蒼海の世紀 海と空を制する者 凍結中   作:アトコー

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第5話

 

 

 

南シナ海 フィリピン近海

 

坂本商会の商船が所属不明の部隊に襲われSOSが出された。

 

そのSOSを海援隊で、よりいち早く傍受したのは商船護衛に着いていた三笠ではなく、第2艦隊所属潜水艦隊の伊900だった。

 

「艦長、貨物船南海丸よりSOSが出ています。」

 

「どこだ?」

 

「バラワン諸島方面と見られます。」

 

「・・・三笠の方が近いか。」

 

艦長はレーダーを見ながらそう呟くが、

 

「行くぞ、三笠よりも先に到着するぞ。」

 

「了解です。航海長、針路バラワン諸島方面」

 

「針路、バラワン諸島方面ヨーソロ。」

 

「全速前進」

 

「全速前進!」

 

伊900が全速前進して南海丸に向かうころ、三笠にも同様のSOSをキャッチした。

 

 

「艦長っ!貨物船南海丸よりSOSが入電」

 

「SOS?」

 

「バラワン諸島方向、位置は確認中です。」

 

「予定は遅延できん。駆逐艦「松」と「梅」に・・・」

 

「待て、今南海丸と言ったか?」

 

「提督?」

 

いきなり最上艦橋まで上がってきた東郷提督は何かを知っているようで、口を噤んだ。

 

その後、三笠は船団から離れ、救難信号船の救援に向かった。

 

「・・・、間違いなさそうだな。伊900が動く。必ずな」

 

「何か言いましたか、本田少将?」

 

「いや、独り言だ。」

 

俺の後ろに集まった20人の陸戦隊。スクエア迷彩服を纏い、この世界には無いサブマシンガンMP5A2やショットガンCAW、スナイパーライフルM21を持っていた。

 

 

「お前ら、ここの陸戦隊が救難信号船南海丸の立ち入りを行う。恐らく既に中の乗組員は全滅していると考えられる。第1分隊はここで待機。第2分隊が臨検隊を支援しろ。スナイパーはここに残り南海丸の襲撃者達を狙撃しろ。」

 

「了解、しかし・・先に潜水艦の臨検隊が到着するのでは?」

第2分隊長がそう指摘すると、

「確かに、先に到着すればの話だが・・・潜水艦が臨検隊を出す時、浮上しなくてはならない。その時に海上に敵が居れば、伊900は、無闇に行動はしない。」

 

「なるほど、」

 

「伊900には逐一報告するよう伝えた。後はお前らの領分だよ。」

 

「了解。」

 

 

三笠が南海丸の元に到着した時、伊900から連絡があった。

 

「・・・、伝令!才谷大佐に緊急連!左舷、装甲巡洋艦有りだ!」

 

「りょ、了解しました。」

 

「司令、陸戦隊乗艦しました。敵非ず。」

 

「・・・南海丸にはアユタヤ王朝の生き残りの皇女がいるはずだが、・・・まさか!」

 

近くにいる装甲巡洋艦、襲われた南海丸、そして、右舷から吹く風。

たったそれだけで本田は何かを掴んだ。

 

「スナイパーぁ!右舷に何か無いか!」

 

「「南海丸ではなくですか!?」」

 

南海丸の船体をスコープ越しに睨み付けていたスナイパー2人が叫んだ。

 

「この風、今はまだ帆船もある。船の音がほとんどしない帆船なら闇夜で近づける筈だ。」

 

「・・・、確認できません。」

 

本田は自らもスナイパーライフルを構え、右舷に睨みを利かせた。

 

その頃、乗艦した陸戦隊は2手に分かれ、艦内捜索に当たっていた。

 

「(これが、陸戦隊!)」

 

三笠陸戦隊の指揮を任せられたのは李家鳴海少尉だったが、初めて見る陸戦隊の素早さに感嘆していたが、時折、

「バスッ」

 

という空気が抜けたような音が何度も聞こえた。

 

「ちっ!こいつはむげぇや・・・!」

 

南海丸の甲板上は既に事後だった。

 

「この辺の海賊は・・・食いつめ者や、ヤクザ、清国海軍の軍人くずれまで居やがる。

犯し、殺し、奪う。欲望のままに陸戦隊の相手は・・って」

 

「おー合流したか。」

 

「・・・何それ?」

 

甲板上にいる三笠陸戦隊は少し退くだろう。出雲陸戦隊が身に着けているゴーグルを見れば

 

「あー、こいつは暗視ゴーグルって言ってな、熱源を探知して暗所での視界を確保するゴーグルなんだよ。特に、こんな夜には・・・な。」

 

「分隊長!252有りです。」

 

「252?」

 

「20代女性、衰弱していますが息は有ります。」

 

