天海夜月と暗殺教室 ~天災の暗殺者~ 《リメイク》   作:我楼

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最初の時間

 一般人が知らないような山奥で、俺は暮らしている。通称、天海夜月、十四歳、記憶喪失の男である。

 俺はどこかの隔離施設に監禁されていて、まともに人を見ることができた時のことは、もう覚えてもいない。牢屋より頑丈に作られた部屋に鎖で繋ぎ止められているため、手首には手枷が、首には解除不可能の爆弾が付いている。

 

 ―――コツン、コツン

 

 たまに、外から聞こえるのは春は小鳥の囀りが、夏に蝉の泣き声が、秋に動物達の泣き声が、冬に枯れ葉が擦れる音が、そして全ての季節で少年少女の断末魔が。なにをされているのかは知らないが、いづれ俺もあの少年少女のようになるのだと思っている。記憶を失って、ここで目を覚ましてから、その覚悟はとうの昔に出来ていた。

 

 ―――コツン、コツン

 

 たぶん、今は冬の夜だろう。鉄格子の間から見る、澄み切った空には星々と、満月が自分の存在を一生懸命に輝かせている。

 とても、綺麗だと思った。その途端、乾ききったと思っていた瞳から涙がこぼれた。何で涙が出たのかは、自分でもわからない。泣いちゃダメだ、止めようと思う心に反して、ますます瞳の奥は熱くなり、涙が溢れてくる。

 

「……ううっ、あぅ……ヒグッ、うぐっ……」

 

 ―――コツンッ

 

 ここで目を覚ました一年前、あの少女が連れて行かれた時以来の涙だった。

 

※※※

 

「ん、うう……ふあぁあ……ん……?」

 

 目が覚めると、固い部屋の床ではなく、柔らかいベットのような感触に気がついた。どうして、と思ったがその疑問は隣の彼女に聞けばいいのだろう。

 

「……あら、目が覚めたのね。ふふっ、おはよう、気分はどう?……最悪かしら?」

「あっ……」

 

 彼女の声は懐かしく、優しい気がした。

 

「久しぶりで、声が出しづらいのから……まあ、いいか。ねえ、いきなりだけど聞きたいことがあるの。いいかしら?」

「んんっ……すみませんね、今は小さい声しか出せないです。それで、聞きたいことって何ですか?」

「あら、もう喋れるのね。意外だわ、イエスノーで答えてもらう予定だったけど、帰るわね。まず一つ目、あの研究所のこと……

 

※※※

 

 彼女は俺のいた施設のこと、俺のことを聞いてきた。随分と優しい性格のようで、質問は遠回しに聞いてきたり、オブラートに包んで聞いてきてくれた。今の俺に、その気遣いはとても嬉しかった。

 

 彼女が帰る前に、ここについて聞いてみたら

 

「ここは病院よ。といっても、普通ではないけど。あと、何でいるのかっていうのも気になると思うのだけれど、そこは国家機密よ。教えられないの、ごめんね。そのお詫びっていったら少し違うのだけれど……チュッ」

「……!?なっ、何してっ……!」

「ふふっ、男なのに乙女だなあ。可愛い反応、ありがと。じゃあね」

 

 頬にキスをしてきて、誤魔化されてしまった。ああ、もう。思い出すだけで恥ずかしいな……

 起きたのが昼ぐらいで、今は夕方である。ずっと付けていた手枷のせいで、手首には消えない痕が残っていて、鏡で確認すると首には決して小さくない傷が付いている。ここに来た医者から言われたのが、栄養が足りていないからしっかり食べろ、筋肉の衰えが著しいからリハビリをしようということだった。

 

 今日から数ヶ月の間は、俺はここで暮らすらしい。俺は施設より前の記憶がないが、どうにかなるのだろうか……そして、本当の俺って何なんだ?

 

※※※

 

 夜月のリハビリが終わり、断片的に記憶を思い出してきた三月のある日、全人類を震撼させる事件が起きた。彼が見続けてきた月という衛生は、一部分や全てが見えなくなることはあったが、決して姿を変えてこなかったその満月は、その日から永遠に三日月へと姿を変えることとなった。




 初めましての方は初めまして!他の作品を読んで下さった方はこんにちは!我楼です。

 今作は、昔投稿していた作品のリメイク版となります!
今回は、前みたく挫折しないよう頑張りますので、応援宜しくお願いします。

 ※話をオールリメイクしました。

 では、次の話で。
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