問題児たちが異世界から来るようですよ? ~大地の寵愛者~   作:無名宴

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十話目 改

 

 

 

 

 

 

 

「結構遅くなっちゃったかな~」

 

 夜の街並みを駆け抜ける。空には十六夜月が昇っているため十分明るい。

 

 何故彼がこんな夜遅くに街中を走っているかというと単純な話。ノーネームの本拠地を聞き忘れていたからである。そのためまたサウザンドアイズの店に向かい大爆笑した白夜叉に場所を聞き向かっている最中である。

 

「やっぱり微妙なところで抜けてるなぁ~」

 

 多少の自己嫌悪に落ち込みそうになりながらも軽く頭を振ると足を進める。

 

 

 

 

 

 

 皐月が拠点に着いた時、ズドガァン! とでたらめな爆発音が響く。

 

「こんな爆音が出せるのは一人しかいないよね」

 

 音に対しては軽く眼を見開くがすぐに誰が何をやったのか予想が立ったためにそちらへと向かう。

 

「まだでてこねぇのか?」

 

 そう言いながら石を数個弄びながら不敵な笑みを浮かべている先ほどの爆発音の元凶である逆廻十六夜がそこにいた。

 

「もう一丁いくか?」

 

 言葉と同時に投げられた石を袋から取り出した槍で払う。払った石はそのままの速度で皐月の斜め後ろへと抜け新たな爆発音を起こす。

 

「痛うぅぅぅ!!」

 

 槍を袋に戻しあまりの威力に痺れた両手を振りながら十六夜の前に出ていく。

 

「お、皐月か?」

 

「うん。わかって投げたよね。今すっごく手がしびれてるんだけど」

 

「しびれるで済ませる程度に抑えたから問題ない」

 

 いや、問題しかないと思うのだが。

 

「確かに本気だったら払う暇もなく胴体あたりにでも穴でもあいたかもね~」

 

 見当違いの答えを返しながらも皐月は周囲を見渡す。そこには衝撃で意識を失ったらしき人影が倒れている。

 

「で、いざやんこの倒れている人たち誰?」

 

「人攫いなロリコン」

 

「うわぁ……」

 

 心底どん引きする皐月にヤハハと笑う十六夜。

 

「てかロリコンってことはここにいる大半は子供ってこと?」

 

「ああ。狐耳猫耳なんでもござれだ」

 

「それはそれはそう言った趣味の方にはたまらないですねぇ」

 

 苦笑し巨大なハンマーを二つ袋から取り出す。

 

「消し飛ばすのが世のためになるんじゃないかなって思うんだけど、どう思う?」

 

「まぁ出てこなければ……」

 

 十六夜がそのハンマーを受け取ろうとした時、別室からジンが慌てて出てくる。

 

「ど、どうしたんですか!?」

 

「単なる侵入者だ。例のフォレス・ガロの連中じゃねぇか?」

 

 漫才をやっているうちに数人が眼を覚ましたらしく唖然とする。

 

「な、なんというデタラメな力…… 蛇神を倒したのは本当の話だったのか」

 

「疑われてますよ~」

 

「きにすんな」

 

 どこまでも横やりを入れなければ気が済まないらしい。

 

「これならガルドの奴とのゲームに勝てるかもしれない……!」

 

「いざやん。もう任せちゃっていい? なんかつまらない展開になりそうだし」

 

「まぁ待て。もしかしたら予想外の方向に行く可能性も微分子単位で……」

 

「恥を忍んで頼む! 我々の…… いえ、魔王の傘下であるコミュニティ“フォレス・ガロ”を完膚なきまでに叩きつぶしてはいただけないでしょうか」

 

 男の決死の言葉に一転し二人の表情がつまらなさそうになる。

 

「「嫌だね(やだ)」」

 

 二人はほぼ同時にその願いを一蹴する。

 

「貴方達は人質を取られている人たちですよね。んで、命令されて子供たちを拉致りに来たってとこでしょ?」

 

「あ、ああ」

 

「その人質な。もうこの世にはいねぇから。はいこの話終了」

 

「――――――……なっ」

 

「十六夜さん!」

 

 慌ててジンが割って入ろうとするが皐月に止められる。

 

「冷たいかもしれないけど事実はちゃんと伝えないとね。嘘をついたところで食われた子供たちが生き返るわけじゃないし」

 

「ですが言い方ってものが!」

 

「彼らは同じ穴のムジナですからねぇ。正直なところ彼らの願いを聞く必要なんてこっちには無いんですよ」

 

 身も蓋もない言い方で皐月はきっぱりと言い切る。

 

「なあお前ら。“フォレス・ガロ”とガルドが憎いか? 叩きつぶされてほしいか?」

 

 ふと十六夜が新しい悪戯を思いついたようにそんなことを聞きながら侵入者の肩をたたく。

 

「あ、当たり前だ!」

 

 返答は当然の如く肯定、たが、すぐに表情に僅かな怯えが入る。

 

「だが、アイツはあれでも魔王の配下。ギフトの格も遥かに上だ。俺達がゲームを挑んでも勝てるわけない! いや、万が一勝てても魔王に目をつけられたら……」

 

 それを聞いた瞬間、皐月はこの侵入者たちに対する興味は消え果てた。

 

「いざや~ん。後お願い、完全に興味無くなった」

 

「ん? こっからが面白くなるのにか?」

 

「うん。いざやんの好きにやっちゃって。後で結果を教えてくれればいいよ」

 

 ヒラヒラと手を振りながら館へと入る。いざやんが必要なら手伝う、そう考えながら。

 

 

 

 

 

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