数日後。事件は急に起こった。
「………おい、沙優」
「んっ……なに、夜一ちゃん?」
「出掛けるぞ」
「何処にー?」
「喜助を助けにじゃ」
「喜助ちゃんを?何で?何かあったの?」
「説明は後でしてやる。早くしろ」
「あーい」
夜一と沙優は準備を始めた。
1
準備を終えて、二番隊隊舎を出た直後、目の前で二人を待っていたのは砕蜂だった。
「!」
「そいぽんちゃん?」
「何処に行かれるのですか?お二人とも」
「散歩ちゃんだよ。そいぽんちゃんも行く?」
「嘘をつくな、浦原沙優」
ピシャリと言い放った。
「………夜一ちゃん。先に行って」
「分かった」
直後、夜一の姿が消えた。
「で、何か用?」
「決まっている。藍染副隊長から聞いているぞ。貴様、浦原喜助を助けるために夜一様を利用しようとしてるみたいだな」
「………あいぜん?誰?」
「五番隊副隊長だ」
「………………」
そんな事、しようと思ってもなかった。というか、何が起こったのか本人ですら把握していない。
だが、今ので藍染という者は自分をはめようとしている事と、喜助が尸魂界側の意思によって、ピンチに陥ってることが分かった。
「………ふむ、どうしようか」
「どうしようも何もない。私が貴様を捕らえ、夜一様を助ける」
「ん、いやそゆことじゃなくて。どーせそいぽんちゃん、ほんとのこと言っても信じてくれなそーだし、なんて言い訳して逃げようかなって」
「ほう、それを目の前で言うとは……貴様はバカなのか?それとも私をバカにしてるのか?」
「………あっ、確かに。これ言っちゃダメな奴じゃん」
「素か!」
ええい!と砕蜂は髪をかき上げた。目の前のアホ女と話してるとペースが乱される。
「え、でもそしたらこれから言い訳できないじゃん」
「だから一々口に出すな!本物のアホか貴様は!」
「そう怒らないでよ、そいぽんちゃん。可愛い顔が台無しだゾ?」
「気持ち悪いわ!」
怒鳴ると、砕蜂は構えた。
「もう良い、貴様を仕留めることには変わりないからな」
「え?仕留めるの?」
「さっきからそう言ってるだろ!いくぞ!」
砕蜂が沙優に襲い掛かった。一瞬で後ろに回り、蹴りを入れる。それを、後ろに退がりながら避けた。
「おお、すごいキレ」
「すぐに貴様の首も切ってやる」
「いや、意味違うから……」
言いながら、沙優は呑気に歩きながら砕蜂の横を通り過ぎた。
「⁉︎」
慌てて振り返る砕蜂。あまりに無用心に近付かれ、反応が遅れたが、すぐに殴り掛かろうとした。その直後、ドスッと、砕蜂の鳩尾に拳が入った。
「かはっ……⁉︎」
「ごめんねー。今度、夜一ちゃんのパンツあげるから許してね」
「なっ………⁉︎」
砕蜂が倒れるのを見ると、沙優は夜一の後を追った。
2
二番隊隊舎を抜け、一足遅れて沙優は喜助と、双極の地下に作った場所で合流した。近くには握菱鉄裁、それと別に8人かが倒れていた。
「おーい……って、ありゃりゃ?何これ、喜助ちゃんあんた何したの?」
「さ、沙優⁉︎なんでこんなとこに……!」
「んー、それがあたしも理由聞かされてないんだよねー。ね、夜一ちゃん。なんで?」
「今は時間がない。喜助、この後どうする?藍染の思惑通りとなった今、主にできることなど……」
「わかってます。鉄裁サン。平子サン達に時間停止をかけて下さい。そしてそのままこの場所に二、三層の結界を。今から20時間で僕たち二人と平子サン達八人、系10体の霊圧遮断型義骸を作ります」
「……夜一殿と浦原沙優殿は……」
「儂らのことは気にするな。どうとでも逃げ果せるわ」
「へっ?逃げる?」
「現世に身を潜め、時間をかけて解き明かします。必ず、この『虚化』を、解除する方法を……」
「あの、話が見えないんだけど……。ドユコト?」
「お主にも分かりやすく説明してやろう。尸魂界に残るのと、儂と喜助と二人で現世に行くの、どちらが良い?」
「現世!」
「つまりそういう事じゃ」
なんだかんだ、沙優の扱いには慣れてる夜一だった。
「沙優、お前はついてくる必要なんかないンスよ?こんな事に巻き込まれるくらいなら……!」
「喜助ちゃんと夜一ちゃんのいない尸魂界に用なんてないよ、あたしは」
「……………」
「そういうことじゃ。では、喜助。また後でのう」
「………分かりました。沙優、気を付けて」
「はーい」
と、いうわけで、合計12人は尸魂界から離れた。