イカれ軍人どもの戦国ネーションズ!   作:サンドワーム愛好家

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サブタイが酷い。



ソーダと唐揚げ

「はぁ、量産面倒くせぇ……ナノポ使うか」

 

 俺は今、客将として宛てがわれた少しボロい長屋で、寝っ転がりながらスマホを弄っていた。

 理由はごく単純、兵力をアップするためだ。

 先程信奈に聞いたのだが、どうやら各国はかなりの兵力を所持しているらしい。

 今川辺りは少なく見積もって2万はいるらしい。

 そこで俺は思った訳だ、兵士全然足りなくね? と。

 俺が今所持する兵士は確かに3000千近くはいる。だがそれだけだ。

 そのうちの百人は歩兵だ。最弱兵士で1/30を占めているのだ、流石に脆いと俺でも思う。しかも何十かはただの壁だし。

 (※移動可能な電気フェンスなども数に入れています)

 

 まあ、という訳で兵士量産中という事だ。

 しかし量産していると言っても時間がかかる。

 現在訓練している "ハンター" は一人訓練するのに12分かかる。それが終わるまでその訓練所では他の行動ができないのだ。

 だったら大量に訓練所を作れば…、とも思うがそういう訳にもいかない。

 実は俺の基地には空き地がもう無いのだ。

 基地がキツキツのせいで新しい訓練所を増設できないのだ。くそったれ。

 

「怖い顔などしてどうしたのですか? ナヨ殿」

 

 今話しかけて来たこのロリッ子はねねという。

 この長屋の大家の孫娘で、たいそう可愛がられている。

 

 

「まあいろいろあるのだよ、ロリッ子よ」

 

「例えば何でありますか? ねねにも教えて欲しいですぞ!」

 

「今日の昼飯はハムが良いかベーコンが良いか、とか?」

 

 

 まあそれは今思いついたんだけどな。

 うーん、でもどっちが良いかな? ベーコンも美味いけど肉厚ハムも捨てがたい……。

 まあ現代の感覚で言えば昼から肉ってのも重いとも思うけどな。まあ今は戦国だしいいか。

 ふと ねねの方を見るとその顔には、ず る い の3文字が書かれていた。

 

 

「うぅ……ナヨ殿は贅沢すぎますぞ! 」

 

「……仕方ないな。

 今日の昼もう一回うち来いよ。ベーコンとお粥やるから」

 

「やったー! ありがとうなのですぞ! 」

 

 

 ねねは俺がそれを言った途端に畳でバンザイをしていた。

 はぁ、仕方ない。今日はベーコン2回作るか。2時間おきに確認するの面倒なんだけどな。

 さて、早速今のうちに作っておくk——

 

 

「……ナヨ、私のは唐揚げをお願い」

 

「ファッ⁉︎ な、なんだ犬千代かよ。脅かすなよ……」

 

「……別に脅かした訳では無い」

 

 ——く前に犬千代にもオーダーを頂いた。

 いや、それにしても、ホントにビックリしたよ。

 俺がスマホを起動しようとしたらいきなり後ろで小さく呟くんだもん、肩がビクッ! ってなったよ。

 ……というかですね犬千代さん。なにちゃっかり6時間コースの唐揚げ指名しちゃってくれてんの? 

 今から作ったら食べれるの3時ですよ? 三時のオヤツとかぶっちゃいますよ?

 

 

「あと "そーだ" も」

 

 

 犬千代はしれっとした顔で俺に注文する。

 もうやだ、この子。

 ん? なんで犬千代がソーダの事知っているかだって?

 実は俺最初の頃はソーダ作って飲みながら作業していたんだけど、それを犬千代に見られちゃったんだよね。で、それを私にも寄越せと。

 やったらやったで犬千代、ソーダにハマったらしいんだよ。飲んでいる時とかうちの部隊が酒飲んでる時の目をしてた。

 まあ、そのせいで1日に必ず一回はうちに回収に来る。だがな、こっちとして報酬が無いのでいい迷惑だ。

 

 

「……あの、ソーダは1時間で出来るけど、唐揚げは6時間コースなんですが。食えるの昼の三時になりますよ?」

 

「別いい。ナヨも3時に食べるから」

 

「な、なんというジャイアニズム……」

 

 

 もうやだ犬千代。本気でそう言ってる顔してるだもん。

 というかですね、俺たちは1時には昼飯食えるんですよ。4時間コースだから。

 ねねは出来たら即食べれるからいいとしても、俺が三時に食べる頃にはベーコンもう冷めちゃってるんですが。

 やっぱり暖かい方が美味いから1時に食いたいんですが。

 

 

「ナヨ殿! ナヨ殿! 唐揚げとはなんなのですか? 」

 

「ああそうか、この時代に揚げるっていう調理法はあんまり浸透していないんだったよな。

 唐揚げってのはな——」

 

「……外側はサクッとしていて、内側が柔らかいお肉の甘い感じのおかず。美味しい」

 

「他人の台詞とるなよ」

 

 

 説明しようとするとまたしても犬千代が俺を虐める。

 もうやだ。……これ何回目だろう?

