悪魔の店   作:執筆使い

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13話

カランと鳴るはドアの音

コロンと鳴るはベルの音

 

 

 

悪魔の店には何でもあります

お客様の願いや要望を必ず叶えて差し上げます

 

 

 

さてさて、今日のお客様は?

 

 

 

〜ep13 正義〜

 

 

「今日はどういったご用件ですか?お客様。」

 

 

「ヒーローになりたいんだ!昔からの憧れだった...」

 

 

「そうですか...少々お待ちを。」

 

 

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「こちらでございます。」

 

 

「ベルト...ですか。」

 

 

「こちらのベルトを身に付けて、変身!と言えば貴方はヒーローになるでしょう。」

 

 

「買います!それで、幾らなんですか?」

 

 

「そう身構えなくても大丈夫ですよ。お代は結構です。忠告を聞いてさえくれれば。」

 

 

「忠告ですか...」

 

 

「決して、悪を殺さないで下さい。」

 

 

 

 

Side C

 

 

『昨晩、ひったくりの常習犯である〇〇がロープで拘束され警察署の前に放置されてました。〇〇は、ヒーローとつぶやいており...』

 

 

「今日もパトロールだ。」

 

 

あれから、私は文字通りのヒーローになった。空き巣を見かければ交番に運び、ヤクザを見かけたら路地裏で力というものを見せつける。

 

 

「悪を徹底的に容赦しない...それこそが正義のヒーローだ。」

 

 

このベルトがあれば怖いものなんて何も無い。相手は悪人だ。何をしたって許される。

 

 

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............

 

 

「ひ...ひぃ?!許してくれ...どうしても、金が必要だったんだ!?」

 

 

「駄目だ。お前は罪の無い命を沢山奪っていった。ならば死をもって償うのが筋というものだろう。」

 

 

「自首します!しますから命だけは...」

 

 

「私が悪人の戯言を聞くかと思ったのか?」

 

 

「やめ...アアアアァァァァ...」

 

 

「ふぅ...悪は根絶やしに...ぐぅ!?」

 

 

頭が...割れる...体が...熱い...一体どうなって...

 

 

「グワアアアアアアァァァァ...」

 

 

俺は...おれは...オレ...ハ

 

 

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............

 

 

「イラッシャイマセ...おやおや、その姿。」

 

 

「グルァ!ゴルゥ!!ゴガァ!!」

 

 

「忠告を無視しましたね?」

 

 

男は正体を現す...

 

 

「残念ながら忠告を無視した場合...追加料金が発生します。」

 

 

「グルァ!?」

 

 

男は答える...

 

 

「英雄がバケモノになるですか...仮面ライダーみたいですねぇ。」

 

 

「グルァアアアア!!!」

 

 

悪魔は笑い出す

 

 

「お代は、貴方の魂とさせていただきます。」

 

 

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......................

 

...........

 

 

「正義とは...悪を潰すものではありません。善と悪に秩序とバランスをもたらすものだと私は思います。」

 

 

続けて、悪魔はこう言った

 

 

「何故なら...悪からも、善からも正義というのは生まれるのですから。」

 

 

今日も彼は店を営む

あらゆる商品が並ぶ悪魔の店を営む...

 

 

 


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