銀輪蓮廻魂≼⓪≽境東夢方界   作:カイバーマン。

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#49 杉時銀高

悪しきパパラッチ射命丸文を川に流した八雲銀時と比那名居天子

 

しかしまたしても波乱が巻き起こる、今度は霧雨魔理から高杉晋助という男が博麗神社を占拠したという報告が届く。

 

人質にされたと思われる博麗の巫女・博麗霊夢の救出する為に銀時達は急いで博麗神社へと向かった。

 

「本当にここにいるんだろうな、高杉の野郎が」

「ああ、間違いないぜ」

「本当にいるのよねあの高杉が! 下民の分際で私に嘘付いてたら天罰下すんだからね!」

「だから間違いないって言っただろ、さっきからなんなんだお前?」

 

博麗神社の前へとやってきた銀時は魔理沙と何故か苛立ってる天子を連れて庭の方へと移動する事にした。

 

「しかしアイツが一体なんの理由で俺を呼びつけて来たんだ?」

「八雲の旦那、アンタあの怪しげな雰囲気を持った男とどんな関係なんだ?」

「昔一緒に妖怪共と戦った程度の仲だ、その頃からお互いにそりが合わなくて何度も斬り合いに生じたモンよ」

「アンタと昔からの戦友か、てことはあの男も相当長生きなんだろうな」

「アイツにはそもそも生きてるとか死んでるとかそういう概念自体ねぇけどな」

 

高杉という男について魔理沙に尋ねられ、銀時は思い出すのもめんどくさそうにしながら舌打ちしていると

 

いつの間にか自分の前をズンズンと歩いていた天子がブスっとした表情で振り返って来た。

 

「なにアンタ、高杉と過去に知り合ってましたっていう私に対しての幼馴染アピール? ムカつくわ~、大事なのは時間じゃないのよ、距離なのよ」

「俺と高杉で変な想像しないでくれる? つうかオメェこそアイツとどんな関係なんだよ」

「永遠に殺し合う関係よ」

「は?」

 

あっけらかんとした感じで肩をすくめながらおかしな事を口走る天子、意味が分からないと首を傾げる銀時をよそに天子はまた歩き始める。

 

「アイツは常日頃から私の命を狙い続けてるの、知ってるでしょ? 天人は天界に実る桃を食べる事によって寿命を引き延ばすことが出来る」

「いや知らねぇけど」

「けどそれは己の命を無理矢理引き延ばすという反則技、それを許すまじとアイツは私を殺しにやって来るの」

「……そういや地獄で聞いたっけな、高杉は俺達みたいな寿命の概念を失った奴等を抹殺する仕事に就いてるって」

 

高杉が現在行っているのは寿命を引き延ばす輩を殺して生命のバランスを保つ事

 

つまり彼は天界に住みながら寿命を淡々と伸ばし続けているこの天子を日々殺そうと励んでいるという事だ。

 

それを聞いて納得した様子の銀時に対し、天子は再び振り返って得意げな笑みを浮かべる。

 

「だから今のアイツは私を殺す事、つまり私の事で頭が一杯なのよ。残念だけどアイツはもう私の事しか眼中にないわ、哀れな幼馴染キャラは引っ込んで部屋の隅っこで泣いてなさい」

「オメェはどんだけ俺と高杉をおホモだちにしてぇんだ、そういうの無いから、俺もう結婚してるんで、美人な嫁さんいるんで」

「へぇ、果たしてその嫁さんは私の高杉と釣り合うレベルの男なのかしら?」

「女だよ! いい加減ぶっ殺すぞお前!!」

「フン、悪いけど私を殺せる奴は……」

「!?」

 

天子と言い争ってる途中で銀時達は庭へと辿り着いた。

 

その瞬間、周りから何やら嫌な気配を一同は感じる。

 

間違いない、ここら一帯を全て破壊しかねない程の強い殺気だ。

 

そしていきなり天子目掛けて勢いよく何者が飛び掛かり……

 

 

 

 

 

一瞬にして天子は突っ込んで来た人物の刀を手掴みで受け止め、余裕の表情でその人物と目を合わせていた。

 

「この”死神”だけよ」

「よう、まさか天界から逃げたテメェがノコノコと俺の前に戻って来るとはな……」

「高杉!」

 