 

 

「ナヨ殿! ねねも"そーだ"と"からあげ"が欲しいですぞ!」

 

 

 ついにねねまで追加注文をし始めた。

 というかコレがこれからも増えていくんだったらヤバいかもな。生産ペースが追いつかない。

 そうなると食料の大量生産も必要になってくるな。だったらこの際食料用の基地を作るか。そっちの方がいろいろ作れそうだ。

 俺はもう一つ基地を新しく作る事に決めた。

 

 

「じゃあ、とりあえず作っておくか。唐揚げとソーダで良いんだよな?」

 

 二人は俺の問いに首を縦に振ることで答えた。

 まあ当面の目的も決まったな。

 食料基地を作って量産体制を確立する、兵士を量産する、の2つかな。

 さて、早速取り掛かるか。……と言っても畳に寝っ転がってゲームするだけだからほぼニートのようなもんだけど。

 気を取り直して再び俺はスマホを起動——

 

 

「ナヨ、すまないが一緒に来てく」

 

「なんだよ、お前もソーダと唐揚げか? くそ、こうなったら速攻で量産体制整えてやる! 」

 

「え? 、そ、そーだ? 一体何の事……?」

 

 

 ……どうやら俺の勘違いらしい。

 彼女、勝家は困惑の文字を顔に浮かべていた。

 とりあえず誤魔化そう。

 

 

「べ、別に何でも無いぜ。そ、それで用は何だ?」

 

 

 言ってから思った事がある。……コレばれんじゃね?

 焦って所々噛んでるし。声少し震えちゃったし。ばれたか?

 勝家の方を見ると、何か怪しむような目をしていたが、別段何も触れられなかった。

 ……っふ、流石脳筋。追加注文来なくて助かったぜ。

 

「ナヨ殿! それではそーだと、からあげの事、よろしく頼みましたぞ! 」

 

「そーだとからあげ? さっきもナヨが言ってたな。何なんだ、それは? 」

 

「……」

 

 

 結局バレました。ちゃんと追加注文も受け付けましたよ。

 あの後犬千代が唐揚げについて説明するもんだから勝家まで食いついて来やがった。本当にありがとうございました。

 さてと、それでは要件でも聞こうかな。

 

 

「それで勝家は何の用で来たんだ? 」

 

「ああ、そうだったな。信奈様がナヨを呼んでいる。すぐに来て欲しいとの事だ」

 

 

 どうやら信奈が俺を呼んでるらしい。理由は不明。

 何の用だろうか? まさか信奈にまでソーダと唐揚げの事が……? いや、それは無いか。

 

「まあ行ってみれば分かることだな。それじゃ行くか、勝家」

 

「ああ、そうだな」

 

 

 俺たちは清州城に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、君が姉上に足軽に志願しに行ったという、ナヨ君だね」

 

「いえ、人違いです」

 

 信奈のいる城に行こうと移動していると、団子屋に座っていたショタ野郎に声を掛けられた。何人もの美少女を連れて。……チクショウめ!!

 

「いやいや、人違いでは無いだろう? そんな変な格好した者なんて他にいないよ」

 

「……」

 

「な、何故信勝様がここに? 」

 

 

 勝家が驚いた様にそのショタ、信勝に聞く。

 ふむ、信勝と言うのか。信奈の弟か何かだろう、多分。

 ……というかやっぱり変な格好なのか。

 結構気に入っていたんだけどな、この格好。

 まあ確かにジャージズボンに学ランは合わないか。多分。

 というか足軽って何の話だ? 俺は同盟を申し込んだはずでは?

 勝家に目配せするが、彼女はどうやら知らない様だった。

 ショタは話を続ける。

 

 

「ああ、姉上が珍しく人を拾ってきたからどんな物かと思って見にきたんだ。でもどうやらたいした事無さそうね。

 ま、うつけの姉様も見る目が無かったことだね。はははっ」

 

「自分の姉をうつけ呼ばわり、か」

 

「そうだよ、姉上はうつけさ。

 君は知らないと思うけど、姉上は父上の葬儀の時にあのうつけの格好で現れて、抹香をワシ掴みそて父上の仏前に叩きつけたんだよ。

 うつけと呼ばない方がおかしいよ」

 

「……」

 

「それに母上だって小さい頃から姉上をうつけだって疎んじてたしね。やっぱり姉上はうつけなんだよ」

 

 

 信勝はそれを大変嬉しそうに話す。

 まるで自分は姉よりも優秀であるとでも言う様に。

 その姿に俺は、怒りなんかの感情よりも先に哀れみの感情が出てきた。

 (信勝)彼女(信奈)も、どちらも時代の流れの被害者なのだ、と。

 

 彼女(信奈)は生まれる時代を間違えてしまった、彼女は天才すぎる故に疎まれしまったのだ。

 例えばだが、幾つもの理論を確認出来た上で出た理論を発表しても、その前段階の理論を理解できてない者には理解できない。

 人は理解できない物に恐怖する。

 例えば数学の問題でとある公式を使わないと解けない問題があったとする。

 しかしその公式を知らない者は当然解けない。解けない者がそこで思うのが、この問題嫌い、といったものだろう。

 そしてその問題は難しいという一部だけが世界に浸透してしまうと、そういった問題の内容を知らない者にすら嫌われてしまう、といった状態になるのだ。

 

