Q.結局のところ、一対一の真っ向勝負で店員に100%勝てる【人間】はいるの?
A.いますよ。今のところ1人だけ。
久々の本編(といっても他作品キャラ登場回ですが)、今回はそんな話でございます。
※凄い短めです
カランと鳴るはドアの音
コロンと鳴るはベルの音
悪魔の店には何でもあります
お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます
さてさて、今日のお客様は?
〜ep90 最低最悪の輸送屋〜
「本日はどういったご用件でしょうか? お客様」
「少し、気分転換に効くものを1つお願いしますかね」
店員が2人いる。そんな奇妙な光景に見えるかもしれないが、そんなことはありえない。両者は全くの別人である。
「...さて、ではこちらの紅茶は如何でしょうか?」
「ふむ...では頂くとしましょう」
両者は余りにも似ている。口調、残酷さ、底知れなさ、そして偽名。
違いは仕事に対する姿勢と、種としての違いだろうか。
「しかし、こんな事をお客様の前で言うのはアレですが、まさか貴方様がこの店に来るとは思いもしませんでしたねぇ」
「興味があっただけですよ。どうも、似た者同士の様ですから」
赤屍蔵人。またの名を【ドクタージャッカル】。彼は人間で唯一、店員に勝てる可能性をもった存在であり、全世界でトップクラスに位置する
「...それで、
「100回やれば、100回切り刻めるでしょう。今の姿の貴方を相手すれば」
「ええ、何せ、人間相手に本気になる悪魔は存在しませんので」
当たり前だ。既に人どころか世界の理すら外れた存在が、人間のガワを被った状態での悪魔に負ける道理などあってはならない。だが、逆を言えば、本気を出せば悪魔は...という感じなのだろう。運び屋と店員の差であり、違いであった。
「私は、極稀の例外を除き職務に忠実です。ですから、今この場でお客様を満足させる様な戦いはできないでしょう。決して、ね」
「そして、私は今の貴方と戦った所で到底楽しめそうにないから、こういう風に訪れる事はあっても、コロシアイになる事はないと?」
ピタリ、空気が止まった。
代わりに、鋭い殺気の様なものが無数に、彼等の周りから暴れ出ていた。
仮にこの2人以外に誰かがこの場に居たのなら、そいつはすぐさまショック死するだろうこの光景。全く動いていない両者であるが、彼等の攻撃意思の塊...武術風に言うのであれば【制空圏】が無数にぶつかり合っていた。それも0.000000000001秒に数万の線という人間では決して追いつけない速度で。
「...」
「...」
ある程度探り合いをして、両者はそれをやめる。
渇望と落胆、運び屋は店員をそんな目で見つめていた。
「...出来れば、私は今ではなく嘗ての貴方に会いたかった。そうであれば私は満足いったでしょうにね」
「生憎、変わりませんよ。私は人間を容易く殺せない変わり者の悪魔ですから」
制空圏という、ただのイメージ。だが、それでも尚両者共に極限まで手加減しただろう。どちらも、本気で殺す意気込みを持って探り合いなどすればこの場は持たないのだから。
「...では、そろそろお暇しましょうか。紅茶、実に良い眠気ざましでしたよ。満足出来ましたし」
「そうですか...お客様のお気に召した様で、私も満足でございます」
似た者同士の探り合いを終え、両者は恐怖すら覚える笑みを浮かべていた。
「「良い夜を過ごせました」」
2人のジャッカルは、同時にそう言った。
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「他者から見た私は大体あんな感じなのですか...嫌、それは無いですね。私はそんなに残酷でも、冷酷でも、無慈悲でもありませんし。歩く聖人君子ですからねぇ」
今日も彼は店を営む
ありとあらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...
知らない人の為のキャラ紹介
【赤屍蔵人】
Get Backers -奪還屋- に出てくる作中(どころかほぼ全ての漫画作品において)最強の人間。
わかりやすく一言で説明するならば『元医者で、尚且つれっきとした人間である悪魔店員』という感じのキャラクター(要は店員を想像すれば、6割合っている)。当然チートすら生温い何でもありな存在だが、全知全能というよりは、その全知全能を圧倒的な実力を以って切り刻み殺してしまうタイプであり、底が知れない(一応原作中で、自分の底が知れそうにはなってる模様)。
因みに本編で言ってた、100%勝てるというのは【店員が人間の姿のまま】という条件付きである。人間でありながら唯一店員をそこまで圧勝できる赤屍蔵人がすごいのか、彼程の何でもありさで漸く圧勝できる程の悪魔店員が凄いのか...
因みに、店員は同族嫌悪の如く嫌っているらしい(嫌いというよりかは苦手に近い)