問題児たちが異世界から来るようですよ? ~大地の寵愛者~   作:無名宴

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プロローグ

 

 ザクザクと大地を耕す音が響く。

 

「さて、今日は何を植えるかな」

 

 首に巻いた手拭いで汗を拭きながら青年は腰に付けた袋を開く。

 

「春になったばかりだし、リンゴ…… あとイチゴでも植えとくかな? みんな『ミックスジュース』好きだし」

 

 種を取り出し先ほど耕した場所に植える。ついでにその場に何かいろいろとしていると、ふと遠くからふわふわと何かが近づいてくる。

 

「ご主人様~。お昼ご飯持ってきましたよ~」

 

 青色の服を着た小さな妖精が自分の倍もある大きさの風呂敷をぶら下げながらピョコピョコと手を振っている。

 

「…………ああ、もうそんな時間なんだ」

 

 畑仕事をしてると時間を忘れるなと苦笑しながら青年は近くにある撤去予定だった切り株に座る。

 

「今回は何を植えるんですか~?」

 

 ポンと風呂敷を青年の膝にのせ、妖精が嬉しそうに青年の肩に乗る。

 

「とりあえずリンゴとイチゴかな」

 

「リンゴ~」

 

 リンゴが好きなのか、妖精はピョンピョンと嬉しそうに跳ねる。それを見ながら風呂敷を開き、妖精用の小さなおにぎりを渡す。

 

「ありがとです~」

 

 少し落ち着いた妖精はおにぎりを受け取ると口いっぱいに頬張った。

 

「あとは冬のところに行って金野菜の様子を見てから考える……かな。大きなシリーズもそろそろ収穫できるだろうし」

 

「そうですね~ そろそろ取れそうですね~」

 

 自分用のおにぎりを頬張りながら妖精の言葉にこたえる。

 

「とりあえず『四季』たちはそれぞれの畑に行って収穫を頼むって言っておいて」

 

「わかりました~」

 

 青年の肩の上でおいしそうにおにぎりをほおばっていた妖精は幸せそうな表情で語尾を伸ばしながら返事をする。

 

「念の為、護衛にあの子たちを連れてっていいから。まあ、下層(むこう)ならともかく上層(ここ)で君たちやあの子たちにかなうやつはいないだろうけど」

 

「は~い~」

 

 おにぎりを食べ終えた妖精はふわりと浮く。

 

「それじゃあ緑ちゃんに言ってきますね~」

 

「ああ、よろしく」

 

 ふわふわと飛んでいく妖精を眺めながらふと先ほどまで座っていた切り株に一つの封筒が置かれていることに気付いた。

 

「? なんだろ」

 

 そこには達筆な字でこう書かれていた。

 

 

 

 

 『如月皐月殿へ』

 

 

 

 

「………… 誰も知るはずないはずなんだけどなぁ」

 

 表情を変えることなくその封筒を眺めていたがとりあえず中身をみるため開けてみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。

 その才能(ギフト)を試すことを望むのならば、

 己の家族を、友人を。財産を、世界の全てを捨て、

 我らの“箱庭”に来られたし』

 

 

 

 

 

 

「っ!!」

 

 読み終えた直後、手紙から強烈な光が走る。そして次の瞬間感じる浮遊感。

 

「ああ、うん。もう慣れたよ」

 

 視界が戻った彼はそう呟きながら落ちて行った。

 

 

 

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