問題児たちが異世界から来るようですよ? ~大地の寵愛者~ 作:無名宴
「空から落ちるっていう状況は慣れているけど、此処までの高さは初めてかな?」
上空4000メートルから落下しながらもやたらと落ち着いている皐月。
「念の為ってことで持っててよかったよ本当に」
袋からバサッと巨大な布を取り出し四方の端を掴んでパラシュート代わりにする。妙に手馴れているところを見ると、本当に慣れているようだ。
落下速度が落ちたのを確認すると、先に落ちて行った三人と一匹を眺める。
「勢いよく落ちていったけど大丈夫かね?」
そう呟くがどうしようもないと頭を切り替え、ふわふわと風の流れに身を任せる。
「この調子なら結構速く降りれそう……」
そんなことを考えているといきなりグンと何かに引っ張られる。
「な…… なんぞ!?」
突然のことに思わず手を離しかけるが慌てて両手で掴み直す。当然その間にも吹き飛ばされ続けている。
「あ…… そうだった~~~~ 大気の流れって結構不安定だってこと忘れてた~」
空中、そして無防備だったため強風に煽られながらそのまま吹き飛ばされていく。
「どこに飛ばされるんだか」
それにしてもこの状況でも何故か彼は全くあわてていない。むしろその表情は愉快そうだった。
一方そのころ……
皐月が少しばかり心配していた三人と一匹は幸いにも落下地点に湖があったためずぶ濡れになるだけで済んでいた。
「し、信じられないわよ! まさか問答無用で引きずり込んだ挙句、空に放り出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ、場合によっちゃその場でゲームオーバーコースだぜコレ。石の中に呼び出されたほうがまだ親切だ」
「………… いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょ?」
「俺は問題ない」
「そう、身勝手ね」
二人の男女はフンッと鼻を鳴らし、もう一人の女は関心を見せずに全身を震わせて水をはじいた猫の毛繕いをしている。
そんな光景を隠れて眺めていた黒ウサギは陰鬱そうにため息をついた。
(うわぁ…… 問題児ばっかりみたいですねぇ……)
あの三人が協力する姿など客観的にも予想出来ない。だが、それをさせなければ自分のコミュニティに未来はない。重い足取りのまま三人と一匹の前に姿を現そうとした時、
(あれ? たしかご招待したのは“四人”だったはず…… ですがあの方々は“三人”です。もう一人の方は一体……)
ふと主催者“ホスト”から言われた人数と違うことに疑問を持つ。
そんなことを考えていたため、三人が眼を向けていたことに気づかなかった。
黒ウサギの受難はまさにここから始まったのだろう。