問題児たちが異世界から来るようですよ? ~大地の寵愛者~   作:無名宴

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十五話目

 

 

「これが大雑把な流れだね」

 

 ペルセウスとのギフトゲームが終わった後、皐月はサウザンドアイズにいた。

 

「とはいえ、どうせ見てたんだろうし説明は不要だったかもしれないけどね」

 

「いやいや、直接いた存在の発言は貴重じゃぞ」

 

 カラカラと笑う白夜叉に皐月は小さくため息をつく。

 

「それでおんし」

 

「ん?」

 

「あのギフトゲームで何をしておったんじゃ?」

 

 その言葉に首をかしげる。

 

「あれ? 見てたよね?」

 

「さすがにそこまでは映らなかったのでの」

 

「へぇ。まぁ、さほど重要なことはしてないよ」

 

 軽く肩を竦めると置いてあったお茶を一啜りし続ける。

 

「単純に足音を消して気配を薄くするゴーストブーツを履いて不可視の騎士を見つけてギフトを奪って石像を隠しただけだよ」

 

 あっさりという皐月に軽く眼を見開く。

 

「ほぅ。不可視の相手をそこまであっさりと倒したうえに石化したレティシアをあれだけ完璧に隠すとはのぅ」

 

「それは完全な向こうの油断。せっかく飛翔のギフトを持ち合わせてるのに不可視のギフトとかかけ合わせてなかったから。それができないならまだしも、いくら重要なカギだから数を制限したいって言ってもねぇ。正直、それをやられたら結構きつかった」

 

 その言葉の割には表情から余裕が消えていない。

 

「ふむふむ。じゃが、おんしの口ぶりから言うとそういうのにもなれてそうだがのぅ」

 

「いくら姿が見えなくても確実にいるんだから対応なんていくらでもできるよ。ネクロやらツンドラ達よりまし。あいつら本当にその場から消えるからねぇ……」

 

 あいつらにうちの畑どんだけ被害受けたか…… と遠くを見だす皐月。

 

 少し哀愁を漂わせていたが、気を持ち直すと軽く首を振り続ける。

 

「それに石化って状態異常であると同時に物だったりするんだよね。さすがに人は袋に入れられないけど物なら別。あのくらいの大きさだったら余裕で入るよ」

 

 そう言い軽くポンポンと袋を叩く。

 

「…… それも実はギフトか? じゃが、ギフトカードには書いておらなかったし……」

 

「これなら向こうではみんな持ってるよ。まあ、此処までの性能の高い袋はアースマイトしか使えないけどね」

 

「なるほどのぅ」

 

 白夜叉が納得し、バサッと扇子を開く。

 

「あぁ、でもやっちゃんも人じゃないけど人が悪い」

 

「さてさて、何のことじゃ?」

 

 おどけたようにカラカラ笑う白夜叉に皐月は溜息をつく。

 

「ほどほどの奴を使って魔王の脅威ってのを身をもって知ってもらうのが目的でしょ?だからこそ吸血鬼の彼女やペルセウスの彼の行動を黙認し、あるいは気づかれないように手助けをした」

 

 笑いを止めることなく黙することで返す彼女に、皐月はくるくると指を回す。

 

 二人の間に冷たい空気が走るが、表情は全く変わらない。

 

「でもさ、一割も力を出せてないあの元魔王じゃ力を図る秤にすらならないんじゃない?」

 

「そうでもない。このギフトゲームであ奴…… 逆廻十六夜のギフトが見れただけでも収穫じゃよ」

 

 どうやら彼女はいたく彼に御執心らしい。

 

「ま、長く生きていると娯楽に飢えるから未知に惹かれるのもわからないでもないけど」

 

「人並みにしか生きていないおんしがそれを言うか」

 

「もちろん言うよ。娯楽は存在する際の刺激。それは万物共通だからね」

 

 見た目どおりの年齢であるにも拘らず、老熟したような雰囲気を醸し出す皐月。

 

「私としてはおんしにも非常に興味を覚えるのだがな……」

 

 扇子に隠しながらぼそりと呟かれた言葉は皐月には届かない。

 

 少し不思議そうな表情をする皐月に僅かに笑みを作るとパシッと扇子を閉じる。

 

「それより、そろそろ本題に入ろうかの」

 

「あ、やっぱり気づいてた?」

 

「当然じゃ。なんせレティシアが目覚めるのを待たずに此処に来るくらいだからのぅ」

 

「なら遠慮なく。聞きたいことが一つ。彼女を買うとペルセウスと取引を持ちかけたコミュニティの情報が欲しい」

 

 白夜叉の眉がピクッと動く。

 

「どうしてもそれが引っ掛かってね。元・魔王を下につけることで拍をつけるつもりかはたまた別の理由か…… まぁなんであれかなり気になってね。頼めるかな?」

 

「ふむ…… 貸し二つでどうじゃ?」

 

「いや、そこは一つでしょ」

 

「おんしには貸しは作れるだけ作っておくのもいいかもしれんしの」

 

「…… ああはいはい。じゃ、貸し二つで」

 

「成立じゃの。何か分かったら連絡する」

 

「ん。よろしく」

 

 話が終わり、皐月が出て行こうとした時ふと思い出したかのように白夜叉を見る。

 

「あ、そうだ」

 

「なんじゃ?」

 

「あとで黒ウサギがなんだかんだでできなかった歓迎会をやるみたいだし、やっちゃんも来る?」

 

「ふむ……」

 

 バサッと扇子を開くと少し考え込む。

 

「いや、止めておこう。それはおんしらを歓迎するためのものじゃ。私が出て行っては興ざめじゃろ」

 

「そうでもないと思うけどね。やっちゃんコミュニティの恩人みたいなものだし、文句は一切出ないと思うよ」

 

「それでもじゃよ。それにどうやって知ったのかは知らぬが、おそらくそれはサプライズなのじゃろ」

 

「たぶんね。まぁ、わかりやすかったけど」

 

 結局白夜叉は参加を拒否したため軽く肩を竦めると今度こそ部屋を出ようとした。

 

「そうじゃ。そのときに、箱庭の天幕を見ているといい」

 

「天幕? なぜに」

 

「私たちからのちょっとしたサプライズじゃ」

 

 扇子で口元を隠しているため表情はわからないが、眼が笑っているところを見るとどうやら面白い事らしい。

 

「わかった。黒ウサギにも伝えとく」

 

「うむ。任せたぞ」

 

 

 

 

 

 

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