イカれ軍人どもの戦国ネーションズ!   作:サンドワーム愛好家

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出会い 3

「——なあ、H1。なんで俺達こんなに歓迎されているんだろうな」

 

 

 炎天下の中、俺は歩兵に喋りかける。それに対し俺の隣の歩兵は

 

 

「大尉があの女の子をバカにしたからじゃないですかね?」

 

 

 と呆れたように答える。俺はそれに否定の意思を示そうとして答え——

 

 

「いやいや、でもね——」

 

「何をコソコソ喋っている! 貴様らはなんの為に信奈様に近づいたのか、言え!」

 

 

 ——ることは出来ず、黒髪ポニーテールの女子に怒鳴られてしまった。それも殺意だだ漏れで。

 それにしても面倒な事になったものである、俺たちは女の子をサムライから助けてやっただけだってのに……。だってのになんで、なんでこんな……

 

 

「なんでこんなに殺意アリアリで囲まれてんだよ!! 俺が何かやったか‼︎ 」

 

「あんたが織田の大将バカにしまくったせいでしょ⁉︎ 」

 

「んだとゴラァ! しょうがねえじゃねえか、アイツが先に仕掛けたんだから! 正当防衛(?)だ! 正当防衛! (バカにするのに正当防衛ってあるんだろうか……?)」

 

 

 ほんと、なんでこんな事になってしまったんだろうか。

 本来だったら救援に向かったんだから感謝されるはずなんだが……。やっぱり気絶させたのがマズかったのか?

 

 

「うるさいぞ! この誘拐犯め!」

 

 

 巨乳ポニーが言う、俺達を誘拐犯だと。

 ……なんか勘違いされてね?

 俺は大勢のサムライに囲まれる中一人、こんな状態になってしまった原因、美少女救出の時の事をぼんやりと思い出していた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そろそろパトロールも終わりだな。付近で戦が行われているようだが、それに対してはパトロール部隊を編成すれば問題ないだろう。

 ついでに言えば各所で行われている戦闘自体も行きの時よりも少ししか確認できなくなった。

 恐らく戦もそろそろ終わりなのだろう、そうなれば俺は基地を造る場所を求めて旅が出来るわけだ。早く基地を造って楽をしたいなあ……。

 

 

「大尉、数十M(メートル)先にて戦闘を確認。どうやらサムライ同士が争っているようです」

 

 

 双眼鏡を覗く一人の歩兵が言う。

 ふむ、どうするべきか。俺としてはさっさと基地に戻って風呂に入りたいのだが。ついでに言えばアルコール工場造ってウイスキーを飲んでみたい、いつもモーガンが美味そうに飲んでいるし。

 

 

「H3、状況は?」

 

「どうやら6対1で戦闘が繰り広げられているようです。ええっと1人の方は……、どうやら織田軍のようです。どうしますか、大尉?」

 

 

 H3が俺に報告する。

 ふむ、仕方ないな、織田軍が負けそうならば仕方ない。タイムパラドックスなど起こしたくないからな、救援に向かうか。

 先程の歩兵が、それと…、と言って報告を更に付け足した。

 

 

「大尉、どうやら織田のサムライはまだ年増もいかない少女のようです。早く行かないと手遅r——」

 

「よし、すぐ行こう! 全員、ダッシュで駆けつけるぞ!」

 

 

 女の子なら仕方ないな、うん。仕方ない。

 皆も知っている通り、高校生は性欲の塊だ(※個人の偏見です)。俺はまだ貞操を捨てる気はないが、女の子に興味が無いわけではない。女の子の身体を見てニヤニヤしたいのだ! これから毎日、女体を見ようぜ?

 

 

「た、大尉、本気ですか? こんな日差しの強い中ダッシュしたら俺たちバテちゃいますよ。それに俺たち長靴見たいなブーツ履いてるし」

 

「「「うんうん」」」

 

 

 一人の歩兵が肩をだらんと下げながら言う。そしてそれに周りの歩兵達も同意しており、首を縦に振っていた。

 どうやら襲撃部隊諸君は俺の意見に否定的らしい。何てことだ!

