悪魔の店   作:執筆使い

12 / 202
10話

カランと鳴るはドアの音

コロンと鳴るはベルの音

 

 

 

悪魔の店には何でもあります

お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます

 

 

 

さてさて、今日のお客様は?

 

 

 

 

〜ep10 同業者〜

 

 

「いらっしゃいませ...おやおや、これはこれは珍しいお客様ですねぇ。」

 

 

「お久しぶりです。悪魔さん。」

 

 

「宝石商さんも変わらずお元気で何よりです。ところで今日はどういった用件で。」

 

 

「偶々ここら辺を通りかかっただけですよ。勿論他意はありません。」

 

 

「そうですか...それで、心の宝石(ハートジュエル)集めの方はどうですか?」

 

 

「ぼちぼち...ってところですかねェ。貴方の方はどうです?魂は集まって来ましたか?」

 

 

「貴方と同じですよ。ぼちぼち...といったところです。」

 

 

「...やはり、種族、経緯こそ違えど似たもの同士ですねェ。私と貴方は。」

 

 

「確かにそうかもしれません。貴方は自分の手で壊してしまった心を直す為、私は他人の手で壊れてしまった大切な者を治す為、経緯は違えどやってる事は殆ど一緒です。」

 

 

「故に、私達は同士であり、ライバルでもある。」

 

 

「もしかして?少しでも不安要素を消すつもりですか?」

 

 

「ご冗談を。私は唯の願いを叶える宝石の一族。貴方は悪魔。どちらが勝つかなんて火を見るより明らかですよ。」

 

 

 

「では、どういったご用件で?」

 

 

「私と共に働く気はありませんかねェ?」

 

 

「...残念ですが、私は自分の手で治したいのです。それが、悪魔である自分の唯一の約束なので。」

 

 

 

「そういうと思いました。私のライバルとなる男はこうでなくては、張り合いがありませんからねェ。」

 

 

「そうですね「カランコロン」すみませんが少し席を外してもよろしいですか?」

 

 

「構いませんよ。悪魔の仕事ぶり、この目で見させて貰います。」

 

 

..............................

 

......................

 

.............

 

 

「本日はどういったご用件ですか?お客様。」

 

 

「幸運になりたいんです。」

 

 

「それでしたら良い物があります。こちらどうぞ。」

 

 

「絵馬...ですか?」

 

 

「これを持てば貴方の運勢は常に大吉と言って良いでしょう。」

 

 

「買います!それでこれは幾らで?」

 

 

「お代は結構です。忠告を聞いてさえくれれば。」

 

 

「忠告...ですか?」

 

 

「肌身離さず持っていて下さい。」

 

 

............................

 

.....................

 

...........

 

 

「お見事でしたよ。貴方の商売。」

 

 

「お褒めにお預かり光栄です。」

 

 

「それでは私はこの辺でおいとましましょう。あ、そうでした。これは選別です。」

 

 

「赤い宝石ですか。」

 

 

「貴方の商売が成功するようにおまじないを掛けてます。きっと将来、これが役に立つ日が来るでしょう。では」

 

 

カランコロン

 

 

「行ってしまいましたか...貴方も私も確かに似た者同士かもしれません。人間を憎み、同時に愛していたのですから。」

 

 

今日も彼は店を営む

ありとあらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。