがって!!」
「雑魚とは何だ、雑魚とは!!」
「アロハシャツに金属バットを装備した召喚獣を、雑魚以外何と呼べばいいんだ!?」
ぐぅ・・・!何も言い返せない・・・!!
俺の意思で召喚獣の装備が決まった訳じゃねぇのに・・・!
「・・・・・・・・」
響が冷めた目で俺の召喚獣を見ていた。
いかん!このままでは俺の好感度が駄々下がりだ!!
「い、いや見ろお前等!!俺の点数を!!」
『Aクラス 佐藤美穂 VS Fクラス 斎藤夏樹
現代文 342点 VS 現代文 531点』
『何だ!?あの馬鹿げた点数は!?』
『あんな点数、霧島さんでも取れないぞ!!?』
『あいつ、本当にFクラスか!?』
まぁ、俺も現代文以外はFクラス並みなんだけどな。
「くっ!確かに点数は離れていますが、負ける訳にはいきません!!」
佐藤の召喚獣は、思いっきり振りかぶって鎖鎌を投擲してきた。
だがそんな攻撃、今の俺には角砂糖大量投入したコーヒーよりも甘い!!
「負けられねぇのはこっちも同じだ!!《反撃》!!」
俺が召喚獣の腕輪の発動ワードを叫ぶと、金属バットが光りだした。
そのまま召喚獣に向かってきた鎖鎌を、全力でバットで打ち返す!!
「え!?な、なんですか!?」
打ち返された鎖鎌は、そのまま佐藤の召喚獣に直撃し、胴体を両断して行った。
『Aクラス 佐藤美穂 VS Fクラス 斎藤夏樹
現代文 0点 VS 現代文 481点』
「な、何で私の召喚獣が・・・!?」
「夏樹の召喚獣の腕輪の能力」
教師やFクラスの半数の奴を除き、周囲の殆どが状況を理解できていないなか、俺の召喚獣の腕輪の能力を教えていた響が静かに呟いた。
「俺の召喚獣のバットが発動ワードを唱える事で光ってる間、相手の召喚獣攻撃モーション中や腕輪による攻撃エフェクトにバットを当てる事で、点数の50点を消費する代わりに相手の点数分と俺の点数分、消費された50点分のダメージを相手にはね返すが出来るんだ」
「そんなの反則じゃないですか!!」
「バカ言うな。召喚獣の扱い難さはお前も知ってるだろ」
召喚獣を動かすのと、自分の体を動かすのとじゃ訳が違う。ゲームで例えるなら2Dの2頭身キャラを動かすみたいに単純な操作しかできない。さっきの佐藤みたいに遠距離技や、動作の大きい攻撃とかなら何とか当てられるけど、そんな攻撃が出来る召喚獣は珍しい上に、接近時の細かい攻撃には当てられない。
唯一そんな芸当が出来るとしたら、教師の雑用の為、召喚獣の扱いだけなら学園トップレベルの明久位のものだ。何はともあれ、俺の役割は果たした。
「勝者、Fクラス!」
思ったよりも、早く腕輪能力が明かされました、はい。
まぁ、微妙に扱いにくい能力にしてみました。強すぎると、試召戦争で無双しかねないので。