悪役令嬢に転生したけど物理で世界最強になった件   作:Rosen 13

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今回は上中下で分割します。


幼女とメイドのぶらり街巡り 上

「ふおおおお! スッゲー! スッゲーよ姉ちゃん!さ っきのどうやったの!? 俺にもできる?」

 

(やばいやばいやばい! やっちまったよ! 何でこのイベントのこと忘れてたんだ私は〜!)

 

 目をキラキラさせる一人の少年に私は笑顔を浮かべながら内心ではパニクっていた。

 

 この少年の正体はランドルフ・ハインケス。『トキメキ学院』の攻略対象者である騎士団長子息だ。

 ゲームだと騎士を志す無骨な体育会系男子という設定だが、ゲーム内での言動を見る限りただの脳筋でしかなかった。

 

 当初ヒロインには心を開かなかったが、ヒロインの優しさに触れて次第に心を開いていく。最後は何の落ち度もない婚約者と婚約破棄してヒロインと結ばれるというエンド。正直婚約者が可哀想だし、なによりまっっったく関係ないカサンドラが気づいたら処刑されていたのは納得できない。関係ないんだから出さなきゃいいのに、何故か最後にカサンドラが処刑されたことが書かれていた。悪事はしただろうけど、このルートに限ってはヒロインにすら関わってないんだよ。制作側はどんだけカサンドラが嫌いなんだ。

 

 おっと話がズレてしまった。そんな脳筋なランドルフだが元はごく普通の貴族子息だった。そんな彼が脳筋になってしまったのは幼少期に街中で誘拐事件に巻き込まれたからだ。

 

(でもよりによって、レーニャとお忍びで街に来てるときに出くわすのかなあ)

 

 

 

 話は昨日に遡る。

 

「ねえレーニャ」

「何でしょうかお嬢様」

「明日って何か予定があったかしら?」

「幽閉されてるお嬢様に予定なんてありましたか?」

 

(´・ω・`)

 

 そう返されるとは思わなかったよ……いや事実だけど。適度な筋トレと自主的にしてる勉強以外めっちゃ暇だもん。

 でも、いつからこの子はこんなに毒吐くようになったんだろう。なんか哀しい。

 

「なら明日街に行かない?」

「はい?」

 

 キョトンとするレーニャ可愛い……じゃなくて!

 

「だーかーらー! 明日街に行ってみない? もちろんお忍びで」

「急にどうしたんです。また何か思いついたんですか?」

「いやあ、私って生まれた時から屋敷から出ていないじゃない? だから街の様子とか気になって……」

「あ〜、そういうことですか〜。大人びていてもお嬢様はまだまだ子供でしたね〜」

 

(なんだかんだ言ってお嬢様からこういう我儘が言うのは初めてですね)

 

「むう……」

 

 何を考えてるのか分からないけど、によによしてるレーニャからの視線が生温かくて物凄く恥ずかしい。

 

「……お嬢様の赤面上目遣い(しかも若干涙目)ですと……や、やばいです〜……」

 

 えっ!? 急にレーニャが大人しくなったと思ったら、今度はワナワナし始めたんですけど。なんか身の危険を感じる……

 

「もう限界です! やーん! もうお嬢様ったら可愛いです〜!」

 

 って、レーニャが飛びかかってきたああああ!!

 あわわわわわ……突然のことで回避できずに、そのままレーニャに抱かれてしまった。

 

「赤面のお嬢様はあはあテンパるお嬢様はあはあ」

 

 のわああああ!? レーニャが壊れたああああ!! いつからレーニャはこんなに変態になってたのおおおお!? 止めろおおおおスリスリすんなああああ匂いを嗅ぐなああああ!!

 

「いいから、は・な・れ・な・さい!!」

 

 渾身のぉぉぉぉお、アッパァァァァァ!!!

 

 バキッ!!

 

「あべし!」

 

 変態メイド、カサンドラの渾身のアッパーでK・O!

 

「も、申し訳ありませんでした……」

 

 目の前で土下座するレーニャ。殴られた顎は赤くなっていた。

 

「まったく、お咎めなしにはするけど本来ならクビよ。金輪際、こんなことはないように」

「本当に申し訳ありませんでした。初めてお嬢様が可愛い我儘を言ってくれたことに舞い上がってしまい、つい愛情が溢れて……」

「分かったからとりあえず鼻血は止めなさい」

 

 あれー? いつからレーニャって変態になったんだろう? いきなり暴走したからマジで焦った。

 

「それで明日のことなんだけど……」

「あ、問題ないです。朝食後になりますがそれでもよろしいですか?」

「え、いいの?」

 

 最初の反応からして反対だと思ったんだけど。

 

「お嬢様の我儘に応えるのもメイドの嗜みです……という建前は置いといて、私も食事の配膳とお嬢様のお世話以外やることないので暇なんですよ。それにここの警備もザルなんで抜け出すことなんて造作もありませんから。でも夕食までには戻りますよ。昼はなんとか誤魔化せますが、夕食は無理ですからね」

「やったあ! ありがとうレーニャ!」

 

 ハッ! 喜びのあまり、つい前世の癖で抱きついちゃった! 恐る恐るレーニャを見てみると……

 

「ああ……世界って、こんなに優しいんですね……」

 

 なんか浄化しとるううううう!!

 レーニャは菩薩のような笑みを浮かべながら、濁流のように鼻血を垂れ流していた。

 

 パタリ

 

 レーニャが倒れた。

 

「レ、レーニャァァァァァァ!!!」

 

 

 

「という夢を昨日見ました」

「いや現実だから。昨日倒れたまま寝ちゃったから、私のベッドに寝かしたけど、この状況に関して疑問はないのかしら」

 

 この状況→私とレーニャが同じベッドで寝ている。

 

「……朝チュンですか?」

「違うわ!」

 

 こんなことで今日のお忍び大丈夫かなあ、不安だ。




今回はランドルフ少年の出番はないんだスマヌ(´・ω・`)
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