イカれ軍人どもの戦国ネーションズ!   作:サンドワーム愛好家

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ガスマスク信澄

「……ナヨ、そーだ頂戴」

 

「へいへい、冷蔵庫の中に入ってるから持ってっていいぞ」

 

 

 今日も犬千代がソーダの回収に来る。ホント、犬千代がソーダのハマったようで何よりです。僕に収入は全く入ってきませんが。

 さて、俺は今、自宅で食料を絶賛生産中だ。

 最近はソーダをストックしておく冷蔵庫が足りなくなってるきたので、現在家には冷蔵庫が4つもある。多い。

 

 

「……ねえナヨ、唐揚げは?」

 

「ああ、唐揚げだったら2番の床下の保温器に入ってるよ。好きなだけ持ってけ」

 

 

 犬千代は保温器から唐揚げを10個ほど持って行って出て行ってしまった。くそ、俺の12時間分の苦労が! ……まあいいけど。

 実は今、俺の家は大改造を施してある。原因はあの犬千代達のせいだ。

 あいつらが毎回ソーダと唐揚げを回収に来るせいで毎日製造しているんだよ。今の俺は食料生産が主な仕事になってしまっている。くそったれ。

 

 ん? 冷蔵庫はどうしたんだって? 勿論ゾーイに作って貰いました。

 電力はは家の裏に置いてある、電気を作るデカイ機械から供給している。因みにコイツの燃料は有り余っている石油だ。ホント石油消費しにくくて困ってたから助かったよ。

 冷蔵庫はだいたいソーダが20本位入るサイズだ。因みにどの冷蔵庫もソーダしか入ってない。

 保温器は全部床下に置いてある。畳を剥がして増設した。2番と3番、5番が保温器だ。

 というかこの自宅が半分腐ってたので基地からコンクリと製材持ってきた改修した。勿論仕事はゾーイに任せました。

 床下1番にはオートミール用の保管庫がある。このオートミールを主食にしているため、取りやすいよう畳には取っ手が取り付けられている。

 床下4番には何も入っていない。空っぽだ。何を入れるべきだろうか?

 

 

「ナヨはいるか?」

 

「……ん?」

 

 

 今度は勝家が入ってきた。

 またソーダと唐揚げだろうか。まあ幾ら取られてもストックは大量にあるのでいいけど。

 

 

「良かった、家にちゃんといたようで」

 

「ああ、大体俺はいつもここにいるぞ。で、何の用だ?」

 

「ああ、実は信奈様が……」

 

「あんなとこなんか生きたかねぇ!」

 

 

 いや、結構真面目に。

 前回のお家騒動の時に信勝いや、今は信澄か。信澄に絡まれてから俺は外にあんまり出なくなった。

 何故かは知らんが、外出すると必ず絡まれるようになってしまったからだ。ホント何でだろう?

 具体的には、お侍さん達に1対5のVSマッチを申し込まれる、落とし穴を仕掛けられる、ドラクエのスライムにタックルをかまされる 等々、方法は様々だ。

 というかなんでスライムがここにいるんだ。もしかしてゾーイ達、ついに生物兵器にまで手を出し始めたのか……?

 

 

「……お願い、ナヨ」

 

「ファッ⁉︎ ……おい犬千代! いい加減後ろから驚かすのやめろよ⁉︎」

 

「……嫌」

 

 

 このやろう……! と内心イラついてきた俺。この恨みはどこに八つ当たりしてやろうか?

 そして、視線をずらした先には勝家が。……いい事思いついた。

 

 

「これから毎日女体を見ようぜ?」

 

「え?」

 

「という事で俺を連れて行きたければこれから毎日勝家の女体を……うがっ⁉︎」

 

「……ナヨの、アホっ!」

 

 

 そんな声と共に俺の視界は突如ブラックアウト!

 その拍子に転倒した俺にさらなる追い打ちとして腹に膝蹴りが炸裂!

 そしてトドメに後頭部に肘の様な部位が勢いよく直撃する! 俺の意識はここの時点でほぼ無くなっていった……。

 

 

「……勝家、一発殴っといて」

 

「え? ……分かった」

 

 

 ……その勝家の声を最後に、俺の意識は完全シャットアウトしたとさ。めだたし、めでたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……と、言うわけで信奈。これから毎日お前の女体を見せてくれ」

 

「開口一番がそれって、どういう事、っよ!」

 

 

 信奈の会心の跳び蹴りが俺の顔面に炸裂する。

 寝ぼけている俺にそれは当然避けれるはずは無く、ガッツリ受けてしまった。

 

 

「ぐふぅ…… の、信奈……、寝起きでドロップキックは流石にキツいぜ……」

 

「うるさいわね!」

 

「あぎゃ⁉︎」

 

 

 今度は顔面に踏みつけが繰り出される!

 じん には こうかがばつぐん のようだ!

 ……というか結構痛い。

 

 

「全く、せっかく病人として扱ってあげたっていうのに……」

 

「へえ、凄いですねっ♪」

 

「うるさいっ!」

 

 またもや信奈のドロップキックが俺に向かって飛んでくる!

