銀輪蓮廻魂≼⓪≽境東夢方界   作:カイバーマン。

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舞浜にある夢の国に行ってきました
クリスマス仕様になったからバリエーションどう変化したのか気になったので

ジャックがカッコよすぎて辛い……あ、海賊じゃなくて骸骨の方です。

まあ海賊の方も大好きですけどやっぱりあの素敵ドクロが……グッズもっと増えないかな……



#39 紫時道銀信

「お久しぶりです閻魔様、地獄の各所を巡っているとはご苦労様です」

「久しぶりですね、道信。賽の河原の状況はどうですか?」

「以前変わりなく、皆輪廻の輪を潜る時を待ちながら修行に励んでおります」

 

賽の河原。

 

親より先に死んだ子供だけが堕ちる地獄であり、河原でせっせと石を積み続けるという修業を送る場所。

 

石積みが完成する直前に鬼がやって来て、子供達が積み上げた石積みを壊して去っていき、再び最初から積み直す。

 

コレを延々と繰り返して行き、最終的に完成させた者はようやく輪廻の輪を潜り再び現世へと転生出来るという訳だ。

 

そしてこの賽の河原を取り仕切っているのは鬼、ではなく亡者である人物、名は道信。

 

生前は殺しを生業として人間だけでなく妖怪をも斬り捨し、鬼道丸という名で自らの手を幾度も血に染めていった。

 

しかしその一方で親に捨てられた、親を妖怪に殺された子供達を養って育て上げ、多くの命が救われた。

 

悪行を働きつつ善行を積み重ね、それを踏まえて彼の死後、地獄行きは確定だが、刑を受ける形ではなく、刑を取り仕切る側となって罪を償うという判決が下されたのだ。ちなみにこの時判決を下した閻魔は鳳仙である。

 

結果、亡者にして彼は賽の河原を取り仕切る立場となり、生前と変わりなく子供達に囲まれながら自分なりに罪を償っているという訳だ。

 

そんな彼に対し、映姫と共にやって来た八雲銀時がフラリと現れて尋ねる。

 

「アンタがここの賽の河原の責任者か?」

「ええ、そういった立場ではありますね、閻魔様、このお二方は?」

「八雲銀時と八雲紫、幻想郷の管理人です、此度は地獄の様子を伺うために夫婦で観光なさっているとか」

「左様ですか、子供達にとっては私や鬼以外の者と会う事は滅多に無いですからね。私の名は道信、観光目的であろうとここに足を運んでくれた客人は大歓迎です」

 

名乗りながら道信はペコリとご丁寧にこちらに頭を下げて来たが、銀時の妻の八雲紫も軽く会釈する。

 

「ここは亡者の人が担当しているのね、地獄ではよくある事なのかしら?」

「そうですね、幻想郷の地獄では私と映姫様のもう一人の閻魔大王、鳳仙様は勿論ですが他にも何人か……それと現世の地獄だと有名な一寸法師や、歴史上に名を残す偉人、平賀源内殿がいます」

「なんか妖怪の山に似たような名前の河童のジジィがいたような気がすんだけど?」

「あなた、そこはツッコんじゃダメな所だから。なるほどね、偉業とも呼べる功績は持っているものの、それ相応に罪を犯した人は地獄で働くというシステムなのね」

 

聞き覚えのある名前を聞いて理解した様に頷く紫の横で、銀時は一人口をへの字氏にして首を傾げる。

 

「ていうかあの鳳仙とかいう方の閻魔って亡者なのか? 俺はてっきり神様の類だと思ってたぞ」

「神様であり亡者なのよ、そもそも元の閻魔大王だって亡者よ。閻魔は常に亡者が亡者を裁くという罪で己自身を裁かなきゃいけないの、焼けた鉄板の上で煮えたぎった銅を飲むというのを一日に三度やるそうよ」

「へー、そちらの閻魔様もやってる訳?」

「私は元亡者ではなく閻魔大王の化身として生まれた存在ですのでやる必要は無いのですが、閻魔の一人として義務的にやっています」

「んなあっさりと……閻魔の仕事も大変だなオイ」

 

紫の話を聞いて銀時はふと映姫に尋ねると、彼女は真顔でケロッとした様子で答える。

 

焼けた鉄板の上でドロドロに溶けた銅を飲む……考えただけで気分が滅入る刑だ。

 

