イカれ軍人どもの戦国ネーションズ! 作:サンドワーム愛好家
「大尉、今川の軍勢が尾張に侵攻中です!」
「ん? 今川? 誰それ?」
本拠地で朝食のコーンブレットを食っていると歩兵から報告を受けた。どうやら今川という奴が尾張に攻めているらしい。というか今川って誰だ?
まあ、とりあえず迎撃くらいはしておこう。
俺は歩兵に留守を頼むよう言って愛車の改造バイクを呼び出す。
「じゃ、とりあえず尾張行ってくるから。新兵器の事とか青髪の事とか、頼んだぞ」
「勿論です。しっかり教育しておきますよ」
俺は早速バイクの
「と、言う訳でここに今川が向かってるらしいぜ、信奈」
「そんな事はとっくに知ってるわよ!」
「うわっ! だからあぶねえよ!」
尾張に着いたら着いたで早速歓迎されました。信奈から鉛玉のプレゼントを頂きました。全く嬉しくありません、どうもありがとうございました。
「ま、こういうくだりも嫌いではないが、実際どうするつもりなんだ? 信奈」
「……」
「だから今それを考えているんだろうがァ!!」
「おお、怖い怖い」
俺の質問に信奈の家臣の一人が食いついてきた。あの顔のイカツイおっさんだ。
ま、今はどうでもいいんだが。
「ん? でも結局ろくな案が無いんだろ? 反撃しなければ尾張を素通りする〜 とか、全力で抵抗! とか。
正直に言わせて貰うが、それだと滅びるぞ、お前ら」
「……!」
「貴様ァ! 言わせて置けば!」
先程のおっさんが刀を抜いてこちらを斬ろうとしている。このままだと斬られてしまいそうだ。
それにしても怒る事はないと思う。いや、だって自国のピンチなのに被害を省みない全力特攻とか、半々の確率で一気に全滅する反撃なしの篭城とか。正気の沙汰では無い。
と、考えていた間にもう間合いに入られていたようだ。おっさんは唐竹斬りで俺を真っ二つにしようとしているようだ。……ま、それは無理なわけだが。
俺は虚像に声を掛ける。
「……やれ、信澄」
「了解、大尉」
そして俺の陰から小さな人影が飛び出して、おっさんの目の前に一瞬の内に移動する。
おっさんはいきなり現れた俺の部下に驚いていたようだが、もう遅い。既に決定打は打たれてしまっているぞ?
「…な、なぜ信澄様が…ハッ……」
おっさんはバタリと倒れてしまった。……ふむ、威力調節のメニューを追加して貰うか。少し強すぎる。
どうでもいい事を俺が考えていた間に、俺の部下が正体を現す。と、言っても俺が名を読んだ時点でバレバレだったと思うが。
「え⁉︎ ま、まさか信澄様……⁉︎」
「あ、勝家! 久しぶりだね。元気にしてた?」
「え、ええ。一応は……」
ふむ、あちらはあちらで何やら話すことがあるようだ。俺が入る隙は無い。という事はイタズラもできない。つまり遊べないと。……くそぅ。
ま、そんな事は今はどうでもいい。とりあえずは今川とやらに対抗する為の案を見つけるか。
「で、信奈。話は戻るがどうするつもりなんだ? 特攻か? 篭城か? それともまさか、降伏でも?」
とりあえず煽っておく。人って煽られると本気出す奴多いからな。効率は良くなるだろう。……まともな判断が出来なくなって失敗する可能性も増えるが。
すると信奈から面白い回答が得られた。
「……ナヨ、私達はどうすればいいの?」
「おいおい、私は帝国だよ?」
「……ナヨ」
「……はぁ。お前ら忘れていると思うけど、俺はあくまで同盟国からの使者的な扱いなんだぞ? その俺に頼るってどういう事だ?」
信奈はその俺の言葉に黙り込んでしまう。
まあもっと言えば俺がここにいる事もおかしい訳だが。なんで俺ここにいるんだろう?
