問題児たちが異世界から来るようですよ? ~大地の寵愛者~   作:無名宴

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十七話目

 

 

 

「君たちはこっちを耕して」

 

「「「「はいっ!」」」」」

 

「そっちは水やりを。ただ、程々でいいから」

 

「「「わかりました!」」」

 

 流星群が降り注ぐ歓迎会から一ヶ月後、皐月は畑仕事の指揮をとっていた。

 

「使いにくいとかあったらすぐに言って。すぐに調整するから」

 

 農具は全て皐月が丈夫なクワや獅子のじょうろ、上物のカマに作り直しそれぞれを子供たちに配っていた。

 

「皐月さん。こっちには何を植えますか?」

 

「そこは…… これかな。あ、そっちはこれで」

 

 苗や種を植え担当の子供に渡し、自分も持っていたクワで畑を耕す。

 

「あ~ やっぱり畑仕事は落ち着くな~」

 

 そんなことを言いながらのほほんとしていると、ふと遠くから問題児三人組(と十六夜に抱えられている二人)が走ってくるのが見える。

 

「あれ? 三人ともどうしたの?」

 

 首をかしげながら皐月が尋ねると問題児の一人である飛鳥がとても楽しそうに笑みを浮かべながらガシッと腕を掴んでくる。

 

「皐月くん行くわよ」

 

「行くってどこに?」

 

 話が見えない皐月は?マークを乱舞させるが、耀に反対側の腕を掴まれ引き摺られる。

 

「面白そうなとこ」

 

「いや、それだけじゃあわからないんだけど」

 

「気にするな。いいから行くぞ」

 

 完全に目を回しているジンとリリを小脇に抱えた十六夜がヤハハと笑いながら後ろから突いてくる。

 

「全く話が見えない…… まぁいいや、それじゃあ皆さっき言ったとおりにお願いね~」

 

「「「「はーい」」」」

 

 引き摺られながらも指示を出し、そのまま三人に連れて行かれた。

 

 

 

 

 

 

 

「『北側の鬼種や精霊達が作り出した美術工芸品の展覧会及び批評会に加え、様々な“主催者”がギフトゲームを開催。メインは“階層支配者”が主催する大祭を予定しております』ねぇ」

 

 引き摺られたまま十六夜が持っていた手紙を読むと小さくため息をつく。

 

「納得。みんな好きそうだしね、こういうの」

 

「ええ。だから今から行こうとしているのよ」

 

 眼をキラキラと輝かせている飛鳥に皐月は顔を向ける。ちょっとジト目なのは気にしてはいけない。

 

「一応聞いておくけど、此処から北側までの距離って知ってる?」

 

「知らない」

 

 きっぱりと言われ、盛大に溜息をつく。

 

「980000km」

 

「「「はい?」」」

 

 皐月の言葉に三人はピタッと止まる。どうやら本当に北に向かって歩くつもりだったらしい。

 

 苦笑いを浮かべながら皐月はもう一度繰り返す。

 

「いやだから大体980000kmくらいってやっちゃんは言ってたよ。歩いて行くとしたら火龍誕生祭には確実に間に合わないね」

 

「「「…………」」」

 

 三人が黙る。予想以上に距離があったため、思考が追い付いていない。

 

「一応外門同士をつなぐ“境界門(アストラルゲード)”というものもあるらしいけど……ってこれその二人に聞いて……ないよね。気絶してるし」

 

 いまだに眼を覚まさないジンとリリを見て、皐月はまた小さくため息をつく。

 

「ならそこに行きましょ」

 

「境界門の起動にはお金がかかります。一人金貨一枚で計六枚、現コミュニティの全財産の八割だね」

 

 歩き出そうとした飛鳥をあっさり止める。

 

「一応言っておくけど、農作業の途中だったしお金なんて持ってきてないからね」

 

 ようやく両腕を放してもらったので、お金を入れるようの袋を軽く振るが先ほどの言葉通り何も出てこない。

 

「戻ってお金を取りに行くって選択肢も一応あるけど…… 当然」

 

「断固拒否」

 

「右に同じ」

 

「以下同文」

 

「ですよね~」

 

 わかりきった答えに皐月は肩を落とす。

 

「んじゃ、残ったのはサウザンドアイズ…… というかやっちゃんと交渉くらいかね」

 

「それじゃあすぐに行きましょう!」

 

 少しばかり自棄気味にいう飛鳥が再び皐月の腕を掴み引き摺る。

 

「あれ? ちょっ…… また引きずられるの?」

 

「うん」

 

 耀もいつの間にか腕を掴んでいたため、乾いた笑いを浮かべるしかなかった。

 

「ま、諦めろ」

 

「何故にこうなるんだろ」

 

 そのまま皐月は再び引き摺られながらサウザンドアイズの支店へと向かうのだった。

 

 

 

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