イカれ軍人どもの戦国ネーションズ!   作:サンドワーム愛好家

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救出作戦

 

「はい、実は……敵にこちらの移動ルートを把握されていたようで、現在は長良川付近を彷徨っているとの事です!」

 

「……は?」

 

 

 俺の思考は一瞬止まってしまったが、すぐに再起動する。

 今やるべき事は原因究明と対策だからだ。思考を止める事では無い。

 

 

「何があった、何故奴らにルートがバレている」

 

「ええ、どうやら例の区分けだけでは選別しきれなかったようでなのです。道三殿の離反者がバラした可能性が高いと思われます」

 

「……」

 

 

 俺はつい黙り込んでしまう。コレは俺の見落としのせいで起こった事でもあるからだ。

 俺は道三を帰す前に、道三達の兵士達の忠誠心がどれ程のものかを測り、選別をしていたんだ。

 具体的には歩兵達にゾーイの開発した嘘発見器を使い、忠誠心を見るというものだ。筋肉の動きとか、声質とかでも判断するらしい。

 これを使って忠誠心を調べ、高いものには緑のテープを、低い者には赤のテープを手首に巻きつけた。

 そして道三にはこの緑のテープを付けた者を連れて来い、赤のテープの奴は余り信用するな、と言っていたんだが……。一つ大事な事を忘れていた。

 忠誠心が高い=裏切らない では無いという事だ。例えば、忠誠心は高いけど命の方が大事 とか、脅されて仕方なく……、とかの可能性もある。もっと単純なもので言えば、装置そのものが壊れていた、又は ちゃんと測れないものだった、という事も考えられる。

 そもそもゾーイには、これは試作品だから精度はまあまあとの事を教えて貰っていたのだ。それを忘れてしまうとは、なんともやってしまった感がある……。

 

 

「大尉、どうしましょうか?」

 

「うぅむ……とりあえず救出隊を出すぞ。俺も出る」

 

「大尉⁉︎」

 

 

 防衛班のリーダーが過剰な反応を見せる。

 いや、俺のミスなのだから仕方ないだろう。ここは俺が行くべきだ。

 

 

「とりあえず救出隊を組んで行ってくる。留守を頼んだぞ」

 

「た、大尉、お待ちください! もしも貴方様が居なくなったら私達は……!」

 

「大丈夫だよ、俺はケジメをつけに行くだけだ」

 

「しかしもしもの事があれば……!」

 

「——大丈夫だろ、多分」

 

 

 俺はその場を逃げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、言う訳で早速道三掻っ攫い隊を編成する。今回は速さを重視するので車両を持っていくぜ。

 当初の計画より早めの車両お披露目となってしまうが、仕方ない。多少の計画の路線変更は想定済みだ。

 

 さて、今回のプランとしては俺たちと道三達との彼我の距離を軍事車両を使って高速で移動、援軍に向かう。

 そしてあちらに着いたら我々は面制圧力の高い兵器を用い迎撃、占拠する。そして我々は生き残った道三の部隊を我々の基地へとエスコートする。これが基本的な概要だ。

 

 その際に求められるのは、速さと範囲攻撃の有無だ。攻撃力の関しては、相手はあくまでちょっとした鎧を着た程度なので余り考慮していない。

 速さに関しては車両を使用する為兵士の選別の際には関係無い。

 さて、これらを踏まえた上で構成する。

 

 まずは移動手段の要、『偵察車』。コレは9機持っていく。この偵察車には最大で6人乗る事が出来る。だから移動、偵察車に搭載されている機関銃(ガトリングとも言う)で攻撃する者を除けば4人の兵士を同伴出来る事になる。これを利用していく。

 

 次に範囲攻撃も速さも持ち合わせる『砂漠の走り屋』。彼らは6機持っていく。

 今回はボックスランチャーを装備していくので、全体に安定したダメージを与える事ができる。迫撃砲チームの広範囲版だな。

 

 最後の車両として、偵察バイクを選択する。これはお家騒動の際に使用したバイクの改造前、つまりはオリジナルの機体だ。

 彼らには戦場で走り回って貰い、かく乱するという仕事を受け持ってもらう。まあ短機関銃なのでそのまま連続的な殲滅が出来るかもしれないが。

 それにバイクであるから速さはかなりの物であるからな。役に立つだろう。彼らは10機持っていく。

 