 まあ気持ちは分かる。そんな完全防寒(効力は少ない)装備だと暑いしな、ガスマスクも着けてるし息もしづらいんだろう。

 そんな中全力ダッシュすれば、結果は考えずとも分かる。

 

 

「ゆっくり行きましょうよ、大尉」

 

「そうですよ大尉。別に急ぐ事もないでしょう? 織田軍負けちゃうかもしれないけど、多分その女の子強いと思うし」

 

「「「うんうん」」」

 

 

 どうやら、絶対に俺たち走りたくねえ! という意見の奴らしかこの部隊には居ないらしい。

 しかし悠長にしてると、先程歩兵が言ったように織田の方のサムライが死んでしまう。早めに言った方が良いだろう。

 そこで俺は苦肉の策を興じる事にした。この手を使うとナノポッド(課金アイテム)を使用しなくてはいけない為、気が進まないが女の子の為である。流石に見殺しには出来ない。

 そして、なんだかダラダラモードに入っている歩兵達に、俺は高らかにこう言い放った。

 

 

「分かった! お前らの意見はよく分かった。だったらコレならどうだ? もしも今ダッシュして無事少女を救出出来たらお前ら全員に原酒を配ろうと思うんだが?」

 

「行きましょう大尉、今すぐ!」

 

「やべえ、俺やる気出てきた!」

 

「酒なんていつぶりだろう? 前回の飲み会の時やらかしてから禁酒処分喰らってたからなぁ……」

 

 

 どうやら、ほへいたち には こうかがばつぐん のようだ! 状況らしい。見事に食いついて来てくれた。

 というか禁酒処分喰らってたのか。確かに同盟国で酔っ払って派手に暴れてたしな、銃まで乱射してたから仕方ないと言えば仕方ないか。……酔っ払って銃乱射ってヤバくないか? 本当にこの手段で良かったんだろうか?

 

 

「……ん? ていうかあいつらどこに……あっ」

 

 

 今ごろ後悔している俺を置いて歩兵達は既に全力ダッシュマラソンをしていた。……そんなにしてまで酒が飲みたいのか、この酔っ払いどもは。

 歩兵達の酒への執念に呆れながらも、俺は部隊の後を追って走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——————————

 

 

 

 

 

「お前が織田信奈だな? その首、頂戴するぞ!」

 

 

 今川の兵が言う、私の首を貰うと。

 私達は今、今川の兵達と戦をしている。そして戦は今、大局的に見て織田が優勢、あと少しで勝利が確定所まで来ている。しかし織田の総大将である私が負けては意味が無い、この戦闘には必ず生き延びねばならないのだ。

 

 

「(でも流石にこの数相手じゃ厳しいわね、増援は……期待できそうにないか)」

 

 

 確かに彼女は強い、そこらの足軽を軽く倒せる位には。

 だが、彼女の部下である柴田勝家や前田犬千代などの有力者の実力には遠く及ばない。

 しかも今回のような場合、つまり一対多の戦闘では彼女の愛銃、種子島の力は発揮し辛く彼女自身の戦闘能力も下げられてしまう。

 

 種子島、日本に伝来した初期の銃砲だ。現代の銃は連射もでき、小型軽量でありながら高威力、リロード時間も短いと優秀な物が一般的だ。

 しかしこの種子島はそこまで性能は良くない。連射は出来ず単発式の銃でありながら威力はある程度しかなく、弾速も遅いし飛距離も短い。更に弾込め(リロード)にも結構な時間がかかり、点火準備が出来てからじゃないと撃つことができない。更に木製である為重く、大きさも肩に担がなければいけない程大きい。連続的の使うとしたら鈍器として扱うくらいしかない。

 