いや、今はどうでもいいや。とりあえず反応してやろう。
「あのな、信奈。俺は別に助けたく無いって訳じゃないんだ。ただな、俺がこれからも助けていたらお前らの兵の練度は上がらないんだよ。そうなるとお前ら自身の力が弱いままになっちまうぞ」
いや、結構マジな話でな。
俺もバトネやってる時練度低い兵士は使って無いんだよ。弱すぎるから。
その弱すぎる状態の兵士が全兵士だったらどうするよ。ゲームだったらストーリー進めないとかだけで済むが、現実でそうなればもうお終い。国が滅びされて終わりだ。
結局世の中弱肉強食なのさ。
「まあ、今回は急がないと全滅だから手を貸してはやるがな。……あ、もしも俺がいなかったらお前らはどうするつもりだったんだ?」
「……」
「さっきのプランでは確実に全滅だからな、お前ら。
まあ、やるとしたら少数の部隊を幾つか派遣して敵の本拠地を索敵、織田の本隊で一気に叩く、とかかな」
「……確かに敵の本拠地さえ叩けば戦には勝ったも同然。目の前の事ばかりに気を取られていました。70点」
ピンクリボンがまた点数付けしてるな。なんでこんな癖ついているんだろうか。点数付け禁断症状か?
ま、そんな事をそっちがやっているというのならばこちらも好きにさせて貰うが。……イタズラの時間だぜ!
俺は信奈の両肩に手を乗せる。そして……
「俺、この戦いが終わったら信奈と結婚するんDA☆」
毎度恒例の俺様のおふざけタイムの始まりだぜ! 国のピンチに何やってんだとも思うが……でもまあ……
——こんな空気は、息がつまるからな。
結局、人間追い詰められていると何をしでかすか分かったもんじゃない。もし思いついても、一番最初の案を速攻で使うのだ。もしもハズレの案だったら滅亡するだろう。
だからこそ、心をしなやかに持って全体を見渡さねばならない。それが俺が考える、最善の案だ。
ふと信奈の方を見ると……いない。
周りを見渡そうとするが……体も動かない。首も少ししか動かない。ついでに言えば首が苦しい。何かに絞められているみたいだ。
そして、俺は背中に当たる何かの感触に気付く。そう、これは……
「か、勝家…の…おっぱ……」
「う、うるさい! そんな事を大声でいうなっ!」
「ぐふぅ……」
俺の視界はブラックアウトした。
「で、俺は気絶していたようだが。俺もしかして何かした?」
「あんた……覚えていないの?」
「はい、そのつもりです」
いや、冗談抜きでだぜ?
俺が信奈に何か言ったところまでは覚えているんだが、そこで何言ったか、その後どうなったかが全く分からん。
「……まあいいわ。それよりも今は今川兵を追い払う事を考えてましょう。で、何かないの? ナヨ」
「ああ、一応プランはあるが……敵の数はどれくらいだ?」
確かに俺の軍隊を使えば今川を潰す事なんて赤子の手をひねるようなもんだ。戦国時代の武器VS現代兵器では圧倒的だからな。
だが、それでも数が圧倒的に少ない いや、動かせる兵士が少ないのだ。
前回のように車両を使う訳にはいかない。もしも最初から使っていけばいつかは対抗策を練られてしまう。切り札は、ここぞという時に使うからこそ切り札なのだ。
そして信奈は喋る、敵の総勢を。
「今川軍の総勢は……2万5千よ」
「そのうち3千の部隊3隊がそれぞれ丸根砦・鷲津砦・大高城へ進行しています。また、義元は戦力を何手かに分けて進軍しているようです」
「ふむ……3千位をちょこちょこ出してんのか……信奈、お前が出せる兵士はどれくらいだ?」
「せいぜい3千が限界よ」
なるほど。ならば2小隊規模を各地に派遣すれば大丈夫か? ここの守りは基本は信奈に任せて俺はちょっと出すくらいで。
ふむ、だとしたら楽勝だな。
「了解だ、信奈。早速迎撃部隊を派遣する」
