「全く...どうして私が出かけるといつもトラブルに巻き込まれるんですかねぇ?」
森の中にて彼は本を片手に請負人から逃げている
「おい!我をそんなに振り回すなジャッカル!せめてもう少しやさしく」
「黙って下さいゼタ...嫌、お客様。しかしまぁ...大方あの連中の誰かが依頼した人物なのでしょうが...」
「何だアレは!?我が思うに」
「ええ...私も多分同じ事考えてるでしょうねぇ」
魔王と店員は後ろを振り向きながら言うのであった
「「ありゃあ人間じゃねぇ」」
カランと鳴るはドアの音
コロンと鳴るはベルの音
悪魔の店には何でもあります
お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます
はてさて、今日のお客様は?
~SP18 魔王と店員と助手と請負人と~
「さて...人間相手に正体を現すわけにもいきませんからねぇ...お客様ちょっと失礼」
店員は真上に本を投げ飛ばす
「ちょ、きさm」
そして地面に両手を置き呪文を唱える
『Veni nigrum draco(開け、黒竜の門)』
【Behémoth】
すると、助手が出現して請負人の攻撃を防ぎ後退させるのだった。この間約一秒。そして本が落ちてきてそれを片手でキャッチする
「一目見た時から面白い奴だとは思ったけど、まさかここまでとはな。口寄せの術ってやつか?まるでジャンプ漫画みてぇだ」
『ご主人様。この全ての女性に喧嘩売っている見た目をしている女性は誰ですか?まさか』
「ザイ。落ち着いてください。其方は私を殺しに来た...さしずめヒットマンというところです。それで、今回貴方様を呼んだのは」
「おい!まさかとは思うが我をこのような『少年』に預けるのでh「大丈夫です。これでもプロですので、後あまり『少年』という単語を使わない方が良いですよ」
助手は落ち込んでいた
『少年...子ども扱いされるならまだしも少年って...』ズーン
「え、まさかこの子...」
「...そういうことです。とりあえず下がってなさい。後は私一人で十分ですので」
助手は本(ゼタ)を手に取りすぐさま戦線離脱する
「そ、その...我が悪かった...そう落ち込むな」
『良いですよ。どうせボクなんか...』
「...さて、それで?一応聞きますが貴方は何者でしょうか?私を狙う人間など数百年ぶりですからねぇ」
「あたしか?あたしは」
瞬間、拳が店員の目前まで迫る
「哀川潤。請負人だ」
「哀川様ですか...請負人とはまた大変そうなお仕事で」
拳を受け止めている手が震えていることから、店員を相手している者が如何に人間離れしているのかが解るだろう
「上の名で呼ぶな下で呼べ。あたしを苗字で呼ぶのは敵だけだ」
「私は貴方の言う敵ですよ...そもそも私には最初から味方などいませんので」
店員は殴った。なすすべもなく吹き飛ぶ請負人
「...相変わらずだな。貴様は」
「相変わらず?いいえ、私はあの日から変わってしまったのですよ。お客様」
助手に抱きかかえられた本は店員の後ろを見やり、言う
「我が貴様に挑んだ時もそうであった。死なない程度に我を返り討ちにして、結局最後まで貴様は殺しはしなかった。その気になれば魔法で燃やし尽くすことも、悪魔の力を使って消すことも可能なのに...今でさえ貴様は甘い」
「成る程...どうやら今回も殺し損ねてしまったようだ...」
店員は後ろを振り向く
「いいねぇ、こういう展開。王道らしくて...本当に!」
「...」
拳と拳、両者の戦いは始まったばかりだ
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「もう...やめにしましょう。それ以上やった所で私に勝てることはない。後ろを向き、そのまま帰ればまだ引き返せる」
店員はほぼ無傷のままそう呟く
「...成る程な。確かにそれはいい道だ。だがな、アタシは自分で自分の道を行くんでな」
請負人は血を流しながら前に進む
「あたしはあたしの道を行くだけだ。決して楽じゃない、険しくも面白い道のりを」
「っ、」
彼が思いだしたのは嘗ての自分。まだ悪魔でなかった頃の...所謂王道を掲げていた頃の...
「...」
男は右手を振りかざし
「...貴方は確かに凄い、かもしれない」
正体を現した
「だが知らなすぎる。そんな甘い考えなど...嫌、もういい。私は私、貴方は貴方ですから」
彼は瞬時に懐に近寄り一撃を加えた
「...殺しはしない。だが暫くは目を覚まさないでしょう...あのまま人間の姿でやれば、貴方は何度でも立ち上がり「まだ..だ...」!?」
悪魔は足を掴まれる
「アタシはね...嘘をつかれたり意表を突いたりするのが大嫌いなんだよ。あんたは何を相手に戦ってるんだよ、私でもなければ、依頼主でもない。本当はあんたにとっての敵は最初から」
「それ以上...喋るな...」
悪魔は再び右手を振りかざす
「喋るな!!」
それは真っ直ぐと向かっていき...
バキィッッッッッ!!!!
「危なかったな。我が居なければそこの者ごと世界が消えてなくなる所だったぞ」
『ご主人様、それ以上は主義に反します。ですので勝手ながら止めました』
阻まれた。本から放たれた光線が右手の勢いを消し、その隙に助手が何とか止めたのだった。
「...ザイ。この方を元の場所へと帰してください。くれぐれも摘み食いしないように。私はお客様を魔界へと送り届けなければいけないので」
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「...貴様は確かに変わったのかもしれぬな。その口調や、先程の激昂ぶりなど...」
「...何が言いたいのですか?」
「結局根っこは変わっていないという事だ。我の唯一のライバルだったあの頃からちっとも変わっておらん」
「...だから止める、と。言っておきますが私を止めることは不可能に近い。例え神でも無理なことだ」
「...っふ、ふははははは!我を誰だと思っている?」
魔王は笑い出す
「我こそは宇宙最強魔王だぞ?元の体に戻った暁にはすぐに貴様を止めて見せよう。貴様の全てを吹き飛ばして見せるわ」
「...まぁ、期待しないで待っていますよ」
今日も彼は店を営む
ありとあらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...
これにて、とある読者からのリクエストは終わりです。最後の締めがこのような内容で本当すみません...どうしてもスペシャル編は自分の思ったような理想の出来にならないですね...