イカれ軍人どもの戦国ネーションズ!   作:サンドワーム愛好家

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 なんかドンドン主人公が悪者に見えてきた……



一番悪い奴

 

 

 

 さて、という事で早速目的地へ着いた。

 なに、早すぎるだと? 確かにそうかもしれない。まずこのバイクの速度がおかしいからな。

 このバイクは元々、車両工場で製造する偵察バイクを解体した物だ。解体すると言うのは単品で使用する為のものだったらしい。

 そしてソレをゾーイが改装という名の改造を行った訳だ。その結果、超速くなった。

 まず元々のバイクの装甲を極限まで剥ぎ、エンジンを高性能なモノに換装。このエンジンはレーザー技術とかプラズマ技術を使ってるらしいが、よく分からん。

 で、この状態で走ると最高で500k/m出るらしい。その代わりかなり脆く、流れ弾にでも当たると即解体される。どこのフラジールだ。

 そしてオプションとして後部座席と兵器ハンガーを増設可能。このどちらかを設置できる。

 後部座席はさっき信奈が座ってた場所だ。特に言うものはない。兵器ハンガーの方は迫撃砲やマシンガン、ガトリングガンを格納出来る。流石にレーザーガトリング等大きすぎるのは無理だった。

 と言うわけでクソ()いわけだな。初めて乗ったが結構なスピードが出た。正直楽しかった。

 

 

「ね、ねえナヨ、無線とかは別に良いから私にコレくれない⁉︎」

 

「いや、無理だろ。流石に」

 

 

 俺がそう言うとブゥー、と言ってあっかんべーしてた。どうやらコイツもスピード狂だったらしい。

 

 

「あ、あの…この方達は一体……?」

 

 

 そう言ってピンクリボン(名前は丹羽長秀という)が近づいてきた。

 そして彼女が指す方向には早速迫撃砲を組み始めている迫撃砲チームがいた。

 

 

「ああ、彼らが今回の謀反を解決してくれる助っ人だ。コレで謀反は終わるだろうな」

 

「ほ、本当ですか……?」

 

 

 長秀は驚いたような口調でそう言ったが、どうやらまだ信じられていないようだった。

 それに視線をずらした時にチラッと見える目が鋭いのが確認出来たしな。

 少しは注意をしていた方が良いか?

 

 

「大尉、迫撃砲の準備が出来ました」

 

「ああ、ご苦労。指示があるまで待機していてくれ」

 

「了解です」

 

 

 さてと、迫撃砲の準備もできた事だし、早速やるとするかな。

 

 

「では丹羽さん、私達の闘いぶり、とくとご覧あれ」

 

「ええ、是非拝見させて貰いますよ。神さん」

 

「では……迫撃砲チーム、全弾発射! まんべんなく撃てよ!!」

 

「「「了解です!!」」」

 

 

 そして各砲から円筒状の弾頭が射出される。

 射出された弾頭は放物線を描きながら飛んでいき、門を越えて敵陣内部に着弾する 。中はどうなっているかは分からない。

 それでも次弾は撃つ。こうする事で俺たちの力を織田に見せつける事が出来るからだ。

 迫撃砲チームは次弾装填の準備を進める。そして装填されれば即撃つ。

 装填、撃つ、装填、撃つを数回繰り返した頃、各所から報告が出てきた。

 

 

「大尉、全弾撃ち終わりました!」

 

「こちらもです!」

 

 

 どうやら全弾撃ち切ったらしい。恐らく全員制圧できたとは思うがどうだろうか?

 まあしばらく待とう。ガス抜きをしなければならない。

 

 

「神さん、先ほどの大砲はなんですか⁉︎ あんなに小さな大砲なのにあそこまで威力が出るとは驚きです! 70点」

 

「ナヨ、それは私も同感だわ。さっきの乗り物といい、コレといい、あんたは何者なの?」

 

 

 どうやら二人は色々な意味で驚いているらしい。

 まあ確かに戦国時代の人にとっては驚くべき技術かもしれないけどさ。ソレを軽々しく喋っちゃったらダメだろ。せっかくのアドバンテージが無くなっちまう。

 

 

「信奈、悪いがその質問には答えられない。いつ情報が漏れるか分からないからな。

 それよりも信奈、突入部隊を出せ。恐らく今頃中の奴らは全員意識が飛んでるはずだからな」

 

「……分かったわ。でもいつか必ず話すのよ」

 

「へいへい」

 

「はぁ、全くもう……全軍、出撃!」

 

 

 そして信奈の兵士達はどんどん門内に突入していく。勿論俺たちもその後をついて行った。

 

 

 

 中は酷いものだった。沢山の武装した兵士地面に倒れ込んでいるのだ。どこのゾンビ映画だよ。

 更にそこら中に松明? が倒れていた。そしてその松明に俺は少し驚いた。

 恐らくパニックを起こした兵士が倒したものであるとは分かったが、その際の火は消えないハズだ。つまり燃え移る。

 だがここにある松明全てに明かりはなく、暗かった。立っている物も、倒れた物も。

 後にゾーイに聞いてみると、睡眠弾が搔き消したんじゃないかとの事だった。ガス噴射しているんだから消えるどころか火の威力増すと思うんだがな。ここら辺はよく分からない。