 だがしかし!

 

 

「とぅっ! そのドロップキックを何度も食らう俺ではないわ!」

 

 

 俺はその蹴りをバックステップでひらりとかわす。

 っふ、帝国式訓練はここで生きたわけさ!

 

 

「……えい」

 

「がめおべらっ⁉︎」

 

 

 ……しかし避けた先には犬千代が既にスタンバイ。その手には何故か棍棒が握られていた。

 その後後頭部に衝撃がきた俺は、二度目のブラックアウトを体験しましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は和室で目が覚めた。どうやら知らない天井のようだ。

 それにしても、さっきのは夢か。信奈のドロップキックといい、犬千代の武器の振りかざし方といい、やけにリアルな夢だったなぁ。

 よし、ここは恒例のアレを言おう!

 

 

「……なんだぁ、さっきのは夢か」

 

「夢じゃないわよ!」

 

「……夢じゃない」

 

 

 その二人の美少女の声と共に俺の顔面に二つの野球ボールが直撃した。超痛い。

 

 

「……なんで野球ボールをお前らが持ってんだよ」

 

「そんなの拾ってきたからに決まってるじゃない」

 

「……同じく」

 

 

 くそっ、信奈の奴しれっと言いやがるトコがムカつくぜ。

 というか何故お前ら戦国人が野球ボール知ってんだよ。俺にとってはそこが一番の謎だよ。

 

 

「ナヨ、あんたが私に無礼な寝言を言った事はこの際許すわ。それよりも至急広間に来て頂戴。重要な事を話したいの」

 

 

 ふむ、重要な事ね。なんだろね。

 重要な事とは何かという疑問と同時にイタズラ心が何故か芽を出し始めた俺。

 では、早速ふざける事にする。

 

 

「重要な事? なんだ、ついに信奈も俺の嫁となってくれる事を決めてくれたんだな。良かった良かった」

 

 

 

 結婚ネタで早速信奈をバカにする事にした俺。

 勿論反撃された際のプランもバッチリDA! 

 信奈がドロップキックを繰り出したら右方向へローリング、その後バックステップで後退し付近にあるちゃぶ台見たいな奴をひっくり返しシールドとして展開する。どうです? 素晴らしいでしょう?

 

 しかしいつまで待っても何故かドロップキックが来なかった。

 ……遅いな、ドロップキック。いつもならここら辺で……。あ、あれ⁉︎

 視線の先を信奈に戻すとそこには鬼の血相をした信奈が何故か(・・・)居らず、頬を赤く染めている彼女がいた。その手はわなわなと荒ぶっていた。

 ……プランD、所謂ピンチですね。ネタとして受け取ってもらえなかった様です。どう対応すれば良いのですか?

 信奈は視線をふわふわと逸らしながら言う。

 

「け、けけけ、結婚とかはやっぱりまだ早いと思うの! こ、こういうのには順序ってものがあって……」

 

 

 どうやらいきなりの事で混乱しているらしい。噛みまくりDA!

 というか俺、こういう雰囲気になると逃げたくなるんだよな。……適当にネタを流しておけば回避できるか?

 俺は今後の方針をとりあえず決めた。

 

 

「だ、だから結婚はまだ早いと思うわ。私が好きっていうのは……」

 

「うん、大好きSA!」

 

「えっ⁉︎ で、でも周りも反対……」

 

「気にするな!」

 

 

 ネタでこの場を笑いの場に変えようとスタンバイしていたが、どうやら逆効果だったらしい。用意していたセリフが丁度良い感じに被りやがるから抜け出せない……。くそったれ。

 でもどうやって抜け出そうか。事前に用意していたセリフを言うだけだとさっきみたいに良い感じになっちゃう可能性があるから却下だな。どうするべきか……。

 そんな時、廊下の方から足音が聞こえてきた。

 

 

「大尉〜、長屋の方にいなかったのでこっちに来ました〜。早く今日の分のソーダを……あ、姉上! お久しぶりです!」

 

 

 そこに現れたのは子供サイズの緑コートを羽織るガスマスクだった。そして彼がお辞儀した先にいるのは信奈だ。

 信奈は当然混乱する。

 

 

「え? も、もしかして信澄……?」

 

「そうです! 姉上! 津田信澄です!」

 

 

 そう、彼は俺が数週間前に仮説基地に置いてきた信澄だ。普段はあっちの方で訓練をして貰っている。

 結構様になったもんだよ、信澄も。

 最初は、こんな重たいの無理ィ! 、なんて言って訓練なんてロクに出来なかったのに、今ではケロッとした顔でやれるんだからな。マジで超速成長だよ。

 ……まあモーガンに色々とやられたそうだけれども。詳しいことはしらない。知りたくもない。

 

 

「それで信澄、今日は一体どうしたんだ?」

 

「ああ、そうでした。実は今日、久しぶりの訓練休みなんですよ。なので大尉の所にでも来ようかと思い来たんですが……迷惑でしたか?」

 

「いやいや、ナイスタイミングだったぞ。ありがとう」

 

「……?」

 

 

 信澄は腕を組みながら首を傾げる。

 まあ本人からすれば普通に来ただけだと思うのけどな。俺からすれば救援ポットが到着した様なもんだ。マジサンキュー。

 

 

「あ、そうそう。信奈、お前確か大事な話があるとか言ってなかったか? そっちは大丈夫なのか?」

 

「……あ」

 

 

 ぽかーん、とした表情で呟いた。

 

「マジですか。だったら早く行こうぜ、ほい」

 

 

 俺は信奈と信澄の手を握る。後ろを売り向くと困惑している信奈とグッジョブしてる信澄が!