 そんな種子島が彼女の実力を底上げする力の一つだ。しかしその種子島もこの状況では使用し辛く、苦戦は必須。

 確かに剣の腕もかなりのものではある。しかし一対六で圧勝出来ると言える程ではなく、精々勝率は半々だ。確かに勝てるかもしれないが、逆に言えば半分の確率で負けるのだ。

 

 それを理解できないほど彼女はバカではない。しかし理解してしまったからに、彼女は焦る。ここで死ぬわけにはいかない、と。

 

 

「……!」

 

 

 一人の今川兵が走り出す。その手には勿論彼女を切り裂かんとする刀剣が握られていた。

 今川兵が信奈の近くまで来ると、彼は刀を大きく振り上げ、唐竹切りを彼女に繰り出す。

 勿論彼女はそこで反応できない程弱くない、瞬時に鞘から刀身を抜き出し、居合切りのような太刀筋で応戦する。

 素早く抜かれたその刀身にはかなりの力が上乗せされており、男が繰り出した唐竹と互角以上の威力を叩き出す。

 男と女の差、重力の関係に対抗する為に選んだこの技は、相手の腕を麻痺させるまでの威力を叩き出した。

 これであとは距離を離して再び斬り掛かれば一人目は倒すことが出来る。早速押し返そうとした彼女だったが……、そう簡単に事は進まなかった。

 

 

「その首、討ち取ったりィ! 」

 

「……!!」

 

 

 彼女の真横には既に一人の今川兵が彼女を斬り殺す為に刀を振り上げていた。

 彼女はそこで悟った。この距離では流石に避けきれない、刀で応戦するにも時既に遅し、間に合うものではなかった。

 

 そもそも彼女はここまで接近を許すような武将ではない。周りをよく見、その時その時に最善の行動をとれるような人材だ。しかし今回に限り、それは上手く出来なかった。

 一対六という圧倒的不利に加え、自分が死ねば尾張が終わるというプレッシャー、彼女の部下たちに対する思いなど、いろいろな要因が彼女の判断力を狂わせてしまったのだ。

 

 彼女の周りの時間が遅くなる。それと同時に今までの出来事全てが大型スクリーンに映し出されるかのように投影された。いわゆる走馬灯という奴だ。

 

 そして外の様子が少しずつ動き出す。

 そして彼女は自分を斬り殺そうとする刀を見て悟る。今この瞬間、自分は切り裂かれて死ぬんだと。

 彼女は死を覚悟して目を閉じた。そして心の中ではこう思っていた。

 

 

「(まだ、生きていたかったなぁ……)」

 

 

 そして彼女の身体はその今川兵に切り裂かれてしま

 

 

 

 

「今だ! 全員撃て!」

 

 

 う前に、一人の男の声が響く。それと同時にけたたましいほどの銃声が響き、辺りの空気を支配する。

 その放たれた全ての弾丸は、今川兵の体の要所を的確に貫き、相手の身体の自由を奪った。

 その弾丸を身体に受けた今川兵達は、当然のごとく倒れこんでしまう。なにせ貫かれた場所は、心臓、肺、頭部、鎖骨、関節と、身体を機能させる重要な機関である為だ。

 

 そしてその惨状を見て彼女は驚く。自分達の使うものより明らかに高い威力を持つ鉄砲、その弾丸が自分だけを避けるように放たれたのだ。実際に彼女には当たってないが、猟銃を放たれた動物の気分を彼女は確かに味わっていた。

 

 それと同時に彼女は思った。自分達よりも高性能な鉄砲を操る目の前の集団、真ん中に立つ一人を除いて、奇妙な黒い仮面をかぶるこの集団は何者だ、と。

 そしてこうも思った、こいつらは面白そうな奴らだな、と。

 いつの間にか彼女の視線は彼らに向けられていた。そう、彼女は彼らに釘付けにされてしまったのだ。

 

 そして、そんな好奇の視線を送られている奇妙な集団、第95ライフル部隊,襲撃分隊は各員、様々な事を思いながら立ち構えていた。その内容とは……

 

