『これより、撮影を開始します!』
司会者の声で、大きく盛り上がる撮影現場。
『……こんばんは、みなさん……。今夜の「ぶら霊」は緊急特別生放送スペシャルと題しまして、東京・空座町の廃病院にお邪魔しています』
その放送を黙って聞く現場の観衆達。
『夜な夜な怨霊の叫び声がきこえるといい、地元住民も近づかないというこの廃病院を……果たして今夜、あの人はどう料理してくれるのか⁉︎』
司会の台詞が続くにつれ、観衆たちのテンションはドンドンと上がっていった。
『それでは登場して頂きましょう!新世紀のカリスマ霊媒師‼︎地獄のメッセンジャー!ミスタァア〜〜ドン!観音寺ィィ〜〜〜ッ‼︎』
直後、空中にヘリコプターが現れ、そこから飛び降りる影が見えた。
「ごきげんいかがかな、ベイビー達!スピリッツ・アーーー‼︎オールウェイズ‼︎ウィズ‼︎ィィユーー〜〜‼︎‼︎」
『キャアアアアアアア‼︎』
観音寺の空中からの登場に、観衆は最高潮の盛り上がりを見せた。
空中でパラシュートを開き、観音寺はふわりふわりと降りてきた。
「ボハハハハーーーッ‼︎」
『ボハハハハーーーッ‼︎』
「………うーわっ」
喜助が呆れたような声を出した。観衆のど真ん中、そこで一番アホみたいにはしゃいでる自分のアホな妹に呆れているのだった。
「ほんとに死神っスかあいつは……」
「ボハハハハーーーッ‼︎」
「ジン太、うるさいっス」
1
「スメルズ・ライク・バッドスピリーーーッツ‼︎」
観衆が最高潮の盛り上がりを見せている中、一護は不安そうに観音寺の方を見た。
すると、その観音寺は持ってるステッキを地縛霊の胸の穴に突っ込んだ。
「「なっ……⁉︎」」
一護とルキアが驚いたように声を上げた。
直後、一護はロープを跳びこえた。
「やめろォッ‼︎何やってんだあんた!」
「な、何だあいつ⁉︎」
「警備!何してんの?」
スタッフがそう叫ぶと、警備員が一護を5人掛かりで一護を抑え込んだ。
「あーあ……何やってんの黒崎ちゃん」
「ほんとだよー。恥ずかしいよお兄ちゃん……」
「………ん?」
「ん?」
隣で遊子がさりげなく賛同したのを見て、沙優が目を合わせた。遊子もなんとなく沙優を見た。
「……………」
「……………」
アホの子に3人目が追加された。
そんな事をしてると、一護を杖が貫き、死神の一護が出てきた。
「て……だ、誰だ……⁉︎」
「……う………浦原⁉︎」
「どうも」
ルキアが驚いたような声を上げる。
「ゲ……ゲタ帽子……⁉︎どうしてここに……」
「ホラ、ボーッとしてないで、早く行かないと黒崎サン」
「そ……そうだ‼︎」
言われ、一護は慌てて観音寺の方へ向かった。
喜助を見て、ルキアは警戒しているように聞いた。
「………なぜこんな所にいる、浦原。何か、企んでいるのか?」
「やだなあ!何も企んでなんかいませんてば!この子らがこの番組大好きでして、今日どうしてもここに来たいっていうもんスから、仕方なくこうして来てるんスけどね。そしたら、遠くの方から朽木さんの悲鳴が聞こえるじゃありませんか!」
「たわけ!悲鳴など上げとらんわ!」
「駆け付けてみたらビックリ……」
「キミキミ」
調子に乗ってると、後ろから警備員に声を掛けられた。
「はい?」
「あの二人の知り合いかね?」
「……………」
「そうなんだね?それなら少しあっちで話を聞かせてもらおうか」
「え…いや、えーっと……」
直後、喜助の手元がボンッと爆発した。警備員は倒れた。
喜助とルキアは倒れた一護を担いで逃げ出した。
「ば、馬鹿者‼︎そんなホイホイと尸魂界の道具を使う奴があるか‼︎」
「仕方ないじゃないスか‼︎朽木さんの巻き添え食って前科者なんてヤですもん!」
「勝手に首を突っ込んできたのは貴様の方だろう‼︎」
2
あの後、観音寺によって虚となった地縛霊を一護がなんとか倒し、浦原一家は家に戻って来た。
「いやー、危なかったっスねぇ」
「ほーんと、あのまま捕まってたら面白かったのに」
「なんてこと言うンスか、沙優」
「え、だってちょっと面白くない?そしたら、浦原商店はあたしの物……」
「や、無理っスよ。アホ過ぎて一週間保たないでしょ」
「むっ、失礼だな!あたし、こう見えて頭良いんだよ⁉︎ほらこれ!」
言いながら沙優は学校の鞄から小テストを取り出した。
19点である。
「赤点取れるくらい頭いいんだからね!」
「赤点ってお店で言う赤字っスよ?」
「へ?色が付いたら良いんじゃないの?」
「小学生っスか……。つーか、本物のアホっスか」
まぁ、いいや、アホはもう治らないだろうし、と心の中で呟くと、喜助は話題を変えた。
「……それで、どうスか?黒崎サンの様子」
「うーん、霊圧とか潜在能力は中々だよ。すごいと思う」
「なるほど」
「だけど、斬魄刀の名前も聞けてないみたいだし、今のままじゃ副隊長とも戦り合えない」
「………ま、もう少し待ちましょ。幸い、尸魂界にはまだ朽木さんの件はバレていないようですし」
「そだね」
「………随分と気に入ったみたいっスね」
「? 何が?」
「井上サンっス」
「あーうん、面白い力もあるし、何より波長が合うというか……いい子なんだよね」
「なるほどね〜。ま、お兄ちゃんとしてはクラスメートと仲良くしてくれるのは嬉しい限りっスけど……。でも、あの子も多分、これから先の戦いには参加しますよ」
「大丈夫、そしたらあたしが守るだけだから」
笑顔で沙優はそう言うと、自分の部屋に引き返していった。