「辰馬、お前奥さんにそんな真似してるのに黙ってんのか?」

「そりゃわしだって最初は反対しちょったんじゃが、映姫の頑固さはおまんも知っちょるじゃろ? ウチの嫁は己で言った事は絶対に曲げん、だからもう諦めて代わりにわしも一緒に同じ刑を受ける様になったんじゃ」

「え、じゃあお前もその鉄板の上で銅を飲むって奴やってんの!?」

「嫁さん一人にやらせる訳にはいかないぜよ、朝昼晩に分けて食事後にするのが日課じゃ、最近じゃこれが無いと物足りぬようになってしもうたわい、アハハハハ!」

「なんかもうスムージー飲む感覚で飲んじゃってる訳!?」

 

坂本もまたあっけらかんとした様子で答えるので、この妻にしてこの夫ありと、銀時は戦慄を覚えながら若干引いていると

 

彼の背後からタタタッと何者かが書けてくる足音が聞こえて来た。

 

「先生! オイラいい加減飽きちゃったよ!! 早く転生させてくれよ!」

 

背後から甲高い年端も無い少年の声が飛んで来た。

 

そちらに気を取られて銀時が後ろに振り返ると、そこにはみずぼらしい身なりをした小さな少年がジト目をしながら立っていた。

 

彼がいる事に気付いた道信はすぐに顔を振り向かせる。

 

「晴太、この修行は飽きたからといって止めさせる訳にはいかないんだよ。コレを成し遂げてこそ再び現世で生きる事を許可されるんだ。根気良く行なわなければ何時まで経っても転生させてもらえくなる」

「だからって飽きるモンは飽きるんだよ! 今時の現代っ子がジェンガだけを延々と続けられる訳ないじゃんか!」

「ジェンガ!?」

 

道信に抗議する晴太という少年の話を聞いて銀時は我が耳を疑いながら、急いで道信の方へ

 

「賽の河原でやる修行って石積みだろ!? え、今ってジェンガ積みになってんの!?」

「はい、最近の子供には石積みは少々難易度が高いという事でこの様な形となりました、ちなみに現世の地獄の賽の河原でもジェンガを採用しています」

「地獄にもゆとり世代の波が来てるって事か……」

 

よく見ると確かに子供達が一生懸命積んでいるのは石ではなく木製のジェンガだ。

 

確かにアレなら積むのは簡単だし現代っ子の子供達にとっては馴染みある玩具なので取り組みやすい。

 

しかしそれは罪を償うべき地獄にしては少々甘過ぎではないか?と疑問視する銀時をほおっておいて

 

先程やって来た晴太という少年に対して、道信の代わりに閻魔である映姫がザッと前に現れる。

 

「親より先に死んだ子は親不孝者として罪に問われる、その解釈に対しては私自身も不満を持っているのは確かです。ですがそれはそれ、コレはコレ、ジェンガを積み上げる事程度で音を上げていては現世に蘇ってもやっていけませんよ? 道信に対して不服を申す前に、まず己自身を見つめて再び世に出れるよう磨き上げる事です」

「ゲ! なんで閻魔様がここにいんだよ! それによく見たら知らない奴もいるし!」

「ようやく気付いたかクソガキ」

 

長々と語り出す映姫の話よりもまず、銀時や紫の事に気付いて驚く晴太。

 

すると銀時は小指で鼻をほじりながら見下すような目で

 

「俺はな、お前みたいにすぐ死んじまったガキと違って永遠に生きれる体を持った八雲銀時っつうんだよ。地獄に来たのは俺と違ってあっさりと死んだお前等を見下しながら笑う為に来たんだ、ほーれ羨ましいだろ、こちとら不死身だバカヤロー、地獄で罪を償う? 何それ美味しいの?」

「うおぉぉぉぉぉぉ!! すっげー腹立つぅぅぅぅぅぅ!! 初対面でここまでムカつく奴は現世でも地獄でも見た事無いぞオイラ!!」

 

ピンと鼻からほじり出した鼻くそを飛ばしてくる銀時に対し激しい苛立ちを覚える晴太、するとすぐに踵を返して自分が今まで組み上げていたジェンガの方へと走り出す。

 

「今に見てろよ!! 急いでジェンガ組み上げて転生して! 現世に戻ってお前なんか見返すぐらい凄い人間になってるんだからな!」

「言っておくが転生先はランダムだぞ? また人間として復活できるかどうかはわからねぇからな」

「なんになろうとお前位軽く超えてみせらぁ!」

 

