問題児たちが異世界から来るようですよ? ~大地の寵愛者~   作:無名宴

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十六話目

 

 

 

 

「あ、皐月さん戻ってきたんですか?」

 

 ノーネームの拠点に戻るとリリが駆け寄ってきた。

 

「うん。で、どうしたのそんなに慌てて」

 

「レティシア様が眼を覚ましたんです!」

 

「あ、そうなんだ。すぐに向かうよ」

 

「はい! 私は何か消化にいいものを作ってきます!」

 

 そういうとリリはすぐに厨房に向かって走って行った。

 

「元気だね~」

 

 生温かい目でそれを眺めていたが、とりあえず全員が集まっている場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「何言っちゃってんでございますかこの人たち!?」

 

 ドアを開けようとした時そんな黒ウサギの絶叫が聞こえてきた。

 

「なんかすごいタイミングだよな~」

 

「お、戻ってきたのか」

 

「皐月さんからもこの人たちに何か言ってください!」

 

 黒ウサギは状況を把握していないであろう皐月を撒きこむ。初めは理解できなかったが、すぐに状況を理解する。

 

「ああ、みんな彼女をメイドにすることもう言ったんだ」

 

 そのあたりのことはすでに十六夜から聞いていた皐月はあっさりと答える。

 

「ああ。3:3:4でもう話はついた!」

 

「そういうことじゃないですこのお馬鹿様!」

 

 十六夜の言葉に当事者であるレティシアが首をかしげる。

 

「そういえば皐月に所有権はないのだな」

 

「ああ、それは放棄しただけ。その代わり一つ条件…… というか頼みを聞いてもらうつもり」

 

「頼み……?」

 

「あの鬼化だっけ? それ近くで使わないでほしい」

 

「鬼化を?」

 

 レティシアの言葉に最近癖になり始めているのか指をピンと立てる。

 

「いざやんたちから話を聞いたりしての推測だけど、たぶんそれが倒れた理由だと思う」

 

 実証はできないししたくないけどね~ とのんきに言う。

 

「そんなわけで頼みたいんだけどね。まぁ、これは結構身勝手な理由だから代わりに所有権は無しってことになった」

 

「…… わかった。皐月の近くでは使わないことを約束する」

 

「あ、でも本気で使わないとやばいってときにはかまわないよ」

 

「ああ」

 

 皐月とレティシアの話が終わると、飛鳥が楽しそうに言う。

 

「私、ずっと金髪の使用人に憧れていたのよ。だからよろしく、レティシア」

 

「よろしく…… いや、主従なのだから『よろしくお願いします』の方がいいか?」

 

「使い勝手がいいのを使えばいいよ」

 

「そ、そうか。 ……いや、そうですか? んん、そうでございますか?」

 

 こんな感じで黒ウサギを除く女性陣が会話に花を咲かせている。

 

「金髪ってそんなに珍しいものかね?」

 

「まぁ、お嬢様は戦後間もない時代から来たって言っていたからな」

 

「ふぅん。世界や時期が違えば違う部分も多々あるもんだね~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「材料も料理も大量にあるから全員腹いっぱい食べるように~」

 

「「「「「は~い」」」」」

 

 ペルセウスとの決闘から三日後。歓迎会は何故か皐月の言葉から始まった。

 

「あれ? 私たちが歓迎するほうですよね!? なんで皐月さんが仕切ってるんですか!?」

 

 挨拶をしようとして横取りされた形になった黒ウサギが手をブンブン振りながら抗議するが、皐月は肉や野菜、魚を焼く手を止めずに答えた。

 

「その辺は気にしない。個人的にこっちのほうが楽しいし」

 

 雰囲気的にも楽しそうに料理をしている。

 

 仕方ないですね、と黒ウサギが苦笑したため皐月は焼き上がった野菜の串焼きを渡す。

 

「まぁいいから食え。金策はともかく、今後飢えることだけは無くせる自信はあるから」

 

「ううぅ…… ありがとうございます……」

 

 下手をすればあと数日で底をつく金蔵を思い浮かべ、落ち込みながらそれを食べ始める。

 

「せめてもっと早く言ってくれればもう少し数を用意出来たんだけどね」

 

「いえ、これだけでも十分なんですが…… それに皐月さんがいなければもっと悲惨だったかもしれませんし……」

 

 実際、本来予定していただけでも予算ギリギリというか多少オーバーしかけていたのだが、どこからともなくそれを嗅ぎつけた皐月が三日で大量の野菜を育て上げ、箱庭の外で散歩のついでに大量の魚を捕ってくるという荒技により買い入れは肉類や細々したもののみで終わり、予算が大幅に残ったのである。

 

「だけど、どうして野外の歓迎会なのかしら」

 

「うん。私も思った」

 

「皐月、知ってるか?」

 

 十六夜たちがそう尋ねてくる。ちゃんと料理を確保しているところを見ると、結構楽しんでいるようだ。

 

「何かあるということは知ってるけど、内容まではわからないかな」

 

 皐月が答えると、気を取り直し天幕を眺めていた黒ウサギが大きな声を上げる」

 

「あ、皆さん箱庭の天幕に注目してください! 本日の大イベントが始まりますよ!」

 

 コミュニティ全員が天幕に注目する。

 

 数秒後、全員の目に映ったのは美しい流星群。

 

 子供たちは口々に歓声を上げ、黒ウサギは全員に聞かせるような口調で語る。

 

「この流星群を起こしたのは他でもありません。我々の新たな同士、異世界からの四人がこの流星群のきっかけを作ったのです」

 

「え?」

 

 黒ウサギの言葉に十六夜たちが驚きの声を上げたが、黒ウサギは気にせず続ける。

 

「先日、同士が倒したペルセウスのコミュニティは、敗北のためにサウザンドアイズを追放されたのです。そして彼らは、あの星々からも旗を降ろすことになりました」

 

 その言葉に続くように大きな光が星空を見たし、光が収まったときにはペルセウス座は、流星群とともに跡形もなく消滅していた。

 

「今夜の流星群はサウザンドアイズからノーネームへの、コミュニティ再出発に対する祝福を兼ねております。星に願いをかけるもよし、皆で鑑賞するもよし、今日はいっぱい騒ぎましょう♪」

 

 嬉々として杯を掲げる黒ウサギと子供たち。

 

 飛鳥と耀の二人はその光景に呆然とし、十六夜は感慨深くため息をついた。

 

「驚きましたか? 十六夜さん」

 

 サプライズに成功した黒ウサギは嬉しそうに十六夜の元に来る。

 

「ああ、おかげで個人的にいい目的ができた」

 

 首をかしげる黒ウサギに十六夜はペルセウス座があった位置を指さし、不敵に笑う。

 

「あそこに、俺達の旗を飾る。どうだ、面白そうだろ?」

 

 楽しそうに言う十六夜に一瞬絶句したが、すぐにはじけるような笑顔になる。

 

「それは…… とてもロマンが御座います」

 

「だろ?」

 

「はい♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハート三つって言ったところかな? 中々面白くなってきた、やっちゃんにも教えておこうかな」

 

 そんな二人を皐月は微笑ましそうに眺めていた。

 

 

 

 

 

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