「ホント⁉︎ ありがとう!」
ま、喜んでられるのも今のうちだ信奈よ。斬れすぎる刀は自らも斬る、とも言うだろう? そして、その刀は信奈の物でもないという事も。
……まあ、今の所は牙を剥くつもりはないが。しばらくは気楽にいきたい。
「とりあえず、部隊を編成してくる。じゃあ、またな」
俺はその場を去った。
場所は変わって、俺の尾張での自宅、長屋に戻ってきた。少々留守にしてあった為、埃臭い。掃除が必要なようだ。
まあ、それはともかく早速部隊を編成するか。今回のラインナップは以下の通りだ。
まず、規模は先程言った通り、多くて2小隊規模。各隊80〜120を目安にしている。
まずはいつも通り、歩兵・手榴弾兵を25人ずつ編入する。まずは基本からってな。
次に迫撃砲チームを編入する。
彼らには睡眠弾を連射して貰おうと思っている。
数は10チーム(20人)を想定している。
次にヘビーガンナーを入れる。
彼らは15人を想定している。
用途としては現地で敵の隊を一気に殲滅するのが目的だな。
更に彼らを移送する為の手段として、 "兵站偵察車" を使用する。
これは道三救出の際に乗った偵察車をゾーイ達に改造させ、後部座席を増築したものだ。それに伴い機体サイズも1.5倍ほどになっている。
移送出来る数は、操縦士・銃操作する兵士を含めずに8人まで可能になった。そのかわりに、移送出来る数の代償として "速い車両" として能力は消え失せてしまった。それでも戦車や歩き・民間車両よりは速いがな。
大体これらを11機使えば効率的に移動が出来るだろう。
だが、これらの部隊を動かすには、一つの大きな障害が残っている。この障害をどうにかしなければ、この作戦は実行すら出来ない。その障害、それは……
「そもそもそこまで兵士が居ないって事だ」
まず、そこまで兵士が居ないので隊を組む事すら難しい。
そもそも使える兵士が少な過ぎるのだ。自分でセットした縛りだが、今頃になって効いていた。
一応日々
まあ、さっきの隊を4隊組むので、一応歩兵と手榴弾兵の数はクリアしている。せいぜい100だからな。
迫撃砲チームもクリアしている。こっちも優先的に作っていたから。現在は60チームある。
だが、問題はヘビーガンナーと
兵偵に至っては、改造車両であるからコストがバカみたいにかかる。。"破" ほどではないが、一回偵察車を作ってその後改造するので時間がかかる。……まあ今はゾーイにゲームの方で訓練ボタンをクリックすれば兵偵を作れるようにはなったが。
因みに数は現在3機だ。まだまだ足りない。
「と、いう訳で。
それから少しの間、俺は面倒くさい作業を繰り返していた。
ここは青洲城。尾張の国主・織田信奈が住む城だ。
そこの城門近くに俺はいた。偵察車の改造車両を引き連れて。
そして俺の周りには信奈や、勝家等の織田家臣一行が集まっていた。その理由は……
「ホントなの、ナヨ? 鷲津砦を奪還したって」
「ああ、第2部隊が奪還したらしい。どうやらお前んとこの家臣も回収出来たらしい。良かったな」
「は、早すぎる……移動だけでも数時間かかるのに、それに加え城すら奪還するなんて……!」
「ま、帝国軍の力を舐めるなって事だな」
その言葉を放つと、周りがしーん、と静まり返る。
……ミスったか。とりあえず流れを変えよう。
「まあ、これで各隊が砦・城を奪還して本陣を叩けば戦争は終わる。あと数時間で戦争は終わるだろう」
俺がそう言い終わると同時に、信奈が近づいてくる。……何だろうか?
「ねえナヨ、私達は何もしなくていいの? 何もする事はないの?」
少し俯きながらそう言う。どうやら何も出来ないのが悔しいらしい。気持ちは分かる。
だが各砦を占拠した後本陣を叩きに行くから何もやる事は……あ!