 今からやる事を思うと、ニヤァ、と少し笑みが漏れてしまう。

 

 

「じゃ、久しぶりにアレやるか! 信澄!」

 

「良いですね、大尉。久しぶりに良い(かぜ)浴びたいです!」

 

「アレ……? 浴びる……?」

 

 

 俺はスタートランニングの構えもどきをとる。そして十分に筋肉が引き締まったのを確認すると、一気に解放する。

 

 

「——じゃ、行くぜ」

 

 

 ——俺は全速力で広間を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……。は、速すぎよ、あんた……」

 

「そりゃどうも。毎度人力ジェットコースターにご乗車いただき、ありがとうございまーす」

 

「大尉、久しぶりにしていただきありがとうございます! 楽しかったです!」

 

 

 そう言ってガスマスクを外し、ピカッ! と輝く笑顔を見せてくる信澄。……うぅ、汚れた俺には眩しすぎる!

 そして、そんな俺たちの会話を見て一人の人物が乱入してくる。

 

 

「の、信勝様……?」

 

「あ、勝家! 久しぶりだね! あ、それと今の僕は信勝じゃないよ、信澄だからね!」

 

 

 そう言ってまたもやキラッ! とした笑顔を見せる信澄。なんか超爽やかになった気がする。

 

 

「あ、信澄グミ食べる? あと一袋あるからやろうと思うんだけど」

 

「え! 良いんですか! じゃあありがたく頂戴しま——」

 

 

 俺は信澄に懐から取り出したグミを渡そうと手を差し出したその時、「おっほん!」というピンクリボンのせきこみで中断させられてしまった。

 ……なんか悪い事したか?

 少し心配し始めていると、

 

 

「全く、貴方達は主君の前で何をやっているんですか! 少しは落ち着きを持ってください。30点です」

 

「いや、でもですねピンクリボ……丹波さん。信奈だってちゃっかりグミ食っているぜ?」

 

「……え?」

 

 

 俺が指差す方向には袋から何個ものグミワームを取り出して食べている信奈の姿があった。

 信奈は見られている事に気がつくと持っているグミの袋を急いで後ろに隠した。

 その姿にやれやれ、と頭を振るピンクリボンは俺に振り向き

 

 

「それでもです。主君に前で下の者がそんなそそをして良いとお思いですか? 20点」

 

 

 どんどん点数が下がっていく俺。なんか悲しくなってきた。

 というか今思ったんだけどこいつらなんか勘違いしてね? 信澄の時もそうだったけど、絶対こいつら俺の事足軽かなんかだと思ってるよな?

俺はその事を問いかける事にした。

 

 

「なあ丹波さん。あんた俺の事なんだと思ってる?」

 

「何って足軽でしょう? そんな事も忘れたのですか? 10点です」

 

「……信奈は?」

 

「あんたは足軽でしょ? 何言ってるの?」

 

「もうやだこいつら」

 

 

 あまりの対応に嫌になってきた。

 なんで最初は同盟を組む、って話だったのにいつの間にか足軽に志願してた話になってんだよ。おかしいだろ、どんな記憶違いだよ。

 半ばイラついていた俺だったが、そんな俺にまさかの方向から援護射撃が届いた。

 

 

「万千代、お前達は何を言っているんだ? ナヨとは同盟を結んだはずじゃないのか?」

 

「「え? ……あ」」

 

 

 二人は勝家から指摘されるとどうやら思い出したようだ。

 というかまさかの勝家ちゃんからである。一番忘れてそうだったけど、覚えていてくれたようだ。勝家ちゃんまじ天使。

 

 

「まあ、別に今はそれはどうでも良いだろう。それよりも早く重要な話とやらを話してくれないか?」

 

「そ、そうね! 早速進めましょう!」

 

 

 信奈は何故かテンション高めだった。多分俺の事足軽だと思ってた事を無かった事にしたいんだろう。泣けるぜ。

 数回深呼吸し、落ち着きを取り戻した信奈は言う。

 

 

「美濃の蝮が会見を持ち掛けてきたわ」

 

 

 それは、ここにいる家臣を驚かせるには十分の代物であったらしい。

 まあ俺歴史全然知らないから、ふ〜ん、って感じですけどね。

 

 

 

 

 

 

 




 話に入るまでが長ぇ……
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