 更に偵察車に同伴する兵士を選択していく。

 まずは広範囲攻撃を持つ、『砲手チーム』『ヘビーガンナー』。彼らを主軸に戦っていく。

 ゲームでは横縦3x2のマスを同時攻撃出来るユニットで、序盤には重宝する兵士ユニットだった。

 ヘビーガンナーはこの砲手を更に広範囲に、攻撃性を上げHPを上げた上位互換のような兵士だ。面制圧力は砲手以上だ。

 その代わり、ナノポッド(課金アイテム)を少量使って開発できる攻撃方法、ヘビーファイア程の威力は出ないし、訓練コストにもナノポッドをを使う為、使い勝手は砲手の方が良いと散々な評価を得ていた。だか今回はこの面制圧力がかなり頼りになる為、俺にとってはプラスである。

 彼らはそれぞれ10名ずつ連れていく。

 そしてそのリロード中のカバー、単騎で突っ込んできた奴を排除する兵士として、『突撃兵』を連れていく。

 彼らは、偵察バイクの速さを消し、火力と防御を少量低下させた兵士という認識で良いと思う。その代わりにHPは30%くらい上昇してある。

 そんな彼らは砲手とヘビガンにそれぞれ5名ずつ付ける為、10名連れていく。

 残りの空き枠には道三達、つまりはVIP達を乗せる事にする。後は俺だな。

 

 

「と、言う訳で早速編成する。時間がもったい無いから手早くいくぞ」

 

 

 俺はスマホを弄り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 小さな渓谷のような川の近くで木に寄りかかり、自分の状態をチェックする。やはり腕がヤバイらしい。痛みで叫びたいくらいだ。

 肩の関節を狙っていたかのように突き出されたそれによって出来た傷のせいで左腕は完全に逝かれており、銃などを握れるだけの力は残っていない。それどころか自らの機動力を痛みによって削いでしまってさえいた。

 護衛対象の老人が話しかけてくる。

 

 

「お主……本当に大丈夫か」

 

「……ええ、このくらいならまだ大丈夫です。それよりも早く移動を開始しましょう。私達の基地に行けば防御施設が充実しているので生き延びる事ができる筈です」

 

「済まぬのう……ワシを庇ったばかりに……」

 

「大丈夫です」

 

 

 私は少し強がりをみせ、移動する事を提案する。

 ここにいてもいずれ襲われて、数の暴力に押されるだけだ。なにせ相手は最低でもこちらの戦力の十倍はいるのだから。

 更に裏切り者もいる為こちらの戦力も削がれている。正直言って絶体絶命のピンチだ。

 今は偵察に出掛けている相棒が美濃基地に連絡してくれたので援軍は来るだろう。だが正直言って間に合いそうに無い。恐らく奴ら仕掛けてくる方が先だろう。

 だとしたら少しでも生きる希望を持って基地に向かうのが賢明である。周辺にさえ行けば狙撃兵が援護射撃をしてくれる筈だ。

 急遽作成した陣の入り口から人影が見える。……どうやら相棒が帰ってきたようだ。

 

 

「大丈夫か、CS2。野草で軽い痛み止めを作ってきた。これを食べれば少しはマシになる筈だ」

 

 

 私は彼から草をすり潰して作ったであろう粉末がのった皿のような葉っぱを受け取る。

 そしてガスマスクを外してそれを水も無しに飲み込む。少し苦いが、コレで動きやすくなるだろう。相棒に感謝だな。

 

 

「ありがとう 助かったよ、CS1。それでどうだった?」

 

「ああ、どうやら奴さん達はここに俺たちがいる事を気付いたらしい。300m先に美濃軍を確認できた。進行方向はこっちだ」

 

 

 その報告を聞いた私たちの護衛対象でもある少女は、ヤバイです! 、と叫んでいた。老人の方は難しい顔をしている。

 恐らく私もガスマスクの下では老人と同じような顔をしている事だろう。2万弱VS1000弱では分が悪すぎるからな。

 相棒が道三に問う。

 

 

「……道三殿、どうしますか」

 

「——仕方ない。十兵衛、お主は神の所へ……」

 

「なっ⁉︎ 道三様はどうするつもりですか!」

 

「フフ、ワシの夢を信奈ちゃんが継いでくれたのじゃ。ならワシに未練は——」

 

「それは駄目だ、斎藤道三」

 

 

 私は道三の言葉を遮り、その考えを否定する。

 それではダメなのだ、斎藤道三。貴様はまだ死んでいい人間ではない。

 

 

「いいか、斎藤道三。私達の主、つまりは神大尉はお前を必要としているのだ。それなのに貴様は死ぬつもりなのか? はっきり言わせて貰うが、それは許されない。貴様にはその理由がわかる筈だ」

 

「……」

 

「我々はこの世界の秩序を守る為に存在する。それは私達が最後の帝国軍(生き残り)となった時から変わらない。

 その目的を達成する為には貴様が必要なのだ。だからこそ貴様には生き残る義務が——」

 

「道三様! 義龍軍が現れました!」

 

 

 道三の兵士が叫ぶ。敵が来たと。

 くそ、もう来たのか。早すぎる!

