数日後、期末試験が終わった。
「ほぉーーーっ!3位かー。相変わらずやるねぇ、あんた」
「えへへー」
期末の順位を見て、竜貴が織姫の頭を撫でた。
「すごーい!織姫ちゃんってこんな頭良かったの⁉︎」
「とてもそうは見えないでしょ。けど、この子中学の時から勉強は出来るのよ」
「竜貴ちゃんは?」
「あ、あたしは普通かな……」
「それって大抵出来てない人の答えだよ?」
「う、うるさい!あんたは何番目なのよ!」
「へ?あたし?」
「そーよ。あたしにそう言うってことは、あんたの順位は相当……」
と、言いかけたところで竜貴は沙優の順位を見付けた。織姫もだ。ピシッと二人して固まった。
「「……さ、最下位……」」
二人の反応に「?」の沙優が首を傾げてると、学校内に放送が流れた。
『1年3組、浦原沙優。1年3組、浦原沙優。至急職員室まで来なさい。繰り返します……』
「はれ?呼び出しだ、なんだろ」
「……………」
「……………」
織姫と竜貴はしばらく黙り込むと、沙優の肩に手を置いた。
「?」
「今度、勉強教えてあげるね?」
「二人掛かりで指導してやるから覚悟しろよ」
「へ?な、なんで……?」
「何でも。異論反論口答えは認めないよ?」
「当分は眠れると思うなよ」
「えっ?えっ?………えっ?」
二人の謎の圧力に押し潰されそうになりながらも、とりあえず職員室に向かった。
1
浦原商店前。
「じゃーんねーん、ポイ‼︎あっち向いてホイィぁッ‼︎」
ジン太の右を差し、雨は下を向いた。
「ちっ!生き延びたが、なかなかしぶといヤツだ!次行くぞ‼︎ジャンケンぽい‼︎」
「あっち向いてホイ」
「ずあァッ‼︎」
雨が指差すと、ジン太も上を向いた。
「あたしの勝ちだね……じゃ、今日のそうじ当番ジン太くんね……」
「負けてねぇ‼︎俺はまだ負けてねぇぞ‼︎三回勝負だっつってんだろうが‼︎」
「三回勝負って……だってもうジン太くん14回連続で負けてるじゃ……」
言いかけた雨のコメカミにジン太の両拳が当てられ、グリグリグリッと押し当てた。
「いたたたた!いたいよ、いたい‼︎」
「負けてねぇっつってんだろ‼︎つーか15回目に勝った者が真の勝者なんだよ‼︎いくぞ!次の勝負だ‼︎俺が勝つまで勝負すんぞ‼︎」
「いたいよずるいよいたいよぅ‼︎沙優お姉ちゃん助けてー‼︎」
そんな事をしてると、グイッとジン太の襟首がつかまれ、持ち上げられた。
「おぉわぎゃーーーーっ⁉︎」
涙目で振り返ると、鉄裁が持ち上げていて、絶叫。
「何を、しておいでかな?ジン太殿」
「うわっななな何でもね……ないです‼︎テッサイさん‼︎」
約3メートルほど持ち上げられ、手足をじたばたしてると、後ろからルキアが鉄裁のケツを蹴り上げた。
「退け、たわけ共」
直後、足を抑えてうずくまるルキアに、鉄裁が呑気に聞いた。
「おや、何かご用ですかな?朽木殿?」
「……浦原は、いるか?」
「いますよ。中へどうぞ」
言われ、店の扉を開けた。
「おや、朽木サンじゃないスか!何か用スか……あうっ!」
言いかけた直後、顔面に携帯を投げつけられた。
「何が、何か用スか!だ。貴様が何度かけても応答せぬからこちらから出向いたのではないか!」
「イヤ…すいませんね。こちらも最近、何かと忙しくて店開けることが多かったんスよ」
「まぁいい。少し、聞きたいことがある」
「……何スか?」
「滅却師とは、何者だ?」
2
職員室。
「だーかーらー、お前なんだこの点数は。なめてるのか?なめてるんだろ?なめてると言えよ、その方がまだこっちとしては助かるから!」
先生が机の上に置いた紙には、沙優の点数が書かれていた。
現国→6、古典→0、数学ⅰ→0、数学A→0、日本史→4、地理→8、物理→0、生物→8、英語→7
「先生ね、たくさんの生徒見てきたけどここまで酷いの初めてよ?オール一桁ってどういうことよ?」
「素敵でしょ?」
「ごめん、聞き間違えたかも。もう一回言ってくれる?」
「素敵でしょ?」
「あ、本当にそうやって言ってたんだ。てかそれ本気で言ってんの?」
はぁ……、と先生はため息をついた。
「もう一度聞くけど、これふざけてやったのよね?そうよね?そう言ってよ?」
「いえ、真面目にやったんですよ?」
「真面目にやってこれって……あんた、冗談抜きでヤバイわよ。本当に。授業ちゃんと聞いてるの?」
「聞いてませんよ?」
「ませんよ?じゃないでしょ。あ、もしかして喧嘩売ってる?」
「いえ、聞かれたから答えただけなんですが……」
「とにかく、あなたこのままじゃ留年ってことになるけど、いいのね?」
「うー………ん」
ぶっちゃけ、留年とかそんな事になる前に多分退学するので、沙優にとってはどっちでもよかった。
「迷わないの。先生もなるべく頑張るから、あなたもちゃんと頑張りなさい。井上とかと仲良いんだから、あの子とかに教えてもらうとかしてね。いい?」
「はーい」
そう返事をした時、ピクッと沙優は反応し、空を見た。
「ちょっと、話聞いてるの?」
「あーうん、先生ちゃん」
「何?」
「なるべく、ここから動かないでね」
「………はっ?」
沙優は職員室から小走り気味に出て行った。
3
「……どうした、浦原?」
滅却師について聞いてる最中、喜助がぼーっと天井を眺め始めたので、ルキアが聞いた。
その直後、ピピピッと携帯が鳴った。
「すまぬ浦原!続きはまた……」
と、言いかけたところで反応が消えた。
「なんだ……一護の奴め、えらく手際の良い……」
そう呟いて携帯をポケットにしまうと、また鳴り出した。
「⁉︎ また⁉︎……また消えた……。何なのだ?まさか、本当に壊れたのでは……」
すると、また鳴り出した。
「……またか、やはりいかれてしまったようだ。そんなペースで虚が出てくることなど……」
直後、さらに鳴り響く携帯。画面では、虚の数が次々に増えていっていた。
慌てて外に出ると、空が黒く割れていた。
「なんだ……この空は……?何だ、この重く乱れた魄動は?何だ、何が起こっているのだ⁉︎」
一人、ルキアが取り乱していると、喜助の携帯が鳴った。
「……ハイ、もしもし。沙優っスか?」
『喜助ちゃん?ごめん、ちょっと職員室呼び出し食らってた上に、学校にも虚出て黒崎ちゃんの事サポート出来そうにない』
「あーはいはい、了解っス。黒崎さんの方はボクが行きますんで」
『お願いねー。じゃ、また』
通話を切ると、浦原は準備を始めた。