 

「(あー、ヤベェ。超眼福だわ〜)」

 

「(よし、コレで酒ゲットのノルマは達成だぜ!)」

 

「(そうだ、酒の発注依頼書を弄って量を二倍にしよう)」

 

「(ラムジー軍曹に酒の事ばれない様にしなきゃ。あの人も禁酒処分喰らってたからなぁ……)」

 

 

 この集団、皆してロクなことを考えていなかった。一人を除いてお酒LOVEだった。

 そう、これが後に「ハエ頭の鉄砲隊(軍団)」と呼ばれる事になる組織の頭 "卿夽(きょうぐん) (じん)と、近い将来天下を取ることになる少女 "織田 信()の出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……大尉、どうします? あの女の子ずっとこっち見てますよ?」

 

 

 俺の隣にいる歩兵、H1が言う。

 そう、たった今H1が言った通り先程助けた少女は何故か此方をずっと凝視している。何故かキラキラした目で。

 

 

「そうだなH1。じゃあお前行ってこいよ」

 

「え"⁉︎ 俺嫌っすよ、あっち行くの! だってあの子の目、レーザー技術の箱分解してる時のゾーイの目と同じ目してますもん! 」

 

 

 そう、今こちらを見ている彼女の目は完全に好奇心の目だ。近づいたら拉致されるかもしれない。まあその時は平和維持隊呼び出して逮捕させればいいんだが。

 そんなこんなしてるうちに、彼女は自分からこちらに近づいてきた。……やべっ。

 

 

「ねえ、あんた達のその銃は何なの⁉︎ 一体どこで手に入れたの⁉︎ 」

 

 

 彼女は開口一番に銃について聞いてきた。……なんなのこの子。

 そもそも俺たちがそんな事を教えるとでも思っているのだろうか? 一応俺たちの所ではコイツは最低ラインの武器、兵士だ。しかしこの時代の銃の主流は種子島、俺たちの銃はこれより連射力、威力、弾速、リロードのし易さなど全てにおいて上回る性能だ。そんなものを渡してパワーバランスを崩したくないのだよ。

 

 

「すまんがそれについては答えられ——」

 

「ねえねえ! あんたのこの銃はどうやって作られたの⁉︎ 教えて!」

 

「え、えぇっと……」

 

 

 俺が丁寧にお断りしようとしたらアイツ、H2の所に行ってなんか誘惑してた。

 この野郎、人が折角武力ではなく言葉で収めようとしてやったってのに……! (※当たり前の事です) ムカつく野郎だな!

 

 

「おい、お前なに俺を無視してんだよ」

 

「なによあんた。私はあんたのような なよなよした奴に用はないの。私が用があるのはこの鉄砲よ!」

 

 

 イラっ! 俺の頭の中でそんな音が聞こえた。

 この金髪の女、想像以上にイライラする。マジでなんなんだろうか?

 金髪女は俺を無視し、H3に銃をくれないかと交渉していた。勿論H3にそんな権限はないので、はいとは言えない。

 というかハイなんていったらモーガンにパーキンスのような扱いをされるだろう、多分。

 ——ん? 待てよ。確かこの部隊で一番偉いのって俺だよな? 

 という事は俺の権限がないとこの部隊のは干渉できない訳だ。……いい事思いついた。

 俺は未だにH3に交渉し続けている金髪の目の前に立ち塞がった。

 

 

「なによ、あんた。私が用があるのは——」

 

「残念ながらそれは何時間と粘っても無駄な事だ、武器マニア」

 

 

 金髪の言葉を遮って俺は無慈悲にもこう宣言した。

 そう、幾ら粘っても無駄なのだ。H3に交渉した所で意味はない。なぜなら、H3に権限はないのだから。

 

 

「武器まに……? 意味分からないけれども、まあいいわ。それで無駄っていうのはどういう事かしら?」

 

「なに、簡単なことだ。彼、H3には権限がないのだよ」

 

「えいっちすりー…? ……変わった名前ね、彼。それで? 権限がないってのはどういう事?」

 

 

 んん? なんだか飲み込みが悪いな。俺が偉そうに喋っている、かつ話の流れでなんとなく分かるもんじゃないのか?