そう捨て台詞を吐くと晴太は再び子供達の場所へと戻って行った。

 

そんな彼を道信は見送りながら銀時の方へは振り向かずに一言

 

「発破かけてくれた様でありがとうございます、これであの子も真面目に修行に取り組むでしょう」

「はん、俺はただガキのクセに大人に向かって偉そうな口叩いたからムカついてただけだよ」

 

素直に礼を言われた事に対してぶっきらぼうに銀時が答えると、隣にいた紫がクスリと笑う。

 

「あなたも優しい所あるのね、ちょっとばかり見直したわ」

「マジで? じゃあ”アイツ”との件はチャラにしてくれる?」

「それはそれ、コレはコレです」

「この野郎、閻魔様と同じ使い方しやがって……」

 

笑みを浮かべながら先程映姫が言っていた言葉を引用して使って来た紫に、銀時が不満げに目を吊り上げていると

 

そんな二人のやり取りを見て道信は真顔でゆっくりと口を開いた。

 

「お二方は夫婦でしたよね、失礼ですが子供はおられるのですか?」

「子供? いや俺達にはいねぇよ、娘みたいなガキは一人いるけど」

「私は妖怪でこの人は不死者だから、種類上難しいのかもしれないわね」

「そうですか、ですがもし子を持つ事になったらコレだけは忘れないでいて下さい」

 

当分子を持つ予定はない銀時と紫に対して、道信は真っ直ぐな視線を二人に向ける。

 

「子供は親の背中を見て育つモノです、あなた達が正しき事をやろうが間違った事をやろうが、子供はそれを見て日々成長し続けます。我が子に対して恥じぬ生き方をし、そして同時に愛情を持って育て上げて下さい」

「あーおたくの言いたい事は大体わかったよ、ここに来るガキってのは親より先に死んだガキ共、中には親の愛情も受けずに死んじまった奴等も多いんだろ?」

「無論全員ではありませんが……そうやって心に深い傷を負った子達がいるのもおりますね」

 

子供にとって親というのは非常に大切な存在、その親から見捨てられた時、子供にとっては何よりも恐怖を感じる事であろう。

 

この賽の河原にいる子供達も例外に漏れず、口では言えないよう惨い仕打ちを受けて来た者もいるという事らしい。

 

「私は現世で身寄りのない子供達を育てていた時期がありました、その中にもそういった子供達もいましたし、この賽の河原に配属されてからは更に見る様になりました。だから私は願わくば、その子達の心の傷を取り除いてから現世に還してあげたいと思っています」

「酔狂な野郎だな……ま、それならアンタが代わりに親として勤めればいい事さ」

「それは難しいですね、何せ私はこの賽の河原の責任者であり大罪を犯した亡者です、血に汚れた手で、そして血の繋がらない私がそのような真似出来るとは思えませんよ」

「血が汚れようが繋がっていなかろうが関係ねぇよ」

 

自分では親という立場など務まる筈がないと言い切る道信に対し、銀時は首を掻きながら思い出すように呟く。

 

「俺もガキの頃はは血の繋がってねぇ奴に育てられたんだ、かなり昔の事だからよく覚えてねぇんだけどよ、そいつに色々と教えてもらったおかげでこうして無事に生きていく事が出来た、剣の扱い方を教えてくれたのもそいつだしな」

「え! 何じゃ金時! おまんにも育ての親がおったんか!?」

 

銀時の話に反応したのは道信ではなく坂本の方であった。

 

長年腐れ縁を築いておきながら、彼に親がいる事など全く知らなかったのである。

 

「意外じゃのぉ、てっきり紫ちゃんやわし等と会うまでは天涯孤独じゃと思うとったんじゃが」

「親と呼べる程のモンかどうかはわからねぇが、ま、ガキの頃から独り立ちするまではそいつの所に厄介になって養ってもらってただけだ。記憶は曖昧だが、お前ん所のカミさんぐらい堅物な奴だったのは覚えてるよ」

「映姫と同じぐらい……そげな人に育てられたというのに随分と捻くれた性格になったもんじゃて」

「相手が融通の利かねぇ頑固モンだったからこそ、反発心が増長した結果だ」

 

銀時の口から初めて親がいたというのを知って「ほへ~」と声を漏らして軽く驚いてる坂本。

 