 

 

「大尉、どうやら意識がある者はいないようです」

 

「そうか。では引き続き砦内部を捜索するぞ」

 

「了解です」

 

 

 それから数分後、高見台(?)の中で眠っている信勝と大男が二人が見つかった。

 彼らは信奈の兵に速攻で連れて行かれた為俺はそこから先はしらない。

 勝家に関しては門の前に整列してたであろう兵士たちと共に倒れていた。命に別状はないようだった。

 ん? 俺? 制圧できたの確認できたら速攻で自宅に戻ったよ。

 だって犬千代がコッチをずっと睨みつけてるんだもん、絶対ソーダと唐揚げの事怒ってたよ。

 という訳で速攻で帰ってねねも呼んでソーダを周りに振舞ってました。はい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日になった。

 俺は今清州城に来ている。信奈に集会に呼ばれたからだ。題材は……

 

 

「……信勝は、切腹」

 

「ぇえ⁉︎ 嫌ですよ姉上! そんな痛そうな死に方!」

 

 

 信勝の今回の不始末をどうするか、だ。

 目の前に信奈、両サイドにはずらーっと沢山の家臣がいる中、震えている信勝の唯一の味方は勝家だけだった。

 勝家は白装束で登場した。

 彼女は最初、自分が信勝の身代りになつから信勝を許してくれと言っていたが、当然却下。

 その理由として勝家抜きで今川とどう戦うのか、というものが挙げられていた。が、まあ心の奥底では友人を失いたくないと言うものも含まれているだと俺は思う。

 

 

「そう……なら私が斬るわ」

 

 

 信奈はその手に握る太刀を抜きながら信勝に近づいていく。信勝がそれに怯えているようだった。

 信奈がついに信勝の目の前に降り立つ。

 そしてその手に握る太刀を振り上げ、信勝の首を撥ねようと刀を振り下ろ——

 

 

「ハハハッ、アウトDA!」

 

 

 ——す前に俺が信奈の顔めがけてランチャーをぶちかます。

 たった今撃たれた信奈の顔には真っ白いクリームがベタァと張り付いており、顔全体を包み込んでいた。

 その瞬間は周りの時間が止まったかのように静かだった。

 

 

「やったぜ」

 

「何がやったぜ、なの、っよ!」

 

「ぐへぇ……」

 

 

 静かだったのが、俺が一言喋ると今度は信奈が顔面ドロップキックを炸裂させる。顔面狙った事を根に持ってんのかよ。

 

 

「いきなり何すんのよ!」

 

「何ってパイランチャーぶちかましただけですが?」

 

「何でよ! 何で邪魔するのよ!」

 

 

 そう叫ぶ信奈の目には涙が溜まっていたのが見えた。

 やはり弟を殺すのは信奈も嫌らしい。全く、嫌なら嫌と言えばいいのにな。

 俺は信奈の肩を掴む。

 

 

「なあ信奈、お前信勝殺す事嫌だろ?」

 

「……」

 

「嫌なら嫌で良いんだぜ? どうせ殺した所で尾張は滅ぶしな」

 

「……!」

 

「貴様ァ! それはどういう意味だ!!」

 

 

 俺がそう言った途端信奈は目を見開き、周りの家臣達は立ち上がり刀を抜こうとする。どうやら標的は俺らしい。

 まあこの対応も分かるけどな。いきなり国が滅ぶ何て言われりゃそうなるだろう。……だが、事実だ。

 

 

「信奈、俺が昨日長屋で言ったこと覚えてるか? 弟を殺せばお前は狂ってしまうって奴」

 

「……ええ、覚えているわ」

 

「だったら何故弟を殺そうとする?」

 

 

 俺は信奈の目を見て問いかける。

 その目には、苦しそうな表情が見て取れた。

 

 

「……身内の一つも纏められないで、天下なんて言えると思う?」

 

「……なに?」

 

「皆もよく聞きなさい。私は天下を取るわ! だから天下を取る為私は逆らった者は家族だったとしても殺すわ!

 それが天下の為、人の為よ!」

 

 

 そう、血迷った目で高らかに宣言する。

 まあ天下を取る為だけだったらそれは効果的だろうな。凄いスピードで進軍できるだろう。

 だが……できるのは天下を取れるだけだ。

 

 

「信奈、お前は間違っている」

 

「……どういう意味?」

 

「お前は何の為に天下を取るんだ?」

 

「そんなの、民の暮らしを豊かにしたいからに決まってるじゃない!」

 

「じゃあ何故その民を苦しめながらも天下を取ろうとする? そんなの、本末転倒ではないのか?」

 

「……!」

 

 

 どうやら気付いてなかったらしい。信奈は目を見開いている。

 結局、信奈は天下を取る事のみに集中し過ぎていたみたいだな。天才であるが故に大切な所を見落としていた、と言ったところかな。

 

 

「……じゃあ、どうしろっていうのよ! ここで許したら身内だから許したって事が広まるわ!