 まあいいや。とりあえず挑発してみようかな、折角だし。

 

 

「フン、ゔぁーか者め。そんな事も分からないのか? 彼は唯の兵士という事だよ、そして私がこの部隊の隊長、頭なのだよ」

 

「なっ⁉︎ バカってなによ! ムカつくわね! ……ていうか今なんて言ったの? 隊長? 頭? 面白い冗談言うわね、ナヨナヨ。全然笑えないわよ」

 

 

 そう言って彼女はふふっ、と口元を隠して小さく笑った。

 マジでなんなんだよ、この金髪。人を馬鹿にすんのが得意ワザなのか?

 確かに偉そうな態度取ってみたり、少し馬鹿にしたけれども、それはあっちの態度がアレだったからだよ。

 それになんだよ、ナヨナヨって。確かにジャージズボンきて学ラン羽織ってるから上下の体積の差でナヨナヨしてるように見える(のか?)かもしれないけどさ……。

 さっきので少し落ち込んでいる俺とは対象に、金髪は懲りずにまたH3に話しかけていた。

 

「まあナヨナヨの事はもうどうでもいいわ。それよりもあんた、えいっちすりー、だったわね。出来ればその銃を譲ってくれないかしら。あ、ちゃんとお代は弾m——」

 

「あの〜、悪いんですがその人が言ってる事全部本当の事ですよ? それと……、太尉をバカにするんだったら幾ら女の子でも容赦しませんよ?」

 

 そのH3の言葉をきっかけに各員が銃をカチャッ、と持ち直した。

 ——え? もしかして怒ってらっしゃるのか? ……俺の為に? ヤバい、俺の部下超いい奴らじゃん。誰だよ、ゲームで歩兵は肉盾とか言っていた奴ら。こんないい奴らが肉盾の訳ねぇじゃん、マジ最低だな。

 

「え、もしかして本当にこのナヨナヨが……? 」

 

「ああそうだよ、このナヨナヨが頭だよ。なんか文句あるか?」

 

「……」

 

 自分が今交渉していた隊の責任者が、実は(というかさっきから言っていたが)俺だったという事に気付いた金髪は、気まずいのか視線を横に泳がせていた。

 おお、なんだかしてやったって感じだな。超気持ちいい。

 金髪は視線を泳がせてながら俺にこう言ってきた。

 

「……なんか、悪かったわね。ナヨナヨとか言って」

 

「気にするな、確かにナヨナヨしてるとは俺も思うからな。仕方ない事だ」

 

「そ、そう? あ、ありがとう」

 

 んん? なんで照れているんだ? 

 もしかしてさっきの偉そうな態度と今の態度のギャップで照れている? いやいやでも態度は変えてないはず……

 というか喋り方変えるの面倒になってきたな、普通に戻すか。

 

「それで? 銃がほs……、鉄砲が欲しいんだよな、金髪」

 

「そ、そうよ! その貴方達の持つ鉄砲が欲しいのよ。その鉄砲さえ手に入れば織田は更に勢力を広げられるわ!」

 

 うーん、確かにこの銃は種子島より強力だからな。勢力を広げやすくなるだろう。

 でもそれだと色々と困るんだよなぁ。歴史的に。

 

 例えば織田がこの銃を手に入れるだろ? で、正史よりも早く天下を統一出来るようになり、天下を取る。そこで正史通り光秀に裏切られれば秀吉の時代に入れる訳だよ。

 その後は俺も介入できない、老死で介入できないはずだから正史通りに進めるんだけど……。もし俺が銃を渡した事で正史が変わればかなりマズイ事になっちゃうんだよな〜。

 

 

