問題児たちが異世界から来るようですよ? ~大地の寵愛者~ 作:無名宴
「フォレス・ガロにギフトゲームを挑んだですって!?」
「「ムシャクシャしてやった。とくに反省していない」」
「黙らっしゃい! それに反省して無いってなんですか!?」
黒ウサギが飛鳥と耀の頭をハリセンで叩く。それを眺めながら皐月は隣でヤハハと愉快そうに笑っている十六夜に尋ねる。
「フォレス・ガロってなに?」
「どっかのコミュニティだろ。それにしても随分と面白くなったじゃねぇか」
「何のんきにいっているんですか!! このギアスロールを見てください!」
皐月は突き出されたギアスロールを見る。
「こっちが勝てばコミュニティを解散させて裁きを受けるね。で、なにをやったのこのコミュニティ」
話を聞くと結構黒いことをやっているらしく、黒ウサギは悲しそうな表情になり十六夜は僅かに眉をひそめ、皐月は表情を消す。
「へぇ…… 中々に愉快なことをしてるんだねぇ」
「まぁまて。お前が行ったらすぐに終わっちまう」
ふらりとどこかへ向かおうとする皐月の肩を十六夜が押さえる。
「第一、あの蛇と俺にギフトゲームをさせたのはお前だろ?」
その言葉に飛鳥たちは眼を丸くする。
「あら? 十六夜君はもうギフトゲームをやってきたの?」
「ああ。中々面白かったぜ」
「そう、なら今回は十六夜君抜きでいいわね」
「ああ。この喧嘩に俺が手を出すのは無粋だ」
「わかってるじゃない」
ニヤリと笑う飛鳥に十六夜はヤハハと軽薄に笑うが黒ウサギは慌てる。
「ダメですよ! 皆さんはコミュニティの仲間なんですから協力しないと」
「当然協力はするよ。ただ、そのギフトゲームに参加しないだけだし」
「…… ならいいです…… もう好きにしてください……」
今日一日振り回され続けた黒ウサギは、気力の限界らしく疲れた表情で落ち込んだ。
「そろそろ行きましょうか。本当は皆さんを歓迎するために素敵なお店を予約して色々セッティングしていたのですけども…… 不慮の事故続きで、今日はお流れとなってしまいました。また後日きちんと歓迎を―――」
「いいわよ、無理しなくて。私たちのコミュニティって崖っぷちなんでしょ」
飛鳥の言葉に驚きジンを見ると、申し訳なさそうな顔をしていた。どうやら二人にも事情がばれていたらしい。
黒ウサギは耳まで赤くして恥ずかしそうに頭を下げた。
「も、申し訳ございません。皆さんをだますのは気が引けたのですが…… 黒ウサギたちも必死だったのです」
「もういいわ。私は組織の水準なんてどうでもよかったもの」
「私も怒ってない。そもそもコミュニティがどうの、というのは別にどうでも……あ、けど」
「どうぞ気兼ねなく聞いてください。僕らにできることなら最低限の用意はさせてもらいます」
「そ、そんな大したものじゃないよ。ただ私は…… 毎日三食お風呂付の寝床さえあればいいな、と思っただけだから」
耀の言葉にジンの表情が固まる。
「これがあるから大丈夫だと思うよ~ ついでに水場草も所々に植えておけばなおよしだね」
皐月が結局渡すことなく持ち歩いていた水樹の苗を二人に見せる。
「Yes! それがあればわざわざ水を買いに行く必要はありませんし、水路も復活させられます♪」
「実際水路においては調べてからだけどね~」
皐月と黒ウサギの言葉を聞き、飛鳥、耀、ジンの三人は安心したような表情になった。
「私たちの国では水が豊富だったから毎日のように入れたけど、場所が変われば文化も違うものね。今日は理不尽に湖に投げ出されたから、お風呂は絶対に入りたかったところよ」
「それには同意だぜ。あんな手荒い歓迎は二度とごめんだ」
「あう…… そ、それは黒ウサギの責任外のことですよ……」
場数を踏んでいたため湖の中に投げ出されなかった皐月以外の責めるような視線に黒ウサギは怖気づく。
「あはは…… それじゃあ、今日はコミュニティへ帰る?」
「あ、ジン坊ちゃんは先にお帰りください。ギフトネームが明日からなら『サウザンドアイズ』に皆さんのギフト鑑定をお願いしないと。この水樹のこともありますし」
聞きなれない言葉に首をかしげて聞きなおす。
「“サウザンドアイズ”? コミュニティの名前か?」
「Yes。“サウザンドアイズ”は特殊な瞳のギフトを持つ者達の群体コミュニティ。箱庭の東西南北・上下層すべてに精通する超巨大商業コミュニティです。幸いこの近くに支店がありますので」
「超巨大商業コミュニティ…… そりゃ好都合。で、ギフト鑑定ってのは?」
「もちろん、ギフトの秘めた力や起源などを鑑定することです。自分の力の正しい形を把握していただいたほうが、引き出せる力はより大きくなります。皆さんも自分の力の出所は気になるでしょ」
同意を求める黒ウサギに四人は微妙な表情で返す。思うところはそれぞれあるが拒否する声はない。
「それでは行きましょうか」
黒ウサギの掛け声を合図に、四人は“サウザンドアイズ”の商店へと向かうこととなった。