俺はある事を思いついたので、早速行動に移す。
……どうやら無事に繋がったようだ。俺は各部隊の無線兵と話す。
≪聞こえるか、お前ら≫
≪聞こえていますよ、大尉≫
≪こちらもです≫
≪……こち…ザザッ……で…ザザッ……す!…≫
なんだ? 第一部隊だけが通信が悪いな。どうなってやがる。
≪どうした、第一部隊。通信が悪いぞ≫
≪こちら……ザッ…被害……ん大……応ぇ……のむ……≫
応援だと? どういう事だ、現代兵器で武装している俺たちが戦国兵器に負けているというのか?
俺は第一部隊の声を詳しく聞くため、出力を上げる。
≪第一部隊、どういう事だ。応援は送るが、その為に座標を言え≫
≪座ひょ…は……22……ぁ…ザザッ……す……ザザッ…》
くそっ、出力を上げても通信が酷くなる一方だ。何かが通信の邪魔をしてるっていうのか?
座標も分からないし……。仕方ない、応援部隊には第一部隊が行った鷲津砦に行かせよう。
≪第一部隊に関しては応援部隊を送ったから心配ないはずだ。それで敵の本隊が何処にいるか分かったか?≫
≪大尉、我が隊が敵兵を尋問した所、敵はどうやら桶狭間山の隣の平原にいるようです≫
≪了解した。この後も砦の防衛頼んだぞ≫
≪≪了解です!≫≫
よし、桶狭間か。今思い出したが、これが桶狭間の戦いか。名前だけなら流石に俺でも知っているぜ。何やったか覚えてないけど。
俺は無線車を降りた。
「信奈、敵の本陣が分かったぞ。敵は桶狭間山近くの平原にいる」
「え⁉︎ ど、どうして分かったの⁉︎」
「ああ、この無線車を使って各隊と通信して情報を得たんだ。前に説明したよな? 無線の事」
「え、ええ……」
「ま、それはともかく出陣しよう。何か嫌な予感がする。というか嫌な予感しかしない」
「?」
信奈はなんの事は分からないらしい。首を傾げている。
まあ気持ちは分かる。俺も同じだからな。第一部隊に何が起こったのか、全く分からない。……正直不安だ。
「信奈、早速出陣するぞ。出兵の準備は出来ているんだよな?」
「え? あ、当たり前よ!」
俺たちは桶狭間に向かって出陣した。
そして、目的地に着いた。現在地は敵陣の全体が見渡せるような高地にいる。敵はどうやら酒を飲んだりして怠けているものが多い。これはいい状況だな。
作戦としては俺たち狙撃チームはスナパで戦闘準備が出来ている兵士を優先して撃破していく。
その際に織田兵は突出して敵に波状攻撃を仕掛ける。これで敵は大方始末出来るはずだ。
で、頃合いを見計らって俺は今川の優秀な兵士を回収していく。その為に麻酔バトライを持ってきたんだ。
「……ん? 雨が降ってきたな……」
俺はプランを再確認していると、突然雨が降ってきた。雨の影響で酒の場は無くなったらしい。敵本陣では傘の下に戻ったりしている奴がいる。
しばらくすると信奈が戻ってきた。彼女達はせっかくだからと言って神社にお参りに行ったらしい。
「信奈、お帰り。なんか雨降ってきたな」
「ええ、そうね。でもコレは私の為に神が降らせた雨なのよ!」
「……はい?」
嫌な予感がした。
ふとピンクリボンの方を向くと……手を頭に当てて首を振っていた。おい信奈、お前何やったんだよ。
「まあ今はそんな事はどうでもいい。とりあえずプランを再確認するぞ」
「分かったわ」
「まず俺らスナイパー隊が敵を射撃して場を混乱させる。
その後にお前ら騎馬隊が出撃、更に混乱させながら波状攻撃を仕掛ける。
おおよそのプランはこんなもんだ。質問はあるか?」
俺の質問に対しなんの声も無かった。どうやら疑問はないらしい。……それじゃあ、やるか。
俺は
「3…2…1……撃て!」
俺たちの一斉射撃をきっかけに、戦場が動いた。