 今、この戦国時代にはこれと同じ状態が発生している。

 信奈は天才である故に他人からうつけ呼ばわりされる。そしてその周りの影響を受けてしまい、目の前にいるコイツも姉はうつけだと勘違いしてしまっている。

 ……可哀想な事だが、こんな事が起こってしまっているのも事実。時代問わず、こう言った事に対する教育をしっかりしておくべきだと俺は思う。

 

 

「っふ、まあ何を言っても無駄だな。理解出来ない者には出来ない」

 

 

 事実、その通りだ。

 何が正しいかなんてのはその時その時には分からない。それを強制して植え込むなんて事は許されない。

 俺たち人間にはいや、神にすらソレは許されないだろう。俺たちは集団意識体ではないのだから。

 というかずーっと考え事をしていたが、なんか睨まれている様な……?

 いつの間にか俺は美少女に(刀を向けられながら)囲まれていた。

 

 

「おい、何やってんだ? 」

 

「……も……ぅ…」

 

「何だって?」

 

 

 俺の目の前のコイツは、下を俯き、プルプルと震えていた。その手は少し力んでいる様に見える。

 そして少年は俺に言う。いや、怒鳴りつけたといった表現が正しい。

 

 

「……君も父上と同じ事をいうんだろ!! 

 姉上の方が優秀? お前は天下を取る器ではない? ふざけるなよ!! 

 姉上はうつけなんだろう? なのになんで姉上の方が優秀だって言うんだよ!!! 」

 

 

 信勝は何故かは分からないが、怒っているようだ。

 だが怒っていると言っても半ば混乱状態のようだがな。

 今は亡き父の話まで出てきている。

 そんな信勝を収めようと勝家が話しかけたが……

 

 

「の、信勝さま——」

 

「うるさい!! 

 ……ははっ、そうだよ。なにが天才だよ。やっぱりうつけだよ。

 姉上は先の戦で一度全滅させられそうになったというじゃないか。天才ならばそんな事にはならないはずさ……。

 ははっ、ははは……」

 

 

 当然収まりはしない。

 その代わりにドンドン変な方向へ曲がってしまった気がする。

 ポケ◯ンで言えば、混乱、と言った所か。

 しかしこれ以上混乱させたままなのはマズイかもな。更に変な方向へ行きかねん。仕方ない。

 俺は信勝の方へ歩みを進める。

 

 

「なっ、何をする気だ! く、くるなぁあ!!!」

 

 

 俺が近づいた事に恐怖し、後退する信勝。

 その姿を見てニヤリと笑いが収まらなってしまうが、俺はそれを無理やり抑え込む。——後の俺は、この時から既に狂っていたと理解するが、それはまた別の話だ。

 そして取り巻きが俺を信勝に近づけまいとその刀の矛先を俺に向ける。

 が、そんな物は無視して奥へ進む。

 そして勝家の目の前についた所で腰からSOS(ソードオフショットガン)を取り出し、信勝の腹当て、その弾丸を射出——

 

 

 ——グサリ

 

 

 する前に、そんな何かが刺さった鈍い音がでた。

 発信源は俺の左腕の二の腕からのようで、原因は先程の取り巻きの一人が刀を突き刺したから、だった。

 痛みが身体中を駆け巡る。

 俺の腕が、脳が、身体が早く腕に処置を施せと命令しているのが分かる。

 が、あえて俺はそれを無視する。

 俺は今、自分の意思でやりたい事を見つけたのだ。コレが記念すべき第一回、ミスする訳にはいかない。

 それがなんなのかはよく分からない。俺が何を考えているかも分からない。そして俺が何をしているかも分からない。

 そして全ての感覚、意識が俺と離れたのは、どうやら信勝を撃ってかららしかった。

 俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん? もう夜か。……二度寝でもしよう」

 

 

 俺が起きた頃にはお月様が昇っていた。

 何故城に向かったはずなのに自宅にいるのかとか疑問もあるが、とりあえず二度寝。

 という事で就寝した。

 

 

「なに勝手に二度寝してんの、よ!!」

 

「ぐはっ…」

 

 

 ……永遠に。まあ嘘だけれども。

 二度寝しようとした俺の顔にドロップキックが炸裂。二度寝は失敗しました。

 俺は起き上がりソレを食らわせた犯人を探そうと周りを探すが……そこには信奈がいた。

 

 

「どうしたんだ信奈。お前もソーダと唐揚げか?」

 

「は? 何それ? というよりナヨ、あんたなんて事をしてくれたのよ!! 」

 

「……何が? 」

 

 

 突如信奈にそう告げられる。

 正直言って何をしたか検討つかない。

 俺がやった事と言えば兵士量産と食料生成だけ……。あ! あいつらにソーダと唐揚げやるの忘れてた!

 そんなどうでもいい事を考えていると、信奈は驚愕の事実を述べる。

 

 

「あんたのせいで信勝が謀反を起こしたのよ!!」

 

「……はい? 」

 

 

 俺は思考が停止した。

 

 

 

 

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