そして紫の方はというとそっと銀時から目を逸らしながらポツリと

 

「……あの人はどんな思いでこの人を育てようと思ったのかしらね……」

 

銀時には聞こえぬ様小声で呟いた後、紫はそっと彼の方へと振り返る。

 

「それよりあなた、丁度いい機会だから賽の河原のお仕事の手伝いでもしてあげたら? 確か子供達が積み上げてるジェンガを片っ端から崩していく簡単な作業よね?」

「は? なんで俺がそんな事しなきゃいけないんだよめんどくせぇ」

「無事に仕事を終わらせられたら、あの女と夜な夜な密会していた件は”少しの間”許してあげる」

「少しの間だけかよ! ちゃんと許してくれよマジで! 今回ばかりは銀さん本気で反省してるんだからさ!」

「あらそう、それならその本気を見せて頂戴」

「ったく昔の頃はちっとは可愛げあったのによ……」

 

口元に軽く笑みを浮かべながらサラリと指図してくる紫に銀時はブツブツと小言を呟きながら子供達の方へと向かっていった。

 

するとそれを見ていた映姫もまた坂本の方へ振り返り

 

「辰馬、あなたも手伝って来なさい。私を一人にして遊びに行った罰は未だ継続中ですよ? 亡者を懲らしめる立場として最高地位に君臨しているのだから、子供の相手位なんてことない筈ですよね」

「いやぶっちゃけわしは大人の亡者相手にも刑罰を施すのはあまり好きじゃないんじゃが……まあぶち殺すんでなくてジェンガ崩すぐらいならまだマシか」

 

彼女に促されて坂本もまた渋々銀時の後を追って子供達の方へと歩いて行く。

 

そして

 

「おらぁガキ共! ジェンガ積みは終わりだぁ! こっからは大人達による大人げないジェンガ崩しの時間だぜ!」

「本当はすぐにでもおまん等を転生させてやりたい所じゃがこれも修行ぜよ! わし等のいびりを超えてまた一つ成長せぇ!!」

 

子供達の方へ颯爽と現れると銀時と坂本は雄叫びを上げながら次々と彼等が頑張って積んでいたジェンガを蹴り飛ばしていく。

 

すると子供達もまたその行為にすぐ様銀時達の方へと顔を上げ

 

「止めろよ! みんな一生懸命やってるのに何でこんな事するんだよ!」

「うぇ~ん、せっかくもうちょっとで完成だったのに~!」

「酷いよ~! こんなのってあんまりだよ~!」

「ぐ! 思った以上にこの仕事、ガキの言葉が心に突き刺さって辛い! そんな目で見るな! 俺だって辛いんだ! こうしないとカミさんに許してもらえないんだよ! 夫婦関係を良好にする為に犠牲になれ!」

 

崩してまた一からやり直しになってしまった子供達からの抗議やすすり泣く音を聞きながら、流石に銀時も少々罪悪んを感じて必死になって叫んでいる。

 

そして坂本もまた彼と同様、鼻水を垂らしたあまり賢くなさそうな子供から

 

「おじちゃ~ん、どうして子供相手に平気でそう言う真似出来るんですか~? どうして転生させると言っておきながら何度も邪魔ばかりするんですか? どうして早死にしてしまった僕等子供がこんなひどい目に合ってるのに、おじちゃん達は何も助けようとしてくれないんですか?」

「ほわッ! 一見アホそうなガキのクセにえらい言いよるなこの鼻たれ坊主! 子供のまま死んでしもうたおまん等にはわからんじゃろうが! 大人には大人としてやらなきゃいけない事があるんじゃ!」

「そうやって言い訳ばかりして現実から目を背けようとするのが大人なんですか~?」

「そうだそうだ大五郎! こんなひっでぇ大人になりたくてオイラ達は修行してるんじゃねぇやい!」

「あの~晴太君? おまんとそのガキンちょが同時に喋られるとわし物凄く危機感覚えるんじゃけど? なんかこう、親子螺旋丸とか撃たれそうで……」

 

小生意気な子供達相手に苦戦してたじろいでいる様子。

 

子供相手にすっかり押され気味な彼等を前に道信はゆっくりと手に持っていたある物を被る。

 

それは鬼の顔をしたお面であった。

 

「やはり子供相手に仕打ちを与えるというのは、いかに強者であろうと難しいモノです。純粋な心を持つ彼等に責め苦を与える事に罪悪感を覚える事は、人としては正しい事ですので気にしないでいいですよ」