現場は、事後の女性。性処理として扱われた後だろう。衛生兵が手当てしているが、その周りの兵士達には怒りが滲み出ていた。

 

「分隊長命令、ここの男どもを確実し仕留めていけ。サプレッサーは使わなくていい。」

 

『了解。』

 

疾走のごとく走りさった後、さっきいた場所から銃声が鳴り響く。

 

「司令、南海丸艦内より発砲を確認。」

 

「・・・、怒ってるなあ。あいつら。」

 

「ですね。」

 

三笠はドイツ装甲巡洋艦ブリュッヒャー級ハーゲンと交戦に入っていた。

 

「南海丸から舷梯2隻離れました。」

 

「分隊各員、曳光弾装填。右舷に牽制射撃」

 

MP5A2を構えた分隊員が射撃準備している。

その光景は副砲射撃員達に見られていた。

そして、

 

「牽制射撃始め!」

 

牽制射撃で放たれた銃弾は赤い帯を成して右舷の数か所を一時的に明るくした。

明るくなった瞬間、右舷から迫る木製船団を副砲射撃員達と分隊は見逃さなかった。

同時に、最上艦橋に李家が乗った舷梯が右舷の危機を知らせていた。すると、才谷大佐は

 

「右舷は、本田少将に任せる。」

 

本田もまた意図を理解し、

 

「右舷副砲群射撃準備!探射灯発光!」

 

距離500まで近づいた海賊に浴びせられたのは夜間でまばゆい光を放つ探射灯の光

 

それにより、賊は怯み、浮足立ってしまうが、その隙を逃さない彼では無い。

 

「右舷副砲群、なぎはらえっ!」

 

艦長才谷大佐がそのように叫んだ後、本田が叫ぶ。

 

「撃ち方始めぇ!」

 

至近まで近づいた海賊共には回避する術は非ず。木製のボートや帆船に鋼鉄の砲弾が貫く。その様は、ドイツ艦艇ハーゲンには分からずとも発砲による光で分かっていた。

 

副砲群の掃射が終わると水兵と陸戦隊の機銃掃射が待っていた。

船から落ちた海賊を容赦なく、そして無駄なく機銃掃射し、海面には帆船の残骸と海賊の屍と垂れ流される赤い血のみ

 

「敵ながらあっぱれな作戦だ。肝が冷えたよ。

難を逃れたのは李家少尉と本田少将の機転のおかげだ。」

 

「ま、部下も実力も艦長の力じゃよ。」

 

最上艦橋に日本帝国海軍正装服でやって来た東郷提督に艦橋の皆は一斉に敬礼をした。

 

「恐縮です。提督!」

 

「さて、あとはおいの出番じゃ!任せておけ。

海軍護衛総隊総司令官東郷平八郎に!」

 

最上艦橋に東郷平八郎海軍元帥が立った。

 

ドイツ海軍艦艇ハーゲンでは

 

「くそ、くそッツ!

狡猾な雌日本人ども、気付いてたのか!今一歩のところで!」

 

ハーゲンに乗っている女将校は地踏みして三笠への攻撃をせよと、艦長に言ってはいたが、彼女が発案した海援隊の商船を囮にして海賊を使って三笠を沈める策略はここに潰えた。

 

「ヒルデガルド君?」

 

「攻撃を、奴を海の藻屑に・・」

 

「ヒルデガルド・フォン・スマラウト君!

遺憾ながら君の作戦は破綻したと小官は理解する。ここからは吾輩に任せてもらおう。」

 

艦長は、ヒルデガルドを連行するように伝え、舷梯で来た日本軍を迎え入れる準備をしていた。

 

三笠右舷副砲群の指揮所では

 

「ところで、本田司令?」

 

「・・なんだ?」

 

「伊900は何処に?」

 

「・・・さっきからあそこにいるぞ。」

 

「あれっ?」

 

「というか、お前。右舷副砲群斉射の時、後方からも砲弾が吹っ飛んできていたの忘れたか?」

 

「全く分かりませんでしたよ。」

 

「え、潜水艦なのに砲台があるの?」

 

「伊900型は15.5cm連装砲を2基搭載しているからな。」

 

「うわっ、初めて見た。」

 

どうやら、三笠の乗組員達は伊900に興味興味津々らしいです。

 

この戦いで一番の功績を上げた李家少尉は南海丸の臨時艦長に選任された。

 

回航要員に三笠・出雲両陸戦隊が加わり、商船であるはずの南海丸は異様な警備陣が配属されていたが・・・

 

それにしては・・・人手多すぎないか?

 

 

潜水艦伊900は船団の下を航行していた。

 

実のところ、この時点で三笠と南海丸、伊900の他に潜水艦3隻が合流しており、護衛部隊としての機能を果たしていることを知るのは本田少将のみだが。

 

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