「一護おおおおおお‼︎」
竜貴が一護に向かって机をぶん投げた。
「死ねぇッ‼︎」
「うおァッ⁉︎危ねぇ‼︎」
慌てて避ける一護。机の上に着地しながら軽く引きつつ言った。
「なんだよ、ほっぺにキスくらいでそんな取り乱すなよ。小学生かテメーは」
「うるッさい‼︎」
その一護に竜貴の拳が迫る。ジャンプして避けると、机が大きく傾いた。
そのままガシャッズドンゴッベキィッと竜貴が暴れ回る。
「ち…ちづるゥ…止めてよォ……」
「ば、バカ言わないでよ……。あんな嵐の中に飛び込めるのはブルース・ウィリスぐらいだわ……」
クラスメートもさざ波のように引いてると、沙優が無用心に嵐の中に入って行った。
「ちょっ、浦原さん危な……!」
クラスメートの女子が止めようとした直後、沙優はひょいっと軽々と竜貴を抱き上げた。
「はい、そこまでー。死人が出るよ」
「んなっ……沙優⁉︎降ろせ!」
「いいから。黒崎ちゃんも、そこ動くなよ」
「ん、お前も中々可愛いツラしてんじゃん」
「………へっ?」
「お前は大丈夫だよな?」
直後、一護はスッと沙優の目の前に入り込んだ。
そして、竜貴と同じように頬にキスをした。
「ん」
「えっ………?」
直後、カアアッと頬を染める沙優。他人の事では割と強いが、自分が受けに回るとかなり弱い沙優だった。
「ふにゃあぁああぁぁぁ………」
膝から崩れ、顔を赤くしたまんま教室の床に倒れた。
「沙優うううううう‼︎」
「きゅう…………」
直後、ガララッとさらに教室の扉が開いた。
「そこまでだ!」
ルキアの姿を見た直後、一護は慌てて窓から逃げようとする。
「行ったぞ一護‼︎」
「おう!」
すると、窓から死神の一護が飛び込んできた。
「さぁ、逃げ道はねぇ……!」
言いかけた直後、制服一護は一瞬で死神一護の真横に移動し、飛び降りた。
「なっ……⁉︎まてコラァ!こんなトコから飛び……誰の体だと思ってんだァ⁉︎」
校庭に着地し、走る制服一護。
その後を一護とルキアは追い掛けた。
「さ、沙優ちゃん⁉︎大丈夫⁉︎」
織姫が慌てて沙優を抱き上げたが、意識は戻らなかった。
1
あの義魂丸は「コン」と名乗ってぬいぐるみの中に入ることになった。
問題は、沙優の方である。アレから学校に来ていない。
「どうしたんだろうね、沙優ちゃん」
「さぁ?大丈夫でしょ、暴れてたあたしを軽々持ち上げた奴よ?」
「だと良いんだけど……」
心配そうな織姫と、割と心配していない竜貴だった。
「そうだ、今日お見舞いに行かない?」
「えー、いいわよ。どうせ家でゲームとかやってそうだし」
「もー、竜貴ちゃんは沙優ちゃんのこと心配じゃないの?」
「正直、あんまり」
「なんで⁉︎」
「あたしのことをあんな簡単に止められる奴、心配しろって言う方が無理よ」
「うーん……それは、そうかもだけど……」
「ま、どうしても心配なら行ってきたら?」
「………うん」
2
放課後。結局、織姫はお見舞いに来た。
「あの、お邪魔しまーす」
一声掛けてから織姫はお店に入った。
「ああ、井上サン。いつもうちの妹がお世話になってます」
「い、いえいえ。あの、沙優ちゃんのお見舞いに来たんですけど……」
「ああ、わざわざスンマセン。どうぞ、上がってください」
喜助の案内で、織姫は家に上がった。
沙優の部屋の前に立つと、コンコンとノックをした。
「どーぞー……」
随分と弱った声が聞こえた。
入ると、布団の中で寝転がっていて、おでこに冷えピタをハッ付けていた。
隣には雨とジン太が座っていた。
「こんにちは」
「こんにちは、織姫」
「………こんにちは」
呼び捨てのジン太と、その後ろでおとなしく挨拶する雨。
「おりょ?どうしたの、織姫ちゃん?」
「お見舞いに来たよ」
「悪いね、わざわざ」
「ううん」
「ウルルちゃん、ジン太ちゃん。ありがと。しばらく外にいていいよ」
「了解、行くぞウルル!」
「う、うん……」
二人が出て行ったのを見ると、織姫はコンビニで買った商品を布団の横に置いた。
「はい、色々買って来たんだよ」
「ありがと……。ごめんね、わざわざ」
「ううん。はい、オロナミンC!」
「ありがと……風邪にいい奴だよねこれ?」
「うん!それとネギを首に巻くんだよ!」
言いながら織姫が取り出したのは玉ねぎである。
「へぇ〜、そんな風習あるんだ!」
「うん」
色々間違った見舞いの品を渡した。これが、竜貴のいない二人の会話である。
「ふぅ……にしても、汗ベタベタで気持ち悪いなぁ……」
「あ、じゃあ体拭いてあげようか?」
「え、でも、風邪移っちゃうよ?」
「大丈夫だよ、ほら脱いで脱いで」
「………なんか、テンションおかしくない?」
「そんなことないよー」
渋々、沙優はパジャマのボタンを外し、織姫に背中を向けた。
「お、お願い………」
「? どしたの?顔赤いよ?」
「いやー、あたし人の裸見ても男だろうが女だろうが何も思わないんだけど、自分の事になると急に恥ずかしくなっちゃうんだよね……」
「ふふ、みんなそうだと思うよ?……いや、男の子の裸見るのは少し恥ずかしいかな」
「へ?なんで?」
「普通、異性に対してはそうだよ。……でも、そんな話聞くと、少し意地悪したくなるなぁ」
「………へ?織姫ちゃん?」
「あ、沙優ちゃんって細いのに胸おっきーねー」
「………ふえ⁉︎」
「おへそもかわいいし、綺麗なうなじしてるなー」
「や、やめて!やめてってばー!」
「うふふ、照れてる照れてる♪………ちょっと揉んでもいい?」
「良いわけないでしょ⁉︎………いい加減にしないと、こっちから剥ぐよ?」
「………へっ?」
「逆襲開始!」
「ちょっ、あたしは風邪引いてないからー!」
百合百合しい服の脱がし合いが始まった。
お互いにほぼ半裸状態になったとき、ガラッと扉の開く音がした。
「沙優ー、さっきからドタバタ騒がし……あっ」
「えっ?」
「あっ」
喜助が入って来た。
沙優の廻し蹴りが見事に顎にキマッた。