ゾルザルはベッドの上で横になって考えていた。
(何もかもが上手く行きすぎてる。何故か失敗しない。)
ゾルザルは急速な改革や技術革新を推し進めていた。
この時からゾルザルは頭痛がしていた。
経済面ではケインズ経済は貴族の子弟に語り、文化面においても様々な音楽や小説やおとぎ話を思い出せるままに書き受け入れた。
それはおかしいのだった。
違う価値観をゾルザルがもたらしても自然と受け入れられていったのだから。
物事はゾルザルの思い通りに行った。
東伐で出会ったテューレと言う王女と友好を掴んだし、様々な点から上手くいき、運命の日が来た。
異世界へのゲートが開かれる事になったのである。
最近、頭痛が頻繁になってきたゾルザルは何なのかと頭を抑えていた。
ゲートへの偵察を早々に終えた部隊を見るためにアルヌスの丘に向かっていた。
何故か、頭痛がするたびに何か嫌な予感をゾルザルは感じていた。
それは何なのだろうか分からないがゾルザルはただアルヌスの丘に向かって急いでいた。
そして、アルヌスの丘に着いた時にはじめて気が付いた。
自分はこの光景等を知っていると。
偵察隊が捕まえたと言う奴隷を解放するために動いたが奴隷を解放したことでゲートが認知され、自衛隊が派遣されたそこで視界が光に包まれ輪郭が無くなった。
ただ、彼は憎悪と怨念を叫びながら……。
とある地中
「あ~あ。気付いちゃった。」
女性、所謂この世界の神である存在は覗き込んでいた夢を壊した。
「何をされてるのです?ハーディ様。」
神官の格好をした亜人がハーディと呼ばれた女神に聞くと
「自分にも異世界の力があれば、かの【日本】に負けなかったとゾルザルが思っていたから、私がその願いを叶えてあげたの。それにしてもジゼルは上品な話し方になったわね。地球と繋がったからかしら?」
ハーディはフフッと笑った。
「地球と繋がってから数百年はたってますよ。ゾルザルにはこの間は偉人と呼ぶに相応しい政治家や軍人等々の記憶を与えてたじゃないですか。」
神官の格好をした亜人―ジゼルは困惑した顔を浮かべた。
「何をしてもゾルザルが本質的にゾルザルだから、力を貸しても負けるのよね。それに、やることがこの間繋がったインターネットに出ていた凡人が書く小説そっくりなのよ。実際に自身がやったことないと出来るわけ無いのにね。」
ハーディは清々しい顔でそう言った。
「しかし、なぜその様な顔をなさるのですか?」
ジゼルは気になってハーディに聞いてみた。
「簡単な話よ。神の力をもってしても数百年もゾルザルは負け続けてるのよ。これはすごい娯楽じゃない。凡人が天才の力や加護を貰っても凡人は凡人ね。」
ハーディはゾルザルの人形―魂を見ながらそう言った。
「次はどうするんです?」
とジゼルが聞いた時だった、ハーディとジゼルがゾルザルの魂から目をそらした瞬間にゾルザルの魂が砕け散った。
その粉末を吸った神官は病気になり、信者達も次々に病気になった。
次第にハーディを信奉するものは居なくなり、ハーディのコレクションすら信仰を得られなくなったハーディが管理出来なくなった。
かつての神殿は荒れて、ジゼルは新に神になり立ち寄らなくなった。
そして、ハーディはゾルザルの様に一人になったのだった。
辛く長い時間の中でゾルザルの様に苦しみ続けるのだ。
ハーディがそこにはいた。
「今、ゾルザルが望んだ夢を見せてやったよ。」
「どのような夢ですか?」
ジゼルが聞いた。
「つまらない夢だよ。まだまだ、ゾルザルには楽しまされそうよ。」
笑顔を浮かべたハーディはゾルザルの魂を撫でた。
かくしてこの話は終わりです。