 そんなの、家臣に示しがつかないじゃない!」

 

 

 信奈は涙を流しながら叫ぶ。じゃあどうすれば良いのだ、と。

 っていうか今思ったんだけど、俺は信奈を泣かしてばっかじゃね? 俺超悪いやつじゃん。まあ良いけど。

 それはともかく、先程の問いに回答などはない。それに俺から言わせてみれば、死ぬというのは"逃げ"だ。

 

 

「俺がいつも思ってることがある。なぜ戦国に生きる者達はミスをした場合、死ねば許されると思っているのか、ってな」

 

「何だと……!」

 

 

 織田家の一人が今にも俺を殺そうとでも言うような血相で睨みつけてくる。怖いのでやめてください。

 

 

「いや、実際そうだろ?

 例えばこの中の家臣の一人が情報をペラペラ喋っていたとする。ソレを城内に忍び込んでいた敵国の忍者に聞き取られていたら? 多分お前らはそこで切腹する、とか言い出すんだろ?」

 

「当たり前だ! そんな事をしでかしたのだから死んで詫びて当然だろう!」

 

 

 さっきの顔の怖い家臣が怒鳴る。

 まあ、確かに忠義を示すには良い方法とは思うけどな。

 でも、それではダメだ。

 

 

「そこで死んでどうする? 死んだら全て終わりなのか?

 否! 終わりではない。盗まれた情報をどうするか、または知られた上でどう行動するかを考えねばならない! そしてそれら全部は結局、残された者達がやるのだ。やらかして死んだ者は何もしない。これってつまり、"逃げ"だとは思わないか?」

 

「……」

 

 

 さっきの威勢の良い家臣は黙り込んでしまう。勿論、隣にいる信奈もだ。

 さて、畳み掛けるとしよう。

 

 

「そこでだ、今回の件は俺に任せてくれないか?」

 

「どういう事?」

 

「コイツを兵士として訓練する」

 

「ぇえ⁉︎」

 

 後ろにいた信勝がそんな声をあげた。

 目の前の信奈も驚いているらしい。はぁ⁉︎ みたいな顔をしている。

 

 

「お前らはコイツに罰を与えたいんだろ? だったら俺たちが戦士として鍛えてやるよ。

 どうせコイツは肉体労働はしてないお坊ちゃんだろ? だったらそんなお坊ちゃんにとってクソ辛い訓練は相当な罰に当たるはずだ。

 訓練が終わればお前らの好きにして良い。討ち死覚悟で特攻させたって、強制労働させたっていい。お前らの好きにしろ。

 どうだ、これなら貴様らのいう「詫び」にもなるんじゃないか? なんて言ったって、死に物狂いでお前らの為に訓練するんだからな」

 

「「「……」」」

 

 

 どうやら反論はないらしい。顔の怖い家臣君はうぅむ、と黙り込んでいるしな。

 ……というより信奈の顔色が優れない。やはり弟にキツイ訓練を施すってのが心配なんだろうか?

 少しだけフォローしとこう。

 

 

「安心しろ、信奈。俺たちがやるのはあくまで訓練だ。死ぬほど辛いのは用意しない。

 それにコレは信勝の為でもあるんだ」

 

「信勝の……ため?」

 

「ああ、そうだ。少し可哀想な気もするが、正直言って彼は弱い。年の事も考えると仕方ない気もするが、そんな甘い事は言ってられない。

 言いたくはないが、もしも信勝が敵に狙われたらどうする? 言っておくが護衛対象のいる中での戦闘ほど厳しいものはないぞ。

 つまり今回の訓練は信勝自身の生存率を上げる趣旨も含んでいる。まあ一応、信奈の不安の種を一つでも摘み取ろうとのもあるんだぜ?」

 

「……分かったわ。好きにして」

 

「了解。好きにさせて貰います」

 

 

 さてと、姫様のお許しも出た事だし、早速訓練でもしようかな。っと、その前に

 

 

「信勝、お前は今から名を改めろ。軽く誠意を見せて置け」

 

「あ、あのぉ〜。その訓練ってやらないとダメですか……?」

 

「当たり前だろう。ほら、早く」

 

 全く、今までの話を聞いていなかったのか? ……いや、信じたくなかっただけか。

 というか思ったんだけど、俺結構悪いやつだよな。ゴリ押しもしてる気がするし。

 

 

「うぅ……姉上、今日から僕は『津田 信澄』と名乗る事にします。うぅっ……」

 

 

 ああ、やっぱり俺超悪いやつだな。泣きたくなってきた。

 俺は逃げるように新たな仲間『信澄』を連れてそこを後にした。別に逃げたわけでは無い。そういう事にしておく。

 

 

 

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