左眼に包帯を巻き、蝶の刺繍が施された着物を着飾りし獣

 

高杉晋助が銀時達の前に隠れもせずに堂々と現れたのだ。

 

天子に持ってる刀を突き立てたまま、高杉はゆっくりと驚いてる銀時と久しぶりの再会をする。

 

「久しぶりだな銀時、相変わらずマヌケなツラしてやがる」

「テメェの方はしばらく見ねぇ内に随分と厨二臭いファッションになってんじゃねぇか、なんだその包帯? ひょっとしてカッコいいと思ってる訳?」

「はん、大した事ねぇよ、左眼はちょいとコイツに奪われただけだ」

「コイツが!?」

 

数百年ぶりの再会だというのに互いに悪態を突き合う高杉と銀時

 

彼の巻かれた包帯について小馬鹿にする銀時だが

 

その原因がこの天子だと知ってすぐに目を見開いて見せた。

 

「まさかテメェ程の奴がこんな小娘に後れを取るとはな、随分と剣の腕がなまってんじゃねぇの?」

「なまってるかどうか知りてぇならいっそこの場で斬り合いでもおっ始めるか? 俺は全然構わねぇぜ」

「上等だ、小娘にやられたテメェ如きに俺が負ける訳ねぇって事をその身にキッチリ教えてやらぁ」

 

売り言葉に買い言葉

 

ニヤリと笑いながら軽く挑発してきた高杉に銀時はすぐに腰に差す木刀を抜こうとする。

 

だがその時、高杉の刀を素手で受け止めていた天子はプルプルと震えた後……

 

「高杉の分際で!! 私を無視して昔の男と仲良く話してんじゃないわよぉーッ!!」

 

そう言って彼の刀を乱暴に振り払うと、天子は肩を怒りで上下させながらフーフーと息を荒立てる。

 

「アンタは私だけを見ていればいいのよ!!」

「おい銀時、どうやらオメェをわざわざ呼びつけた必要は無かったみてぇだな」

「あん?」

「だから無視すんなゴラァァァァァァ!!!」

 

相手にされてない事にキレて殴りかかってきた天子をヒョイッと後ろに軽く避けて見せながら

 

高杉は懐から一本のキセルを取り出して口に咥え始めた。

 

「俺は天界から脱走してここに逃げて来たコイツを連れて来いとオメェに命令するつもりだったんだ、手間が省けたぜ、何時まで経ってもテメーの女房の尻に敷かれてるオメェでも少しは役に立てるようになったんだな」

「こんなガキの尻に敷かれてるテメェにだけは言われたくねぇんだよ、わざわざそんな事を頼む為に俺を呼びやがったのか、死神のクセに情けねぇなマジで、テメーの女ぐらいテメーで探せバカ」

 

優雅に口から煙を放つ高杉に銀時が口をへの字にして文句を言っていると、その間に立っていた天子はますます機嫌を悪くさせていき

 

「もうなんなのよアンタ達! 狙いは私なんでしょ! だったらなんで私を放置して二人でぺちゃくちゃお喋りタイムに突入してるのよ! どうせなら私も混ぜなさいよ!」

「お前、自分が殺しに来てる奴がいるのに随分と余裕だな」

「そりゃそうよ、私と高杉はもう何十年も殺し合いを続けてる仲なの! こんな死神怖くもなんともないわ!!」

 

銀時に言われても平然とした様子で天子は叫びながら高杉に指を突き付けていると

 

イマイチ状況が掴めていない魔理沙が眉間にしわを寄せながら銀時に口を開いた。

 

「なあ、アンタ等はアイツの事を死神って呼んでるけど、具体的に死神ってどういう意味なんだ?」

「はぁ? そのまんまの意味に決まってんだろ、死神は死神、全ての生き物の命を管理している神様の1柱だ」

「神!? あの男って神様なのかよすげー!」

「元々は人間だったけどな、俺達とつるんで戦ってた頃は、野郎はまだ人間だった筈だ」

 

着物の袖を彼女に引っ張られながら、銀時はめんどくさそうに説明して上げると魔理沙は目をまんまると見開いてビックリした。

 

