カランと鳴るはドアの音
コロンと鳴るはベルの音
悪魔の店には何でもあります
お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます
さてさて、今日のお客様は?
〜ep10 同業者〜
「いらっしゃいませ...おやおや、これはこれは珍しいお客様ですねぇ。」
「お久しぶりです。悪魔さん。」
「宝石商さんも変わらずお元気で何よりです。ところで今日はどういった用件で。」
「偶々ここら辺を通りかかっただけですよ。勿論他意はありません。」
「そうですか...それで、
「ぼちぼち...ってところですかねェ。貴方の方はどうです?魂は集まって来ましたか?」
「貴方と同じですよ。ぼちぼち...といったところです。」
「...やはり、種族、経緯こそ違えど似たもの同士ですねェ。私と貴方は。」
「確かにそうかもしれません。貴方は自分の手で壊してしまった心を直す為、私は他人の手で壊れてしまった大切な者を治す為、経緯は違えどやってる事は殆ど一緒です。」
「故に、私達は同士であり、ライバルでもある。」
「もしかして?少しでも不安要素を消すつもりですか?」
「ご冗談を。私は唯の願いを叶える宝石の一族。貴方は悪魔。どちらが勝つかなんて火を見るより明らかですよ。」
「では、どういったご用件で?」
「私と共に働く気はありませんかねェ?」
「...残念ですが、私は自分の手で治したいのです。それが、悪魔である自分の唯一の約束なので。」
「そういうと思いました。私のライバルとなる男はこうでなくては、張り合いがありませんからねェ。」
「そうですね「カランコロン」すみませんが少し席を外してもよろしいですか?」
「構いませんよ。悪魔の仕事ぶり、この目で見させて貰います。」
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「本日はどういったご用件ですか?お客様。」
「幸運になりたいんです。」
「それでしたら良い物があります。こちらどうぞ。」
「絵馬...ですか?」
「これを持てば貴方の運勢は常に大吉と言って良いでしょう。」
「買います!それでこれは幾らで?」
「お代は結構です。忠告を聞いてさえくれれば。」
「忠告...ですか?」
「肌身離さず持っていて下さい。」
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「お見事でしたよ。貴方の商売。」
「お褒めにお預かり光栄です。」
「それでは私はこの辺でおいとましましょう。あ、そうでした。これは選別です。」
「赤い宝石ですか。」
「貴方の商売が成功するようにおまじないを掛けてます。きっと将来、これが役に立つ日が来るでしょう。では」
カランコロン
「行ってしまいましたか...貴方も私も確かに似た者同士かもしれません。人間を憎み、同時に愛していたのですから。」
今日も彼は店を営む
ありとあらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...