 正史から外れたらヤバい事の可能性を一部出していくぞ。あ、一応可能性止まりだからそこまで心配しなくていいぜ。

 

 まず、全世界を日本が制圧する。これが非常にマズイ状況である。

 第一次世界対戦前に俺が渡した銃、あるいは他の兵器を渡してしまったら他国を簡単に侵略できる訳だ。で、制圧されたらその後は勿論アメリカとかに反抗されて終わる……、可能性が低いから困る。

 まず全世界征服、これをされると日本に逆らえる国が少なくなる訳だ。

 すると資源が日本に傾く、他国資源なくなる、他国兵器作れない、日本最強状態! になっちゃう。

 で、日本最強になっちゃうと何がマズイかって、武力主義になっちゃうのよ。

 現代日本は一度戦争に負けたから平和な国だけどさ、明治の時代の暮らしとか結構キツキツだよな。そのキツキツが未来では常になっちゃう可能性があるのさ。

 だって明治の日本の軍人って「御国の為ならしんでも〜」ってヤツだぜ? それが全世界でおこったらもう……、ヤバい事になるよ。

 そして教育も現代のような普通のヤツだけじゃなくて、殺しに関しても教えられるかも知れない。お前は将来人殺しになるのだ、とか言われると思う。んでもって、そういう時代になっちゃたら受ける側もそれが常識って刷り込まれると思われる。

 

 次、日本崩壊状態。

 知っての通り、日本は外国がきたからこそ、近代化に成功した。外国に対抗するために。

 その時にすでに戦車とか持っていたら? 近代化なんて夢のまた夢である。

 そして最終的に近代化しないから外国には勝てなくなって、技術もない。そんな状態の日本に未来はない。日本は技術あってナンボだから、な。

 

 そして俺が一番危険視しているのは、歯止めが利かなくなる事だ。小さい物でも許していれば、いずれ大きなものになる。ドラッグやってるヤツがそこから抜け出せない、みたいなもんだ。

 

 まあ、色々考えると、結局武器の流出は出来ないのだよ。

 ここは丁寧にお断りする、もう一度今考えた事をシュミレーションした結果そうなる。

 という事で、それを伝える為に俺は金髪に話しかけ……

 

「ねえねえ、この槍のヤツってなんなの? なんか先に光ってるヤツ綺麗ね」

 

「——ん? ……って、ぁあ!!」

 

 俺が考え込んでいた結果、彼女の興味は既に他のものに移っていた。

 そしてその移った先はなんと……、ドラグーン。電気ビリビリドラグーンである。

 そして俺がそっちの方向を見た時は、もう時既に遅し。ビリビリに感電して、気絶していた。

 

「な、なあドラグーン。彼女死んで——」

 

「……よし。大丈夫のようですよ、大尉。どうやら電圧は先程の捕虜用に使っていたもののままだったようです」

 

 ドラグーンは俺の心配を察したのか、流れるように言った。

 はぁ、良かった。流石に助けた相手を殺す事になったらヤバい、ヤバい。もう汗ビッショリになってしまう。

 とりあえず、彼女を床に寝かしておくのは悪いので、基地に連れて帰って休ませようと思ったのだが……

 

「おい! そのナヨナヨ男! 信奈様をどうする気だ!」

 

 彼女を抱っこしたところで、謎のポニーテールに怒鳴られてしまったのだ。……誰?

 この時は自分が今誰と喋っていて、誰をおぶっているかなんて、全然知りもしなかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「信奈様を離せ! ナヨナヨ男!」

 

 胸部の鉄板が出っ張っている黒髪ポニーが言う。どうやらとても怒っているようだ。

 うーん、しかし何故怒っているんだ? なんか悪い事したか?

