変態科学者の妹はアホの子   作:アルティメットサンダー信雄

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百十年前編
アホな妹


尸魂界。そこで、一人の少女が二番隊隊舎の上で寝ていた。

すぅすぅと寝息を立てていると、「おい」という声と共に頭を蹴られた。

 

「痛っ⁉︎」

 

「何やってんだ。バカ」

 

蹴ったのは四楓院夜一、二番隊の隊長だ。

 

「んっ……おー、夜一ちゃんっ。どうしたの?」

 

「人の隊の隊舎の屋根で寝るな。まったく」

 

「いいじゃん。てか同じ隊じゃん。屋根でお昼寝、気持ちいいよ?」

 

「そういう問題ではない。というかなんじゃ貴様その格好は!」

 

「へっ?」

 

少女の格好は緑色の長めのセーターに超短いショートパンツ。完全に現世の女子の格好だ。

 

「似合ってる?」

 

「似合っとるわ!腹立つほどにな!」

 

で、そうじゃなくて!と続ける。

 

「儂も十分、自由人だと自覚しておるが、貴様を見ているとそれが霞んで思えるわ」

 

「そう?あたし結構キッチリしてると思ってるけどなー」

 

「それはない」

 

「即答⁉︎」

 

「そんなズボンを履いとるのか履いとらんのか分からん格好をしてる奴はキッチリしてるとは言わん」

 

「男の人の前でだって平気で全裸になれる夜一ちゃんに言われたかない」

 

「このっ……‼︎」

 

「お?やる?いいよ?掛かって来い!」

 

「少し教育が必要なようじゃのクソガキ!」

 

「ガキじゃないし!」

 

お互いに殴り掛かった。

 

 

「………どういうわけじゃ?」

 

お互い、ボッコボコになった身体で山本元柳斎重國の前で正座していた。

 

「隊長と副隊長が二人揃って正面から殴り合い……。処罰を受ける覚悟は出来ているな?」

 

「「だってこの人が!」」

 

「ぺいっ!」

 

山本が一喝し、二人は黙った。

 

「何にせよ、隊長格が暴れ回るでない。次はゲンコツじゃぞ」

 

「山本ちゃんのその台詞もう1000回目〜。なんだかんだ言って女の子には手ぇ上げないんだか……らっ⁉︎」

 

ボグッとゲンコツされた。

 

「まったく……どうして彼奴の妹がこうなるのか……不思議なもんじゃ……。のう?浦原沙優」

 

「むー、女の子に暴力振るうなんて最低だよー。知ってるんだからね?山本ちゃん、部屋に20冊以上はエロほ……」

 

「よし分かった!謝るからとりあえず今日は不問とする!」

 

「ありがとね、山本ちゃん♪」

 

お礼を言って山本のハゲ頭をペチペチ叩くと、沙優は出て行った。

 

「………まったく、彼奴の自由っぷりには困ったもんじゃな。今日は、あいつの兄の隊長就任日じゃろうに」

 

「そうじゃのう。まぁ、アホの妹はアホなんじゃろ」

 

二人してひどい言い草だった。

 

 

1

 

 

「喜助ちゃーん!隊長昇格、おめでとおおおおおお‼︎」

 

就任の儀の直後、沙優は自分の兄で十二番隊隊長になった浦原喜助にクラッカーを鳴らした。

 

「……あの、沙優?」

 

「なーに?」

 

「まず、妹の癖に兄を、ちゃん付けで呼ぶのはやめてくれないッスか?」

 

「そこじゃないやろ!」

 

バカンッと十二番隊副隊長の猿柿ひよ里が喜助の手を叩いた。

 

「今はうちの隊にあんたが挨拶してるとこやろ!なんで他の隊の小娘がこんなとこにおんのや‼︎」

 

「自分の隊舎を『こんなとこ』って……。というか、猿ちゃんに小娘とか言われたくないなぁ」

 

「このっ……!おい待て、猿ちゃんて誰のことや?」

 

「キミ、猿みたいにキーキー五月蝿いんだもん」

 

「ブッッッ殺す‼︎」

 

「ちょっ、ダメッスよ。それそんなんでも僕の妹なんスから。それに、他の隊の副隊長ッスよ?」

 

「うるさいわ、離せ!あんたもや!うちはあんたも認めておらへん!急に曳舟隊長がおらんなっただけでも気に食えへんのに……二番隊て何や!隠密機動やんけ‼︎コソコソ人殺してたような奴にうちとこの隊長なんか務まるかい‼︎」

 

「ほーんとだよねー。喜助ちゃん、コソコソいたずらするの病的に上手いし」

 

「ちょっ、沙優。そこはボクの弁護してくれるところじゃないンスか」

 

「あたしはそんなに甘くアリマセーン」

 

「おまっ、そういうこと言うンスか⁉︎この前、夜一サンの隊長羽織に垂らした鼻水誰が一所懸命消してなかった事にしたと思ってンスか!」

 

「金欠の時は妹の下着で買い物してる変態兄貴に言われたかないよ!」

 

「ち、ちちち違いますからね⁉︎基本は夜一さんのっスから!妹のなんて滅多に……」

 

「兄妹でイチャつくなボケェッ‼︎」

 

ひよ里の当然のツッコミで二人ともようやく黙った。

 

「とにかく、うちはお前らみたいな変態兄妹は認めへんからな‼︎」

 

「変態だってよ、喜助ちゃん」

 

「お前の事っスよ」

 

ひよ里は部屋から怒って出て行ってしまった。

 

「あーあ、行っちゃった。どうすんの?」

 

「どうすると言われましても……」

 

「そうじゃな。どうするかのう」

 

後ろから声がして、二人して振り返ると、夜一が額に青筋を浮かべて立っていた。

 

「儂の隊長羽織がどうの下着がどうのとか言っとったな?」

 

二人は大量に汗を流した。

 

「殺す」

 

文字通り、雷が落ちた。

 

 

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