Japanese in THE ゾルザル   作:連邦士官

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本音は出ているか?

カルロの協力と研究品の商品化により、資金繰りは改善され赤字になりかけだった会計帳簿は黒字に変わった。

 

イバラの園に新たに定期的な資金収入が出来て、資金的な余裕が生まれたがある問題に直面していた。

 

それは「そろそろ、私兵でここの護衛団を作りましょう。王宮からの借り物の衛兵ではやる気が無いですし、このような研究機関は厳重に守られるべきです。殿下は私兵を持てないので名目上はカーディナル卿の私兵と言う形で。」

とカルロから提案され、他にも学者達やキールからも提案があった。

 

「研究する場所が狭くなって来たので、城壁の外にも研究場を作りましょう。」

と学者達から提案された。

 

キールは軍資金は多くあるべきとして貯蓄を提案したが却下された。

下手に貯蓄をすると皇帝から没収を食らいかねないのである。

 

ただの貴族なら別であろうが、ゾルザルは皇太子であり皇帝は兄を暗殺したと言われる男である。

反対者は元老や有力な豪商以外は切り捨ててきた男が、果たして息子であっても戦争でもっとも重要な資源である軍資金の貯蓄を許すであろうか?

 

いや、許さないとゾルザルは考えた。

皇帝は恐い男であるからして下手に刺激しないようにしていた。

 

(……皇帝に暗殺されそうだから、モンテの案を採用しよう。)

ゾルザルは直ぐ様、私兵を手配したが信用できそうなのは、今働いている亜人達だった。

 

ここで働いている亜人は身辺調査も済み、字も計算も出来れば、亜人故に裏切れない、裏切り者は直ぐに殺される貧民街で暮らしていた彼らは適任だった。

 

私兵達は主にキャットピープル、ワーウルフで構成されていた。

他にも竜人種やダークエルフ、エルフ、セイレーン、ヴォーリアバニー、六肢族、混血種など多種多様な人材が採用された。

 

ワーウルフ達は犬や狼を飼っていた為にゾルザルは連絡用として犬達にも給与(エサ代)を支払った。

 

マトモな軍事訓練を誰も知らなかった。

「誰か軍事訓練を知っているか?」

ゾルザルの問いに

 

「私は知っていますが指揮官の訓練のみです。」

キールが答えて遅れてきたモンテも「私は指揮官についてなら教えれますよ。」と答えた。

 

次に答えたのはキャットピープルのリリーだった。

「ワーウルフやキャットピープルには傭兵の経験があるのがいるにゃ。呼んでくるにゃ。」

リリーの答えに口々におお!と感嘆の声が漏れたが……

 

「あのー皆さん。衛兵の人達て一般的な訓練を受けてますよね。」

ドラードの発言で問題は解決した。

 

ゾルザルは亜人達が女性が多いことを考慮して条件に合う衛兵を探すことにした。

 

たまたまいつも近くに居た女性衛兵を発見して捕まえた。

「私に何をするつもりなんですか?」等と女性衛兵が言った。

 

「俺には今、君が必要なんだ。何よりも君の力が必要なんだ。」

ゾルザルが頼み込み女性衛兵は「フンッ!」と言っては居たが顔は何故か赤かった。

 

しかし、次のゾルザルの言葉で態度が変わった。

 

「君を信用している。いつも君は俺の近くに居るだろ?だから分かってるんだ。」

ゾルザルの発言で女性衛兵は顔を青くした。

 

「何時から?」

女性衛兵はゾルザルに恐る恐る聞いた。

 

「イバラの園に移る前から居たじゃないか。」

何をバカなと迄に態度に示すと女性衛兵は更に顔を青くして

 

「殿下、何をすればいいんですか?まさか、夜の方は始めてなので優しくして……。」

と言いかけた所でゾルザルに

 

「何を勘違いしているか知らないが、君の知る兵士として必要な訓練を兵士達に教えて欲しい。」

と言われて、女性衛兵は何故か怒った様子になり「わかりました。教えます。」と告げると何処かに消えていった。

 

この日のピニャに送られた報告書には

「私は殿下に、監視役としての役割を見抜かれながら『俺には今、君が必要なんだ。何よりも君の力が必要なんだ。』」と迫られたと書かれていた。




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