バカとオタクと召喚獣 作:俺俺
Aクラス戦第2話です
「続いて、第3回戦を開始します。両クラス代表、前へ」
「よし、明久お前が行け」
「え?僕が?」
続いての選手は、我らが愛すべきバカ吉井明久だ。
「大丈夫だ明久。お前の本当の力を見せてやれ」
なぜか自信満々に言う雄二。
明久の頭の悪さはこいつが良く知ってるはずなんだが。
「やれやれ雄二、それは僕に本気を出せって事?」
なぬ?明久まで自信に充ち溢れているだと?
まさか明久の奴、俺達が知らなかったってだけで、実はすごい実力の持ち主だったとかそんな厨二的オチがあったとでも言うのか?
「あなた、吉井くんでしたか?まさかとは思いますけど、まさか」
次の対戦相手が、明久を見て怯んでいた。
「あれ?気づいちゃった?そう、僕は今まで全然本気なんか出しちゃいない」
「マジかよ!?」
「衝撃の新事実だね」
「それではやっぱりあなたは・・・!」
「そうさ、今まで隠してたけど、実は僕」
明久がやけに勿体ぶった態度で相手に近づいて
「左利きなんだ」
そう呟いた。
☆ ☆ ☆
「このバカ!テストの点数に利き腕は関係ないでしょ!?」
「痛い痛い!!美波、フィードバックの後遺症がまだ残って・・・!」
当然の如く敗北した明久は今、同じクラスの島田美波の制裁を受けていた。
「よーし、これも計算の内だ。次の試合では勝つぞ!!」
「計算の内!?雄二貴様初めから僕を信頼してなかったな!?」
「信頼?なんだそれ?食えるのか?」
「本気の左で殴りたいぎゃああああああああ!!」
あ、止め刺された。
「次の挑戦者、前へ」
「・・・・・・(すくっ)」
立ち上がったのは我らがムッツリーニこと土屋康太だ。
「それじゃ、ボクが行こうかな」
Aクラスからはライトグリーンの髪が特徴のボーイッシュな女子、ってあいつは!
「やっほー、ムッツリーニ君。それに斎藤君と響も元気?」
「・・・・・・工藤」
「え?なに?知り合い?」
「1年の終わりに転校してきた工藤愛子だ。動画撮影の時に知り合ってな」
「いやーあの時はビックリしたよ。たまたま音楽室の前を通りかかったら中から凄い音が聞こえて来たんだもん。それで気になって中を覗いてみたら、3人と知り合ったって事」
「ちなみにアニソン演奏メンバーの1人だから」
「それは初耳だな」
「気分転換には丁度いいんだよ」
「そろそろ試合を進めてもいいですか?」
俺達が駄弁っていると、高橋がそう言ってきた。
「科目はどうしますか?」
「・・・・・・保健体育」
ここでは当然、ムッツリーニ唯一にして最強の武器が選択される。
「そう言えばムッツリーニ君。保健体育が得意なんだってね?」
工藤が口元に指を当てながら、ムッツリーニに話しかけて来た。
「僕もかなり得意なんだよ?君と違って、実技で、ね♪」
「・・・・・・実技!(ブシャァァァァ)」
「ムッツリーーーニ!!?」
工藤め!なんて事をするんだ!?こいつの初心さは知ってるはずだろ!?
「そっちは、吉井君だっけ?君勉強苦手そうだし、保健体育でよかったら僕が教えてあげるよ。もちろん、実技でね♪」
「ふっ望むとこ「アキにはそんな機会永遠に無いから保健体育の勉強なんて必要ないわよ!!」「そうです!永遠に必要ありません!!」・・・・」
「姫路、島田、明久が死ぬほど悲しそうな顔をしているんだが」
「一生童貞でいるなんて、変な宗教にでもハマった?」
「早まるな明久!響の言う事をいちいち真に受けるな!!死んだっていい事無いぞ!」
「離して夏樹!僕は此処から飛び降りて人生をリセットするんだ!!」
実技という言葉だけで明久を封じるなんて!これがAクラスの力なのか!?
「そろそろ試合を開始してください」
「はーい。試獣召喚(サモン)っと」
「・・・・・・試獣召喚(サモン)」
召喚フィールドから現れたのは小太刀を装備した忍装束のムッツリーニの召喚獣。
対する工藤の召喚獣は
「な、何だ!?あの巨大な斧は!?」
正気を取り戻した明久が、工藤の召喚獣を見て驚愕する。
防具はセーラー服で、一見俺の召喚獣と大差ない装備に見えるが、手には身の丈よりも巨大な斧を持っている。しかも腕輪も装備してあった。
「実践派と理論派、どっちが強いかハッキリさせてあげるよ」
「・・・・・・工藤、今のお前では俺には勝てない」
工藤の召喚獣を見ても全く怯んだ様子の無いムッツリーニ。
この保健体育にはそれほどの自信があるという、ムッツリーニの余裕の現れだった。
「へぇ・・・。まだそんな事が言えるんだ?それじゃあ、これならどう?」
工藤の召喚獣の斧が激しく帯電し始める。腕輪の能力だろうか?
「それじゃバイバイ、ムッツリーニ君!」
工藤の召喚獣が、その装備の重さなど関係無いと言わんばかりの圧倒的な速さでムッツリーニの召喚獣に肉薄する。
「ムッツリーニ!!」
「大丈夫」
ムッツリーニの名前を叫ぶ明久に、響はたった一言だけ呟いた。
「え?」
「ま、安心しろって事だ、明久。あいつは保健体育においては間違いなく」
「・・・・・・加速」
腕輪の発動ワードを唱えると、召喚獣は一瞬で工藤の召喚獣の背後に移動した。
「え?」
何が起きたのか分からないと言った様子で、呆然とする工藤。
「・・・・・・加速終了」
ムッツリーニがそう呟くのと同時に、工藤の召喚獣はバラバラになって消えた。
『Aクラス 工藤愛子 VS Fクラス 土屋康太
保健体育 524点 VS 保健体育 632点』
「最強だからよ」
圧倒的な点数が表示される。
「つ、強い!下手すると、僕の総合科目並みの点数だ!」
「Bクラス戦では、あまり調子が出なかったらしいからな」
「そ、そんな・・・この、ボクが」
膝をついて呆然とする工藤。ライバルだと思っていたムッツリーニに大差を付けて敗れた事にショックを隠しきれないと言った様子だ。
『・・・・・・お前はまだ強くなれる』
『え・・・?』
『・・・・・・もし、お前がこの俺を超えると言うのなら、俺はこれから先何があっても保健体育の王者としてお前の挑戦を待ち続ける』
『ムッツリーニ君・・・』
『・・・・・・この俺を超えてみろ、工藤』
『・・・うん!』
周囲の喧騒の中、そんな会話が聞こえて来た。
そしてムッツリーニと工藤は互いの健闘を称え、握手をした。
なんか、何処ぞの少年漫画みたいなやりとりだな、おい。
『ムッツリーニ。FFF団の最高幹部でありながら、女子と手を繋ぐとは』
『これは許されざる反逆罪ですよ、須川会長』
『よし、剣道部から木刀を借りて来い。確実に仕留める』
そしてFクラスの面々は覆面を被って殺気立っていた。
次回は遂に、響が活躍予定です。