 だが、そんな絶望に浸っている時間などない。少しでも数を減らさなければならない。

 

 

「相棒、少し手を貸してくれ。奴らを迎撃する」

 

「本気か? CS2。お前片手で両手用の短機関銃撃てるのか?」

 

「勿論無理だ。安定しないだろう。……だが、それでもやるしかない。それが私達の任務だからだ」

 

「はははっ、流石職業軍人だ。真面目だな。……ま、俺も人の事は言えんがな」

 

 

 ははは、と私と相棒は笑いあう。やはり私たちはどうあっても帝国軍の、神大尉の部下らしい。嬉しい事だ。

 相棒に手を引かれながら狙撃地点へ歩く。そこならば見晴らしが良いので射撃がしやすいだろう。

 

 

「着いたぜ、相棒。それじゃ俺たちの弾が無くなるまで敵さんに鉛玉の雨でも降らせてやるか」

 

「そうだな、CS1。お互い生きてまた会おう」

 

「おう!」

 

 

 私達は向かってくる奴らに照準を定め、トリガーを引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大尉、見えました! 2時方向に味方を確認しました!」

 

 

 偵察車の機関銃を操作する歩兵が、双眼鏡を覗きながら報告する。どうやらまだ無事のようだ。

 歩兵は報告を続ける。

 

 

「しかし今現在義龍軍と交戦している模様! 偵バイ隊が敵陣で撹乱して侵攻を遅らせているとしても、このままじゃ持ちません!」

 

 

 どうやらかなりピンチらしい。ならば援護をしなければな。

 俺は改造スナイパーライフルを持って歩兵に言う。

 

 

RC(偵察車兵)4、天井扉を開けてくれ。援護射撃をする」

 

「え? で、ですが大尉! もしもの事があれば……」

 

「またそれか。いいから早く開けろ、CS1達を助けたくはないのか?」

 

「……了解しました」

 

 

 RC4は観念して天井扉を開放した。コレで狙撃できるな。

 俺は早速上半身を車外に晒しだし、スナライを構えた。最初の狙いはCS2に迫っている……あいつだ!

 狙いを定めてトリガーを引く。ダガン! という銃声と大きなマズルフラッシュを放ちながら弾丸は目標へと射出された。

 そして放たれた弾丸は俺の狙い通り奴の胸部に命中した。……やったぜ!

 

 

「よぉし、命中だ! このままドンドン狙い撃ちをしていくぜ!」

 

「大尉〜、楽しんで貰って結構ですが、味方に当てたりしないでくださいね〜」

 

「おう! 任せとけ!」

 

 

 その後俺は弾丸尽きるまでスナライを撃ち続けた。結構当たっていたから俺は満足だ。

 

 

 

 

 

 さて、偵察車の機関銃で味方周辺に展開する義龍軍を殲滅したので、早速部隊を展開し防御陣形を築くぞ。

 早速部隊に指示を出す。

 

 

「よし! それじゃあ作戦通りに展開しろ! 偵バイ隊が数を減らしたと言っても敵はまだまだいる筈だ! 用心しとけよ!」

 

「「「了解!!」」」

 

 

 そして早速部隊が動き始めた。川を背にする事で後ろからの奇襲対策をする。更に川をまたいだあっち側から弓を引かれてやられないように砲手を4名配置。

 川を背にした際の前面にはヘビーガンナーを配置。突っ込んできたバカどもを一掃する。

 側面の防御には砲手と突撃兵を配置。全体に砲手の機関銃で銃弾をばら撒き、生き残ったやつを突撃兵が追い打ちを掛ける。

 残りの突撃兵は周囲を警戒、各方面のサポートをする。

 このような陣形を、川に面する部分が辺の長い長方形のような形で作る。

 そして残った面積には砂漠の走り屋を配置、ボックスランチャーで一斉射撃をする。

 偵察車の半分には偵バイたちの援護に向かってもらう。もう半分は偵察車を壁にして道三達の壁となって貰う。勿論迎撃をしながらな。

 陣形が築かれて行くのを見ていた俺だったが、ふと木に寄りかかるCS2の姿が見えた。

 近づいてみると、CS2は過呼吸で息をしていた。更には左腕が真っ赤に染まっている。どうやら傷を負ったらしい。

 

 

「大丈夫か、CS2。何処をやられた?」

 

「た、大尉……。私は大丈夫です、まだ行けます……。それよりも、道三殿を連れて早く逃げてください……」

 

 

