悪魔の店   作:執筆使い

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久しぶりの本編。凄い久しぶりなので、ご都合主義や矛盾展開が多々ある今回の話ですが、どうか楽しんでくれれば幸いです。

後書き? ああ、別に読み飛ばしても構いませんよ。


では、ごゆっくり。





第95話

 

 

 

 

カランと鳴るはドアの音

コロンと鳴るはベルの音

 

 

 

悪魔の店には何でもあります

お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます

 

 

 

 

はてさて、今日のお客様は?

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ep95 明日なき世界(機械仕掛けの平和)

 

 

 

「本日はどういったご用件ですか、お客様?」

 

 

「世界を思うがままにしたいの。私の思うがままの世界が欲しいの」

 

 

「ふむ...成る程、そういうことですか。少々お待ちを」

 

 

..................................

 

....................

 

............

 

 

「こちらでございます」

 

 

「丸い粘土...」

 

 

「こちらを持って、何かを考えれば粘土がその形になります。夢を叶える事も...復讐する事も

 

 

「何もかもお見通しなのね...買うわ。例えどんな代償を払おうと、私は買う!!」

 

 

「お代は結構ですよ。忠告を───決して、暴れないようにと、守ってくれれば...最も、お客様はそれを守るつもりは...」

 

 

「ええ。だからこそ、どんな代償だろうと、払うわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side C

 

燃える。燃える。世界が、私の心によって壊れている。酷く脆く壊れていく。粘土が、大きい粘土が私の心の通りに形を変えて、全てを壊して行く。人を、建物を、世界を、壊していく。

 

 

「た、助けてくれ!?」

 

 

助けない。どうしてそういうセリフを言えるのかがそもそもわからない。私が壊しているのに私に助けを求めるという発想もわからない。

 

 

「どうして...今まで平和だったのに!!」

 

 

そう。お互いムシのいい話だ事。だから止めないわ。ブレーキが効かない片道切符に無理矢理付き合わせてごめんなさいね。

 

 

「嫌だ...死にたくない! 死にたくない!!」

 

 

機械じみたセリフ。嗚呼、本当の終わりの前じゃそんな事しか吐けないのね。人間って。まるで、自分を見ているかのよう。

 

 

 

 

 

「ねぇ、どうしてこんなにも悲しいの?」

 

 

私の父は殺された。理不尽な世界に、いとも容易く。母も後を追うように。呆気なかった。まるで用意されていたみたい。何が平和なの? 私の大切な人が死んでいるのに平和なんてセリフ吐けるの? 誰かが死んでいるこの世界で平和だって笑えるの?

 

 

「ねぇ、だれか...寂しいわ。誰か答えてよ...私のそばにいてよ...苦しいの...〇〇」

 

 

粘土が、恋人の形になる。彼も永遠を誓った後、理不尽に死んだ。私はきっと、壊れたのだろう。歯車が既に抜け出していた。空っぽの歯車を埋める者がないのだ。そんな機械は壊れるしかないじゃない。だからついでに...嫌、本命として、私はこの世界を道ずれにする。

 

 

「...レテ。壊レテ。壊レテ。壊レレレレレレレレレレレレレ、壊レテ。ネェ、壊レテヨ!!」

 

 

粘土は形をさらに変えて、世界を壊して回る。平等に燃えている。涙しても、狂ったように笑っても、壊れた世界の部品に過ぎない。平等に死んでいくから。嗚呼、こんな感じなのね。世界の終わりって、こんな感じなのね。

 

 

まるで踊っているみたい。世界が舞台で、踊り手が私達。それに黒い鳥が、4つ飛んでいるわ。背景は燃え盛る炎。小道具は人間や建物。ありふれた、それでいて都合の良いお話。誰も見向きしない程の舞台。題名は...

 

 

 

 

 

 

 

 

【了解。これより殲滅行動を開始する】

 

 

 

 

デウス(都合の)エクス(良い)マキナ(終わり)

 

 

 

ブザーが鳴り響いた。明かりが眩しい。眩しい明かりが点いて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プツン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の舞台は暗転した。

 

 

 

 

..................................

 

....................

 

............

 

 

ある夫婦が、唯一の機械を作った。心を有する機械だ。その後、良くある展開だが夫婦は殺された。機械を利用するのに彼等の愛情は邪魔だったから、利用する奴らに殺された。

 

 

 

調べられた。調べられて、調べられて、調べられて、まるで決められたかのように彼女は出会った。

 

 

 

 

研究所の者だ。だが、実に良くある悲劇が、そして実に良くある復讐が、最後に...

 

 

 

誰かによって機械による、機械仕掛けの、無機質な物語は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなた方が住んでいる世界を一言で表しましょうか」

 

 

悪魔は、爆心地にあったネジを拾う。

 

 

「どう足掻こうとも、スイッチを押せば終わる平和ですよ」

 

 

悪魔は答える。

 

 

「別に彼女が復讐を誓わなくとも。私が道具を渡さなくとも。直々に手を下さなくとも。あなた方の世界は機械から出た神を大量に持ち合わせている。何もしなくても詰み。どんな物語よりも唐突に、都合良く、キレイさっぱり、終わらせられる舞台装置。それがあなた方の立っている場所なんですよねぇ。読者様?」

 

 

悪魔は笑い出す。

 

 

 

 

 

 

「ノコルタマしいは後ここのつ」

 

 

今日も彼は店を営む

ありとあらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...

 

 

 

 

 


















さて、わかる人にはわかるだろう。次はもう一つの終わりだ。待ちに待っただろうな。それを見るだけのために...おっと、これ以上は失言だな。言わないでおこう。
後、殆ど読み飛ばして此処だけきた冷やかしは何もしないで帰れ。バナナは用意してないんでな。



...でだ。ここまで来たんだ。もう少しだけ待てば、まぁ、時間かかるだろうが、もう少しだけ待てば、もう一つの終わりが見れる。



引き返すなら今のうち? そんなことは言わねぇよ。だってもう引き返せないんだぜ? 絶対に。

だからなこう言おう。後悔するな。する資格すら持ち合わせてない領域へ入っちまったんだからな...


俺は通りすがりの語り部。語るだけだ。読者がどう思おうが知ったこっちゃない。











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