悪魔の店   作:執筆使い

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リクエストスペシャル。今回はとあるチートとの話です。

...めだかボックスはあまり知らないんですよね、私。ですが頑張って書かせて頂きました。


※最後の最後まで、悪魔店員は出て来ません


リクエストスペシャル『チートの師』

 

 

 

 

−箱庭学園−

 

「懐かしいな...黒箱塾。随分と立派になったものだ」

 

 

短い袖のワイシャツに黒いズボンという所謂高校生の夏服。整った黒髪に、盲目なのか両目を閉じた顔立ち。表向きは安らぎを与えてくれる様な笑顔。男は様々な実験動物の眼前に立っていた。

 

 

「グルルル...」

 

 

「お陰で迷子になるとは...僕って動物苦手なんだよね...」

 

 

此処は箱庭学園地下3階の実験動物園。獣たちは目の前の青年に対して眠っていた本能を呼び起こされていた。

 

 

「だってほら...人間相手でもそうだけど皆僕の笑顔を怖がるから」

 

 

死に対する恐怖。カレらは否応なしにそれを感じていた。

 

 

「グギャァァァァァァァ!!」

 

 

「大袈裟だなぁ。ただ『お手』をしただけじゃないか」

 

 

彼の名は阿久音 X間(あくいん てんま)。この学園にやって来たお客様である。

 

 

「さて...彼女が何処に居るのか皆目見当もつかないよ。ハハッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜SP26 フラスコ〜

 

「へぇ...悪平等に用があって此処まで来たと? 阿久音X間君」

 

 

「ちょっと違うかな。僕は悪平等の長が気になって此処までやって来たただの一般人だよ。ほんとに」

 

 

数分後、件の男は目的の女性と一対一で話していた。魅力的すぎる見た目、魅力的すぎる人格...それらを持つ女性が目の前にいるので男は笑顔である...否、そんな彼女を見ても笑顔を崩さず両目を閉じたまま先程と変わらない表情で男は相対する。

 

 

「一般人...へぇ。此処まで来れる一般人...ねぇ」

 

 

「うん、そういうリアクション...良くされるんだ。何故かね」

 

 

彼女の訝しみにも興味にも取れる反応に青年は肩を窄めて答える。

 

 

「...君ならわかるかもしれないな。僕の悩みが」

 

 

「悩み? あの...安心院なじみさんが? それじゃあ僕には到底理解できないものかもしれないなぁ...」

 

 

謙遜する青年。しかし女性は笑みを崩さずある言葉を口に出す。

 

 

「もし...この世界が週刊少年ジャンプの漫画の1ページだったら...何故か僕はそう考えてしまう。まるで...」

 

 

「...まるで? それが真実だとでも言うかの如く...みたいな言い方だね」

 

 

「君も妄想の産物だと言うのかい? 阿久音X間君」

 

 

「そうとも言えるかもしれないし、そうでないと言えるかもしれない。かな」

 

 

「じゃあ、僕が此処にいる意味はなんだろうな...もしそれが真実だとして」

 

 

青年は彼女の問いに答える。

 

 

「真実? 意味? そんなものは関係ないと思うけどね...」

 

 

青年は笑顔を浮かべて言う。

 

 

「僕は僕、君は君。例え人形だったとしても、何処かの小説家、もしくは漫画家が作り出した一つのキャラクターという幻想だったとしても...自分の思うがままに生きれば良いんじゃないかな? 安心院なじみさん」

 

 

「...自分の思うがまま、か。まるで漫画の様なセリフだなぁ」

 

 

「漫画みたいで結構。それが僕の君に対する忠告だという事には変わりないし。おっと、今のは無し...僕は通りすがりの一般人だから、出すぎた事を言ってしまったようだ」

 

 

言いたい事を口から全て吐いた青年は、回れ右をして来た道を戻ろうとする。

 

 

「通りすがりの一般人...か。僕に此処までアドバイスを言いに来た世話好きな一般人という事かい? 師匠」

 

 

「ん? 師匠? 何の事かな〜?」

 

 

青年はわざとらしく惚けた。

 

 

「僕の事を親しみを込めてフルネームで言う人なんて1人しかいないからね」

 

 

「...ご想像にお任せしますよ。それでは僕はこの辺で」

 

 

そう言って、阿久音X間という青年はまるで最初から居なかったかの如く消えていった。

 

 

「...結局、君は僕を殺さなかった。それはルール上なのか...はたまたただの情なのか...」

 

 

彼女...安心院なじみという女性は青年に対してそう呟いた。

 

 

..................................

 

....................

 

..........

 

 

ーー成る程な...自分が持っている力を如何にかしたいと。そうすれば理解者が増えると

 

 

ーー...うん

 

 

ーー...あー、こんな事俺がいうセリフではないが、力をどうこうするより先にする事があるな

 

 

ーー?

 

 

ーー先ずは笑顔だ...俺自身滅茶苦茶苦手だが、どんな時でも笑顔で過ごす。んでもって自己紹介

 

 

ーーこう...?

 

 

ーーああそれで良い....多分。あの着ぐるみのアドバイスを参考にはしたくないんだが仕方ない...あとは自己紹介だな

 

 

ーー自己紹介って何?

 

 

ーー...えー、まー、うーん、その、あれだ。相手に親しみを込めさせるその...あれだ。紹介だ。うん

 

 

ーー...親しみを込める?

 

 

ーーそうだな...例えば、俺は神殺し、げふんげふん!? カーム・ジェイク・ノイマッドって言われるが覚えづらいんでな...親しみを込めてノイマッドって呼んでくれ、って感じだ。やってみろ

 

 

ーー僕は...

 

 

 

 

 

 

 

 

「今思えば願いを叶える為とはいえ...私も当時似た者同士でしたからねぇ。彼女と」

 

 

箱庭学園の出口にて、黒いスーツを着た男がそんな事を呟いていた。

 

 

 

















多分気付いていると思いますがネタばらし。


阿久音X間

あくいんてんま

あくまてんいん

悪魔店員


彼が変装する際は大抵名前はアナグラムにしていします(これは店員の昔からの癖だから)


こんな内容になってしまって本当申し訳ありません!

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