よもや高杉がそんな大物であったとは……しかし銀時は更に衝撃的な事実を漏らす

 

「かつては桃太郎と呼ばれて鬼退治に勤しんでた奴が今じゃ不死者退治に転職したって事だ」

「桃太郎!? コイツがあの有名な!?」

「正確にはもう一人の桃太郎だ」

 

顎に手を当てながら銀時は話を続ける。

 

「有名な桃太郎は本物の犬・猿・雉を連れていたが、コイツの場合は”犬の様に強い忠義を持つ男”と、”雉の様に飛び回る女”、”猿の様に悪知恵の働く男”、そして”フェミニスト”を引き連れて鬼退治してたんだ、コイツ等は有名だった桃太郎にちなんで、後々そう呼ばれるようになったんだよ」

「ちょっと待って一人変なの紛れ混んでるぞ! フェミニストってなんだ!?」

「俺もよく知らねぇけど本人がよく言ってたんだとよ、まあフェミニストというよりただのロリコンみたいだけど」

「明らかに浮いてるなそいつだけ……」

 

高杉とその愉快な仲間達の簡単な説明を聞いて魔理沙が頬を引きつらせ困惑の色を浮かべていると

 

当人の高杉はトントンとキセルに溜まった灰を落としながら口元に僅かな笑みを浮かべている。

 

「まさかオメェが俺の同胞を覚えてるたぁ驚きだぜ」

「ついこの前に元祖桃太郎が連れてた犬が幻想郷に来てたからそれで思い出しただけだ、つーかそんな事より」

 

無駄話はここまでといった感じで、銀時はフラッと一歩前に出る。

 

「ウチの巫女はどうした、さっさと出さねぇとそのニヤケ面を叩き斬ってや……」

「そうよ! アンタ大好きな私がいながら他の女の家にスティするってどういうつもりよああん!?」

「オメェは会話に入ってくんな! なんかややこしくなるから!」

 

単刀直入に霊夢の居所を吐かせようとする銀時を遮って天子が彼よりも前に出て高杉を問い詰めようとする。

 

彼女の肩を掴んで銀時は制止させようとするも、天子はそれを振り払い勢いよく高杉の方へ駆け出す。

 

「この浮気野郎! 日頃殺しにやってくるアンタを! 今回は私の方からお前を殺してやるわ!」

「だから待てって! こっちはお前等の痴話喧嘩に巻き込まれたくねぇんだよ!」

 

背後で呼び止めようとする銀時の言葉も無視して、天子は威勢良く叫びながら高杉の方へと飛び掛かった。

 

 

すると

 

「この御方になにしようとしてんのよアホンダラぁ!!!」

「はぁ!?」

「!?」

 

高杉目掛けて天子が飛び掛かったと同時に、高杉を護るように突如何者かが庇う様に現れて彼女に飛び蹴り。

 

お腹に深く蹴りを入れられて天子の方は驚きはしたものの、ダメージは無かったようでスタッと地面に手を着いて着地する。

 

すると彼女の前に立ち塞がる様にして

 

 

 

 

 

 

博麗の巫女・博麗霊夢が仁王立ちの構えで立っていた。

 

「アンタ達ぃ! 高杉さんに指一本でも触れてみなさい! この私がギッタンギッタンにして懲らしめてやるんだから!!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!? お前何やってんだマジで!?」

「どうして霊夢がアイツの味方を? わけがわからないぜ……」

 

シャーッと威嚇しながら完全にこちらに敵意を向けて来る霊夢に銀時と魔理沙も訳が分からず戸惑いの表情。

 

そんな霊夢の背後で高杉は何事も無かったかのようにまだキセルを吸っていた。

 

「やれやれ、どいつもこいつも騒がしくて仕方ねぇ」

 

霊夢の裏切りに困惑する一同をよそに

 

高杉晋助の革命が今始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 




娘同然の巫女に牙を剥かれ重傷を負う銀時

その裏で死神が密接にかかわってると知り、やられた痛みよりも彼への怒りが勝る

悪しき死神を打ち払わん為に遂に銀時の内なる封印されし力が覚醒する時が来たのだ

次回、死神降臨編、激闘の末のフィナーレ、お楽しみに

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