 

「なあ、俺なんかお前に悪い事したか? 初対面のはずだと思うんだが……」

 

 俺は少し申し訳そうに言う。とりあえず怒っている相手には、下から行くのが安全だからだ。……しかし今回の場合、その方法は全く効かず、かえって逆効果であった……。

 

「悪い事をしたか、だと⁉︎ 貴様、自分が何をしているか分からないのか!!!」

 

「はい、そのつもりです」

 

「貴様ぁぁあ!!!」

 

 プランD、いわゆるピンチですね。ピンチなんてクソ食らえ。

 それにしてもしくったな、ネタを入れただけなのに怒らせてしまった。

 それにしてもなんか沸点が低いな、脳筋なのだろうか?

 またしてもどうでもいい事を考えているが、相手の行動は結構進んでいた。

 

「……大尉囲まれちゃいましたけど、大丈夫なんですか?」

 

「……え?」

 

 H3の言う通り、既に俺たち第95ライフル部隊襲撃分隊は大勢の鉄砲を構えた兵士達に囲まれていた。……どうしよう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして話は冒頭に戻る。

 やはり俺が彼女をバカにしたのが間違いだったんだろうか……。でも俺からすれば彼女が勝手に触ったの自体が間違いな気が……。

 

「 大尉、とりあえず謝っちゃってください。俺まだ死にたくないです」

 

 H1が言う、さっさと謝れ、と。

 なんか最近、H1がウザくなって気がする。なんというか……、チャラい。

 まあ、もう一度謝っておこう、うん。

 

「えーと、なんかゴメン」

 

「貴様ぁ! 信奈様を誘拐して置いてゴメンで済むものか‼︎ 貴様の首を斬るぞ!」

 

「ポカリすきかい?」

 

「大尉、ふざけ過ぎです。このままだと本当に撃たれちゃいます」

 

 ちょくちょくネタを入れている俺にH3は注意を促す。

 いやいや、だってこの空気のままじゃ結構ヤバくないですか? なんかヤバい事やってるみたいじゃないですか〜?

 というかさ、信奈って誰だよ。この金髪の事か?

 

「なあ、今更なんだけど、信奈って誰?」

 

「……もういい。鉄砲隊、やれ」

 

 俺の一言が原因か知らないが、彼女の声が一気に低くなり、鉄砲隊に指示を出していた。

 なんか知らないけど、怒らせてしまったようだ。何故だ?

 いや、今のはネタとかそういう奴じゃないぞ、素で聞いてこれだからな。肩身が狭すぎる。

 っていうか今、やれ、とか言ってたよな? やれってもしかして……殺れ?

 

「た、大尉! 本当に撃たれちゃいますよ⁉︎」

 

 H1が俺の隣で騒ぐ。

 うーん、確かになんか撃たれちゃいそうな雰囲気だよな……。対抗策使うべきか?

 

「うーん、じゃあライオット呼ぶ?」

 

「よ、呼んでください! 今すぐ!」

 

 H1がすぐに呼べと急かす。

 H1よ、流石にビビりすぎだ。今の状況は精々、何十人かに鉄砲撃たれそうなだけだぞ? ……結構ヤバい状態じゃん。

 

「オーケー、じゃあ早速ライオットを——」

 

「六、あなたの気持ちは分かりますがそのまま撃つのはやめておいたほうがいいですよ、信奈様に当たってしまいます。10点」

 

 俺がライオットを呼ぼうとしたその時、俺の後ろから声が聞こえた。またしても女の声だ。

 振り返ると今度は、ピンクのリボンを左右に付けた青? コーン色? の髪の女の子がいた。

 それにしても止めたという事は助けてくれたという事か? まあ、そうでなくとも常識人そうだ。ここから事情を説明すれば……

 俺は事情を説明しようと口を開くが、彼女の次の言葉で口を閉じてしまった。

 

「全くもう、そのままじゃあ信奈様当たっちゃうのよ? だったら頭を狙えば良いじゃない」

 

 どうやら敵の中には俺の味方はいないらしい(※当たり前です)。

 (自分で招いた)絶対絶命の状況は全く変わらず、ついに処刑タイムが始まったようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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