「アンタいつも一人でコイツ等のジェンガ崩してきたのか……?」

「ええ、それがこの賽の河原でのルールですから、子供達が立派に修行をこなす為であれば、私はいくらでも鬼となりましょう」

 

かつて鬼道丸と呼ばれ、多くのモノを虐殺してきた鬼畜外道であった経歴を持つ道信。

 

子供達が真っ直ぐ育ってくれるのであれば再びその仮面を被る事も躊躇いはない様子で、子供に囲まれて困惑している銀時と坂本をよそに、頑丈そうな金棒を手に持って、一人飛び出すと次々と子供達のジェンガを破壊していく。

 

「彼等に憎まれようと構いません、例え憎まれながらも私はこの子達全員を輪廻の輪に潜らせたい、ただその一心でこの仕事をこなしているのです」

 

鬼道丸と化した道信はそう呟きながら淡々と仕事をこなしていく

 

「それが己の犯した罪を償う為に私ができる唯一の方法なのですから」

 

そんな姿を眺めながら銀時は頭に手を置きながらやれやれと首を横に振り

 

「酔狂にも程があるぜ、だが嫌いじゃねぇよそういう奴は」

「わしもよ、ああいう不器用な奴はほっておけんきに」

「こっちも恨まれるなら慣れっこだよな、辰馬」

「おうよ、ならいっちょガキ共に社会の厳しさってモンを今の内に叩き込んでやろうかの」

 

そう呟きつつ二人は互いに顔を合わせてニヤリと笑った後。

 

まだ残っている子供達に向かって同時に駆け出す。

 

「くおらぁガキ共! 怖いのは赤鬼だけじゃねぇ! 白夜叉がお前等のジェンガを片っ端からぶっ潰してやらぁ!!」

「長年亡者を責め続けた化け狸の本当の怖さ! トラウマになる程たっぷり味あわせてやるぜよ!」

 

子供達の悲鳴や罵声を浴びながら二人の大人は笑い声を上げながら彼等のジェンガを破壊していくのであった。

 

そんな光景を少し離れた場所から見ていた映姫は静かに頷く。

 

「現世というのは様々な障害を幾度も乗り超えていかなきゃいけない場所、これしきの事で音を上げられていてはいけません、故にやるからには徹底的にやらなければいけないんです。辰馬もようやくわかったみたいですね」

 

坂本はどちらかというと他人に甘い所があるので、度々亡者に対して同情して手を緩める傾向があった。

 

その事に関して映姫は度々彼等の罪を責める事こそが我々の仕事なのだから躊躇はするなと教えて来たのだが

 

今回はキッチリ子供相手でも手を抜かずに仕事をしているので、満足げに彼女は呟くと、ふと思い出したかのように隣にいる紫の右方へ振り返る。

 

「ああ、そういえば桂の件について話すのがまだでしたね。安心してください、彼なら現世の地獄と連携して捕まえるという方向で進めていくと、本日の地獄の補佐官殿との会談の途中で決まりましたので。間もなく向こうから選りすぐりの鴉天狗警察が応援に……」

「……」

「おや、どうしたんですか?」

「ごめんなさい、少し考え事をね……」

 

しかし紫の方はというと、暴れる銀時を眺めながらどこか上の空、不思議になって映姫が尋ねると、彼女が頭に被ってる帽子を握りながら俯いた。

 

 

(己の犯した罪を償う為に私ができる唯一の方法、か……自分の過去の所業を清算出来る方法を知ってるなんて羨ましいわホントに)

 

頭の中でポツリとそう呟いた後、紫は再び銀時の方へ顔を上げる

 

 

 

 

 

 

(私は未だ、己が過去に犯した罪にどうすれば向き合えるのかわからないままなのに)

 

泣き出す子供達にムキになった様子で暴れ回る銀時を

 

紫は悲しげな目をしてそっと眺め続けるのであった。

 

 

 

 

数々の地獄を巡り続けた今回の観光で、紫は常々思った事があった。

 

地獄とは亡者に対して現世での所業を清算する為の場所。

 

もし自分もまた観光ではなく正式にここへ堕ちた時は

 

 

 

 

 

自分はどう裁かれるのであろうと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これにて地獄巡り編は一旦終わりです。次回からは再び現世パート……

ではなく毎度おなじみの『彼女』のお話です。
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