リクエストスペシャル。本来であれば夏の内に出したかった奴です(具体的にいうと8/15もしくは14日に出したかった...特に深い意味はありませんが)
今回は特別なお客様も店員も登場はしないです...すいません。本当すいません(どうしても客としての話が思いつかなかった)
そして、殆ど同じ展開の繰り返しとなっております。そう言った無限ループが嫌いな人は...お引き取りを。
照りつける太陽...きっと、夏なのだろう。
今すぐにでも忘れたい。忘れたい...だけど忘れられない。
大切な者が死んでしまう日なんて、すぐにでも忘れたい...だけど忘れられない。
「今日は...またか」
だけど、これでもう■■回目だ。カレンダーを確認するのも、時間を確認するのも、ベッドから立ち上がり冷や汗を拭うのも...
~SP37 回時~
「どうしたの? そんなに暗い顔して?」
「...何でもないよ」
「ふーん、本当にぃ~? 何か怪しいな~?」
「だから何もないって」
言えるわけがない。最初はただの悪夢なのかと思っていた。人が死ぬ光景を見るただの悪夢。だけど、あれも、それも、これから起きることも、全部現実なんだって...何度も見せつけられて、わかってしまった。
「それにしても今日は暑いね~。公園で待ち合わせて何処か二人で行こうなんて...やめにする?」
「!」
やめにしよう、特に今日は。
そう言いたかったが駄目だ。通り魔に刺され、交通事故に遭い、工事中にて鉄骨が降り注ぎ...彼女は死ぬ運命。そして、傍らで少女の様に小さな陽炎がくすりと笑っているんだ。
【マタ助ケラレナカッタネ】
その一言と共に俺は何度もベッドに逆戻り。
「...ッ大丈夫だよ。どうせ今日は水族館だしさ、ね」
「...ま、君がそう言うんだったら別に大丈夫だけど」
そう言って、俺と彼女は一緒に水族館へ向かって...
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「今日は...また同じ、か」
アラームと、日差しと、ベッドと、冷や汗と...何をやっているんだ。俺は...一体どうすればいいんだ、俺は...
「ねぇ大丈夫? 物凄く青ざめているけど、熱中症じゃ「大丈夫だ!!」!?」
「あ...ごめん...何でもない。何でもないんだ...本当に」
俺は今にも狂ってしまいそうだ。ずっと、一番見たくないものを見せつけられ続けて、どうして正気を保っていられるんだ? もう希望なんてないだろう。自問して、何も答えることが出来なかった。
「...今日は水族館じゃなくて、久しぶりに私の家に来る? ここからじゃその方が近いし、君が倒れたら...」
「...わかった」
嗚呼、彼女の家は水族館や、図書館とは違うルートだ。初めてではあるから少しは期待しよう...
まるで他人事みたいなセリフだ...どうしたんだ俺は...どうしてしまったんだ俺は?
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また、だ。最早何も感じることが出来なくなり始めていた。何度も視界が眩んで、小さな陽炎はあざ笑いながらそれを見つめる。それでも彼女の顔を見る事だけが救いだった。俺が俺でいられる大切な人...言葉通りの意味として、この狂った世界での唯一の救いだった。
どうすれば良い? どうすれば彼女を救える? 心を失いかけている俺はまだ、そう考えることが出来ていた。
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ーー助けて...助けて...
ーー待ってろ...今すぐに助けてやる...
ーー助け...
ーー...! そうか、こうすれば良かったんだ
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「...でね、って聞いてるの?」
「あ、うん。聞いているよ」
「そう...それにしても楽しみだね。水族館」
「そうだね...」
最初から、こうすれば良かったんだ。こうすれば、彼女は悲しむかもしれないけど救う事は...!!
「危ない!!」
「へっ? きゃっ!?」
ーグシャッッッッ!!-
何故か、陽炎は現れなかった。だけどこれで救う事が出来たんだ...だから、俺は死ぬ間際にこう言った。
「今度は助けたぜ...お前の思惑に反して、な」
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昔話をしよう。ある日、どんな願いもかなえる店に一人の客がやって来た。
死んだ者に合わせてほしい、彼はそう願った。
だから店員は商品として石を取り出してこう言った。
【これを使えば、愛する者に会える。ですが決して、彼女の元へゆこうと考えないように】
彼は道具を使い、愛する者を再びその目に移すことが出来た。
けれど...彼女とは真の意味で一緒ではなかった。
【助けて...助けて...】
彼女の求める声...
【待ってろ...すぐに助けてやる...】
彼はそう言って...
【助け...】
彼女の顔を見ながら...
【...! そうか、こうすれば良かったんだ】
忠告を破った。
悪魔に魂を食べられたものは夢を見る。無限に続くそれは、苦しみを与え、希望を見せ、絶望に落とす。忠告を破った時点でもう彼に戻るすべなどない。
今日も彼は夢を見る
ありとあらゆる絶望が並ぶ場所にて夢を見る...
踏み台転生の件といい、客として登場させられなくて本当申し訳ありません!!