 CS2は虚像に右手を伸ばしながら掠れた声で呟いた。どうやら限界が近いらしい。顔はこちらを向いていない。

 俺はCS2の左腕を捲し上げる。そこからは血が少しづつ垂れ流されていた。左腕全体が赤で染まっている所を見るに、どうやら肩の辺りから垂れ流されているらしい。早く治療しないと危ない。

 俺はポケットに入れておいたケースから、一本の注射を取り出す。

 

 

「お前は死んでいい人間ではないぞ、CS2。それにこんな状態のお前を放って置くほど俺は無能ではない。今からコイツをお前に打って、その後輸血をする。それまで死ぬんじゃねぇぞ!」

 

「た、大尉……」

 

「何も喋んな、傷が開くぞ」

 

 

 俺はCS2の右腕に道三達にも打ったソレを打つ。後は輸血するだけだな。

 俺は待機中の突撃兵に指示を出し、輸血パックを持ってきてコイツを看病するよう言う。

 俺は立ち上がってCS2に言う。

 

 

「CS2、一つ言っておく。俺は家族を見殺しにする程人間、腐っちゃいねえからな」

 

 

 それだけ言い残し俺は道三の所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は偵察車の壁の裏に回り、道三の所を向かう。道三の他にもいるが、どうやらかなりの数がやられたらしい。2個小隊位の人数しか残っていない。

 俺は道三と十兵衛の元へ近づく。

 

 

「おい道三、どうやら派手にやられたようだな」

 

「……ふむ、やはりこの部隊を連れてきたのは神であったか。しかしお主があの基地を出てここに来て大丈夫なのか? もしや今基地の守りは……」

 

 

 そう途中まで言って道三の目が鋭くなる。ま、道三が思っているような事ではないけどな。

 

 

「心配するなよ、基地の守りは今まで通り固いさ。この部隊は新規で追加した部隊だからな、あっちの守りが減った訳ではない」

 

「ほほう……コレだけの数の兵や武器をすぐに用意出来るとはのう。それもお主の()という事かの?」

 

「まあな。それでもコレだけの数を揃えるのにも準備が必要なんだ、だから無限に出せるって訳じゃねえんだけどな」

 

「そうじゃったのか。流石の神の妖術にも限度があるのか。これは少し驚いたわい」

 

「いや、妖術じゃねえよ」

 

 

 しかしそんな俺の声は、ぬはは! と笑っている道三には届かない。無念なり。

 それからしばらくすると、後ろのとてつもない程の銃声が止み、ロケットの発射音も聞こえなくなった。どうやら終わったらしいな。

 一人の突撃兵が近づいてくる。

 

 

「大尉、敵第3波の迎撃が終わりました。ある程度の安全が確保出来たと思われます」

 

「そうか、ご苦労だったな。偵バイ達の方はどうだ?」

 

「はっ、あちらもあらかた片付いたようで、只今此方に向かっているとの事です」

 

「了解だ。それじゃあ撤退の準備をしておいてくれ。偵バイ達の到着次第すぐに撤退する」

 

「了解です」

 

 

 それから数十分で偵バイ達は到着し、俺たちは撤退した。でこちゃんが偵察車に乗っている間ずっと吐きそうだったのが少し面白かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大尉、信澄殿から至急尾張に来て欲しいとの連絡が届きました」

 

 

 基地に戻るなり留守番隊にそう言われた。

 出掛けて来たばっかだってのに……。くそったれ。

 俺は無線ですぐに行くと伝えて貰うよう歩兵に頼んでおき、早速スマホを弄った。

 

 

「あ、ここにいやがりましたか。道三様に連れて来た兵士達はどこに住めばいいかを聞いてこいと言われたんですが」

 

「ああ、それなら今作った彼処に住んで貰えれば大丈夫だ。一応水道は引いてあるから安心して住んで貰って結構だぜ?」

 

「すい、ど…う……?」

 

 

 でこちゃんは首を傾げてるが、俺は面倒なので説明なんかしない。今日はさっさとあっち(尾張)に行ってぱぱっと信澄の奴を終わらせて寝る予定なんだ。邪魔などさせるものか。

 

 

「じゃ、そういう事で。俺は今から尾張に行ってくるから道三に言っておいてくれ。あ、今日は戻って来ないから」

 

「え? は? え?」

 

 

 俺は戸惑っているでこちゃんを無視して偵バイ本体だけを呼びだす。

 それに乗って、ヘルメットを被る。そしてアクセルを握って少しづつ回し始める。

 

 

「じゃ、でこちゃん。行ってくる。留守は頼んだぞ〜」

 

 

 俺はアクセル全開で尾張を目指した。

 

 

 

 

 

 

 





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